東日本大震災復興特別委員会 第6号(平成23年5月31日(火曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)
内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)
東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)
〔前略〕
○黄川田委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
三月十一日の被災以来もう二カ月、やがて三カ月になろうとしております。被災地でもあるいは避難所でも、テレビ等々を通じてきょうはこの放送をごらんの方も多いかと思います。本日のこの委員会が、そうした方々に一つでも二つでも前向きに、実際に物事をもっと前に進めることができるように、私も質疑をやってまいりたいと思います。
時間の関係で、きょうは特に原子力の安全問題について集中して質疑を行わせていただきます。
菅総理はフランス・ドービルでのG8でいろいろなメッセージを出されました。特にこのサミットは、エネルギー関係、原子力発電関係のことが多く話題になりました。菅総理は四つの挑戦ということを挙げられて、一つは原子力発電の安全性、あるいは石炭等化石燃料がより二酸化炭素を少なく出すように、あるいは自然エネルギー、再生可能エネルギーがもっと進むように、そして四番目は省エネルギー、もっと節電なりエネルギーの効率のいいものを開発する。
この四つはいずれもすばらしいと思いますが、でも、私にはとても違和感がありました。きょうの委員会を聞いても、さらに違和感は広がりました。そもそも総理の考えられる原子力の安全性とは何でしょうか、明確にお願いします。総理は原子力の安全性への挑戦とおっしゃいましたが、一体何を意味しているんですか。お願いします。
○菅内閣総理大臣 原子力の持っている特性というものは、もちろん他の化学反応などとは根底的に違っているわけです。そういう特性の本質的な違いというものも考えなければならない場面もあるかと思います。
ただ、私がこの間申し上げているのは、今回のいわゆる原子力発電所の事故を踏まえて原子力発電所の安全性というものをしっかりと検証し、そしてしっかりと確保する、そういうことに関して申し上げているつもりであります。
○阿部委員 総理の今の御答弁からも、生身の、今被害に苦しむ人の健康被害あるいは恐怖におののく親御さんの心なりに沿う言葉がないんだと私は思います。
アメリカの原子力規制委員会、NRCと申しますが、私も五月の連休に行ってまいりました。総理も今お手元に資料がおありかと思いますが、ここの、アメリカの原子力規制委員会の戦略目標、ちょっとお目を通していただきたい。一番目が、当たり前なんですが、国民の健康と安全、そして環境の保護、これが原子力規制委員会の戦略目標なんですね。
今ずっと各委員の御質疑の中で、私は、総理が国民の健康ということをどう考えておられるか、あるいはこれだけ環境汚染を起こした原子力の事故をどう思っておられるか、生きた言葉が残念ながら伝わってまいりません。総理の性格もおありなのかもしれませんが、国民の求めるものはそうした直截なメッセージです。だって、国民の命を逆にあなたが任されているからです。このことを今後の御答弁で意識しながら、ぜひお願いしたいと思います。
同時に、アメリカでは、核テロなどに備えるというか放射性物質の管理も戦略目標にはなっておりますが、いずれにしろ、国民の健康と安心と環境を守るというのが二大目標であるということであります。
では、我が国の場合はどうであるか。きょうの委員会の簡単なおさらいになりますが、放射線事故が起きたことによって起きた数々の問題を、いわゆる外部被曝、外から放射線を浴びたことと、内部被曝、さっき高橋さんがお取り上げになりました、呼吸や食べ物で吸ってしまって被曝する、大きく二つ分けることができます。この外部被曝も、例えば広島の原爆のように一瞬に浴びるものと、それから、学校の校庭で問題になっているように、低線量だけれども、じわじわと体に負担を来すということがあります。
実は、この間の政府の対応を見ていると、外部被曝、急性期についても、低線量被曝についても、内部被曝についても、私は、一貫して対策が後手後手であり、本当に健康を守るというふうになっておらないのではないかと思います。
ここで、枝野さんにお伺いをいたします。
