科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号(平成23年4月26日(金曜日)) 抜粋 案件:
理事の補欠選任
参考人出頭要求に関する件
科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(原子力政策について)
〔前略〕
○川内委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
本日は、委員長初め、各委員の特別のお取り計らいによって、原子力委員会の皆さんに質疑できる場を国会で持てたことを私は大変重要な場だと心得ております。そして、国会の同意人事でも、さっき大庭さんもおっしゃいましたが、皆さんを私どもはこの国の原子力政策の推進役として認めたわけですから、本当に重要なきょうの場だと思います。
そうした前提の上で、しかし、私は、きょうの皆さんの御質疑全般を伺いまして、新たに大きな不安にとらわれました。と申しますのは、果たして、原子力委員会とは何だったのかと、もう本当にありていに申しますといろいろな問題があり過ぎて、ここにゆだねていったということを私は国民に対しても申しわけなく思う余りであります。
例えばであります。よく想定外というお言葉が出ますが、これは、リスクマネジメントの基本は、どこまで何を想定するかで当然リスクアセス、それからマネジメントも決まってまいります。地震も、津波も、三基、四基と複数の炉が問題を起こすことも、すべて想定外とされてしまっては、そのリスクマネジメントの、アセスメントのあり方自身が問題ではないか。
そして、私がもっと驚きましたのは、事が一たん起きたときの原子力委員会の対応であります。先ほど冒頭の山崎委員の御質疑にもありましたけれども、一カ月近く開かれないということは、原子力委員会が安全性を旨としてとか第一としてとおっしゃっていますが、ある意味で、事が起きたときにはそこには一切関与しない、一カ月も関与しない、失礼ですが、ほうりっ放しているに等しい。
そして、皆さん、個人としてはとおっしゃいますが、私は、やはり組織としてどう関与されたかが重要なんだと思います。
ここにいるみんなは、個人としては、今般の地震や津波、原発事故は、皆それぞれにある意味で責任を感じておりますし、かかわりももっと頑張らねばならないと思います。でも、まず組織としてどうあるべきか、この点について、近藤委員長に特にお伺いをいたします。
この組織とは一体何だったのか、緊急介入もできないし、安全はだれかに丸投げで、本当に果たして原子力行政はできるのか、一点目、お願いします。
○近藤参考人 先ほど御質問に答えたときにも申し上げましたように、一たん事あれば、我が国は、皆様のお決めになった原子力災害対策特別措置法に基づいて、国の関係機関がそこへモビライズされて、まさに国の総力を結集して、そこで適時適切な判断をする、そういう仕組みになっているわけでございます。
したがって、原子力委員会がそこでそれに対して何をすべきか。私どもの役割は、法律に定められていますように、我が国の原子力政策を企画、審議、決定するというのがミッションでございますので、そこで緊急のことを決めるといたしましても、そこは、まさに火事場で火消しをしている方々が一生懸命やっていることを応援するのが筋であって、こういう新しい火消しの方法があるよ、あるいはこういうこともやらなきゃならないよということを外部から言うことが適切かと。私はやはり、目の前で、十一日、十二、十三と、原子力が爆発しているような状況で、そういう会議を開いてそういうことを議論するのは適切でないというふうに考えたわけでございます。
したがって、それを見て鎮静化したところで、我々がまさしく今、先ほど申し上げましたように、短期、中期、長期の観点からなすべきことを検討し、今後取り組んでいくことを皆様にお願いするというのが基本的な法律に定められたミッションと考えているところでございます。
○阿部委員 確かに法律上は、今近藤さんがおっしゃったように、原子力委員会設置法にも原子力災害対策特別法にも、一たん事あれば原子力委員会がどうかかわるかは書いてありません。でも、原子力委員会の設置の大もとが、安全性を第一に、旨として、前提なんですね、ここがなければ、この委員会そのものは立脚点がないわけであります。
