第177回国会 厚生労働委員会 第11号(平成23年4月27日(水曜日)) 抜粋 案件:
委員派遣承認申請に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案(内閣提出第二三号)
雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
次の柿澤さんが来られるまでの間、なるべくぴたりとはまるようにやらせていただきます。
私は、きょうは、まず冒頭、震災の問題でお尋ねをいたします。法案についてはその次に触れさせていただきます。
東日本大震災というのは雇用面でも大きな打撃を与えておるということは、各委員御指摘でありました。今、厚生労働省の方で、今回の東日本大震災が雇用に与えた影響というものをどのように集計しておられますでしょうか。一点目です。
○小宮山副大臣 これもたびたびお答えしていますけれども、どれだけの方が職を失ったかとかそういうことは、被害の全体像もまだ把握できていない中で、確実な数字はございません。
ただ、被害の大きかった岩手、宮城、そして福島の三県の湾岸部のところで八十四万人の方が働いていらしたと。その数字しか今は把握をしておりません。
○阿部委員 今の小宮山副大臣の御答弁は、その地域にあった事業所と就業者数を大体あらあら試算されたもので八十四・一万人ということであります。
そして、この地域というのがどういう地域かということを考えますと、実はハイテク産業の心臓部になっていたり、もちろん、農業、漁業、あらゆる仕事があったわけですが、私が大変今懸念いたしますのは、こうした部分で、合わせてどんな職業訓練をこれから計画していかれるのか。当然、転職ということもなさらなきゃいけないしということもあって、その全体像を、また、お考えはどのようにありましょうか。
○小宮山副大臣 被災した方が職業に新たにつかれるために、地域のニーズに合った職業訓練をどう組み立てていくかということは大変重要なことだというふうに考えています。
ただ、今、当面のものですけれども、被災者向けの特別コースの設定などをしまして、建設関連分野を初め、公的な職業訓練を機動的に拡充、実施をしていきたいと思っております。
被災地での訓練コースの検討状況ですけれども、青森県では建設機械オペレーター科、これを四コース、五月下旬、六月上旬に二コースずつ開講を予定しています。また、岩手県で建築系の総合オペレーション科三コース、これは五月下旬に開講を予定しています。また、宮城県でも建築系の訓練コースを五月から六月に開講を予定しております。
また、補正予算で機構のポリテクセンターの建築関連分野訓練の定員の拡充ということで一億円を要求しておりまして、これは千八百人分と考えています。
また、二十三年度の当初予算で、公共職業能力開発施設で実施する職業訓練で四・五万人、民間教育訓練機関を活用した委託訓練で十七万人、基金訓練で十二万人、基金訓練を恒久化する求職者支援制度の職業訓練で十二・六万人の合計四十六万人分の職業訓練を計画しておりまして、被災した方々のニーズに合った形を、今、当面はとにかく瓦れきの処理とか仮設の建設とか建築関係が重要になってくるので、当面はそういうものを考えているということです。
○阿部委員 いろいろな製造分野でいえば、きょうの毎日新聞によれば六割程度は回復という報告もありますが、果たして本当にこれを力強く後押ししていくための施策がどうであるかということも重要なんだと思います。今、小宮山副大臣は主に建設関係、イメージしやすいわけですよね、瓦れきをどけて、建物を建ててというのは。それは主に復旧にかかわります部分で、逆にこの地域が本当に経済活性を持って復興していけるための支援というものも必要なんだと思います。
お手元に前回と実は同じもので内容が違うものがお示ししてありますが、これは被災を受けた訓練センター、前回の質疑のときにも、人的被害がどうであるとか、床下浸水であるとか、全部が床上まで水につかってしまったなどの被災状況をお知らせいたしましたが、逆にここにはどんな訓練科があって、そしてそれが今後どんなスピードで再開していくかということをきょうはお尋ねいたしたくてこちらを用意いたしました。
人的被害があった、すなわち被害のひどかった石巻やテクノアカデミー浜、これは福島ですね、それから今少し小宮山さんもお触れになりました宮城県のポリテクセンターなど、いずれも中止、中止、中止となっているような、要するにいついつ再開のめどとか再開予定とかが全然立たないものは、実はこの地域の職業訓練にとって極めて重要な内容を含んでおります。
