予算委員会 第7号(平成19年2月13日(火曜日) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

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〔前略〕

金子委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 二十一世紀に入り、七度目の春がめぐってまいりました。今多くの国民にとって、しかし、この春は、不安と不穏と、そして希望をどこに見出していいのか、なかなか見えない春のようにも思います。

 実は、私どもを取り囲みます環境は、国の内外を問わず、一つには地球の温暖化という、この地球自身が持続可能なのかどうかという問題、あるいは広がる戦争の影、特に核は、核廃絶に向かうべきところ、あちらこちらで核の拡散が生じております。また、きょうの質疑の中でもいろいろな方が取り上げられましたが、グローバル化経済のもとで、世界のあらゆるところで格差が広がり、むしろ新たな貧困が出現しております。

 こうした中にあって、先日伺いました安倍総理の施政方針演説は、残念ながら、小粒で内向きで、希望の見えないものでありました。

 私は、本日は、まず基本的な施策について主に安倍総理に三点、そして関連する具体的な施策につきまして三点、他の国務大臣にお伺いしたいと思います。

 冒頭、通告外のことでございますが、せんだってフランスで行われました政府間の地球温暖化をめぐるさまざまな会議、今、私どもの住む地球は非常に温暖化を早めております。我が国の都市の名を冠した京都議定書は、その提唱国、取りまとめ国である我が国すら、既に目標達成にはるかに及ばず、そして地球はどんどん熱していっております。

 総理が所信表明演説の中でお取り上げになった地球温暖化への対策は、しかし、たった六行、紙に直してです。そして、特に私が不思議に思いますのは、「京都議定書目標達成計画に基づき、」云々と書いてございますが、もうすぐこの見直しが迫ってございます。二〇〇八年でございます。

 それからまた、二十一世紀環境立国戦略ということを述べておられますが、これは、我が国がどのように立国していくかということにとどまっており、今我が国が世界の温暖化に対して発揮すべきリーダーシップが見えてまいりません。

 総理に伺います。本当に今、世界に向けて日本が発信すべき環境問題は何であるのか、どのようなプロセスを、どのような取り組みを総理はお考えか、お願いします。

    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 私が施政方針演説で述べました二十一世紀環境立国戦略、これは今委員がおっしゃった我が国だけの中で終わってしまうようなものでは全くなくて、むしろ逆なんですね。全く逆だということを申し上げておきたいと思います。

 まずは、京都議定書の目標達成のために、私たちは全力を尽くしていきます。何とか私たちに課せられたこの義務を果たしていきたい。何といっても京都という名前がついている以上、私たちには大きな責任があるし、子供たち、孫たちの世代のためにその目標は必ず達成したいと考えています。

 そして、それと同時に、ポスト京都議定書の枠組みについても、枠組みづくりにおいてこそ、まさに日本も大きな役割を果たしていきたい、リーダーシップを果たしていきたい、それこそがこの二十一世紀の環境立国戦略である、こう申し上げてもいいと思います。

 先般、ヨーロッパに出張をいたしました際にも、ブレア首相あるいはメルケル首相とも話をしました。今度のドイツのサミットにおいても、環境問題、地球温暖化が大きなテーマになるわけであります。来年は日本がホスト国になるわけでありますが、その際にも当然大きなテーマになる。そのことは、ドイツ、日本、お互い連携をとって、その連携の中でさらにこの温暖化対策が進んでいくように努力をしていこう。そして、ポスト京都議定書については、これはアメリカとか中国とか大きな排出国が入っていません。途上国の問題もある。そういう国々を枠組みの中に入れていくための仕組みを、日本もこれはまさにリーダーシップを発揮して役割を果たしてまいりたいと考えています。

阿部(知)委員 非常に抽象的で、やはり国内の政策一つとっても、みずから見返していないと思うんですね。本当に京都議定書の目標は達成できるでしょうか。あるいはまた、炭素税などの取り組みも、環境省の方ではこの数年、いろいろ形を変えて税制の改革の中で提案されておりました。しかし、政府として前向きに検討された気配がなかなかございません。あるいは排出権の取引をどうするか。いずれも今総理がおっしゃったのは気構え。でも、具体的には進んでいない。そして、地球はもう待ってくれない。

