科学技術・イノベーション推進特別委員会 第10号(平成23年8月9日(火曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ (衆議院のサイト)


〔前略〕

川内委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 大臣、そして委員長初め各委員の皆様も、長時間の御審議、大変お疲れさまです。あと私のみですので、よろしくお願いしたいと思います。
 きょう各委員の御質疑を承りますと、次なる保安院あるいは安全規制のあり方などについての御質疑が多かったと思いますが、私は、やはり今回起きていることについて、もう少し国民に明らかにする必要がある、とりわけその全体像を明らかにすべきであるという観点で、冒頭、細野大臣にお伺いいたします。
 実は私は同じ質問を三度しているのですが、今回の福島第一原発事故の大きさ、一体どれほどの放射性物質をどの範囲でまき散らしているのか、このことについてまだ明確な御答弁を一度もいただいたことがございません。
 かく申しますのは、厚生労働委員会の参考人で児玉龍彦先生に来ていただきまして、それが今大変インターネットでも国民の間に広く話題を呼んでおります。
 その大きな理由は、例えば、ちょうどことしは広島、長崎から六十六年たっておりますが、セシウムというのはウラン235が分裂しないと出てまいりませんけれども、ウランの量に換算すると広島の原爆二十個分、そして熱量換算で申しますと二十九・五個分、さらに今回の原発事故でまき散らかされたセシウムの減衰、要するに減少していくスピードは、これは原爆とは破格に違って、一年で十分の一くらいにしかならない、粒子の性状が違うために起こす被害が違うと。
 これらを一体何が起きたのかということで国民に語ったということにおいて、児玉龍彦さんの御発言は大変国民に受けとめられているんだと思うんですね。
 私は、こうしたメッセージを、まず政府みずからが一体何が起こったのだということを明確にしないと、次々起きてくる事象にモグラたたきのような対策をするのが政治ではないと思います。
 大臣はこういう観点で、一体どのくらいの放射性物質がまき散らかされて、範囲はどこに及ぶのか、このことについてまず国民に伝えるとすれば、どんな言葉で伝えられますか。

細野国務大臣 児玉先生の御発言は、いろいろなところで最近お話をされていますので、私も承知をしておりまして、そうした御意見を踏まえて、しっかり対応しなければならないと思っております。
 政府が現段階で把握をしております東京電力の福島第一原子力発電所から放出をされた放射性物質の総量でございますが、七十七万テラベクレル、これは保安院の数字として出しております。これは放出源のさまざまな分析をして、推定をしたものであります。
 一方で、国民の側から見ると、国民の皆さんから見ると、それが出てきたことによってどういう飛散があったのかという、ここがやはり最大の関心事ではないかというふうに考えておりまして、資料を阿部委員の方からもお配りいただいておりますけれども、これは栃木県のものですね。広域のこうしたモニタリングをできるだけ幅広くやろうということで、こうした努力をし、どこにどういった形での飛散が広がっていくのかということについて、できるだけ的確な情報を国民の皆さんにお知らせする中で、できる限り正確な状況をお伝えしてまいりたいということでございます。