私がこの前視察してきたのは一番上のポリテクセンターですが、ここでは例えば制御システム技術科などといって、コンピューターを用いて物づくりの製造過程をやるものなんですね。でも、これが私の背より高いところまで浸水しておりまして、泥をかぶっています。開いていただいた二ページ目、これは実は精密機械の部分のところではないのですが、どこまでかぶったかということ、これは被災後四十日たったところですが、全部ヘドロが張りつきまして、コンピューターの上も机の上も、何もかもヘドロまみれであります。当然、精密機械であれば中まで全く使えないわけです。
でも、このポリテクセンターや、先ほどの私のお示ししたテクノアカデミー浜あるいは石巻の高等技術専門校などは、非常に堅実な産業の下支え分野をやっておるわけです。ここの部分の回復を、実は今回復が進むのは、パソコン講座みたいなものはコンピューター一つで、そして教える人と受ける人の訓練でいきますけれども、こうした分野、特に日本の物づくりの、それもハイテクで中心的なところであったというところをもう一度回復していくために、再度お伺いいたしますが、このポリテクセンター部分におけるパソコンとかOA関係でない部分の機材を全部リニューアルいたさねば使えません。一台二千万、三千万の機械も使えません。それで果たして、先ほど補正の一億とおっしゃったけれども、それを当てにしておられるのか、ここをいつまでに立て直して、どこでやってくださるのか。小林政務官、お願いします。
○小林大臣政務官 実は私も、宮城県の多賀城市にある宮城ポリテクセンター、四月十六日に視察をしてまいりました。今、阿部先生おっしゃったように、私の背よりか高いほど水が来ていまして、すべての機械が水没した、こういう状態も見てきました。したがって、現在、あの状態では到底訓練の再開が難しい、このように把握をいたしました。
被災地の地域で産業復興に向けた人材育成、本当に大変大事だと思いますので、ほかのポリテクセンターなどももちろんこれから復旧作業に入りますけれども、特に宮城のポリテクセンターを早期に復旧することは大変重要である、このような認識を持っております。したがって、今般の補正予算で、仮設の実習場等の整備を行うための経費として約十五億円計上をいたしました。
補正予算成立後、仮設の実習場の整備を速やかに進める、そしてできるだけ早く、早期に訓練が再開できるように取り組んでいきたいと考えておりまして、特に、ことしの秋ぐらいまでには電気設備あるいは溶接訓練コースの一部を再開したい、また、できれば年内に住宅の建築訓練コースなどを再開したい、こういうスケジュール観を持ってこれから取り組んでまいりたいと思います。
○阿部委員 ぜひお願いしたいと思います。
もちろん、当座の復旧の瓦れき処理あるいは建物を建てることにも人の雇用は生まれますが、それが次に続いていくような、本当の回復に向かうように、今御答弁いただきました点、あわせてお願いいたします。
ちょっと予告外ですが、小宮山副大臣に、現地で聞いたことの実情を少しお伝えしたいと思います。
これは気仙沼で聞き取りいたしましたが、タクシー運転手さんの場合などは、二十四人の運転手さんを抱えた会社が、本社全壊、本社機能が全く立ち行かないというので、全員解雇になりまして、今、労働争議をやり、一部の人が雇用の再開になりましたが、売り上げに応じた賃金しか払われない。あるいは、運送会社の運転手さんも、これも会社が全壊で、一時金のみで首を切られております。あるいは、製氷工場の職員の場合には、四月初旬に、三月分の給与や退職金もなく、一律十万円の見舞金でありました。自動車工場の場合も、会社全壊、三月末で十万円の一時金。加工工場もほぼ同じような、これはいろいろな職種の方に聞いてまいりましたけれども。
それで、「「日本はひとつ」しごとプロジェクト フェーズ1」というものの最後の方に「解雇・雇止め・派遣切りへの対応」と書いてはあるんですけれども、今、私の聞いてきた皆さんは、ほとんどその対応がない。会社がつぶれちゃったんだからしようがないじゃないのと言われましても、仕事がない、生活が立ち行かない、本来であれば失業給付等を受ける立場にあるんだけれども、そうしたことの手だても立っていないという方が非常に多うございました。
この点について、せんだって高橋委員は、ハローワークの職員も足りないじゃないかという御質疑でしたが、私も、彼らの労働相談を持っていく先とか再雇用の相談先というのは極めて不十分だと思いましたので、きょう、予告外ですが、もし御答弁があればお願いします。