私は、今の近藤委員長の御答弁というのは、逆に今後がさらに不安になります。それが燃え盛っていてもだれかに任せておいて、こっちでアクセルだけ踏まれては困るわけです。これは、そこほどに皆さんには責任があるし、やはりアクセルとブレーキは両方なければ暴走するだけであります。
私は、鈴木委員長代理にも伺いたいです。
なぜ一カ月も開かれないまま、代理としては何の取り組みも、せめて開こうとか、おかしいじゃないかとか、だって、SPEEDIの情報だって、個人的には云々とおっしゃいましたが、これは個人的にじゃないんですね。スピーディーにやるということを安全のために含み込んでやらねばならないわけです。
簡単に伺います。
なぜ一カ月も何のお声も上げられなかったのかという点です。お願いします。
○鈴木参考人 御指摘の点、私自身、本当に反省しておりまして、実は、非常に原子力委員の中でも悩み込んだあげくの定例会を開かないということになったわけで、これは本当にもう一度原子力委員会の役割とは何だということを評価していただく必要があるかなと個人的には思っております。
実際に、例えばSPEEDIの件にしましても、ほかの情報公開にいたしましても、個人的にはさっき申しましたように悩み多いことはあったんですけれども、やはり先ほど近藤委員長が申しましたように、とにかく現時点でできることは対策本部に対する支援ということで、それに徹底しようということで合意に達して、それが長期にわたってしまったということが、結果的には三回も定例会を飛ばすことになってしまった。そこが、結果的にはそういうことになってしまったわけですが、御指摘のとおり、反省はしております。
○阿部委員 私は、過ちは起こり得るものとは思っていますが、それを今後どうなさるかということが非常に重要ですし、原子力政策というのは、これまで、だれもが安全性を担保しながらということは、どなたも、どんなスタンスに立って進めるという方も、私ども社民党はフェードアウト、もっと縮小していけという立場ですが、この立場の違いを超えて、現実の一致点は安全性であると思うわけです。
そういう中で、先ほど来、皆さんの御議論を伺っておりますと、とにかく、この事故の原因が何で、なぜ対策がおくれたのか、なぜ原子力委員会が一カ月も開かれなかったのかは、すべて検証委員会にゆだねると。ここでまた丸投げ。
私どもは、検証委員会は必要と思っております。そして、即刻立ち上げるべきだと思っております。実は、昨日も、官房長官の会見で、事故の収束見込みがあってからとおっしゃいますが、それでは遅いし、国民は納得できないと私は思います。
なぜ委員会が開かれなかったのか、なぜSPEEDIはスピーディーに情報を伝えないのか。さっき吉野さんの質問にもありましたが、わざわざ風下に逃げてしまったわけです。私は、それを考えると、本当にこの検証委員会は即刻立ち上げる、今ある既存の原子力のためのいろいろな委員会は残念ながら国民の信を得ておりません、これだけのことがあったんだから。
即刻立ち上げるべきだと、せめて近藤委員長、そして代理の鈴木先生は、総理に進言なり委員会としてのお考えをおまとめいただけませんか。どなたもおっしゃいました、検証委員会の重要性、早い方がいいと。どうでしょう、委員長。
○近藤参考人 原子力委員会設置法二十四条にはもちろん政府に対する勧告権がございますので、私どもとして議論をいたしまして、それが適切とするところについては勧告ということもあり得るわけでございまして、心持ちは全く同じでございます。
私どもも、即刻という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、何より、現実に原子力発電所はまだ動いているところもあるわけですから、その方々にとって、あるいは世界の皆さんが実際に原子力発電所を動かしているわけですから、自分たちの原子炉に同じ問題があるのか、全く福島だけの問題だったのかということについての区別をなくして、安心して運転できないわけですから、このことについては、正しく原因究明をし、伝える。
