科学技術・イノベーション推進特別委員会 第7号(平成23年7月22日(金曜日)) 抜粋

案件:

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(科学技術基本計画について)

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

津村委員長代理 残りの質問は、ぜひ自由討議の方でお願いいたします。
 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
 本日の参考人の皆様には、大変高度なというか専門的なお話も含めてお聞かせいただきました。
 まず冒頭、相澤議員にお尋ねいたしますが、総合科学技術会議の歴史を見ておりますと、二〇〇八年にノーベル賞学者との懇談というか意見交換というのがございました。今般の原子炉の事故を含めて、日本の科学技術、科学技術界が世界からどのように見られておるか、あるいは国民からもどう見られておるかということで、近々、例えばシカゴにおられる根岸英一さんとかあるいは野依先生もいろいろお書きでありまして、日本の知の代表であるノーベル賞学者と今回の事象をめぐって、震災並びに原発事故、意見交換の御予定が総合科学技術会議におありかどうか、お願いいたします。

相澤参考人 ノーベル賞受賞者の方々と公開の場で、フォーマルな意見交換というものは現在のところは予定をいたしておりません。
 ただ、今お名前が出てきたような方々とは、いろいろな機会に意見交換をさせていただいております。

阿部委員 私からは、ぜひ国民にも開かれた形で、自主、公開、民主ではございませんが、今やはり必要なことは、国民が科学技術のあり方と自分の存在を結び合わせていくところだと思います。専門的な、いろいろな難しい状況を理解しなきゃいけないということもありますが、ぜひその点にも開いていただけますようお願いいたします。
 二点目は、本庶先生にお願いいたします。
 科学技術会議が一九五九年にでき、総合科学技術会議が平成十三年にでき上がっております。先生は、このたび、行政と独立した科学技術政策シンクタンクというものを設置して、科学技術とある意味で国のこれからということを、より行政とは分離して、しかしもっと強力に進めようという御提案と受けとめました。
 たまたま私は一九九五年の新聞記事を見ておりましたら、これは科学技術会議の時代ですが、科学技術基本法などができ上がりまして科学技術と社会ということが大きく問われたときに、科学技術会議そのものが実は大変いい結果も上げている反面、すぐれた内容を評価する海外の政策担当者も、なぜか我が国のさまざまな科学技術の計画立案の達成度についての評価が全然ないんじゃないかという指摘をしておられました。
 具体的には、今回、三期目の基本計画の中で「もんじゅ」の推進というのが重点分野に次ぐ形で出てまいっておりますが、残念ながら、五年を経て、核燃料サイクルというのは非常に難しいところに立ち至っておると思います。
 私は、これを科学技術的に見てどうかというようなことも政策点検していただけると、より国民の考える土台になると思いますが、政策点検機能は今後どういうふうにしていったらいいとお思いでしょうか。

本庶参考人 これにつきましては私も簡単に触れましたが、従来、提案のときは、つまり予算をつけるときは一生懸命議論するのでありますが、その結果がどの程度達成され、社会にどのような効果をもたらしたか、ここの検証は極めて問題であったということを総合科学技術会議の議員全員が確認しており、それに向かっての新しいシステムを構築すべきである、そういうことを考えております。
 ですから、シンクタンクというふうに申し上げたのは、行政の各省庁につながりますと、先ほどちょっと申し上げましたが、日本の官僚システムは失敗したということを決して認めないというのが伝統になっておりまして、徹底的なレビューというのは不可能であります。ですから、そこから独立した形できちんとしたプランニングからレビューまで含めたことをやり、それと将来の総合科学技術会議に匹敵する新しいイノベーション戦略本部が密接な連携をする、それが望ましいと考えております。

    〔津村委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 ありがとうございます。ぜひ、検証ということも含めて今後の政策展開がなされるよう、私もお願いしたいと思います。
 次に、白石議員にお尋ねいたしますが、レジュメを拝見いたしますと、原子力利用については、判断保留という形で先ほども現状の御説明がありました。
 ドイツなどでは、今回の福島事故をきっかけに、簡単に言うと原子力倫理委員会のようなものをつくりまして、技術者だけじゃなくて、諸般のいろいろな国民の声を代表するような方を入れて、その中での論議で、ドイツは、国の政策として二〇二二年に脱原発を決めたということがございます。
 判断保留ということも、確かに総合科学技術会議のお立場としてはあり得ると思いますが、いつまでも保留もしていられないというところもあって、ここを補っていくための何か方策をお考えであるのか、あるいは、ドイツのこうした原子力倫理委員会などの取り組みはどう評価されますか。お願いいたします。

白石参考人 どうもありがとうございます。
 先ほども少し申し上げましたが、原子力の平和利用、エネルギー利用につきましては、国としては、科学技術・イノベーション政策だけではなくて、エネルギー政策あるいは原子力政策そのもの等々、極めて密接に連動しております。
 ですから、判断保留というふうに申し上げましたのは、国として、特にエネルギー政策をどうこれから見直し、新しいエネルギー政策の基本計画をつくっていくのか、それを見ながらでないと、科学技術政策としても、こちらだけが一方的に基本計画の中で何か長期的なことを言うわけにはいかないということで、判断保留というのが正確な言葉かどうかわかりません、むしろ、それを見据えつつ、我々としても柔軟に対応していくというのが基本的な考え方でございます。
 今回の大震災によって、この問題が非常に重要な政策課題であるということは、これはもう総合科学技術会議の議員全員が十分認識しておりますので、そこについては、真摯に、オープンに、できる限り情報を公開しつつ議論していく必要があるだろうと思います。