 私は、きょう、このことは通告外のことですし、また時間制約がございますので、今の総理の御答弁は、一応心意気としては伺いましょう。しかし、具体的にお進めいただかねば、本当に大事な私たちの地球がもう悲鳴を上げています。これが国際政治の合意事項であります。日本は、ぜひその意味でも、世界の中で……(発言する者あり)後ろがおっしゃるように、アメリカも中国も、大国が乗ってきていないのです。だからこそ大変なのです。だからこそ日本が頑張らねばならないのです。いろいろな方策と枠組みを新たに提案していけるだけの実績、まず国内目標の達成、何度も申しますが、はるかに及んでおりません。総理はそのことを御存じであろうかと思います。具体的な数値目標、少子化ではありませんから、挙げていただいて結構ですから、きちんとやっていただきたいと思います。

 二点目。これは、先ほど民主党の岡田委員がお取り上げでありましたが、今、核の問題をめぐっては、むしろ核拡散の恐怖が、私どもの身の回り、すぐ近くをとれば北朝鮮問題、あるいは中東の問題もしかりでございます。イランもそうでしょう。そして、インド、パキスタンというこれから核大国になってくるやもしれない、南アジアにまたもう一つ核大国ができるかもしれないぎりぎりのところに、瀬戸際に立ってございます。中身の論議は、先ほどの岡田委員とのやりとりで重なりますので。

 私は、あれを聞いても、総理には核廃絶のリーダーシップをどうとっていくのかの見識がうかがえません。なぜならば、四十五カ国が、この核のいわゆる材料となるものの取引をめぐって、やはり野方図になってはいけないと、核提供国グループと申しますが。その中で、今度アメリカとインドが約束した、民生用なら核の、特にプルトニウム等々の生産もいいであろうということ。しかし、民生用と軍事用は、分け隔てが実はなかなかできません。民生用が外から材料が入ってきたら、インドの国内の材料は軍事用に行きます。日本は、この四十五カ国の枠組みの中で、それこそ戦争による唯一の被爆国であります。であるならば、周りの皆さんともいろいろ御相談申し上げてではなくて、ここは、我が国がリーダーシップをとる。インドは核拡散防止条約も締結しておられません。辛うじて民生分野だけIAEAの査察を受け入れたとして、今言ったような問題がございます。

 さて、総理はどうなさるおつもりか、もう一度明言していただきたい。ここは世界の核廃絶に非常に重要な岐路に立っております。さっきの御答弁では到底納得もできませんし、リーダーシップも見えません。お願いします。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁で申し上げましたように、日本は、核の不拡散、また核不拡散体制の維持強化に力を注いできたのも事実であります。また、国連の場において核軍縮の決議を、日本がリーダーシップをとって採択をずっと毎年行ってきているわけでございます。そして、非核三原則を堅持しているということでございます。

 インドについては、先ほど申し上げましたように、日本と同じ、共通の価値を持つ国であって、自由や民主主義、基本的な人権や法律の支配、そういう価値観を共有しているわけであります。日本とあわせてアジアの二大民主主義国家と言ってもいいのではないか。このような観点を踏まえまして、昨年の十二月に訪日をされましたシン首相との間で、日印戦略的グローバルパートナーシップ構築に向けて、政治、安全保障、経済、人の交流等、幅広い分野で協力していくことで合意をしたわけでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げました日本の立場、またインドは、今委員が御指摘になったように、NPTにも加盟をしていないわけでございます。他方、しかし、先ほど先生が例として挙げられた北朝鮮とイランとはやはり違うというふうに申し上げたいと思いますが、核の不拡散に北朝鮮やイランと違って明確にインドはコミットしているということも、これは申し上げておかなければならない、このように思います。しかしながら、インドへの原子力協力については、国際的な核軍縮、核不拡散体制への影響等を注意深く検討していく必要がある、考慮をしていく必要がある、こう考えています。

 インドのシン首相は、昨年の十二月に我が国の国会で演説を行いました。その際、普遍的核軍縮に対するインドのコミットメントは不変である旨述べているわけでありまして、同国と軍縮、不拡散分野においても可能な協力は進めていきたい、こう考えています。そして、今後、先ほど申し上げましたように、この問題については国際的な場で日本も発言をしていきたい、協議をしていきたいと考えております。

