第166回国会 厚生労働委員会 第4号(平成19年3月14日(水曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

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〔前略〕

伊藤(信)委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、本日の質疑、民主党の皆さん並びに先ほどの高橋千鶴子さんの質疑を伺いながら、幾つか残された私自身の疑念がございますので、まず、予告外の質問ですが、柳澤厚生労働大臣にお願い申し上げます。

 田名部委員がお取り上げのタミフル関連の問題でございます。

 私は、既にこの問題は予算委員会で取り上げ、とりわけ、厚生労働省の薬事行政をめぐる姿勢、予防原則に立たない、そして、被害を繰り返す、たくさんの被害者がそこに生まれ、悲しい思いをしている現状等々があるということを予算委員会でも申し上げました。特に、このタミフルの問題では、柳澤厚生労働大臣がその前の週に、お産で実際に脳性麻痺になったり、お母さんが亡くなったりという患者さんとお会いいただきました翌週に、厚生労働省に三人のタミフル関連被害者の親御さんと一緒に伺い、今子供たちに異常なタミフル内服後の問題が起きているから、ぜひ早期に警告を発してほしいと厚労省に申し上げました。

 しかしながら、事態は後手に回り、その後に仙台の事案が発生いたしました。あのとき、すぐいろいろな勧告、あるいは注意を出していただければあの少年は死なずに済んだと思えば、本当に悔しい思いもいたします。先ほど大臣の御答弁で、いまだに事の深刻さに本当の意味では気づいておられないのではないかと私は思います。

 このたび、研究班の研究者である横浜市立大学の横田教授のところに、タミフルの発売元の中外製薬から研究助成の費用が渡っていたのではないかということをめぐっての質疑でありますが、大臣はそもそも、この日本の研究班と、アメリカのFDA、訳して言いました場合に医薬品安全局が、同じ症例を分析して、結果が異なる注意勧告が起きているということを御存じでしょうか。

 これも簡単に紹介させていただきますが、アメリカFDAで分析しました百三例、そのほとんどは日本の事案でございます。アメリカFDAが分析したポイントは三つでございます。内服時間との関係、タミフルを内服して事が起こるまで六時間以内のものがほぼ七、八割である。投与した医師は薬剤との関係を強く疑っておる。また、これまでインフルエンザ脳症で見られたような症状とは異なる、特に、自殺に関連するような、自殺と思われるような、突発的に飛びおりたり走り出したりというような症状は、これまでいわゆるインフルエンザ脳症で見られたものとは異なると。この三つに基づいて、FDAでは、実は世界じゅうのタミフルの消費のうち、およそ七割を日本が消費していると言われます、アメリカでも、これから、今後タミフルの使用がふえた場合に、日本と同じようなことが起こるのではないかという疑念のもとに、タミフルの内服と、特にインフルエンザと診断され、内服されるお子さんたちに注意を喚起しなければならないというのがFDAの趣旨でございます。

 大臣は多忙で、本当にいろいろな業務があると思いますが、このような一つのデータが出て、いつも日本の薬事行政はそうですが、諸外国で言われたもの、そのことについて鎖国状態、そして、我が国の研究成果は、いつも厚生労働省の害がないという非常に害のある態度によって、おくれおくれになっております。

 まず大臣、一点、アメリカFDAの報告、ごらんになりましたか。また御存じでしたでしょうか。お願いします。

柳澤国務大臣 FDAの検討については、私も、概括的かもしれませんけれども、報告を受けておりました。今このFDAの報告で三点、委員は御指摘になられましたけれども、このFDAの報告自体を、先ほど来私が申し上げております審議会では、それも俎上にのせて検討して結論を出しているということでございます。

阿部(知)委員 そうであれば、当然、厚生労働省の薬事行政は予防原則に立つべきなのです。真っ黒々になって、危険がわかってからでは、多くの死者がそこに生まれます。その予防行政に立つのかどうかという一点が、今厚生労働省には問われています。

 そして、そのスタンスに立ったならば、そのことを一刻も早く国民に伝えるということであります。いつも厚生労働省はあいまいにしたまま、例えば、医師たちに出された注意書きも、インフルエンザであれば二日間しっかり見なさいと親に伝えなさいというところで、一つ大事なことが抜けております。タミフルの内服との関係で、二日間ということは極めて重要な時間になっているということを、やはり正しく親御さんに伝えるべきであります。その伝え方いかんによって、先ほど田名部さんも申し上げました、二日間、インフルエンザと診断された子がみんな、親がずっと監視している状態というのは、親のいろいろな、今の働き方、あるいは時間のせわしなさの中で、大変にきついことであります。もちろん働き方がもっと緩やかになって、せめて子供が病気のときくらい、親は子といられてほしいと私自身は思います。だけれども、今とりわけ厚生労働省がやらねばならないのは、内服との関係で危険が指摘されているということは正しく伝えるべきであります。

