予算委員会 第5号(平成19年2月8日(金曜日) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
予算案に関し少子化その他について
〔前略〕
○金子委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は、本日の柳澤大臣の発言をめぐる集中論議の前段に、まず安倍内閣総理大臣にお伺いしたいことがございます。
去る二月六日、いわゆる在外被爆者、日本の広島、長崎で被爆をされて、その後海外で暮らすようになられた方、在外被爆者について、日本に住んでおられないからその間の健康管理手当を不支給にするということをめぐりまして、最高裁の判決がございました。
被爆者はどこにいても被爆者。当たり前のことですが、被爆したという事実は消えませんし、そのことがその人個人にもたらした大きな傷もいえるものではありません。この在外被爆者に対して、いわゆる五年の期限を区切って健康管理手当を不支給にしてきた自治体の行為について問題があり、即刻支給せよと、並びに、厚生労働省の七四年通達、国内への居住を支給の要件と認めましたものについても誤りがあるという最高裁判決が下りました。
まず、戦後レジームの転換ということをおっしゃる安倍総理には、あの戦争で深い傷を受け、それは、何度も申しますが個々人が背負っておる傷であり、そのことについて健康管理手当が支給されるべきであったところ、この間の国の行政の誤りによってその権利を行使できなかった皆さんに対して謝罪をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 既に、政府におきましては、今委員が御指摘になったように、二〇〇三年に方針を転換しているわけでありますが、今回の裁判におきまして、地方自治法上の時効に関する法的な解釈が争われていたものであります。また、これは高裁での判断も分かれていたこともあり、広島県において最高裁の判断を仰いだものであります。
今回の最高裁の判断において、これまでの取り扱いが適切ではなかったと指摘されたことを重く受けとめ、在外被爆者の方々の気持ちを十分に踏まえて、手当の支給のための措置を速やかに行わさせていくことによって責任を果たしていきたいと考えております。
○阿部(知)委員 私の質問は、支給の問題以前に謝罪をしていただきたいと。これは、やはり問題が行政的に生じたことについては、内閣総理大臣が内閣の責任においてきちんとした姿勢を示していただくということが大事であります。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、今回の最高裁の判決を重く受けとめまして、時効の問題について争ってきたわけでございますが、この判決を重く受けとめまして、我々も被爆者の方々に対しての気持ちを込めて、一日も早く支給するように実施をしていきたいと考えております。
○阿部(知)委員 ハンセン病においても、小泉前総理はきちんと現実のハンセン病の患者さんに謝罪をなさいました。それくらいは政治家の品性であります。内閣総理大臣ですから、そういう姿勢をやはり各閣僚の皆さんにお示しください。そうでないと、やはり政治家あるいは時のいろいろな政策によって被害を受けたり、実際に権利を行使できなかった国民に対しての姿勢が問われていると私は思います。
引き続いて、柳澤大臣の御発言に移らせていただきます。
安倍政権が誕生した当初、私にとっては柳澤大臣というのは、ある種、最もサプライズ人事でありましたし、また、期待も高い大臣でありました。熱心なお仕事ぶりも、既にいろいろな税制関連のお仕事あるいは金融関係のお仕事で知っておりましたし、その大臣がよもや、よもやです、こんな発言はなさるまいと思ったのが、あの、女は産む機械という発言でありました。
冷や水を浴びせられるという言葉がありますが、本当にぞっとしましたし、もちろん、その後、大臣は不適切であったという、先ほどの安倍内閣総理大臣は、人間を機械に例えるなんてとんでもないというふうにもおっしゃいました。そして、本日の集中審議に至るまで、野党側からは柳澤大臣の辞任要求が出され、私は辞任に値するほどの言葉だと思います。柳澤さんの個々のこれまでの業績や人格は否定するものでありませんが、しかし、この発言の与えた影響の大きさゆえに辞任はしていただきたいと思いますが、そうした辞任要求のさなかにも、柳澤大臣御自身も二週間、針のむしろであったと思います。