阿部(知)委員 総理、今おっしゃっていることは、今世界じゅうで既に、カットオフ条約というのは御存じですよね、日本語で言うと核分裂性物質生産禁止。既に核を持っている五大国はカットオフ条約をきちんと枠組みとして守っているんですね。でも、今度のインドの場合に、何度も申しますが、民生用と軍事用を分けて、しかし民生用の材料は輸入してもらう、自国のものは軍事用に使うとなっていく可能性が否定できないんですね。カットオフ条約も、これで核分裂性物質を、とりあえず生産を禁止しようという今の五大国の枠組みすら壊れるんですよ。そんな認識で、本当に総理、核廃絶と言えるでしょうか。私は、余りにも情けない、その態度は。  そして、麻生外務大臣に伺います。

 今、安倍総理は、いわゆる価値観を共有しておるから、これからインドとの、いわゆる今後の、麻生大臣の所信表明にもありましたね、自由と繁栄の弧だ、インドやニュージーランドあるいはオーストラリア、そうした国々との自由と繁栄の弧、価値観を同一にすると。それは、自由主義あるいは市場主義、そういうことが同一であると同時に、もっと根本的な価値観として核廃絶というものがなければ、今、地球も消滅、人類も消滅、こういう危機的な時代なんですよ。

 麻生外務大臣に伺います。

 インドのこの核の問題、また、大臣の所信表明演説の中で、なぜこの自由と繁栄の弧の中に核の問題が触れられないのか。私ども社民党は、例えば東アジアにおける非核共同体というふうな表現を用いて、常に核の問題と外交の問題と平和構築の問題を、それは理想形であれ、言い続けることによって、世界の常識にしていきたいということで進んでおります。

 麻生大臣に伺います。

 このたびのインドとアメリカの間に行われた、アメリカの国内法の改正も踏まえた上で、果たして、これからインドが核大国にならないための歯どめ、あるいは我が国は、四十五カ国の核提供国グループ、原子力のグループの中でどんな対応をみずから率先して歩んでいくべきか、御意見があればお願いいたします。

    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 最初に、自由と繁栄の弧の中に、オーストラリアとかニュージーランドとかいうような名前よりは、むしろカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムというところからスタートしたと思いますので、オーストラリアとかニュージーランドとかいう名前をあのときあえて挙げておりませんし、韓国も同様に挙げていないと思っております。なぜなら、これらの国は既に自由と繁栄をしている国だからだと思っているからであります。

 ちょっとそこのところは私の記憶が違っているかもしれませんけれども、それが基本的に私どもの考え方でありまして、ユーラシア大陸の周辺国家の中にあって、今から自由とかそういった基本的人権とかいうものをきちんと確立していこうとして、この十年、十五年、今やっとスタートしたようなところを我々は支援をしていくというのを基本的なコンセプトとして自由と繁栄の弧というのを申し上げておりますので、今言われましたニュージーランド、オーストラリアという名前は多分入っていなかったと記憶をいたします。

 インドのお話があっておりましたけれども、インドのことにつきましては、先ほども安倍総理の方からお話があっておったのが基本だと存じます。インドというところは、先ほど阿部先生の言われた環境の問題の点からいきますと、この国にうまく原子力発電等々を使っていってもらうということ、環境問題等々を考えますと非常に大きな関係があるということは、もうよく御存じのとおりだと存じます。

 したがって、ここは民生用できちんとしたものをやっていく。例えば日本がその例かもしれませんけれども、日本も原子力の平和利用というものに関して、IAEA等々、最も信頼の高い国の一つだと存じます。そういった国として、インドという国も同様に、いろいろな意味でこれから日本と一緒に経済的な繁栄をやっていってもらうことの期待できる国、可能性の極めて高い国だと思っております。

 ただ、それは、急に発展をいたしますとどうなるかというのは、もう過去に例のあるとおりであって、環境問題等々は、あそこの十億、十一億の民というのは極めて影響が大きいと思っております。

 したがって、NPTに加入しておりませんインドのことでありますので、その点に関しましては、いわゆるIAEAとインドとの間の協定とかいうのがいろいろよく言われるところでありますが、保障措置の協定とかいろいろなものが今言われているところでありまして、今後とも、この内容をどうやっていくかというのは、これは日本一国でできるわけではありません、いろいろな意味で協力していかなきゃ話にならぬ、基本的にそう思っております。

阿部(知)委員 これも麻生大臣の所信表明をもう一度文書で確認せねばなりませんが、たしかあのとき、豪州という形でオーストラリアは入っていたと思います。

 それから、なぜ私がこの質問をしたかというと、今大臣もおっしゃいましたが、インドや豪州という日本にとって非常にある種遠い国、ここと、逆に、価値等々を共有している、一応市場経済を共有する韓国等々、そのこちら側ばかりがなぜ入って、韓国等々のことが言及がないんだろうと素朴に思いました。そして、大臣の所信では、アメリカ、そしてこの豪州、そして、たしかインドでございました。