○小宮山副大臣 今、阿部委員がおっしゃったのと同じような話は、私も、岩手の大船渡や久慈へ行ったときにも同じように聞いてまいりました。
そういう意味で、厚生労働省としては、雇用調整助成金とか雇用保険の失業手当とかいう形で仕組みはつくったつもりなんですけれども、そのことがやはり事業主の皆様の耳にもちゃんと届いていない、それから働いていらした方のところにも情報がちゃんと届いていない。そこがうまくマッチングをしませんと今のようなことになるということは認識をしております。
戻った後、今ハローワークでは、いろいろと相談に乗って、出張相談なども避難所でしていますけれども、事業主の方に向けて、商工会議所などで事業主の方の相談をやっていたり、そこがばらばらだといけないので、なるべく早くしごと協議会というのをつくるように言っているんですけれども、当面、解雇を防ぐという意味でも、そうした事業主の方と働いている方と双方に、ちゃんと一緒にあわせて相談ができるような仕組みをということで、今、そうしたことも始めています。
ハローワークの方は、全国から応援の要員を継続的に入れて、つくった制度がしっかり周知をされて、実際に解雇されないように、働かないといけないので、そこはしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
○阿部委員 小宮山副大臣も現地でお聞きになったということですので、聞けば聞くほど深刻で、漁業関係者の場合なども、通年雇用ではないので、その方のもともとの就労形態が不安定という方もおられて、そして今、仕事がない状態など、深刻きわまりないと思いました。
そして、労働基準監督署もそうですし、ハローワークもそうですし、そうしたサポート体制をまずサポートすることを重ねてよろしくお願い申し上げます。
では、本案に入らせていただきますが、求職者支援法が今回新たに審議をされ、私どもの党としては賛成の方向ですが、きょう御指摘のいろいろな点、例えば、なぜ職業転換給付金制度を使わずこれをやったかとか、あるいは、今後保険財源を使うことの問題点とか、あるいは、訓練の質をどう担保するのかなどは、私も同じ思いでございます。とにかく走りながらやるしかないかなと。新しい制度ですし、不備もありましょうし、しかし、これを何とか定着させながら、働く意欲を失わないでその方が暮らし続けていただきたいという思いであります。
そして、この支援法の入り口には、職業訓練に送り込むときにまずジョブカードが義務づけられておりますが、このジョブカードを取得するために、キャリアコンサルタントという方がついて、一人一人の訓練を受けるときの指導をなさるわけですが、現在、全国で二万千三百九十人いると言われておるこのキャリアコンサルタントの質というと変ですが、果たしてそれはどうかということ。それから、育成に係る費用としてジョブカード講習費というのが計上されていますが、もともと、ジョブカードをつくるための講習費だけで足りるのか。キャリアコンサルタント全体はいかなる位置づけで、どう充実していくのかについて、お伺いいたします。
○小林大臣政務官 今先生御指摘のように、登録キャリアコンサルタントの役目は非常に大きいものがあると思っています。
先生おっしゃるとおり、平成二十三年二月末現在で二万一千三百九十名いらっしゃいます。本年度、さらに九千人の養成を計画しております。そして、基本的には三年ごとの更新制度をとるとともに、講習修了後も最新の情報を提供するなどしてフォローアップを行って、この登録キャリアコンサルタントの質の向上に現在も努めております。
今後とも、充実を図っていくために、こういうような施策をしっかり進めていきたいと思います。
○阿部委員 私は、一つ、素朴なお尋ねなんですけれども、せんだっても、民間委託されて、OA関係の講習を今の制度にのっとってなさった方が受講したんですが、講師の先生の方が自分よりパソコンについての知識がなかったということを相談されたんですね。では、それはどこに言っていったらいいんだろうと。さっきの高橋さんのお話とも共通なんですが、そうした場合に、ジョブカードをつくるキャリアコンサルタントのところは、そうしたチェック機能を果たせるのかどうか。それじゃ、訓練をだれが担保していくのかというのは、幾ら何でも、全部厚労大臣もできないだろうし、それから、県にいろいろな協議会をつくりますといっても、そこが駆け込み寺になるのかというか、受講者から見て問題があったときに、一体どこに言っていけるんでしょうか。私は、これは非常に疑問に思った、そういう御相談を何件か受けたものですから。