そして、昨日、本日のこの審議の中で、あるいはそれまでのメディアとのインタビューの中で次々と出てくる発言、次には機械ではなくて役割という表現が使われましたし、そして、実は最も問題に感じましたのは、昨日の最終バッターである小宮山さんと柳澤大臣のやりとりの中で、合計特殊出生率をめぐるやりとりでございました。
柳澤大臣は、それまで、既に厚生労働委員会においても、合計特殊出生率を、いわゆる数を目安にするものではないのだ、それがある意味で目安となって、逆転することのないようにという言葉を言っておられましたが、また一方、昨日の委員会審議の中では、やはり税を投入している限り、目標設定をせざるを得ないというふうにおっしゃいました。ここでまた、人間と数値の逆転が起こってまいります。
柳澤大臣に冒頭お伺いいたします。
政策の問題であっても、政策とは何かというと、この国の国民が、一人一人が自分の生き方を選び、子を持つことも選び取り、人間らしく生きていくということが目標であります。その一つの中に、時に数値にあらわれるものもございます。しかし、逆に、税が投入されているゆえに数値の目標を持たざるを得ないでしょうと言われましたときには、もとにある人間が消えてしまいかねません。この点について、柳澤大臣にまず真意をお伺いいたします。
○柳澤国務大臣 私の一月二十七日の松江における発言、これは人口推計を御説明させていただく話の中で、女性と人口との関係について、もう本当に今反省しているわけですけれども、不適切きわまりない発言をいたしてしまいまして、女性の方、また国民の皆さんに大変心を傷つけるようなことになりましたことを、心からおわびいたす次第です。まことに申しわけないと思っております。
きのうの小宮山委員との質疑応答というか話の中で、合計特殊出生率を目標としているのか、こういうふうなお尋ねがありましたので、今阿部委員からも御指摘いただいたわけですが、かつて、真偽はわかりませんが、その質疑者が指摘をした、前大臣が一・三九というのを目標にしたらどうかということを言ったという前提で、同じように大臣は考えますかという御質疑がありました。私は、その際、目標というのはよくないと思っておりますということを申し上げて、むしろ目標視するという考え方を明確に私としては否定させていただいたわけでございます。
そうした上でのきのうの質疑応答でございましたので、目標ですかとまた再度聞かれまして、目標とはいたしません、それはかねてからの私の考え方ですと言いながら、それじゃ何なんだ、こういうふうに言われましたので、政策を進めるに当たって結果として出てくる、そうした数値でございますけれども、若い人たちが結婚し、子供を産みたいという希望が現実のものになっていない、そのギャップを埋めようということの政策をやるわけですが、その政策が的を得ているかどうかというようなことも考えていかなきゃいけないので、そういう、考えていくときにやはり念頭に置かせていただくという性質のものではないかということを申し上げたつもりでございます。
ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○阿部(知)委員 出産や人間の生き死ににかかわりますことというのは極めて微妙ですし、どこまで政治がそこに介入できるかということもあるということは、実は柳澤大臣がきのうの答弁の中でも大平内閣時代の家庭基盤の整備ということに対しても言及されておりました。
私は、この審議を通じて、政治と個人、国と個人、極めて個人的な出来事である産む、産まないというような問題に対してこの緊張感を忘れればやはり非常に問題が大きくなるし、逆に、人はもちろん物ではない、機械でもない、数でもないという政策をぜひこれからの厚生労働行政のもとに置いていただきたい。
きのう、枝野議員が、柳澤大臣はずっとマクロのことをやってこられたから、ミクロの人という存在とマクロの経済ということで非常に感覚のずれがおありだったのではないかという指摘もありました。私は、先ほどの例えば児童手当の問題にしても何にしても、人がそこにいて生きていくという現実にどこまで密着できるかが厚生労働行政の根幹と思いますから、この点については私も再度大臣には確認させていただいた上で、しかし、もう一つ明らかにしておかなきゃいけないことがあると思います。
私は、現内閣、安倍政権のもとの内閣が、人間の生き死に、あるいは人はだれも一人だけでは生きられない、すなわち、家族があり、地域があり、社会があり、あるいは国という器もあるでしょう。この中で、今どういうかじを切ろうとしておられるのかということについて、非常に懸念されるものがございます。
