予算委員会 第17号(平成19年3月1日(木曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取

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〔前略〕

金子委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の集中審議のテーマであります地域格差、地方格差に入ります前に、命のかかわります緊急の課題がございますので、 厚生労働大臣と文部科学大臣に御質疑をいたしたいと思います。

 暖冬であったことしはインフルエンザの発症もやや遅く、今皆さんの身の回りでもインフルエンザ、そろそろ聞かれるよう になりました。この予算委員会の審議中にも、実は二月の十六日と二十七日、二人の中学生がマンションから転落死いたしま した。

 この問題に当たって、昨日、柳澤厚生労働大臣は、私は医者でもありますが、医療関係者に対しまして、インフルエンザの 患者さんを診たら、親御さんに、特に子供や未成年の患者さんは二日間十分に、監視といいますか、目を離さないであげてく ださいねと言うよう発令を出されました。それ自身はいいことでありますが、しかしながら、私は、ここには重大な親御さん にとっての疑義をあえて厚生労働省が目を向けずに、私ども医師に対して出した発令であると思います。

 では、表をお願いいたします。

 皆さんのお手元にはもう少し詳しい形で、この間、二〇〇四年の二月から先日、二月の末に亡くなりました十四歳の仙台の 坊やまでの、いわゆる十歳代の子供さんの相次ぐ五人の死亡例が載せてございます。

 皆さんもよくごらんいただきたいですが、これらいずれも、例えば一番最初、二〇〇四年の二月の方は、タミフルというイ ンフルエンザの特効薬と言われるものを飲んでから二時間余りで、雪の中を表に飛び出して、線路を越えて道路に出てトラッ クにひかれて亡くなりました。

 また、さっき申しました四例目、五例目はいずれもマンションから転落死ということで、今、子供たちの自殺の問題が大変 大きなテーマになっておりますから、そうしたことが、果たしていじめ等々なかったかどうか、教育委員会もお調べになりま した。あるいは御家族もそのような点をお確かめになりました。しかし、これといってそうした兆候はなかったと言われる子 供たちであります。

 私は、きょう、この四例目の犠牲者となったお母さんから聞いてまいりましたことをここで柳澤大臣にお伝えさせていただ きます。

 このお嬢さんは中学二年生でありましたが、昨年たまたまテレビで、インフルエンザでタミフルを飲むと、異常行動、特に 突進して転落死などが起こるということを聞いており、お医者様がタミフルを処方されたのですが、飲む前に、お母さん、こ のお薬は怖いからやめようかなとおっしゃったそうです。しかし、それを聞いたお母さんは、厚生労働省が昨年の十月に新聞 紙上にも発表なさいました、インフルエンザでタミフルを飲むことが異常行動とは何ら関係がないという記事をお読みになっ て、早く熱が下がった方がいいからと娘さんに飲ませました。その二時間後にこのお嬢さんは転落死なさいました。

 今、日本じゅうの親御さんたちが知りたいのは、果たして我が子にタミフルを安全に安心に飲ませることができるかどうか という一点でございます。

 柳澤大臣は、厚生労働大臣を拝命され、この問題についても、私どもがせんだって被害者の御家族三家族ともども厚生労働 省に伺いましたから、国民が何を心配しているのかは既に御承知であると思います。であれば、今回の、医師に対しての、イ ンフルエンザと診断されたらお母さんたちが二日間見ていなさいねという漠然としたものではなくて、これは、タミフルを内 服されて例えば二時間、六時間は十分に監視してくださいね、まだどんな作用が起こるかわからないものだからと、正直にお 伝えになるべきではありませんか。大臣、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 阿部委員のようにお医者さんとして専門的な知見を持っていらっしゃる方に私がこのようなことを申し上げ るのは、通常ははばかられることですけれども、立場上これはもうそんなことを言っていられませんので、私として申し上げ るわけでございます。

 それは、こうした問題は、しっかりした科学的な知見というか、科学者による評価というものに基づいて考えなければなら ないわけでございまして、タミフルについては、これまでの専門家による検討や調査の結果によれば、タミフルの使用と精神 神経症状に起因すると見られる死亡との関係は否定的というふうになっておりますので、現段階ではタミフルの安全性に重大 な懸念があるとは考えていないというのが基本的な立場でございます。

阿部(知)委員 厚生労働省がそう言い続ける限り、子供の命が奪われていきます。

 大臣の前の前の大臣になります坂口厚生労働大臣が、なぜ日本で薬害が多いのかという質問に対して、日本は、疑わしきは 罰せずじゃなくて、黒と出てからしかとめないからだと。もうちょっと品のあるお言葉でしたが、でも、まさにそうなんだと 思うんです。

 予防原則、疑わしいと思ったらとりあえずとめるなり十分な注意を喚起しないから、実はこの審議中に二人の子供が亡くなっ たということは、幾ら悔いても命は返ってこないのです。この厚生労働行政の怠慢。FDAでは、アメリカでは、同じ事態に対 して、投与した後きっちりと見てくださいねという注意勧告をしているんです。なぜこれだけの彼我の違いがあるのでしょうか。 なぜ厚生労働省は予防原則に立てないのでしょうか。

 一般にタミフルが、これから重要な薬で、新型鳥インフルエンザ等々で使われる、その可能性はあります。でも、今起きてい ることは、インフルエンザで高熱の最中に飲んで、わずか服用後二時間から六時間で子供が飛びおりちゃう、あるいは突然死し ているんです。この事態に対して、いつまでもそうした厚生労働省の薬事行政の、本当に数々あります、全部汚点の数々です、 繰り返さないでいただきたい、大臣。そして、きょう、恐縮ですが、答弁の時間がないので申しわけありませんが、これは、し かとお心に刻んでください。もうこれ以上一例たりとも私どもは子供たちを失うべきではないのです。