 いずれにしろ、私ども、外交の骨格の基本精神に、やはり核の問題はきっちり置いていただきたい、それが日本が世界にできる大きな役割であると私は思います。

 大臣と総理にもお願いがありますが、インドの例えば原子力政策、これから地球環境の問題で、何とか共存可能なことで取り上げていかねばならないとしたら、やはり核拡散防止条約と包括的核実験禁止条約にきちんと入って守って、世界の枠組みを壊さない、そういう方向に事を進めていただくべきです。この原則が吹っ飛んでしまっては、さっき申しましたカットオフ条約すら逸脱するような、核兵器になり得る物質がためられていくのです。

 この二点については、私は、本当に日本の国の将来や世界を過つと思いますので、よろしくお取り組みいただきたいが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 委員のおっしゃるように、すべての国がNPTあるいはCTBTに加盟する、これは理想の姿であろう、そして核を廃絶する、これは我々の究極の目的であろう、このように思います。しかし、その中でインドという存在をどう考えるかということで、私も大臣も答弁したわけでございます。

 十一億の民がいて、さらに人口がふえていく中において、最初に委員が御指摘になったように、温暖化を防がなければいけないという中においては、原子力発電をどう考えるかということも我々は真剣に考慮もしなければならない。もちろん、インドに対しても我々もいろいろな観点からいろいろな意見を申し上げているということは申し上げるまでもない、このように思うわけでありますが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、インドについては、いろいろな観点から考慮をしていきたい、国際的な場で議論をしていきたい、こう考えている次第であります。

 あと、カットオフ条約については、まだ交渉が始まっていないという状況でございます。

阿部(知)委員 今はちょっと御答弁になっていませんが、私は、原子力政策云々をおいたとしてもと申しました。やはり、核拡散防止条約、包括的核実験禁止条約、カットオフ条約は、きちんと守られねばならないのです。そこの原則を政府は持っていただきたいと重ねて申し上げます。

 さて、今、私は、環境の問題、核と戦争の影の問題、そしてもう一点、世界がグローバル化したことによって、日本の国内での格差の問題もありますし、世界じゅう至るところで実は貧困が拡大していると思います。それがまた世界を不穏にし、テロなどの温床になっているということも、恐らくここにいる皆さんは共通認識だと思います。

 そして、時間の関係で、本日は申しわけございませんが、国内の問題で私は一つ総理にお伺いしたいです。

 先ほど来、総理は、イザナミ景気、特にイザナギ景気を超える好景気であると。そして、これからは、その果実が庶民に、国民に行き渡るように政策をしたいと思っていられるんだと思います。

 では、そもそも伺います。

 先ほど、どなたでしたか、委員のお一人がお示しになりました。イザナギ景気のころ個人の所得は上がっていったのに、今回は個人の所得も下がっている、消費も低迷しているという状況です。なぜ私たちの暮らしは楽にならないんでしょうか、何が目詰まりしているんでしょうか、何がいけないんでしょうか、いつ楽になるんでしょうか。教えてください。

安倍内閣総理大臣 最初に私が答弁いたしまして、詳しくは担当大臣から答弁をいたします。

 再々この委員会でも議論があったわけでございますが、今回の景気回復は、いわば企業部門を強化する、三つの過剰を解消しながら景気が回復をしてきたわけでございます。そして、いわばデフレ下の景気回復と言ってもいいかもしれません。その中で、残念ながら、家計部門にまだ景気の回復の波及がない、大変弱いということではないかと思います。

 しかし一方、雇用については大変明るい兆しも見えてきたわけでありまして、有効求人倍率も、〇・五だったものが一を超えてまいりました。失業率も、かつては五・五%ぐらいまで上がってきたものが四%ちょっとになってきた。そして、大卒や高卒の方々の就職内定率もよくなってきた。そして、初任給を上げようかと考える企業もだんだん出てきているわけでございます。そういう意味におきましては、この息の長い景気回復によって、やっと雇用や給与にも反映されつつある、こう考えているわけであります。

