第166回国会 厚生労働委員会 第5号(平成19年3月16日(金曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

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〔前略〕

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 柳澤大臣にも、連日、昼食もとらずの激務で、本当にお体も大事にしていただきたいと思います。

 一昨日、私がこの委員会でお願い申し上げました、タミフルをめぐる研究班の、特にいろいろな研究費の助成の問題についても、大臣はお調べいただくという御答弁でありましたし、残念ながら、きょうまだ御報告はいただいておりませんので次回にさせていただきたいと思いますが、その際、二点にわたってお願いがございます。

 実は、このタミフルをめぐる研究班のあり方は、大きく二つ問題がございます。

 一つは、先ほど大臣が何度も申されました独立行政法人というもののあり方が深く関与しております。大臣も御承知かと思いますが、平成十五年度から国立大学が独立行政法人化されました。そのことによって、従来であれば、一度文部科学省に入っておりました製薬会社からの寄附金等々の詳細は、現状では、実は公表されなく、管理されなくなっております。しかし、このことは、一体だれがどのような、どの大学がどのような寄附金を受け、研究者がどのようにそのこととかかわっているのかということを一定見えなくさせてしまっております。

 横田教授は横浜市立大学の教授でございますし、私どもで横浜市立大学に情報公開を求めまして、その結果、中外製薬からの寄附の概要も出てまいりましたが、これとて、実は求めるまでになかなか手数がかかりました。

 こうした独立行政法人化されて以降の研究費が、どのように可視化、市民に見える形になるかということについても大臣には深くお考えいただきたいと思います。

 これを申し上げますのは、大臣が先ほどから、独立行政法人というこの組織形態については深く思うところがあるというお話でした。よりよいものとして定着させていくためには、情報公開ということが不可欠であります。

 ぜひ、この一点、どのように今後、特に研究分野にかかわりますお金の問題ですから、どのようにされるのがいいかという長期的視野を持って、きょうでなくて結構です、御見解もいただきたい。

 第二点目は、実は、このタミフルにかかわります研究班は、各研究者が応募して行われたものではありません。厚生労働省の科研費、科学研究費の中にもいろいろな分類がございますが、このタミフルの初回の研究班は、行政政策研究分野ということで、厚労省の方から選んでお願いした研究であります。

 そういたしますと、選ぶときに、その科学者の背景、お金との関係、こうしたことにどの程度目配りができているのか、これもまた極めて問題が多うございます。

 その点も含めての、次回あるいは次の、なるべく早急がありがたいです、今国民的にも非常に懸念が上げられております、お返事いただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか、今の二点。御理解でしょうか。

柳澤国務大臣 従来の大学が、例えば私のところですと静岡大学、静岡大学とは一体何なんだというと、文部省の一つの機関ですと。こういうことで、どういう法律行為をする、何か契約をするにも、それは文部事務官の人が来て、多分事務局にいるんでしょうけれども、その人が契約をする、つまり文部省が契約する。こういうようなことで、大学はみんな文部省の一機関ということでありました。

 私は、聞くところによるわけですけれども、これも本当に、各大学はそれぞれのところに立地して、一つのまとまりを持っているのに、なぜ主体性を持っていろいろな行動が自分の判断でできないだろうか、これを何とかそうしたいというのは、大学制度が始まって非常に早いころからの、ある種悲願としてそういう考え方を持っていた方もいらっしゃるということでございました。

 それで、独立行政法人というものが始まる中で、最初はそういう動きに乗ることに非常に消極的だったように見えた大学が、ここはもう乾坤一てき、そういう流れに乗って、自分たちもそれぞれ独立の主体性を持つべきだ、こういうお考えになられたようでございまして、それはごく一部だったという説もあるようですが、私、全部これは人から聞いたことでございますが、私の頭の中にあることですから申し上げているんですが、そういうことで、非常にそれぞれの大学が独立をしていろいろな判断をするというようなことになった。

 お金の使い方などについてもかなり自由裁量の余地を持ったわけですが、反面、それをそのままにしておくわけにいかないので、やはり独立大学法人の中期目標というものをきっちりと提出させて、その中期目標というものがどれだけ実現されるかということでもって、公的なお金が行くことの裏づけというか根拠にする、こういうシステムで独立大学法人が始まった。

 これは、長いことの今後の歴史的な検証を経て最終的な評価を期待せざるを得ないと思いますけれども、少なくとも、今までのところは非常に活性化しているというか、活力を持ち始めているというふうに私は見ているわけでございます。