実は、柳澤大臣がおっしゃいました大平内閣当時の演説がここにございます。大平内閣当時の認識も、日本人の持つ自立自助の精神、細やかな人間関係、相互援助の仕組みを十分に守りながら、これに適正な公的福祉を加味した公正で活力ある日本型福祉社会を建設する。安倍内閣総理大臣の所信表明演説とも実はそう変わらないものであると思います。
しかしながら、その時々、置かれた家族像がどのようなものであるかによって、必要な施策が行き渡らず、結果的に弱い個人、小さな個人に矛盾がしわ寄せしていくという結果がとられます。私は、その一つのあらわれが、数値でとれば少子化問題だと思います。
皆さんのお手元の資料の三ページ目をおあけいただきたいと思います。これは柳澤厚生労働大臣がもしかして合計特殊出生率で毎日説明を受けられた思いも深いグラフかもしれません。
このグラフを見ておりますと、一九八〇年代に入りましてから、各先進諸国いずれも少子化の経緯をたどっておりますが、特に我が国においては一九八五年あたりから低下の一途で、各先進諸国がそれなりの、ある意味で数値上の回復を見せているにもかかわらず、日本はこの前イタリアを抜いて少子化一位、そして最近では韓国が少子化の、率でいえば一・二〇になりましたから、そのトップランナー争いをしておるわけであります。
家族政策と申しますと、家族政策そのものの重要さは言うまでもありませんが、そこにどんな家族像を持つかということ抜きに私は正しい方針、政策は出てこないんだと思います。現在、安倍内閣総理大臣が考えられる家族のさまざまな形態、どのようなものを念頭にこれから我が国の家族政策を担っていかれますでしょうか。総理にお伺いいたします。
○安倍内閣総理大臣 私は、いわば国の基本というのは、やはり基盤は家族であろう、このように思います。家族の中で子供がはぐくまれ、そして成長していく、お互いに助け合い、そして愛情を注いでいく、そうした家族のきずなを大切にしていく国でありたい、このように思っています。
○阿部(知)委員 私がさらにお伺いしたかったのは、今家族の形態が多様だということであります。ひとり身で、お父さん、お母さんお一人でお育ての方、あるいはいわゆる法的結婚をせずに同棲という形をとられる方、さまざまな家族がいて、それもまた家族であります。ですから、残念ながら、柳澤大臣がおっしゃったように、女性が産む機械で、一人頭二人産んでほしいというような家族像では、現在の我が国のこの時代の家族政策にフィットしてまいりません。みんなそれぞれ生きてきたその歴史に刻まれていますから、自分の家族観があると思います。
昨日、自民党の前少子化担当大臣がおっしゃいましたように、年代の差もございますでしょう。しかし、今この時代に最も必要なことは、多様な家族が家族であれるための政策。それには、母子家庭の支援、単身家庭の支援、あるいは、今世の中的には十組に一組のカップルが事実婚で赤ちゃんが生まれて、その後、法的な結婚をなさるというデータも上がっております。広く現実の若い人たちの思いや生き方の選択に合わせた家族政策が必要となっていると思いますが、柳澤大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 非常に世界的に情報がたくさん行き交って、人間が生きる上での選択肢が広がっているということが背景にあるんだろうと思いますけれども、人それぞれがいろいろな生き方を選択し、そしてその中で自己実現し、また社会的な貢献をしていくという生き方が非常に広がっているということであります。そういう中で、家族として自分が人生の中でどういう選択をするかというような選択も広がっておりまして、そういう意味では、多様な家族像が並列的に今存在している、そういう世界になっているというふうには思います。
そういう多様な家族に対して、必要な政策というものを我々は考えていかなければいけないんだろう、このように考えております。
○阿部(知)委員 そうであれば、先ほど佐々木憲昭さんがお尋ねになりました児童扶養手当等々、本当にお一人のお母さんでも、あるいはお父さんでも育てていけるような仕組みを、社会的サポートが必要なんだと思います。
私は、きょう、皆さんのお手元にお示ししました資料の二枚目に、各国の家族政策というものを引かせていただきました。「家族政策の各国比較」の右の端には、実は、各先進国が迷いながら、戸惑いながら、例えばイギリスのように、伝統的な家族政策は家族のあり方に基本的に不介入であったが、ブレア政権は、貧困がサッチャー改革の結果進み、その貧困に対しても、家庭の貧困に手当てするということを通じて、保育、経済支援の充実へと向かったこと。あるいは、フランスでは、既に一九八二年、全国家族会議というものが開かれて、これは企業も含めて、家族という生活単位を支援するためのさまざまな取り組みがなされています。