 その中で、私たちは、さらに、新成長戦略を進めながら労働法制を変える、あるいはまた、先ほど労働法制の中で最低賃金についても申し上げました、パート労働法についても申し上げたわけでありますが、そうしたことをしっかりと行いながら、働く人たちが働くことに生きがいや誇りを見出せるように政策を実行してまいりたいと思います。

 大田さんから。

阿部(知)委員 申しわけありません。大田大臣には、時間の関係で、また後ほどゆっくりと伺いたいと思います。

 なぜ、企業が利益を上げる中で、まあ空前と言ってもいいかもしれません、一人一人の生活は楽にはならないのか。

 私は、この年明け、地元で、いわゆる飲食店街の皆さんの新年会に出席いたしました。何せ、売り上げが本当にこの十年のうちでも最低なんだと。普通にお食事をするような、ちょっとしたサラリーマンの皆さんが寄る、あるいは私たちが会合に使うような普通の飲食のお店です。その、最低なのよ、売り上げがという言葉の中に、私は本当に実態と実感があるんだと思います。ちょっとのお金の余裕がありません。そして、もちろん、先ほど来志位委員がお取り上げになりました子供の貧困化、あるいは生活保護以下の家庭でお暮らしの家庭もふえてまいりました。

 今、総理は、このことを解決していくのに二つの政策をお挙げになりました。今、政府のお取り組みで、最低賃金を、抜本的、画期的ではないけれども少し上げようということと、働き方も、やはり、一千七百万人非正規雇用、これはだれが考えたって不安定だし困るよねと。もう、そうです、そのとおりです。ただ、そのどの程度が対策されるかは、ちょっとさっきの柳澤大臣の四、五%も私はまた別途論議したいと思いますが、もう一つ、総理もお気づきでしょうが、税制の問題がございます。働き方、最低賃金プラス税制が、私は、三つ絡まって今の庶民の暮らしを苦しくしたんだと思います。

 せんだっての少子化問題のときの質疑で共産党の佐々木委員がお取り上げになりましたが、二〇〇四年から二〇〇七年のいわゆる庶民増税と言われている所得税や住民税の増税で、約四兆五千億という数値を挙げられました。一方、実は、橋本内閣が終わってからと言わせていただきますと、この十年余りで企業に対して行われた減税のトータルは、何とほぼ同一の四兆五千億です。庶民増税と企業減税がそっくりバーターされてしまうような形、これではいかに何でも、庶民の暮らしは、民のかまどはにぎわわないと思います。尾身大臣、いかがですか。

尾身国務大臣 企業減税について、これをやり過ぎだというようなお話がございました。

 これはどういうことかといいますと、経済の活動が国際化した、したがいまして、日本関係の企業といえども、あるいは外国の企業といえども、どこにその生産活動の拠点、経済活動の拠点を移すかということは、その企業の観点からどこがいいかということを中心として決定する。つまり、企業が国を選ぶ時代になりました。そういう時代になったときに、この日本という国が企業活動の拠点として選ばれるような状況になっていかなければならない。その点、日本の税制が本当にそういう状況になっているかというと、いろいろな問題がございます。

 法人税の実効税率は、実は、アメリカ、ドイツと並んで日本が一番世界的に高い水準でございます。そういう中で、十九年度については、減価償却のやり方について、ほかの国が全部一〇〇%まで認めていたものを日本だけが九五%しか認めていないというハンディキャップを直す、つまり、イコールフッティングにするという改正を一つ行いました。

 そういう意味で、これは大企業だけではなしに中小企業にも適用したわけでございますが、そういうことによってイコールフッティングに一歩近づいたというふうに考えております。

阿部(知)委員 質問したことに答えていただきたいと思います。

 企業減税、トータルで、九八年からことし、二〇〇六年末まででもいいですよ、四兆五千億なんです。中には、いろいろなものがあります。もちろん、平成十年度にはいわゆる法人の税率が下がってまいっております。三七・五から三四・五、さらに翌年、現在の三〇%。そのほかにも、いわゆる連結決算になさいましたよね。それから、例えば銀行などは、今、真っ黒々でも法人税を払わなくていいことのもとには、欠損金の繰越期間の延長とかもありました。とにかく、繰り返し繰り返し企業に対して行われた減税の総額が四兆五千億です。

 そして、何度も申します、これはせんだって佐々木委員がお示しでしたので。庶民増税は、いわゆる恒久的減税と言われた定率減税の廃止や配偶者特別控除の廃止で、住民税と所得税と合わせて、ちょっきり、本当に四兆五千億内外なんです。このバーターは、この取っかえっこはひどいんじゃないのと。