 したがって、研究費等については、それぞれの主体ができるだけ情報公開をして、市民社会というか地域社会の、それぞれが立地している地域社会の支持を得ていかなければいけない、こういう面もありますので、私は、情報公開による信頼の確保というのはもう必須の条件だ、このように思っております。

 タミフルのことでございますけれども、このタミフルのことにつきましてはいろいろ報道もありまして、私どもの役所もいろいろ勉強はさせていただいているようですが、私といたしましては、これは、やはり全部の姿というものを把握した後に、どこが問題なのかということで対策を考えていくべきだと思っておりまして、ぜひ、いましばらく時間をかしていただければと思います。

阿部(知)委員 では、引き続きの質問に入らせていただきます。

 きょうは、私はまた、派遣という働き方についてお伺いしたいと思います。

 大臣のお手元にもお配りしてございますが、ここには「雇用形態別、各種保険の適用」ということで、上から正社員、非正規社員、その中の分類も、契約、嘱託、出向、派遣、中には登録、常用と分けまして、そうした働き方の皆さんの雇用保険、あるいは社会保険の健康保険や厚生年金についての適用率が書いてございます。

 ここで派遣と大くくりいたしましたものの適用を見ますと、七七から七五%ということで、実は、一九九九年の同じ調査よりは少し改善しておりますが、大臣、やはり七〇、八割を欠くような雇用の保険の実態ということはいかがかということについて一点。

 引き続き、時間がないので、恐縮ですが、私が先日お尋ね申し上げました日雇い派遣等々は、また、ここの実態には浮かんでこないもののように思います。派遣で認可された会社、二万八百六十四社ありますが、また、そのうち日本人材派遣協会に加盟している派遣会社、七百二十七社でありますが、実は、厚生労働省の方では、この日雇い派遣の実態というものは、この認可された派遣会社のどれだけが行っているのかということについて、実態把握はしておられるかという二点、続けてお願いします。一点目は大臣に、八割欠けているがどうかという方ですね、大臣にお願いします。

高橋政府参考人 雇用保険の適用の実情にかかわっての問題でございますので、まず私の方で御答弁させていただきます。

 まさに今お示しのあった実態調査にも示されているとおり、派遣の中での登録型の派遣で七七・七%というような雇用保険の適用の状況にあるわけでございますが、雇用保険におきましては、派遣事業か否かということにかかわりませず、週の所定労働時間が二十時間以上であって、一年以上の雇用見込みがある場合には、雇用保険の一般被保険者となり得るわけでございます。

 したがいまして、日雇い労働被保険者の部分は別といたしますと、一〇〇%から七七・七%を除いたその二十数%、これらの方がどういう状況にあるか、これは、まさに適用漏れなのか、適用の条件がクリアできていないのか、必ずしも判然とはいたしませんが、他の社会保険に比べますと高い割合になっているのかなと思っています。

 なお、本来適用される者であるにもかかわらず、何らかの事由で未適用となっている方につきましては、本人からの申し出がなされた場合につきまして、確認日の二年前の日までを限度として被保険者資格を確認するということも、私ども、対応させていただいているところでございます。

阿部(知)委員 私が大臣に伺いたかったのは、こうやってデータ上に出てくる現状の、登録派遣として比較的把握されている実態の中でも八割を欠いておる。恐らく日雇い派遣はここには、実態はせんだっても申しましたが、ほとんどわかっておらない。

 大臣、一言で結構です。そうした、この前大臣は、それは労働者派遣法にのっとって正しくやっていくとおっしゃいましたが、なかなか、実は厚生労働省に何回こうやって聞いても、この中に日雇い派遣が含まれているでしょうかどうでしょうか、わかりませんねと。今のも結局わからないということなんですね。

 あわせて、私は、労働基準法にも抵触するような働き方も含まれていると思うのです。ここはぜひ厚生労働省として、もちろん、労働者派遣法に抵触するかどうか、派遣か請負、今問題になっております偽装の問題、それも一方でございますが、こうしたスポット派遣等々の日雇い派遣の方の労働実態、労働基準法から見てどうかということも、あわせて、これから厚生労働省として鋭意真剣に努力していくという御答弁を一点いただきたいと思います。

柳澤国務大臣 彼らも、携帯を持って、派遣元との連絡はとれる状況にある、何か仕事があったら派遣元から自分に対して連絡があって、どこどこの派遣先に行ってこういう仕事があるからやってくれ、こういうことでございますので、その意味では、今委員からいただいたこの分類によれば、派遣労働者登録型ということになるんだろう、このように考えます。