 そして、大臣がおっしゃったように、我が国の、横田教授が、今度も研究班の主任研究者ですが、なされる研究班の研究のその趣旨におきましても、実は同じことが既に伝えられております。インフルエンザ発症後の症状の経過と治療薬剤の使用状況を調べて、治療薬剤使用と臨床症状発現との関連を検討することがこの調査の目標であるということを添えて、一方、親御さんにもアンケートが出されているわけです。

 やはり、一番あいまいなのは、厚生労働省の姿勢そのものです。そのことによって、本当は私はタミフルを全否定するものでは実はないのです。備蓄も必要になってまいると思います。しかし、危険性というものは十分知らされて、上手に使えるならば使いたい、そういう思いがやはり国民の合意にならないと、本当にお化けのような危険性と隣り合わせでこのタミフルという問題がこれ以上進んでいくということは、どうしても、私は国民にとっても不幸であろうと思うものです。

 もう一点、大臣に伺います。

 実は、もう一つ我が国において問題になっているのは、薬剤の効果や、今後始まるであろう治療研究、治療に使うときの研究に際して、いずれの団体から研究費を申し受け、そしてその研究者がいわばひもつきであるかないかということがオープンになっていないという点であります。

 大臣は、このたびタミフルの研究班の研究者に対して指摘されたさまざまな問題、この後どのように研究体制として是正していかれようと思っているでしょうか。この点もお願いいたします。

柳澤国務大臣 阿部委員の御指摘になられた、タミフルの服用についての注意事項ということが十分世間に知らしめられていないのではないか、こういうお話が冒頭あったかと思いますが、私の認識としては、小児、未成年者がインフルエンザに感染した際の注意として、医療関係者にこのことは注意を促す文書が発出されたということでありますので、この点について何か厚生省の行政として不十分な点があるということは、ちょっと、事実についてもう少し御認識をいただけたらというふうに思います。

 それから、研究班と申しますか、そういう方々と、例えばその研究資金等の関係についてこれからどうするつもりかということでございますけれども、これについては、今回の事案を私どもしっかりと把握した後におきまして、そうしたいろいろな疑念というか、疑念だけじゃなくて実際にそういう影響下に立つなんぞというようなことがあってはならないわけでございますので、そうしたことについて十全の対策を講じていく、これはもちろん必要性があるというふうな認識を我々が持った場合でございますけれども、そうしたことについてはしっかり取り組んでいきたい、このように考えています。

阿部(知)委員 まず、前者については、厚生労働省がお出しになったインフルエンザ治療にかかわる医療関係者の皆様へという文案を大臣は読んでおられないんでしょうか。やはり大臣の方こそ御認識していないんですよ。インフルエンザと診断され治療が開始された後は、タミフル処方の有無を問わず異常行動発現のおそれがあるからしっかり見ていてくださいというのが厚労省の出したものですよ。

 そうではなくて、それもあるとは思います、私はさっき言った、どんな子供でも子供が病気のときくらい親に見ていてほしいと、小児科医ですから思います。でも、今問題になっているのは、タミフル服用後、特に血液中の濃度が上がってくる二時間から六時間、大変に個人差によっていろいろなことが起こるということが指摘され、そして今進んでいる研究班の内容も、内服時間との関係、症状の出方を調べるということでアンケート調査が配られているんです。ごまかしているのは厚生労働省だけなんです。

 そして、一回目の横田研究班の報告の内容も、よく読めば、本当によく読めばです、内服時間と症状の出現とがまだ不明確である、だから調査しましょうとなっているんです。そこを厚生労働省はまともに受けとめないで、自分たちの本当におざなりな行政のツケを国民に負わせているものだと私は思います。それが命の犠牲を重ねているということ。

 そして、私はこれで時間が終わるのはちょっと予測外のことですのでお伺いいたしますが、大臣は、例えば今の段階で主任の研究者が、御存じあったかどうかわかりませんが、そういうまさに発売元から研究費の半分以上を受けていたという実態に即して、どのように是正されるべきだと思いますか。

柳澤国務大臣 今回のことにつきましては、まず事案の実態と申しますか、それをしっかりと私どもは把握する必要があると思っております。その把握がかなり進んでいるかと思いますが、私自身はまだ現在その報告を受けておりません。