 そこで、企業がよくならないからということを常におっしゃいますが、一方で企業を支える人をこれだけ痛めつけたら、いわゆる橋本内閣のときの九兆円の増税が、その後、失敗だったからこそ恒久的減税が小渕内閣のもとにとられたんじゃないですか。冷え込ませて立ち上がれなくしてしまう、そういうことを税制の中でもしてきたんじゃないですかという御指摘です、私の言いたいのは。

 そして、大臣には見ていただきたいものがあります。お手元の三枚資料では、一番最後のページになるかと思います。テレビをごらんの皆さんには、簡略なグラフに示してまいりました。

 これは、九八年、橋本内閣の終わるときと思っていただいていいです。それから、九九年の恒久的減税の定率減税。それからどんどん来て、七年度の今日です。私は、恒久的減税を、恒久的にでなく、やめてしまったことも本当に問題だと思いますが、それ以外にもこのグラフにはもう一つの特徴があります。恐縮です、尾身大臣、何だと思われますか。

尾身国務大臣 年収五百万円の個人が、一九九八年のときよりも、現在ただいまが増税になったということをおっしゃりたいんだと思います。よろしいですか。(阿部(知)委員「そうです」と呼ぶ)これは、そのとおりでございます。

 なぜそのとおりかというと、一九九八年には、年収五百万円の夫婦子供二人で専業主婦家庭は十七万円の税収でございました。しかし、一九九六年に共稼ぎ家庭といわゆる専業主婦の家庭の数の比率が逆転をいたしまして、専業主婦の家庭だけに適用していた配偶者特別控除というのは、共稼ぎ家庭と専業主婦家庭の間の負担の均衡を崩すものであるということで、これを廃止いたしました。

 したがいまして、その結果、先ほどのように十九万五千円。これは、よく御存じのとおり、定率減税のことを、これは定率減税が始まる前からの話と終わった後の話でございますので、除いて考えまして、今のような結果になっているわけでございます。

 ただ、私どもは、その場合、そういうことになっているのでありますが、それでは国際的に見てどうかといいますと、日本の十九万五千円は、同じ五百万の所得の人に対して、アメリカでは二十四万円、イギリス四十五万円、フランス四十二万円ということになっておりまして、ほかの国よりも税金は低い。

 そして、ただドイツだけが、給与、年収五百万円の夫婦子供二人のいわゆる専業主婦家庭は、税率ゼロになっております。ドイツの場合には、いわゆる子供に対する減税が非常に多くありまして、その結果としてゼロになっている。したがいまして、ドイツの場合においても、夫婦だけの世帯の場合には日本よりも税が高い、こういうことになっておりまして、所得課税は、ほかの国と比べて日本は全体として低いという数字になっております。

 ちなみに、国民所得に占める税の負担の割合で見ますと、個人所得課税では、日本が八%であるのに対して、アメリカ一一%、イギリス一三%、ドイツ一一%、フランス一〇%ということで、全体の国民所得の中における所得課税というのは非常に低い。反面、法人課税は、日本が七%、アメリカ三%、イギリス四%などなど、法人課税は、実は、世界的比較で見ると現在でも一番高いという数字になっております。

金子委員長 簡潔に願います。

尾身国務大臣 ちなみに、消費課税は、日本が七%、アメリカ六%に対して、イギリス一五、ドイツ一四というようなことで……

金子委員長 尾身大臣、簡潔にお願いいたします。

尾身国務大臣 いや、税の現状ですから、これは国民の皆様によく理解をしていただかなければなりません。(阿部(知)委員「聞いたことに答えていないんです」と呼ぶ)いや、聞いたことに答えております。

 そういう全体のバランスもお考えいただきたいということを申し上げております。

阿部(知)委員 論点をずらしたら、いい審議なんてできないんですよ。

 私は、なぜ年収五百万の世帯の方が課税の額がふえていっているのか、年収の少ない方に重い課税がかけられていったら、中間層と言われる、私どもの社会を支える大事な中堅層がどんどん疲弊していくということで申しているんですね。尾身大臣はさっき、橋本内閣の九兆円の負担増のあのときよりも今の方が負担が高いんですよと言いましたよ。まさにそのとおりなんですよ。だから民のかまどはにぎわわないんです。