これは予告外ですが、もしお願いできれば。
○小野政府参考人 お答えいたします。
今度の新制度では、認定業務を高齢・障害・求職者雇用支援機構が担うということになりますので、そこで認定をした場合、当然そのフォローも行っていく必要があると思います。つまり、認定をしたその訓練が一体どういう形で、つまり認定したとおりに行われているのかどうか、そういうところもよくチェックをしていく必要があろうかと思います。
今委員御指摘のような問題を未然に防止していく、あるいは、未然に是正をしてそういうことが起こらないように、結果的には求職者の方の訓練の質ということにもかかわってまいりますので、実際、主体としては新機構が中心となって、関係機関とも連携をしながら指導、是正をしていく、こういうことになろうかと思います。
○阿部委員 今私がお伺いしたかったのは、受講者側からの声を吸い上げる仕組みをぜひつくっていただきたいんですね。これは、受ければわかると思うんです、本当に役立ったか。
逆に、今あるのは、出している側のサービスについて、それよりさらに統括している側が評価しているだけで、その結果何%就労したかどうかで、そういう通信簿形式になっているんですけれども、学校でも子供が先生を評価するというのが最近よくありますよね。職業訓練の場合も、そういう側面も、せっかく受けて、えっ、何であの先生は私より知らないのと思われるようなことが相次いでいれば、やはり、その受講結果をいろいろ受講生から聞き取る、そして吸い上げてフィードバックしていくという相互作用をぜひやっていただきたいと私は思います。 もう一つ、ジョブカードについてお伺いをいたします。
ジョブカードは、私自身は大変いい仕組みであったと言ってはいけませんが、あると思うのですが、しかし、いろいろな仕分け、セレモニーの中でちょっと変質してきているのかなと心配になります。特にジョブカードは、若い人たちにとって、自分の仕事、キャリアをどういうふうに自分の中に取得して、次に組み立てていくかという、将来を見通すためにも重要だったと思うのですが、今の場合だと、訓練のためにまずジョブカードが要るよという、どこかちょっとスタートが違ってきている。
このジョブカードは、かつてはというか、今でもやっていますが、商工会議所の皆さんにかなりお願いをして、実際の仕事があるという、その次の自分の仕事の展望と、自分がそうしたカードを用いて能力を上げていくという、非常に連携のある形でやってきて、広まりもしていたんだと思うのですが、この間、政府の流れは、どちらかというと、雇用・能力開発機構なりなんなりに全部寄せてしまって、訓練の前提としてこれを持ちなさいということになって、かえって就労に結びつきづらくなるかもしれないと思うわけです。
これは細川大臣にお伺いいたしますが、例えば二〇〇九年十二月に発表された新成長戦略(基本方針)では、二〇二〇年までに三百万人にするということでありますが、私はむしろ、ジョブカードの生きた使われ方の方が重要と思いますし、これまで商工会議所などにも広くお願いしていた地域の仕事づくりとジョブカードという方式を改めて評価してみるべきでないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○細川国務大臣 ジョブカードにつきましては、非正規労働者、あるいはこれまで就職していなかった方とか、そういういろいろな方が正規の仕事につくために、私はなかなかいいツールだというふうに思っております。
だから、阿部委員がおっしゃるように、いかにしてこれをうまく活用して、非正規の人たちあるいは職のない方が新しい職業につけるように、しかも、その能力をみずから磨いて、そして就職ができるように、それをキャリアコンサルタントがうまく誘導していけるようないろいろな仕組みをやはり考えて、この制度そのものはいい制度だと思いますので、これは有効に活用できるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○阿部委員 結果的には商工会議所に委託していた分を削っての措置でありましたので、私はちょっと心配になりまして、ぜひ、本当に現実に仕事をやっている部分と結びつけてお願いをしたいと思います。
では、終わります。
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