 そして、文部科学大臣にお伺いいたしますが、実は蒲郡市でありました、十四歳の少女は。蒲郡市の教育委員会は、この事例 が発生したときに、お集まりをお持ちになって、ではタミフルを飲んだ場合にしばらくは親御さんに注意喚起をした方がいいの ではないかということも御論議であります。

 私は、学校現場で子供の命を守ってほしい。本当にそこしか子供に広く言える場所はないのです。大臣としてぜひ前向きに御 検討いただきたい。いかがですか。

伊吹国務大臣 タミフルの服用とその後の副作用的症状については、これは厚生労働大臣の御答弁にお譲りしなくてはいけな いんですが、例えば、風邪になった場合に塩酸エフェドリンとかこういうものを飲めば非常にもうろうとしてきます、これは先 生よく御承知のとおり。

 ですから、タミフルに起因するかどうかはわかりませんが、これは厚生労働省の判断に任せねばならないんですが、二月二十 八日に我が省としては各教育委員会その他に次のような注意事項を発出しております。

 それは、今月に入り、抗インフルエンザウイルス薬であるいわゆる販売名タミフルを服用したと見られる中学生が、自宅にお いて病気療養中、マンションから転落するという事例が二例報道されているという事実関係をまず述べております。そして、そ の後、児童生徒がインフルエンザにかかった場合に、タミフルだけでなくても、ほかにもいろいろ事故が起こる可能性がありま すから、自宅において療養を行う場合には、容体が急変することもありますので、できるだけ児童が一人にならないように保護 者において配慮されたいということをお願いしてございます。

阿部(知)委員 一歩前進であると思います。しかし、親御さんも、ずっと見ているのは大変なんです。飲んでから二時間か ら六時間が血液の濃度も上がる時間であります。薬は常にもろ刃の剣です。いい面も副作用も持ったものと心得て、その時間を よく監視してくれというのがFDAの基本スタンスです。こういうことを一つ一つ、本当に守るという覚悟において行っていた だきたいと思います。

 さて、時間がないので本題に移らせていただきます。

 私は、きょう、いわゆる労災保険でつくられた労災病院において、実は、せんだって、つい先ごろのことですが、青森の労災 病院で産婦人科が閉鎖されるという報道が流れておりました。大臣も御存じかもしれません。

 そこで、昨日、労災担当の厚生労働省の部署を呼んで伺ったところ、びっくりするようなデータが上ってまいりました。何と、 この五年間で九つの労災病院から産婦人科が消えております。消えようとしておりますと言った方がいいでしょうか。労災病院は、 いろいろ規模を拡大したり縮小したりしながら、終局的には三十にしたいという厚生労働省の見解。そして、二十四の病院は、 もともと産婦人科を持っております。

 柳澤大臣、御存じかどうかわかりませんが、労災病院というのは、大体、地域においては大規模病院です。少なくとも三百床、 多いところは六百床、基幹病院です。こういうところで、わずか五年間で九つも産婦人科が閉鎖されていく。まず、この事態を 御存じであったかどうか。

 そして、先ほど来のお話を伺いますと、集約化、集約化というお話がございますが、では伺いますが、自治体の市民病院でも 産婦人科は閉鎖されていきつつあります。この三月に、幾つでしたか、私が自分で数えただけでも物すごい、市民病院だけでは ありませんが、中核病院の十六個で閉鎖、四月にもまたこれが十一個の閉鎖でございます。どんどんどんどん、このように閉鎖 していく。しかし、その実態を厚生労働省が御存じない。私が初めて聞いて、きのうこの例が出てまいりました。私も、正直言っ てびっくりしました。そんな規模の病院まで閉鎖されていくのであれば、とても地域のお産は守れません。大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 阿部委員が御指摘のとおりの状況になっておりまして、労災病院の産婦人科体制の現状ということですと、九 つが閉鎖をされている。ただ、その中には、本当に、婦人科だけは三つほど残っているということは、これは先生御案内のとお りでございます。私の近くの労災病院というのは浜松労災病院なんですが、そこもやはり同様の状況になっているということで、 これはもう非常に身近な問題として私も認識をしなければならない、このように考えます。

 ただ、これもまた理屈になって恐縮なんですが、労災病院というのは、勤労者の業務上の負傷、疾病について、これが中心で この病院はでき上がりました。ただ、現実にはどうかというと、今委員が御指摘のとおり、地域の重要な機能を担っている、地 域の病院になっているということもございます。

 したがいまして、この点については、やはり、そもそもの元締めである労働者健康福祉機構、それから各労災病院において医 師の確保のためにさまざまな努力を行っておりますので、それに対して我が省としてできるだけの支援をしていきたい、このよ うに考えます。

阿部(知)委員 確かに、出産は労災ではありません。しかし、女性が働くときは、妊娠の合併症も多いのです。大臣、機械 ではないのです。本当に生身の女性が働き、出産をするのです。その視点が厚生労働省にないから、次々とお産の場が奪われて いきます。

 最後に、委員長、お願いがあります。

 私の党の、社民党の保坂展人が、いわゆる最高裁判所の陪審員制度の導入にかかわる広報活動における会計的な不明朗につい てずっと質疑をしてまいりました。特にこの予算委員会の委員長にお願いしたいのは、最高裁判所の裁判員制度広報費を対象に、 国会法百五条に基づく会計検査院への検査要請を行っていただきたいと思います。よろしく御差配お願いします。

金子委員長 委員長として申し上げますが、今の件はできれば質疑を通じてやっていただきたいとお伝えください。  お預かりいたします。

阿部(知)委員 はい、わかりました。質疑時間をもっといただければ。

 ありがとうございました。


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