一方の、我が国の大平内閣当時は、むしろ逆に、いわゆる終身雇用型の男性とその妻に対しての家族観から家庭基盤整備が行われました。例えば、介護をする嫁の表彰、配偶者特別控除、いずれもその時々の社会を見たものであると思いますが、逆に、見方を誤れば十分な家族政策はしくことができません。
安倍内閣総理大臣に伺います。一九九四年、国際家族年ということが国連で提案されましたが、その内容等々は御存じでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 突然の御質問でございますので、今、私はお答えをする資料を持っておりません。
○阿部(知)委員 安倍総理のお話は、いつも、家族は国のために大切だと逆さに逆転してまいります。この国際家族年での一番の中心は、家族は最小限の民主主義の単位であるということから発足してございます。
私は実は小児科医で、今、子供は親といる時間を奪われ、親は子供といる時間を奪われて、本当に、不安と不安定の中に社会が推移しているように思います。内閣総理大臣として、安倍首相がこのたびの政策の中で家族ということにもっと温かな支援をと思われるのであれば、国際動向を見きわめて、そして今何が必要か、家族の中で何が苦しいことなのか、そういう声を聞く。上から下ではなくて、下から上に向けて地域や人間の生活単位をつくっていくということをやっていただきたいと思います。
この一九九四年の国際家族年の取り組みは、本当にさまざまな世界各国で、今現状で進んでおるものでございますので、日本の視野も広く国際的にお持ちいただきたいと私は思います。逆に、そういうものがないと、例えば子供を産む数あるいは女の役割、産む機械という形の、いわば国家やその時々の価値観が個人に強制されていくという逆さの向きにすごく進むことが懸念されます。そのことを私は多くの国民が感じ取り、もっと多様な生き方、そして今の家族のあり方、私たちはどう生きたいのか、子供たちはどう育てられるべきかという答えが出されてしかるべき年に二十一世紀はなっていると思います。
総理が御存じなければ、ぜひ、国際家族年のこの取り組みということは、もう一度念頭に置いていただきたいと思います。
さて、次の質問に移らせていただきますが、きょう皆様にお示しした資料の一枚目は、派遣労働の女性の年齢分布というものが示してございます。
この少子化問題の論議の中で、いわば最も手だてが遅く、後回しになってきたのは、産んで以降の政策ではなくて産むまでの政策であります。幾ら女は一人頭二人とか割り当てをいただきましても、なかなか産むに産めないじゃないのという声も各委員からの御指摘がありました。また、産むことはもちろん女性だけでは、産むという作業はできますが、子供をなすということは、これはクローン技術でも用いない限り、なかなかやはり、男性と女性で産み、お互いにいろいろな役割をして子供を支えていくわけであります。
この間の論議の中で、私は一番実相を見ていないのは、一九八五年、男女雇用均等法が制定され、翌年から施行。と同時に労働者派遣法が制定され、翌年から施行。スタートが一緒でございました。二十年たって女性たちは働きやすくなったか、産みやすくなったか、産むことを選び取れるようになったかというと、到底そういう状況から遠い、これが現実の日本であります。
柳澤大臣に伺います。この「派遣労働者の年齢分布」というものをごらんになって、まず大臣の感想をお伺いいたします。
○柳澤国務大臣 これは非常にグラフとしてはわかりやすいグラフであるわけですが、これに対する感想いかん、こういうことでございます。 大体において、派遣労働者につきましては、これは男女を通じての話ですけれども、消極的な理由もありますけれども、同時に積極的な理由もあるというふうに私ども考えております。積極的理由のうち、一番高い率を示しておりますのは、専門的な資格、技能が生かせるからということがございます。それからもう一つは、次に高いのは、次の次ですが、ほぼ二位に位置しているのは、自分の都合のよい時間に働けるからというのが次の積極的な理由として我々つかんでいるわけでございます。
今ちょっと、この男女を通じての数字以外に女性だけ、男性だけの同様の統計データはないかということを聞いたんですが、ちょっと間に合いませんでしたので、ここから以降は推測的なことになりますが、やはり専門的な資格、技能が生かせるからというようなことが積極的な理由としてあるとすると、むしろこれは、女性の方にそういう背景がある場合が多いのではないか。あるいは、自分の都合のよい時間に働けるからも女性の方に多いかもしれない。特に第一のところはそういったことがあって、今このような派遣労働者の中の女性の年齢分布にあらわれているのではないかというふうに感想を持った次第でございます。