 どんどん貧困化が進む、生活保護以下のお暮らしの方がふえる、と同時に、今の我が国の最も深刻な問題は、中間層が二極に分化していかされているんですね。ここに政府が目配りをしないと、本当に安心した暮らしはないんですよ。そこをきっちり、尾身大臣、法人税の話はまた別にしますから、時間のあるときに。  私にも言いたいことがあります。だって、企業は、全部この間、社会保障負担をパートやアルバイトにして免れて、そこの保険料負担も免れ、減税もして、さらにこれから法人税減税などということがよもよも考えられるのであれば、きちんと法人税の姿を、社会保険料負担も含めて是正していただかなければ次の論議はないと私は思っておりますから、恐縮ですけれども、大臣にはまた別途改めて伺います。

 ここで伺いたかったのは、なぜ五百万円の、七百万円の人だってあの橋本内閣のときと同じようにひいひい言っているんです。でも、五百万円の人はもっと苦しいんですよ。そんなことをして日本の消費が伸びるわけないじゃない、景気が回復するわけないじゃないですか。

 安倍総理、いかがですか。ごめんなさい、もう今度は総理にしてください。 ○金子委員長 では、先に尾身財務大臣。簡潔に願います。

尾身国務大臣 私は、先ほどの、税の五百万円の分が一九八〇年ころより上がったということを認めた上で、それでも国際的に日本の所得課税は低いということを申し上げております。

安倍内閣総理大臣 現在のことをお話しいたしますと、まさに今、力強く景気は回復の局面にあるわけでありまして、さらに私たちは、この景気回復局面を維持していく、力強く経済を成長させていきたい。そして、この景気の果実を家計に波及させることによって消費の伸びを呼び込み、さらにそれによって健全な景気回復の循環の中に入っていきたい、こう考えています。

阿部(知)委員 何度も示しますが、こんなことをしていたらそうならないんですよ。本当に、消費がどうやって上向いていくか真剣に考えていただきたい。今の総理の答弁は何かわけわかんない、本当に。真剣味がないですよ、申しわけないけれども。私は、まだ一生懸命言う尾身大臣の方がその分真摯だと、申しわけないけれども、思いますよ。これは間違っているんですから。

 次に行かせていただきます。個別の問題に入らせていただきます。

 実は、もう総理も御存じかもしれませんが、現在非常ににぎわいのある築地の市場が、平成十八年度から移転計画が既にオンゴーイング、始まっておって、埋立地である豊洲、元東京ガスの跡地に移転が計画されております。

 ところが、この豊洲という地域は、もともと埋立地であるばかりか、東京ガスの調査によりましたらば、さまざまな有害物質が出るわ出るわ。こんなところに、例えば砒素、砒素なんてあっても困りますよね。聞いても恐ろしい。超過倍率というので四十九倍。あるいはシアン、これは、ゼロでなくてはいけないものが四百九十。そしてベンゼン、有機溶剤、千五百。どれを見ていただいても、ぎょっとするような値なのであります。

 さて、皆さんのお手元にも配ってありますので、しっかりここを見ていただきたいですが、このような汚染地に大事な食の安全をつかさどる築地中央市場が移転するといいます。農水大臣松岡さん、お伺いいたします。果たして安全でしょうか。一問です。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 先生の御指摘のとおり、築地の市場が老朽化し、手狭だ、こういったことから豊洲の方に移転の計画がある、そのように承知をいたしております。主体は東京都が行うわけでございますが、今先生が御指摘の点につきましても私ども承知をいたしております。現在東京都が環境影響評価を行っておる、こういうことでございまして、これは十分私どもしっかり見守りながら確認をいたしたい、こう思っております。

 そして、先生これは御指摘のとおりでございまして、間違っても、東京都民はもちろんでありますが、国民の食生活にとって、安心、安全にとって、これは一番健康、生命にも重大なかかわりを持つ問題でございますから、私ども、先ほど申し上げましたように、科学的見地に立って、十分万全な基準をクリアできる、そういったことをしっかり求め、確認をしてまいりたい、このように思っているところでございます。

 改めて申し上げますが、本当にこれは重大な関心を持って私どももしっかり対応してまいりたい、このように思っております。

阿部(知)委員 では、環境大臣にお伺いいたします。

 私は、一点目、地球温暖化問題を取り上げましたが、土壌汚染問題あるいは地下水の汚染問題も極めて深刻になっております。日本が高度経済成長期にいろいろな工場ができ、そこが、工場が立地されたところは土壌が汚染されております。