皆様のお手元にお示しした、枝野先生にも、三枚目、めくっていただければわかりますが、これは、アメリカが三月十七日から十九日、今回の事故に際してどのように汚染が広がったかということを米軍がモニターしたものがネイチャーという雑誌に発表された、三月の下旬のことであります。こうしたデータがあります。簡単に言うと、今問題になっているような飯舘とか浪江とか、三十キロを超えても汚染が広がっていると。これは、米軍が三月十七から十九日に分析した結果であります。
さて、枝野官房長官は、こうした実態を一体いつお知りになったか、そしてその後どう方針を立てられたか。
実は、先ほど西村委員の御質疑の中でも、三月十二日の方の被曝の問題が、SPEEDIが遅かったゆえに大変に重大な問題であるという御指摘がありました。こちらは、三月十五日、二号炉と四号炉のところで火災が起きた、二号炉は爆発ですね、四号炉の問題が起きたときのデータでありますが、こうした実態、すなわち、二十キロや三十キロで済まない、ある方向に延びている、この汚染の広がりを官房長官はいつ知られたでしょう。
○枝野国務大臣 申しわけありません、私あての御通告がなかったので確認をしてきておりませんが、危機管理センター等では、原子力発電所周辺、正門付近とか西門付近とかというようなところの放射線量と同時に、周辺地域のモニタリングの情報が順次ふえていきまして、そして、北西方向、飯舘村などの方向の地域の放射線量が相対的に高いという情報が、ちょっと正確に確認をしてきておりませんが、その十五日の何日か後にございまして、そして、そうだとすると、その周辺を含めてモニタリングを強化するようにという指示を出した記憶がございます。
○阿部委員 実は、こうした図を枝野さんがいつお知りになったのかは、三月十五から二十日くらいの間なのかもしれませんが、実際にこの地域に計画避難という指示が出されたのは、一カ月も後の四月二十二日であります。
この一番濃い線は、百二十五マイクロシーベルト・パー・アワー、こんないろいろな数値が飛びますが、簡単に言うと、年間でいうと千ミリシーベルトを超える。年間千ミリと言われると、高いと思っていただけると思います。これらの地域は、ここに長く置いてはいけない、放置してはいけない、危険を避けねばいけない、だけれども、一カ月後に方針が出されました。
おまけがあります。ここで一番高い赤宇木の避難所、前も取り上げました、何と三百三十マイクロシーベルト。これは三月十五日でしたか、文科省の発表の中にあります。知っていて対策しなかったんですか。これは、私はいろいろ調べてみましたが、文科省のデータにございました。
となると、この地域は一カ月もたって追われるように計画避難と言われておりますが、本来、ここにこのままい続ければ千ミリシーベルトを超えるということがわかれば、可及的速やかに移動していただくなり、ここの方の健康管理をきちんと政府として打ち出すべきではなかったでしょうか。
私がこれを投げていなかったので、総理に伺います。私は、きょう、こういうことこそが政権が問われてしまうもとになりますよと。健康管理ということは、御自身であれば、我が子であれば、必死な思いだと思います。
私がきょう申し上げたこと、御存じでしたか。御存じでなかったとすれば、政府の落ち度ではありませんか。いかがですか、総理。
○菅内閣総理大臣 阿部先生はもともと小児科医で、特に健康とか安全ということに関心が強いということは承知をしております。私の答弁がやや無機質に聞こえるとすれば、私が物理学的に、つい放射能という言葉に反応しているせいかもしれないと、さっきのお答えを聞きながら反省をいたしておりました。
今お話をされたことについて申し上げれば、私も、どの段階でどこまで、情報をすべて把握していたかと言われると、それぞれの部署に把握をしていただいて、そしてその中で判断をして避難区域等を決める、その段階で私に最終的ないわば指示を出すようにという形で来ますので、そういう点で、今御指摘になったような点について、もう一度しっかりと確認をして、今後そういったことがないように、より注意をしていきたいと思っております。
○阿部委員 我が国の原子力行政が事故はないものとして、逆に事故を想定外としてきたことによって、事故によって最も影響を受ける人間、生身の人間と環境、今は、海も、空気も、水も、土も、全部被害を受けております。それらに対して統一的に、むしろ本当の意味で責任を持って対策する部署がなかったということだと総理にはお受けとめいただきたいと思います。
続いて、高木文部科学大臣に伺います。