○阿部(知)委員 大臣、やはり厚生労働大臣になられたわけですから。私は、この図から、もちろん派遣という働き方もあり得るということは、今大臣がおっしゃったように専門技術を生かすとか、ございます。でも、大臣に感じていただきたいのは、では果たして、この二十五歳から三十四歳の女性たち、本当に派遣という働き方の中で産むことを選び取っていけるかどうかなんですね。
このたびの政府の労働法制のさまざまな関連する法案の中でも、期間を限定された有期雇用の問題はほとんど触れられておりません。期間が限定されるということは、例えば、妊娠したらその派遣という働き方が続けられるのかどうか、非常に多くの若い女性が悩んでいます。これは男性を平均に入れてならすと、こうした特徴的なカーブは描きません。しかし、専門職として二十歳代、三十歳代の男性も決して少なくはございませんが、こうした特徴的なカーブは出てまいりません。
大臣は産む役割とかいうことでおっしゃいますが、大事なのは、産めるような選択ができるような働き方になっているかどうかなんです。であれば、派遣という形態が現実に女性たちにとってどのように産むことが選び取りやすいか、有期という期限を限られた形態が影響をどう与えているのか、そういうことをもっときちんと精査していただかなくてはならないと思います。
おまけに、大臣、御存じと思いますが、今、個人請負という形がございます。これは、雇用契約を結ぶものではなくて、自分が仕事を請け負って、例えば雑誌の編集者あるいはディズニーランドで踊っている人たち、女性たち、彼女らもみんな個人で請け負って仕事をやります。労働基準法も適用されません。最低賃金の枠もありません。本当に働き方がばらばら、多様になったがために、産むこと、選ぶことが、実は男性も女性も非常に厳しくなっています。
その中で、昨日の審議の中で柳澤大臣は、少し去年が上がったから、その数値が少し上がったから。それはいいことだとは思います。でも、そこで安心していただいては困ります。特に、九〇年代後半からの働き方のノールールが今いかに若い人たちが産むことを選びづらくしているか、男性も女性も同じであります。
大臣にここで質問があります。
派遣労働という形態の中で女性が産むことを選びやすく、選び取りやすくなっているかどうか、実態についてつまびらかに調査をなさり、必要があればしかるべく対策をする。あるいはまた、派遣法はどんどん拡大してまいりました。製造分野にも拡大しております。昨日の審議の中でも、御手洗さんの御発言を引いて、この派遣の問題をどう業界側も考え直すかということをおっしゃっているやに伺いました。私は、日本の社会にとっても、ある意味で、期間があり、特に若い女性たちがここに中心的にいる働き方について、日本の少子高齢化を担う大臣がきちんとした現状把握をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 派遣につきましても、消極的に、正社員として働ける会社がなかったからという方々が、これは男女を通じてですけれども、多いということも事実でございまして、これに対しては、私どもは今度、パート労働法等でも、これをできるだけ正社員化するという方向で、方向づけていくという法律改正を考えているということでございます。
それから、有期労働の方々についても、私どもは、契約法という法律を新たに創設しまして、できるだけ労働者の保護の方向で考えて法律改正をいたしたい、そういうことで今準備をしているということを申し上げさせていただきます。
○阿部(知)委員 ちょっと論点はずれてございますが、私がお願いしたのは、やはり派遣という働き方の中で、女性がなかなか産むことを選べないということをもっと認識していただきたい。
ちなみに、私のお出ししました資料の次のページには、長時間労働の女性ほど子供を持つことができない、少ないという資料がページの四枚目、これは厚生労働省の資料でございますから、有配偶者、これは女性正社員、正規のうちでもそうでございます。労働時間の問題も、賃金の問題も、働き方の問題も、まさに、例えば今まで手つかずの、本当の意味の手のついていない部分だと思います。大改革が必要なんだと思います。
あともう一つ、喫緊の課題で、産む場の確保、お産をする場所の確保ということについて御質問をいたします。
昨日の審議の中でも、これも枝野委員がお取り上げでございますが、今、お産難民という言葉が生まれて、女性たちがどこでお産をしたらいいのか、その場所がないという声が上がっております。