そして、今御指摘の原子力委員会の位置づけにつきましては、平常時の問題じゃなくて緊急時の問題なんです。緊急時に原子力委員会はいかなる役割を果たすかということについて、各委員から御指摘、御批判をいただいているわけですから、緊急時ということについて、日本のシステム全体として、まさにシステムがなかったということが今回よくわかったわけで、そういう日本における原子力緊急時のシステム全体を先ほど原子力災害特別措置法でカバーしていないことが多々見えたところについて、これまた緊急に見直す必要があるということもぜひ提言していきたいというふうに考え、その中で、原子力委員会とすれば、いかなるポジション、役割を果たすべきかということについても当然に言及されるべきと思っています。
○阿部委員 直ちにかどうかは別にしてとは絶対おっしゃらないでいただきたい。今もって、ブレーキのない車に国民は乗っている。この思いは、本当に、きょう、皆さんがぜひ組織として今果たすべき役割なんだと思いますよ。ぜひ御提言いただきたいと思います。
そして、あと皆さんに聞かねばいけないので、鈴木代理、いいでしょうか、即刻と御提言いただきたいが、お取りまとめは。
○鈴木参考人 了解いたしました。即刻、定例会で議論して、みんなで決議したいと思います。
○阿部委員 では、尾本委員にお伺いいたします。
一体、委員は、炉心損傷あるいは溶融はいつお気づきになりましたか。そして、それを、個人としてはいろいろやられたのかもしれません、原子力安全委員会にも御提言されたのかもしれません。しかし、そうした事態、チェルノブイリであり、対応があり、IAEAでも学んでこられた、それをこの事故でいつお知りになったか、これをお願いします。
○尾本参考人 事故の起きた当日の夜遅くには、非常に事態が深刻な状況に行っているということを電話連絡で知っておりました。具体的には、一号機で建屋内に入ることがもはや相当難しくなってきているようだという情報も、翌日には早いうちに知っておりました。
それをもとにして一体何をしたのかというのが御質問の趣旨かと思いますが、私は個人的には、原子力発電所について知識のある専門家として東京電力の事態収束のチームの中に入って、その中でいろいろと議論を重ねてまいりました。また、現在においてもその活動は続けております。
安全委員会等に対してしかるべき助言をしなかったのかということにつきましては、先ほど近藤委員長の方からもお話がありましたように、委員会のとるべき役割の中で、緊急に提言をすべきものというのはあるのかもしれませんが、それはそれで、例えば私どもの周辺にいる専門家、例えば環境放射線に関する専門家等と話し合いをとって、彼らなりにアクションをとるということについて話し合ってきたつもりであります。
○阿部委員 今の御発言を聞いても、私は国民不在だと思います。それだけの危機があるなら、教えた上で、伝えた上で、全力を挙げるということに、先ほどのアンケート調査でもわかるように、国民は逆に冷静で、この先を一緒に考えようとしているわけです。ただ、隠されてしまえば、それほど深刻だと専門家が思っているときに、一方では非常に安易な憶測が飛びました。また、レベル7に上がったのも、実は三月十五から十七の線量に基づいていますが、実際に報道されたのは四月に入ってからでありました。これでは、情報の、国民との本当のコミュニケーションができないと思います。
私は、次に秋庭委員にお伺いしたいと思いますけれども、非常に今現在も、単に立地の大熊や双葉や浪江の皆さんだけでなく、南相馬、飯舘、あるいは福島県、あるいは全国民、本当に、この原子力のリスクを正しく評価して、軽減できるものは軽減して、そして安全性をどう担保するかなど、皆深刻に真剣に見ていると思います。
私は、とりわけこの原子力関係の事故では、被曝量といいますか受けた放射線の個人管理が必要だと思いますが、各避難所などをお訪ねになって、先ほどの風下に逃げてしまった方もあるわけです、この個人管理の状況について今後どうすべきか、お考えをお願いします。
○秋庭参考人 個人管理のことですが、避難なさっている方たちは、各地でスクリーニングを受けていらっしゃいます。そして、そのスクリーニングの結果について証明書をいただいております。それをもとにして自分が被曝した量というのを自分で把握しているというところなんですが、先ほど申しましたように、決してそのことが、では、その量が自分の体にとってどれぐらい影響があるのかということ、ほとんどの方は実はそれほど深刻な影響を受けるほどの量を受けていないんですが、それ以上に不安に感じていらっしゃいますので、今必要なことは、この量はどれぐらいのものなのか、体にはどのぐらいの影響があるのかということをきちんとお知らせするということが大変重要だと思っております。