 この派遣労働者登録型につきまして、近来、非常に、特に若い人たちを中心として、余り健康的でもない、そういう生活をしながら、今言ったような労働に従事するというようなことがあるということの指摘をいただいておりまして、私どもとしては、全く手がかりがないわけではなくて、それもまた、恐らく、この中に入っているかどうか、それを確かめろと言われると、今役所の職員が説明したようなことになるのかもしれませんが、とりあえず、まず派遣の業者を通じまして、一体どういうことが起こっているんだということは調べるというか、日常の業務の中で何とか把握をいたしたい、こういうように考えているところでございます。

 もちろん、それよりもまた違う、派遣の登録も何もしていない業者によるものについては、これはまた別途の努力が要ると思いますので、これについては、果たして私どもの方だけでできる話かどうかを含めて、少し内部で検討しないとならないんじゃないか、このように考えます。

阿部(知)委員 私は、こうした若者の貧困化あるいは働き方の崩壊と同時に、今の日本の若者で、さまざまな、いわゆる心の崩壊と申しますか、なかなか働くことと自分を結びつけられない若者も多いと思います。

 きょうは、あと一点、ヤングジョブスポットについて取り上げたいと思いましたが、時間の関係でかないません。厚生労働省のお仕事としては珍しくと言うと変ですが、上手にいっていると思うのにやめるというお話であります。これも残念ですから、さらに、もうちょっと前向きにやっていただきたいと思うことを申し添えて、終わらせていただきます。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三分開議

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出の雇用保険法改正案に対し、反対の討論を行います。

 今回の雇用保険法の改正は、行政改革法に対応し、雇用保険制度の安定的な運営を確保し、直面する諸課題に対応するために行うものと聞いております

 しかし、非正規雇用の大幅な増加、ワーキングプアの増加という雇用情勢の変化に対応した施策は全く手つかずのまま、ただただ財政的な理由だけで国庫負担を削減するもので、雇用保険のあり方そのものをゆがめるものであると言わざるを得ません。

 反対理由の第一は、失業等給付に係る国庫負担を二五%から一三・七五%と大幅に削減することです。

 景気の回復によって雇用保険財政は余裕が出てきたとしていますが、これは、雇用保険から漏れているフリーターや日雇い派遣など、この間、急激に拡大した非正規雇用の人たちに十分雇用保険が行き渡っていないために生じたものです。

 政府は、昨年六月に策定した骨太方針二〇〇六で、国の一般会計予算における社会保障関係費の伸びを圧縮するため、今後五年間で一兆一千億円を削減することを決め、そのうち来年度は二千二百億円削減するとしました。しかし、介護保険制度や医療制度改革も実施したばかりで、取れるところがないため、雇用保険財政に目をつけ、国庫負担を削減するとしたのではないでしょうか。こうしたやり方は、雇用保険そのものをゆがめる以外の何物でもありません。

 反対理由の二つ目は、非正規雇用の急激な拡大、とりわけ、パート労働者だけでなく、フリーター、派遣労働者、さらには偽装請負、日雇い派遣と言われる人たちが雇用保険の網の目から漏れているにもかかわらず、全くと言ってよいほど手が打たれていないことです。

 例えば、日雇い派遣は、従来の日雇い労働者と異なり、携帯で仕事の手配を行うというものもあり、若者の間に急速に広がっております。当然、日雇い雇用保険の対象として検討されるべきですが、そもそも実態把握すらされていない現状です。フリーターも同様です。雇用保険に入っていないため、失業給付も受けられない人たちが今や圧倒的になってきています。

 今回の施策の中では、雇用安定事業の対象に被保険者になろうとする者を加えることになりました。この点は、フリーター対策の点からは一定評価できます。しかし、これは教育訓練給付などに限定され、失業給付とは無関係なものになっております。

 また、育児休業給付制度の拡充として給付率をアップさせるとした点も、一歩前進と見えながら、しかしながら、給付の対象はすべて雇用保険加入者です。日雇い派遣、フリーターなど、雇用保険外の、らち外に置かれた人々に対しては一円の給付もないのです。派遣労働者の七七%しか雇用保険には加入していません。四分の一が未加入という状況です。

 しかし、質疑の中でも、本当にあきれるばかりに、当局の認識は、他の年金や医療保険制度等の加入率よりはまだ高いとして、現状において極めて危機的であるという認識を全く欠いています。

 雇用情勢の大きな変化に対応し、セーフティーネットを張りかえることが求められています。そのためにこそ雇用保険のあり方を問い直すべきです。これまでの施策を点検し、どこに不十分な点があるかをチェックすることが緊急に求められていると考えます。

 政府のやり方は、財政再建をすべてに優先させており、時代の要請に全くこたえることができません。二十一世紀にふさわしい雇用保険行政の確立を強く訴え、反対討論といたします。(拍手)


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