きのうの大臣の御答弁であれば、医師の数は、産婦人科医は減ってきたけれども、一人の医師があずかる出産の数はそうそう変わっていないという認識でありました。私は、ここでまた数値と人間が逆転していると思うんです。女性たちは自分の生活圏の中で産みたいわけです。少子化してまいりますと、確かに数では一人の医師が扱うお産の数は一緒でも、エリアが広くなってまいります。場所が広がってまいります。自分の近隣には産む場所がない、これが今のお産難民であります。これを幾ら集約化しても、ますます生活基盤からは遠くなる。すなわち、家族政策からは遠くなるわけであります。そうであれば、大規模な、私は根本的な発想の転換が必要だと思います。
例えば、カナダでは、助産師さんたちの活用を国の政策の中で大きく位置づけました。日本にも助産師法がございますが、昨日の枝野委員との審議を聞いておりますと、なかなか、本当に国が、地域で、その場で、自分の生活圏でお産をできるということに対しての手だてが、私は根本発想が転換されていないと思います。
例えば、潜在助産師さんを、あるいは現状で看護師さんを夜の学校で教育して、申しわけないけれども、短時間の、本当に、非常に、看護師さんたちは日中の厳しい看護ということを、働いて、その後夜また学校へ行って、本当にそういう形で、看護師さん自身が体を壊すかもしれません。そんなに安直にできないんだと思います。
国が助産師さんの養成ということに、例えば、もっと養成所に社会人枠をふやすなり、枠をふやすなり、補助を出すなり、私は医師会がやられることに、それは前向きなことですから、しかし、その中で、本当に、日中看護師さんをやって、夜また勉強して、人の体は機械ではありません、二十四時間働きづめはできません。そんなに簡便にいい助産師さんたちの教育ができるとは思いません。
安倍総理に伺います。突然で済みません。
産む場所の確保。実は、助産師さんというのは、単に産む、産まないという作業だけではなくて、家族サポートという大きな意味を持っています。国の政策の中で、今、産婦人科医ももちろん足りません、これはこれで手だてしなければいけません。でも、もっと助産師さんの活躍の場と育成に国として力を入れるべきではありませんか。お願いします。
○柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、先ほど阿部委員が、私の昨日の枝野委員に対する答弁で、あなたはこういう趣旨のことを言ったではないかというお話がありましたが、私は、女性の身近に、助産院というのは最近は少なくなりましたがいらっしゃる、それから診療所もあるということを否定してはおりません。これはむしろ充実させなきゃいけないということをしょっちゅう指示しております。
ただし、非常に難しい状況になった妊婦さんの手当てというものは、やはり集約化して、高度な技術を持ち合って、複数のお医者さんがいるような、そういう中核的な拠点の病院をつくる必要があって、それとの間で、それぞれ、妊婦さんの近回りにいらっしゃる助産院を含めて、あるいは診療所との間できっちりしたネットワークをつくっていくということを我々は政策として考えておりますということを申し上げましたので、大変恐縮ですが、一言だけ申し上げさせていただきました。
○安倍内閣総理大臣 きのうも答弁をさせていただいたわけでありますが、助産師の数が不足をしている、我々はそれは大変重大な問題であるというふうに認識をしております。
であるからこそ、潜在助産師の方々を活用する、そしてまた、あるいは、助産師を養成する学校に対しての補助をしていく、たしか四十人規模で八校を新たに助成して拡充していくという計画がある、このように思っております。現在は九三%、約九四%が、厚労省のあれですと、いわゆる需給見通しということになっておりますが、これを、見通しでは、平成二十二年に九七%になっていくということであります。
さらに、今申し上げましたようなことを拡充しながら、しかし、これは全体の数ですから、であれば、なかなかそういう方々がおられない僻地とか地方というところにも、地域的な、まさにミクロに目配りをしながら、連携を図るなり、そういうところに果たして人員が配置されているかどうか、助産師さんがいるかどうかということも十分に配慮をしながら、この充実に努めていきたいと思っております。
○阿部(知)委員 一言だけ、厚労省の需給見通しは非常に現実を反映しておりませんので、そのことだけ申し添えて、終わらせていただきます。
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