阿部委員 細野大臣に伺いますが、では、細野さん、七十七万テラベクレルと言われて、わかるかしら、実感できるかしら、これが問題なんだと思います。それに比べて、例えば、同じウラン235、原爆二十個分だと言われたら、それはそれほどのことかと覚悟が定まるわけです。
 あと、これはもう一九八二年にジョセフ・ロートブラットという方が、原爆と原発で、粒子の違いによって飛散の違いと減衰、さっき申しました減少していくスピードが違うと。私はさっき一年でと申しましたが、一カ月で十分の一なのと、原爆だと一カ月で千分の一とか、そういうことも物理学者で言われているんですね。
 そうすると、私は、どのくらいのものを放散したか、そしてそれはどうすれば、例えば減るスピードが遅いものなら逆に早く除染して早く健全な姿に戻さないと、自然に放置したらだめなんだということがわかると思うんです。
 ぜひもう一度、せっかく大臣になられたんですから、そして未曾有のことなんだと思います。確かに我が国は、広島、長崎という悲しい出来事を抱えてしまいました。でも、それにまさるとも劣らない過酷なことをこれから覚悟して臨んでいくのであれば、そのとき、大臣からのメッセージは非常に大きなものとなると思いますので、ぜひ、また私が何度も聞きますので、お願いしたいと思います。
 引き続いて、先ほど河井委員と文部科学省のやりとりを聞いておりましたので、本来は、今大臣もおっしゃいました栃木県の汚染マップを示して、どのくらいのスピードで栃木以外の、例えば東日本等々は、これから先、年内にはかるんですか、いつまでにはかるんですかということをお伺いしようと思いましたが、重なりになりますので、あえて違う角度からお伺いいたします。
 私は、先ほどの河井委員と皆さんのやりとりを聞いていて、果たして日本は、もし核テロなんかが起こったら、どこにどれだけばらまかれたかもすぐ調査できない国じゃないかと、かえって不安を持ちました。もちろん、当初から米軍の器材を借りて測定していることは知っていました。でも、そういう航空からとるモニタリングは、先ほどのお話では原子力安全技術センターにもあるし、本来は防衛省にあってしかるべきだと思います。
 だって、核テロというのは、放射性物質が散らばされることによる攻撃なんですよ。これをもし防衛省が持たないとしたら、私はそこを先ほど確認できませんでしたので、細野さんにお伺いしますが、そうすれば、少なくとも国内にも原子力安全技術センターと防衛省と二基。そして、栃木県のヘリと連動して、栃木のヘリに米軍のを積んだんですね。各地は、ヘリは持っていますよ、でも器材がないわけでしょう。
 一体、政府として、防衛省は持っているのか、いないのか、そのことをどう受けとめているのか。今現在、もちろん稼働は十六基ですけれども、使用済み核燃料棒も含めて、たくさん日本全国にあるわけですよ。そのことがねらわれない保証など、本当に残念だけれども、ないんですね。そうしたときに、住民に早く知らせなきゃいけない、放散、拡散したものを。その体制がないと言われたに等しいと思いますが、どうですか。

細野国務大臣 いろいろな意味で問題を抱えていたというふうに思います。
 航空モニタリングなんですけれども、これをやり切るためには、ハード面でのさまざまな準備も必要ですが、一方でソフト面での仕組みというのも極めて重要でして、トータルな意味での力が必要となってまいります。その意味で、日本が十分な準備ができていなくて、こうした形で全体の姿をお示しするのがおくれたことは非常に大きな反省が必要だと考えております。
 これからそういった役割をどこが担うかなんですが、私は、原子力という特殊性を考えれば、原子力の安全機関が一元的に担うべきではないかと考えております。核セキュリティーという意味では、当然、万が一のことがあった場合には自衛隊が大きな役割を担うわけですが、そこは専門家集団としてのしっかりとした準備が必要でありますので、コントロールタワーは原子力の安全機関が担う、いざというときにさまざまな取り組みについてはそれこそ自衛隊に動いてもらう、そういう役割分担が恐らく望ましいのではないかというふうに考えます。

阿部委員 ハードとソフトとおっしゃいましたけれども、でも器材がないんですよね。そのことに唖然とされませんか。
 私はアメリカのNRCに行きましたという話を何度もしますが、彼らの戦略目標は、一つは公衆、一般の人たちの健康を守る、環境を守る、これが一、二が核物質の拡散に備える、この二つですよ。私たちは現在でも原発を持っているんですから、そのことの体制に、組織いじりより以前に、まずはかれる体制をつくれば、それを人は活用できます。でも、今のようにそっちをどうするかという話ばかりしていて、即座に間に合わないことにしたら、これは我が国を危険に陥れることだと思います。
 我が国の自衛隊を十分シビリアンコントロールして、そして今回の被災でもそうでした、活躍していただけるだけの人材を持っているということを政府としては強く受けとめて、まず国民を守ってこそ政府であります。早急な御検討をよろしくお願いしたいと思います。

細野国務大臣 しっかりやります。新しい組織は組織で誕生させて、そこでもやりますけれども、それまでにさまざまな、それこそ備えやモニタリングの体制が整わないでは話になりませんから、並行してやってまいりたいと思います。

