科学技術・イノベーション推進特別委員会 第9号(平成23年8月3日(水曜日)) 抜粋 案件:
科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(我が国の科学技術、イノベーション推進の今後の在り方について)
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〔前略〕
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
本日はありがとうございます。
ただいまは、吉井さんは核融合の方をお尋ねですが、私は、核分裂で、いわゆる原子炉の事故のことで先ほど小柴教授からお話をいただきましたが、アメリカは、核実験の経験、あるいは原爆投下からのさまざまな知見などを持っているから、そこに協力を仰ぐべきだと。私もそのように思います。やはり、実際に軍事としても活用してきたし、たび重なる核実験で知識は蓄積をしておられると思うんですね。
私も、実は、まだ現在も終わっておりませんけれども、三月十一日の事故の後、五月に、アメリカのNRC、原子力規制委員会にお話を伺いに行ってまいりました。そのときにとても印象に残りましたのは、いわゆる使用済み核燃料棒の問題を、実は原子炉の問題以上に、今回の福島における事態でもアメリカ側は心配していたように私は印象を受けました。
この使用済み核燃料の問題は、フィンランドでも、十万年どこに保存するかというような論議を行わざるを得なかったり、また我が国でも、今も四号炉は千五百本余りをぎちぎちに詰め込んで、置き場を移すことができない。そうすると結局、次の世代に赤字国債以上の負荷をかけ、そして、放射性物質の捨て場のないものを残すのではないか。
私は、今の世代の責任として、今は電気を使えていいけれども、あとは全部次の世代にというのでは大変に申しわけないと思うのですが、この点についての小柴教授のお考えをお願いします。
○小柴参考人 今おっしゃったように、今まで実用に使われているいわゆる核分裂の原子炉にしても、私は前から聞かれると言っているんですけれども、原子炉による発電というのは必要悪だと。決して、問題なく利用できてぐあいのいいものじゃなくて、今おっしゃった放射性廃棄物という大変な悪がくっついてくる。それをどういうふうに永久的に処理したらいいかというのはいまだにわかっていない。
私はその当時も言ったんですけれども、もっと本気で、放射性廃棄物を永久に、将来の世代に渡さないで、頭痛の種にならないようにする一つの方法というのは、例えばこの間の大地震でも痛感しているんですけれども、太平洋側のプレートが日本列島の下に沈み込んで大地震を起こした。日本海溝という深さ一万メートルぐらいの海の底で起きていることですよね。そうすると、昔そういう可能性をある人も言っておられたんですけれども、鉄の箱におさめた放射性廃棄物をその一万メートルの海底で沈み込んでいく太平洋のプレートにつけたまま日本列島の底に沈めていったら、これは十万年たっても出てこないですよ。だから、そういうことが可能ならば一つの解決方法になり得るわけです。
だけれども、技術的にそういうことが可能かどうかというのは、これはよっぽど本気になって調べてみないと何とも言えないことだと思います。
○阿部委員 わかりました。ありがとうございました。
-----------------------<中略>----------------------------
○阿部委員 小柴先生には、長時間お疲れさまです。私も、二度目の質問をさせていただきます。
きょうのお話の中で、実は、私が一番深く感動したのは、先生がやっていらっしゃる平成基礎科学財団のアジアンサイエンスキャンプと呼ばれるもので、二〇〇七年から始まったということで、恐らくことしはもう五回目になるんでしょうか。クラスターではありませんが、アジアで若い人たちをある程度集積していって、次の時代を考えるという意味で、大変にすばらしい取り組みだと私は思いました。
それで、今度で五回目だと思いますけれども、重ねられて、その御感想というか、あるいはこれからどのようにやっていかれようとするかということをもう少しお願いします。
○小柴参考人 これは余り表立って公表しない方がいいのかもしれないんですが、実はこのエーシアンサイエンスキャンプというのは、基礎科学の分野では、英語をオフィシャルランゲージにして、宗教とか国の損得とか政治に関係なく、それぞれ意見の交換ができる分野なんだ、だから、基礎科学をとって、子供たちに自由な討論がやれるような場をつくってあげる、これで始めたわけなんですね。
ところが、それをつかさどるアドバイザリーコミッティーというのに、日本の小林誠さんとか野依さんとか、それから私は中国ではヤンなんという先生も呼んできて、そのコミッティーをつくったんですけれども、悲しいことに中国のヤン先生が非常にナショナリスティックな要求を出して、結局それが問題で、そのアドバイザリーコミッティーがいわば途切れちゃったような段階になったんです。これは去年のことなんです。今、小林誠さんが中心になって、それを何とか生き返らせようとしていますけれども、難しい問題というのはまだ残っているんです。
例えば、皆さんも御想像はつくでしょうけれども、韓国の次に強くこのエーシアンサイエンスキャンプを主催したいと言い続けているのはイスラエルなんです。ところが、それに対して既にアラブの方は、そんなのにはおれたちは参加しないということをはっきり言っちゃっているわけなんです。そうなってくると、基本的な精神というのが損なわれちゃうわけですよね。一体どうしたらいいのか。韓国の次の来年のエーシアンサイエンスキャンプをどうしたらいいのか、大変な難問になっています。
○阿部委員 大変多難な中ですが、ぜひ、当初の目指したものを求めて、なおよろしくお願いしたい。本当に、科学を求める子供たちのというか若い人の心は必ず世界で隔てなく結ばれると思います。よろしくお願いしたいと思います。
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