 今、この築地のこれまでの調査、築地移転にかかわる豊洲の調査は、実は二〇〇三年に土壌汚染対策法が成立する以前の基準にのっとった検査しか行われておりません。どういうことかというと、汚染状況を調べるのに、十メートル、十メートルの百平米で調べるのか、三十メートル、三十メートルの九百平米で調べるのか。九百平米でしか調べてございません。土壌汚染対策法も、そもそもまだまだ予防原則にのっとっていなくて問題があります。地下水の汚染もなかなかこれでは防止できません。

 ただしかし、私がここで環境大臣にお伺いしたい、あるいはお願いしたいのは、この築地の市場というのは、先ほど松岡農水大臣もおっしゃられました、日本全国の国民の食の台所でございます。であるならば、きちんとした、環境省が安全だという宣言をしていただいて後です。地方自治の問題だけではないと私は思っております。日本全国の国民にかかわります。

 特に私が非常に懸念いたしますのは、地球温暖化の中で海面の水位が上がってくると言われています。豊洲には、大臣、行かれたことはありますか。同じ高さなんですよね、豊洲の予定地と海面は。地球温暖化して水面が上がってくる、あるいは地熱で中が温まれば、ベンゼン等々は上に出てまいります。幾らアスファルトで囲っても、この亀裂の中から出てくるものが当然予想されます。

 地球温暖化の影響も加味して環境省として安全宣言を出すとすれば出していただきたいが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 阿部委員が御指摘のように、東京都の設置管理しております築地市場が豊洲地区に移転をするという計画のもとに、いろいろ事業が進められております。その移転先であります豊洲地区の所有は主として東京ガスでございますが、東京ガスが長年にわたって事業用地として使用した結果としてその地区の土壌が大きく汚染をされているということは、御指摘のとおりでございます。

 そこで、その土壌の汚染を解消しなければ、心配ない状態にしなければ新しい土地利用というのは適当ではない、このように考えるわけでございますが、現在、この豊洲の市場予定地では土壌汚染対策が積極的に講じられております。この土壌汚染対策の考え方は、汚染土壌のあるところについては、二メートル掘り下げて、全部その土壌をクリーンにします。その上にさらに二・五メートルの土壌を積み重ねます。したがって、四・五メートルの汚染されていない土壌を置きまして、その上にアスファルトを敷くということになっています。

 一方、これは土壌汚染法の適用前の事業ですから法律の適用がありませんが、実は土壌汚染法上の、もし適用されるとすればどうかとすれば、実は五十センチメートル以上の被覆によって安全であるということを中央環境審議会等の専門家の意見を踏まえて決めているところでありまして、今進行しております四・五メートルの土壌の入れかえとアスファルトの被覆によりまして、ほぼこの問題は、安全上の問題はないという判断をいたしております。

阿部(知)委員 結論だけ端的にお願いしたかったのですが。

 そういういろいろな理論に基づいて、大阪のアメニティパークでも実際に埋立地等々の土壌汚染の問題が起こり、今大変に係争中であります。何度も申しますが、食の安全、環境対策から環境大臣がそんな姿勢では、本当にこの先、日本は真っ暗けです。

 最後に一問だけ、総理にお願いいたします。

 この図、ごらんいただきたいのですが、これはいわゆるお産の無過失補償制度です。脳性麻痺のお子さんが生まれた場合に、裁判外の紛争の処理によって何がしかの給付金をしようということです。

 時間がないので、総理には一点だけ伺います。

 先ほど総理は、小児科や産婦人科は大変だから、産科や小児科に診療報酬上の手当てをしようとおっしゃいました。具体的に、産科の診療報酬手当てというのは、どういうことでしょうか。この最後の一問で終わらせていただきます。

安倍内閣総理大臣 診療報酬については、診療報酬の改定の際に議論をしていただくことになるわけでありますが、小児科、産婦人科もあわせて、診療報酬上においてどういう考慮が可能かということを検討していきたい、こういう趣旨で申し上げたわけであります。

阿部(知)委員 お産は保険診療から出ておりません。診療報酬手当てで解決する問題はごく限られております。総理もおわかりでしょう。お産は出産一時金なのです。診療報酬ではないのです。保険診療外なのです。その原則を、さっきからの質疑を聞いておりますと、あたかも診療報酬で手当てできる。違うじゃないですか。私は、時間があればこの仕組みをもっときっちりと論議したいと思います。

 以上です。終わらせていただきます。


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