阿部委員 引き続いて、子供たちの問題に行かせていただきます。
 きょう皆さんのお手元に栃木県のモニタリングをお出ししたのは、実はここで見ていただきますと、那須塩原とか日光は、六万ベクレルから十万ベクレルのセシウムの134と137がたまってしまった。六万から十万の134と137、半々に割って、137でも三万から五万近くあるわけですね。
 果たしてこの値は、実は大臣も御存じでしょう。私たちもそうでしたが、みんな子供たちは日光に修学旅行に行くんですね。それで、今親御さんたちの間で、これが発表されてから何が起こっているかというと、では、子供を日光に修学旅行にやるということは、そこはもしかして、五万ベクレル、今みんなは、牛の汚染でベクレルも有名になりましたから、土壌はそのくらい汚れているかもしれないところに子供を送ることになるのかと不安なわけです。森もありますでしょう。もっとスポットもあるかもしれません。
 だから、私は日光に行くなと言っているのじゃなくて、だったら、子供の安全のために総力を挙げてその地域の土壌やホットスポットを調べなければ、本当に安心して子供を送ることができない。そして、ここで分裂が起こります、大丈夫よというお母さんたちと、不安だというお母さんたち。そして、ここは教育委員会が間に挟まって、どうしたらいいかわからない騒動が起きます。こういうのを発表されるときは、必ず余波があり、その対策も伴ってやっていただかないと、本当に親として不安がぬぐい切れない。
 対策をしていただけますか。どうですか。

細野国務大臣 情報公開をする場合に、常にそこは我々のジレンマとしてあったんですが、対策を打つ前に、やはり明らかになった情報は公開すべきだろうということでこの間やってまいりました。ですから、確かに、栃木県のデータが出ているのに、日光や那須について対応できていないじゃないかという御批判があるわけですが、そこはできるだけ早く対応するという、そういう情報公開の面と対策をできるだけ早くするというのは分けて考えていく必要があるのではないかと思います。
 除染なんですが、この間、私も何度も福島に行って除染の話をしてきたんですけれども、かなり大規模な作業になります。したがって、地元の自治体との連携というのが不可欠なんです。ですから、今は福島県の方が全面的に体制をつくってくださっていますので、そことの連携のもとで、福島県を優先して予算をつけております。
 ただ、除染が必要なのは福島県内ということに限りませんので、自治体としっかり調整をして、やるべきところについては着手をする、そういう姿勢で臨みたいと思います。

阿部委員 私は今、漠然と除染と言ったのではなくて、日光に修学旅行に行く、もうこれは広く行われております。そして、ほっておけば、風評被害で今度は日光が立ち行かなくなります。今やその予兆があります。ですから、調べるものは調べる、安心だったら安心というメッセージを出す。もしも安心じゃないなら、やはり行かない。
 私が何度も三万七千ベクレル・パー・平方以上のところはどこですかと聞くのは、実は子供たちが集団疎開したキエフという、これはチェルノブイリから百二十キロの距離ですが、ちょうどキエフの子供たちの土壌が五万ベクレルだったんですね。しかし、当時の政治家は疎開すべきだと、三カ月子供たちを遠ざけたんですね。そして、その間にやれることをやった。
 私は、日本の政治が子供たちをもっと真剣に大事にしてほしいです。このまま子供たちの問題が親御さんたちの混乱の中に放置されたら、子供にも思い出の修学旅行がなくなってしまいます。文部科学省や現地、そして何よりも、こういうときは国が乗り出すしかないんです。よろしくお願いしたいと思います。

細野国務大臣 除染をするときに最優先は子供だというふうに考えておりまして、福島県内では、学校や通学路、さらには公園などにしっかりと絞り込んでスタートをしております。
 同様に、福島県外を考える場合も、子供というのは重要な最優先課題であるというふうに考えておりますので、そういった意味では、修学旅行の場所というのは除染を優先すべきところである、そう考えます。