 したがいまして、その事案の全容につきまして報告を受けた後に、私としても、そうした影響を受けているのかどうか、あるいは、そういったことについて世の中から疑念を持たれるというようなことについて、これをどう考えるか、こういうようなことで、この問題についてそうしたことのないような対策を必要に応じて打ち出していかなければならない、このように考えております。

阿部(知)委員 私は、内容にバイアスがかかったかかかっていないか以前に、やはり研究のあり方として問題だと思います。そして、次回委員会の冒頭までにお返事をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、通告してございます問題に行かせていただきます。

 私は、きょうは、いわゆるスポット派遣とか日雇い派遣とか言われる状態についてお伺いいたします。

 先ほど高橋委員の御質疑にありましたが、今雇用保険の給付が一定、赤黒を申せば黒字になっている。しかし、その背景が、本来は労働者性がありながら、そして失業、業を失う、仕事がないという状態になりながら、失業保険を受けられない人たちがそこにたくさん生じたことによって財政が黒になったのでは意味がないという御指摘があったと思います。

 私がきょう取り上げさせていただくスポット派遣あるいはワンコールワーカー、日雇い派遣と言われますようなものの実態は、携帯メールを用いて、登録してある先に、その日その日で仕事の有無を聞いて、その派遣現場に行くようなものです。

 厚生労働省には、このような働き方の方に対して、従来、日雇い保険と言われるものがございました。いわゆる、昔で言う山谷や釜ヶ崎などで勤労者を集めて運ぶ、そして働いていただく。しかし、職のない日もあり、きちんと手帳を持って日雇い保険が給付されるというセーフティーネットも、一方でやはりつくってきた歴史があると思います。

 現状のスポット派遣、日雇い派遣等々に関しまして、この失業保険、いわゆる雇用保険の給付について、申請等々が事案としてあったでしょうか。また、どのような検討がなされているでしょうか。大臣にお願いいたします。

柳澤国務大臣 日々の単位で労働者派遣が行われている、いわゆる日雇い派遣は、一般的に雇用が不安定な働き方であるということの認識は全く同じかと思います。

 労働者派遣法上、特別な規制が設けられているものでないことから、その詳細を当局として把握しているかといえば、これは把握をいたしておらないところでございますが、労働者派遣制度に基づく監督を通じまして、法令違反が認められれば適切に指導してまいる、こういうことでございます。

 いずれにしましても、若者を中心として低所得の非正規雇用の増加とかその固定化が生ずるということは、これは全く望ましくないことでございまして、私どもとしては、そうした雇用保険の問題の有無にかかわらず正社員化の機会をふやしていきたい、そういう施策でもってこの問題に対処していきたい、このように考えているところでございます。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁には二点あったと思います。実態がつまびらかでない、労働者派遣法に抵触すれば取り締まると。しかし、実態がつまびらかでないものをどうやって労働者派遣法できちんと管理監督できるかという、これはもう本当に言語矛盾になってまいります。

 大臣にはお願いがございます。やはり実態をつまびらかにする努力をしていただかないと、今、こういう労働形態で、夜はいわゆるインターネットカフェに泊まり、朝また仕事に出向くというような若い人たちが非常にふえております。では、実態はどうやって把握するのというのは、いろいろな仕方があると思います。でも、大臣、厚生労働省として、その実態、不安定な働き方の実態についてしかるべく現状の調査を進めるという一点と、また、日雇い保険の加入については、要件をきちんと検討して、少しでもセーフティーネットが張られるように努力するという、この二点の確約をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 まず第一に、詳細を把握していないので、把握していないというんだったら法令違反が認められれば適切に指導してまいるというのは言語矛盾だとおっしゃったんですが、それは、私がその間に挟んだ労働者派遣制度に基づく監督を通じまして、派遣先に行ったりしてそういう実態が把握できれば、それはもう、法令違反であればそれは適切に指導するということを申し上げたのでございますので、そこは御理解を賜りたいと思います。

 日雇い労働者とはどういうものかといいますと、雇用保険制度におきましては、日々雇用される者、または三十日以内の期間を定めて雇用される者であって、一定の要件を満たした場合に適用されるわけでございます。一方、このような形で就労する労働者にありましても、直近二カ月の各月において同一の派遣元事業者に十八日以上雇用された場合には、原則として一般被保険者になるということでございまして、いずれにしても、現在、御指摘のような就労形態で働く労働者の雇用実態につきまして、個々に今調査をしておるところでございまして、この結果を踏まえまして、被保険者資格の有無等について今後検討をしてまいりたい、このように思います。

阿部(知)委員 ある派遣会社の集計では、この一年間で四十四万人が登録がふえておるわけです。早急な実態調査をお願いしたいということをお伝えして、本日の質問は終わらせていただきます。


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