科学技術・イノベーション推進特別委員会 第11号(平成23年8月26日(金曜日)) 抜粋

案件:

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(我が国の科学技術、イノベーション推進の今後の在り方について)

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〔前略〕

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 そもそも、タイトルがとてもいいというか、「なぜ日本でイノベーションが起きないのか」という先生の最初の分析二つを、そういうことかと思って伺いました。
 私は、後段の、現状掛けビジョン掛け移行プロセスというところで地球温暖化問題を伺いたいのです。
 そもそも社民党は、政権交代の直後は民主党と連立をいたしておりまして、そのとき、一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%の二酸化炭素削減というのを三党連立合意でつくりました。でも、今思えば、それはビジョンであって、移行プロセスをどうするかというところをもうちょっとしっかり詰めておかなかったということもあって、当時は、多分民主党のお考えの中にも、原発というものが二酸化炭素排出が少ないから、それも加味しながらということもお考えであったと思うんです。私どもはそういう立場ではないけれども、世界に約束する公約として、二五%削減というのを何とかやりたいと思っておりました。
 三月十一日が起きまして以降、この二五%削減を、もうできないから下げるべきじゃないかというような論議もあるんですけれども、私は、日本の政治あるいは科学との絡まりの中では、こうした国際公約を先にぼんと上げて、そこから逆規定して物事を決めていくという発想は極めてまれだったし、何とかこのことを実現させていきたいと今も思っております。
 先生は従来から、温暖化問題には大変見識も深く御発言も多々ございましたので、原発の稼働がどうなるかということはございますけれども、きょう、ちょうど再生可能エネルギー法も成立いたしますし、あと、先ほど来の省エネ、ここが大きなソースになると思いますけれども、現状で、この二五%ビジョン、そして移行プロセスということはどうお考えか、お願いいたします。

小宮山参考人 原発が起きた後で、大変難しい、重い議題であると思います。
 恐らく、メキシコ・カンクンもああいう状況になって、合意はできない。それから、コペンハーゲンもできませんでしたね。日本は、非常に大きなバードン、法的なリーガルバウンドの大きな負担を、ほかの国の動向と関係なしに負うのはよくないというふうに思っております。ただ、国内でいろいろな目標を持つのは、これは非常にいいこと。
 というのは、やはり温暖化というのは本質的問題ですよ。みんな、何かあるとすぐ逃げますけれども、というのは、タイムスパンが長いからですよ。本当に温暖化が人類の危機になるのは二〇五〇年ぐらいというふうに私は思っております。ですから、先が長いものですからどうしても、ウォールストリートで来年までに四〇%のリターンを得たいなんという人たちには関係ないわけですよね。そういう非常に短期のスパンでお金をもうけたいという人たちと、長期の、人類の二〇五〇年というのをやはり本気で考えようよというものとの戦いという面がありますので、日本が大きな損をしないように長期的に考えていくということだと思うんです。
 私は、夏の前、原子力の問題が起きた直後に申し上げていたのは、秋になって頭が冷えたころにもう一回議論した方がいいんじゃないかというのが私の意見でした。今、少し秋に近づいてきておりますが、夏前とここで大分違うんじゃないですか。思ったよりも危機は小さかったんじゃないですか。
 最初、東京電力が大変だというふうになりました。続いて、実は東北電力の方が大変なんだというのがだんだんみんなわかってまいりました。というのは、先鋭の火力発電所なんかもやられちゃいましたのでね。そしてさらに、中部、浜岡の問題があり、関西電力、九州電力といって、ほとんど日本全体になったわけですね。でも、乗り越えましたよ。
 今、一生懸命分析していますけれども、ピークは二五%減っていますよ。二五%のピークでの削減ができちゃったんですよ。二五%、できちゃったんですよ、よく考えてみると。
 それから、これは実は、工場がピークの昼間にやっていた分を夜に動かしたという分もあるわけです。ですから、ピークが減ったというのと、全体のエネルギーが減ったというのは実は違うんですよ。でも、一五%減っていますよ。つまり、電力の一五%削減というのが東京電力管内でできちゃった。それほど悲惨だったかなという感じがするわけです。時々、エレベーターの中が汗臭いとか、ここまで消しちゃっていいんだろうかと。やはり、必要な電気と必要ない電気とあるわけですね。
 それから、効率化という問題があるわけです。先ほど申し上げたような、冷蔵庫を買いかえるといったような効率化という寄与もあるわけですよ。ですから、一番進めるべきは効率化、それから無駄の排除、それから我慢なんですけれども、二十八度でも我慢しようかというのが私は余り好きではないんですが、ここまででもって一五%減っちゃったというのは、非常に大きな事実ですよ。これをよく分析しなくちゃいけない。
 この中には、それで工場の生産性が落ちたというようなことがあるかもしれませんね。私が調べた二つの例では、ありません。工場の原単位というのは、毎年一%、二%ずつは減らしていこう、同じ生産をするのにエネルギーを減らしていこうというのは企業がずっとやっているわけですが、そのとおりに進んでおりまして、今回、夜に移したために上がっちゃったというような状況は、私が調べた二つの工場ではありません。
 ということは、オフィスの生産性も恐らくそんなに落ちていないでしょう。病院が患者の受け入れを減らしたという話も聞きません。多分、少しはいろいろあるんですよ。だけれども、恐らく、一五%ができたというのは、今後のかなり大きなこと。
 電力の三〇%を供給していた原子力が今このような状況になって、これをゼロにして日本がやってくれなんて、さすがに私は思いません。これは、移行プロセスが無理だと思います。ですから、極端なことをやったらだめだけれども、私は、CO2を日本は世界の先陣を切って引っ張っていくんだというのはおろさない方がいいんじゃないかというのが、今でも思っていることです。
 今後どうなるかわかりませんけれども、私は、二百カ国あるいは百数十カ国で、新しいポスト京都が本当にできるのかなと。これはちょっと個人的な予想でありますけれども、できるのかなと疑っております。非常に不利なものに日本が判こを押すのはよくないというふうに僕は考えております。
 しかし、例えば都市間とか二国間とか、さまざまな形で世界が動いていく可能性というのは強いと僕は思うんです。というのは、アメリカがやらなくたって、カリフォルニアなんかはすごいですよ、シカゴだってすごいですよというように都市あたりは動いていきますから。それが、私、プラチナ構想ネットワークといって、日本で自治体というのにもっと自主性を持たせた方がいいんじゃないかと思っている一つのゆえんです。
 今後は、これだけ複雑な問題を、苦しくなっちゃったオバマさんが率いるアメリカと、ギリシャが危なくて大変なEUと、外からはライジングドラゴンと言われながら国内的には大変な苦境を抱えている中国、そういうところが合意していくというのはとても難しい。難しいのはみんなわかっているんだけれども、できないんじゃないかなという気もするほどです。そういうときに人類が前に進んでいけないというのは、破綻しちゃうんだから。
 私は、二国間とか都市間とか十個の都市が何か結ぶとか、さまざまな形で進んで、そういう実態を見ながら国家間もトリーティーができていくというような形もあるのかなと。わかりません、専門じゃございませんので。ただ、そういうことを夢想しております。

阿部委員 新しい視点をありがとうございます。
 広島の前の秋葉市長も、平和都市を世界で結ぶという都市間構想をなさいましたので、今、先生がおっしゃっていただいたようなことをまた改めて参考に考えてみたいと思います。
 ありがとうございます。


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