阿部委員 ありがとうございます。
 次に、このたび明らかになりました、原子炉のベントの先を主排気筒というところに放射性物質も含めて出すわけですが、その配管で非常に高い濃度、十シーベルト、今までで一番高い放射線が測定された件でお伺いをいたします。
 こうした高濃度の値が出てきたのは、配管に沿って二カ所あったと思います。すなわち、ベントの配管をした場合に、ベントして、その後の配管は、今回のようなシビアアクシデントが起これば、放射性の物質の粒子になったもの、あるいは塊もあるかもしれません、中を通って、それが後々外にいろいろな影響を与えるということだと思います。
 寺坂さんにお伺いいたしますが、こうした実態は、そもそもベントもきちんとした義務でもありませんし、努力義務でしかありません。
また、こんなふうに、後々配管のところに高い濃度が出るということは想定内なのか外なのか。そして、こんなことは各地で起こったら困るわけです。今の瞬間もどこかでベントをやらなきゃいけないとしたことだってあるわけです、動いているから。どう対策しているんですか、教えてください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、非常に高い線量が計測されたということでございまして、耐圧強化ベントとの関係が、二つについて全く同じかどうか、そのあたりの原因などについて調査を続けていかなければならない、確定的なことはまだ申し上げられない段階と思っておりますけれども、いずれにいたしましても、ベントの関係でございます。特に十シーベルトの方に関しては、ベントとの関係が強いというふうに見ているわけでございます。
 まさに制度につきましては、これも今委員御指摘のとおりでございまして、耐圧強化ベント設備につきましては、いわゆるアクシデントマネジメント対応といたしまして、平成四年から電気事業者が自主的に整備したものでございます。そういった点で、制度的な規制、そういったものについては十分でないところが今回の事例などを含めましてあるというふうに考えてございます。
 今回、IAEAの報告書において取りまとめました今回の一連の事故におけます教訓あるいは今後の対応、そういったことにつきましても、この耐圧強化ベント設備についてどのようにその安全性を確保していくのかということは、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えてございますし、また、事故調査の検証委員会によります事故原因の徹底的な検証結果、そういったものも反映させながら進めてまいりたいと考えているところでございます。

阿部委員 悠長過ぎるし、ベントしたら高濃度の放射性物質が管にたまって、そこからまた放射線を出すなんていうのはベントとは言わないんだと思いますね、これは。ベントは、せいぜい圧を抜いて爆発を予防するということであって、これだけの放射性物質を放散するということは深刻に考えていただかないと、構造ミスでもあるし、概念のミスでもある。もともとベントというのはやむを得ず逃すんですけれども、やむを得ず逃してこれだけ高い濃度というのはいかんともしがたいと思います。
 そして、大臣、時間がないのに済みません、一個だけ。
 今、私は寺坂さんに聞きましたけれども、先ほどのやらせメールの問題で、実は内閣府の参与に広瀬研吉さんという方がおられて、二〇〇六年当時、原子力保安院の院長でした。資料につけてありますが、伊方のプルサーマルでヒアリングをしたときに保安院からのやらせがあったのではないかと。
 今回、寺坂さんは処分されますが、もともと原子力保安院の院長で、そして二〇〇六年当時のことには責任があったでしょう。一人一人をしっぽ切りというよりも、では、なぜ今この方は、広瀬さんは参与なのですか。構造的におかしいと思われませんか。いかがでしょう。

細野国務大臣 先ほどの院長の答弁について、一言だけつけ加えますと、私も、アクシデントマネジメント対応は日本の場合はどうなっているのかとすべて調べて、文書も読んだんですけれども、自主保安という考え方が非常に定着しているんですね。つまり、基本的な考え方は政府が示すんだけれども、実際にやるのは事業者がやって、それについてはチェックをしないという、自主的にやっている保安体制なんだという考え方がしみついておりまして、それがベントのところでも反映をされております。したがいまして、そういったことについてはしっかりと政府が関与するという体制も含めて考え直さなければならないというふうに思っております。
 広瀬氏の件なんですけれども、私もこの間、広瀬氏とはいろいろなやりとりをしてまいりまして、原子力の専門家としては高い知見を有している有能な方だというふうに承知をしております。
 もう一度、今御指摘のさまざまなやらせ問題などとの関与も含めて確認をしたいというふうに思います。それを、確認をまずしっかりさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 公平で公正に、かつ構造的にお願いしたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

川内委員長 ちょっといいですか。
 最初の質問で、広島型原爆の何発分かと。前、参考人で児玉先生が御発言されたわけですけれども、政府として正確にその辺は出していただいた方がいいと思うので、細野国務大臣、福島から放出された各核種の放出量が、広島型原爆の放出したそれぞれの核種の放出量、これは国連のUNSCEARに数字が出ていますから、それぞれ何発分に当たるのかということを本委員会に御報告いただきたいというふうに思います。いいですか。はい。

阿部委員 ありがとうございます、追加の御指示。
 終わらせていただきます。


第177回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る