阿部委員 ありがとうございます。
 エネルギー政策への国民参加という意味で、これからまた御尽力いただかねばならないと思いますが、学術会議の廣渡さんにお伺いいたします。
 先ほど、六つのシナリオをおまとめいただきまして、私も拝見して、大変わかりやすいし、よくできていると思います。こうしたシナリオをどう国民とやりとりしていくか、そのための場の設定はどうなさるのかというのが一つと、あと、願わくば、私は、ここに使用済み核燃料の制約、置き場がない状況が続いていくということもございまして、世界的な問題になっております。六つのシナリオにはちょっと含まれていないようにも思いましたけれども、トータルに国民に選択肢をお示しいただけるのは学術会議かなと思いますので、このあたりも含めて、どのように今後御計画でありましょう。

廣渡参考人 現在、委員会で鋭意審議中でございます。三つの観点があって、一つは電力の安定供給、これは経済的なコストの問題、それからCO2に見られるような地球気候変動、地球環境問題、そして国民生活への安全、国民の生命身体の安全の問題、この三つがメリット、デメリットを考える判断基準だということで議論を進めております。放射性廃棄物の問題も議論の中に入っております。今後の、詳細なデータをつけた、エビデンスをつけた、国民に向けて最終的にお示しする報告書の中には、その問題も含めて提案できると思います。
 それから、国民とのコミュニケーションの問題ですけれども、委員会の審議の中でも、こういう問題に即してシンポジウム等を開催して、市民の皆さんとの広い討議を踏まえながら、さらに委員会の議論を深めていく必要があるのではないかという議論が出ておりますので、それは積極的に私の方でもサポートをして、そういう機会をつくっていきたいなというふうに思っております。

阿部委員 ありがとうございます。

-----------------------<中略>----------------------------


本庶参考人 先ほど馳先生から、よりよく死ぬということに関しての御質問がありまして、基本的にそのことと相通ずるものがあり、今御質問いただいた終末期医療の問題は極めて重要な課題である。これは国民的な合意形成、啓蒙という側面もあると思います。非常に重要でありますが、一方で、司法の問題も非常に大きい。
 と申しますのは、御承知のように、安楽死の問題、それから、医師が手を抜いたというふうなことで刑法で罰せられるという状況の中で、医師として、もうこれは無駄な医療であるということを家族に説得するのは非常に大きなエネルギーが要る、こういう状況が日本の社会に蔓延している。これも含めて、私どもは改善していかなきゃいけない。単にこれは科学技術政策だけの問題でないので、問題は非常に大きいと思います。
 それから、予防医学の推進で一言つけ加えますと、よく冗談で申しますが、車両保険は事故があるとだんだん料金が高くなるんですが、健康保険は何回病気をしても、民間保険は別ですが、社会保険は高くならない。健康診断に行っても全部自前である。これはやはり税制的に多少何らかの改革の余地があるのではないか。そういうふうなことです。

阿部委員 私は、先ほど奥村議員には質問ができなかったので、もう一回お時間をちょうだいいたします。
 企業のコンプライアンスあるいは社会的責任ということでございますが、ある業績を上げようと思った場合には、当然、データ捏造を含めて、あるいは、残念ながらこの前のやらせメールの問題などで、成果主義に立つときに起こりがちなコンプライアンスの低下というのがどうしてもあると思うんですね。
 総合科学技術会議では、そうしたことはどのようにお考えであるか。特に、先ほどお話しのように、十八兆円のうち、日本は民間投資が大変に多くて、国の投資は少ないわけです。これは私はもっと国は投資すべきという立場でもあります。
 いずれにしろ、今民間投資をたくさんいただいてやっているという中で成果を上げようと思えば、いろいろな操作ないしは不都合のあることを隠すということが起きがちですが、この点については、どのようにレギュレート、制御していかれますでしょうか。

奥村参考人 お答え申し上げます。
 極めて企業の本来的な営利活動の根幹にかかわる御指摘だと理解しております。
 御案内のように、たびたび不祥事が、企業の内部のCSRの不十分さによる問題が世間を騒がせているということは、私は企業人としても極めて残念に思っております。
 この問題と、いわゆる科学技術あるいは研究開発の成果という二つを重ね合わせて考えてみますと、研究開発の成果にかかわる不祥事はいずれ露見いたしております。これは過去からの事例でもそうです。つまり、世の中それほど偽りが長続きしないという、極めてこれも科学技術的に自明なわけでございますけれども、こういったことが一つの自浄作用になっているというふうに考えてございます。
 しかしながら、大事なことは、こういったことを起こさない、最初の問題でございますので、企業における研究者の倫理観、特にその上司に当たるマネジャーの倫理観というものが極めて厳しく問われておりまして、ここにおります私どもも、企業に対しては、科学技術の倫理の問題について、そういった姿勢をより徹底するように求めているところでございます。

川内委員長 ありがとうございました。
 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 特に、本庶、白石両参考人から出ました、総合科学技術会議の改組がおくれていることが日本の科学技術の発展にとってマイナスだよという御発言については、当委員会としても重く受けとめさせていただきたいというふうに思うところでございました。
 しかし、吉井先生から指摘の出た原子力のサイクルの問題ですけれども、「もんじゅ」などは国民の皆さんの税金を一兆円使っているわけですけれども、PDCAサイクルが大事だとみんな言いながら、実は政策評価は、順調に進捗しているという評価になっているんですね。
 だから、PDCAサイクルを厳密、正確にやるということがこれから必要だろうなというふうに感じたところでございまして、科学技術が国民の信頼をしっかり受けるという意味においては、何をやっているか、そのやっていることに対する評価もまた厳密に、タコつぼ化せずやらないと、それこそ信頼をなかなか得られないということになるのではないかというふうに思うところでございました。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次回は、来る二十八日木曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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