そのことについて、では、私が思っているのにもかかわらず何をしたかと多分言われると思いますので、そのことをきちんと各方面にお願いして、迅速に避難所にそのことについて御説明する方を派遣してほしいということを申し上げたいというふうには思っています。
○阿部委員 あくまでも、例えば発がん性がどのくらいふえるかとかは疫学的な調査でしかわからず、個人の感受性というのは全くまた違うところにあるわけです。原発のときもそうでした、相次ぐ原子力の事故のときも、必ず被曝手帳と個人管理、できればフィルムバッジみたいなものできちんと経年的に管理をしていく。
今のように、何ミリシーベルトで安心、ここからは退去と、これを四角四面にやり続ける限り、本当のリスクマネジメントはできないと私は懸念していますので、ぜひ原子力委員会の中でも個人管理を徹底していくという観点を貫いていただきたいと思います。
最後に、大庭参考人にお願いいたします。
私は、アンケート調査などで、では原子力政策を続けるべきか否かと問われたときにフィフティー・フィフティーになる大きな理由の一つは、他の具体的なエネルギー政策の提案が実現可能性を持って、あるいは国の政策的な選択の優先順位を持って示されていない中でいろいろあると思います。さっき委員は原子力政策は当面続けねばならないとおっしゃいましたが、それは、ある意味真実かもしれないけれども、ある意味変わり得るんだと私は思うんです。
特に、ドイツなどでは、エネルギー政策を環境・エネルギー省と、全体のエネルギー政策の中に原子力を位置づけているわけです。ここがない限り、相変わらず原発イエス、ノーが問われて、国民の選択肢も実は狭められていくと思いますが、この諸外国の状況と比較して、我が国の状況についての御意見を最後にお願いします。
○大庭参考人 非常に大きな質問であるというふうに受けとめております。
先ほど私が何度か述べております原子力についてのガバナンスシステムの改編の話とかかわるのですが、これは私個人の意見ですけれども、今の原子力政策は、確かに一つの大きなエネルギー政策の一部に位置づけられているものではあります。しかし、原子力というものの特殊なガバナンスというのが別にあって、その間の連携がうまくいっていないというのは、それは明らかです。これは、フランスにおいても、それから今阿部先生がおっしゃられたドイツにおいても、そのような総合的なエネルギー政策の観点から原子力を位置づけるというのは、もう当然のことであると思います。
それから、もう一つ原子力について述べておかなければいけないのは、今、核セキュリティーということが非常に問題になっておりまして、すなわち、日本が原子力を導入した一九五〇年代と比べ、そのときはいわば研究開発ということにトピックが特化されていたわけですけれども、今は、実際に事業が行われ、かつ、九・一一以降に、世界的に核セキュリティーの問題というものも原子力を考える上で非常に大きな課題になってきています。
そうしますと、まず総合的なエネルギー政策の中で原子力を位置づけるという視点と、それからそれ以外の、核セキュリティーといったほかの分野も含めた総合的な原子力行政というもの、これをどういうふうに統一してシステムの中でやっていくのかというのが今後の組織改編をする場合には課題になってくると思うんですね。そのことを勘案して、私としても、いろいろと考え、意見を述べていきたいというふうに考えています。
以上です。
○阿部委員 ハーバード大学のサンデル教授が、ぜひこれはあらゆる偏見を捨て、そして立場の違いを超えて深い議論をとおっしゃっていました。この委員会がそうした場を提供していただいたことを感謝して、質問を終わります。
○川内委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。
積極的に御提言をいただけますように。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会
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