斉藤委員との御質疑の中で、校庭の二十ミリシーベルト問題を論じておられました。高木文科大臣も御存じでしょうが、子供の生活を見てみると、何も学校あるいは校庭というところに縛られたものでなく、通学路には溝があり、低い木々が生え、あるいは放課後は原っぱや公園に行って遊び、すなわち、子供が受ける放射線の量は、何も学校に限られたものではありません。
今、校庭をどうするかという問題、もちろん重要です。親御さん、心配です。でも、私は、各省庁に呼びかけて、公園も、原っぱも、溝も、あるいは木々も、低い灌木も、できるだけ除染すべきだと思います。それで初めて親御さんたちに大丈夫ですよと言えるんです。
今は、はかってもいない、やってもいない。まだ校庭だって積んでいるだけです。私は、この取り組みが国民にとって本当に不安でならないんだと思いますが、そうした働きかけ、環境省にも国土交通省にも、政府を挙げてやっていただきたい。除染は政府を挙げてやらないと進められませんが、いかがでしょう。
○高木国務大臣 阿部委員にお答えをいたします。
委員御指摘のとおりでございまして、私どもは、当面、文部科学省としては、学校の校庭、園庭などについて、今後、年間一ミリシーベルト以下を目指す、そういう方向で、土壌の改良等も含めて努力をしていくことにしております。
御指摘のとおり、いわゆる校庭外、通学路においても、あるいは子供たちが遊ぶところにおいても、私どもとしましては、これは原子力災害対策本部の方針の中で、関係省庁と連携をとってできるだけ地域の線量を下げていく、こういうことが必要であろうと考えております。したがって、一番もっともなことは、早くいわゆる原子力サイトの収束を目指すことに全知全能を傾けるべきだと思っておりますが、その上で今総合的に取り組んでいきたい。
文部科学省といたしましては、例えば放射線防護に関する専門家のみならず、子供たちの心理の健康に関する専門家、あるいは教育等に関する、そういう人たちの、専門家の意見を聞く会合も立ち上げて、総合的に対応してまいりたいと思っております。
○阿部委員 高木大臣の思いはわかりますが、実際に進めていかないと、除染は、今現実に子供たちが暮らしている環境そのものを、一刻も早く汚染を低減させるためのものです。悠長にはやっていられない。ぜひお心にとめていただきたい。
最後になるかもしれません。
ここには放射線の汚染マップ、これは先ほど西村委員もお出しになりました。ごらんいただきますとおわかりなように、実は今、校庭が問題になっている福島や郡山、あるいは伊達市や二本松も含めて、飯舘の一番汚染の軽いところとほとんど変わることがない汚染があるということなのです。
これが今ごろ指摘されるのは、昨日も我が党の服部が指摘いたしましたが、きちんとした汚染マップがつくられていない、すなわち、環境がどんなふうになっているかが一切国民に明らかにされていない。そして、これだけ今、赤線で示したところ、赤線というのはちょっとわかりませんが、例えば、見ていただくと飯舘村の一番外側あたりです、ここと同じところがあっちこっちにあるんだということなんです。なぜ飯舘村は計画避難で、ほかのところはほとんど手つかずで、土壌改良もなされずに、作付はどうなるか不安で、放置されるのか。
私は、ぜひ詳細な汚染マップをつくること、そしてあわせて、実は計画避難は、帰れる計画がなければ追放になります。帰れる計画はどう立てるのか、除染はどうするのか、この計画が一切ありません。この数日前、鹿野農水大臣がヒマワリの種を植えに行かれました。悪いことではないです。でも、もっと計画的にやっていただきたい。
時間がないので恐縮ですが、海江田経済産業大臣、汚染マップをちゃんとまずつくるべきでしょう。それから、世界に言うところの汚染の広がり、チェルノブイリでは、日本の国土の四分の一の汚染、三万七千ベクレル・パー・平方メートル以上は日本の面積に相当する四分の一ありました。日本ではどうですか。この汚染地図は、どうしていまだにきちんと発表されないんですか。お願いします。
○海江田国務大臣 SPEEDIは適宜発表しておりますが、委員のおっしゃるような汚染マップというもの、わかりやすい、だれにでもわかるようなものということでございましたら、それは文科省などと、それから保安院とも相談をして検討したいと思っております。
○阿部委員 まずそれが第一で、プラス除染です。一緒に除染していかなければ、単にそれは人々を追い出す、不安に陥れるだけになりますから、政府として、くれぐれもそうした取り組みをお願いしたいと思います。
終わります。
第177回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る