第177回国会 厚生労働委員会 第12号(平成23年5月11日(水曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
派遣委員からの報告聴取
〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
先ほど来、各委員がお触れになりましたように、本日で、震災、津波、そして原子力発電所の事故から二カ月がたちました。この大きな震災被害に対しまして、この間、被災された住民の皆さんの、非常に慎み深く、また人に温かく、そして今は一心に復興を御自身も歩んでおられる姿というのは、世界の中でも本当に高く評価されていると思います。
と同時に、私は一人の医療者として、この災害に当たって数多くの医療関係者が、それこそ不眠不休で、あるいはみずからも被災されて、なおかつその地域の皆さんを支えるべく努力されてこられたことにも、深い敬意と、そしてまた、同じ働く医療現場の者としては誇りも感じるものであります。
実は、この災害を通じて十八名の医師たちがお亡くなりになったと言われています。中には、八十一歳と七十一歳の御高齢な御夫妻で、岩手県の鵜住居村という過疎の村を支えて五十年以上やってこられた方が、町ごと、村ごと津波にさらわれたなどの事案もございました。 また、数多くの、大槌町も山田町も陸前高田市でもそうですが、そこの基幹病院が被災され、その中におられた医師が、御自身の家族を失ったりあるいは御自身も被災されながら、ずっと今も頑張っておられるということもあろうかと思います。
そうした努力や姿は、医療というのは地域を支える本当の大切な公共インフラであり、命のとりでと言われるようなものであり、復興にも不可欠な拠点になると私は思います。
そういう思いからすると、現在政府によって行われております復興会議や、あるいは、この六月にも取りまとめを見るという税と社会保障の一体改革会議の中に、いかにこの間の、本当につらく苦しい、しかし立ち上がろうとするいろいろな人々の努力が酌み上げられているのかどうか、非常に不安に思うものです。
もっと言えば、細川厚生労働大臣には、そうしたいろいろな人々の努力の結果をぜひこの国の再生の中に織り込んでいただくべく御発言をお願いしたいと、まず冒頭、これはお願いでございます。
私は、今回取り上げますのは、震災後二カ月がたちまして、例えば三月十三日、現地を支援するために百九十三余りの緊急医療支援隊が入っておりましたものが、今は緊急医療支援隊、いわゆるDMAT等々は任務を終え、しかしながら、もともと医療の人材の乏しかった地域ゆえ、五月九日現在も約百四チーム、四百五十七人の医療関係者が入り、この地域を支えているということでありました。ちなみに、前回同じことを質問いたしました、四月の二十八日においては、百三十三チームで五百九十二人の支援の方でありました。
私は、こうやって見てみると、どんどんどんどん支援の方は少なくなっていっているのですが、なぜ少なくなっていくのかというと、相手の、例えばお医者さんあるいは看護師さんがこれだけ足りませんよという相手側の要求に基づいて厚労省はそれなりの努力をしているというふうには伺いましたが、果たして本当にこういうやり方で今後の復興に道を開けるのかどうかということが私は大変懸念されます。
例えば、厚生労働省にあっては、甚大な被害をこうむった病院、例えば県立の大槌もそうでしょう山田病院もそうでしょう、陸前高田の病院もそうでしょう、そうした甚大な被害をこうむり、ほとんどもう拠点としてなくなってしまったところ、そこが再生していくためにはどんなビジョンを描いているのか。あるいは、各地域でどの程度従来の診療能力に戻っているのか。
しかし、御承知のように、従来では足りないのですね。一つは、被災をされて、皆、体も非常に状態が悪いということ。避難所生活も長期化しているということ。本当に力強く復興していくためにはどんな手助けが必要とお考えか、これは細川厚生労働大臣にお伺いしたい。
なお、先ほど来の御質問を聞いていますと、大臣は金銭的な支援のことはおっしゃいました。だけれども、これは医療現場からいえば、お医者さんに幾ら給与を払いますからと準備しても、実は配置できません。お金でやれるものであればまだしもです。私は、それだけの支援ではこの地域が本当に人々の健康を支えていくようにはなれないと思いますので、冒頭、細川大臣に、この件についてのお取り組みをまずお伺いいたします。
○細川国務大臣 今回の震災で被災をした地域というのは、もともと医療過疎といいますか、医療に関しては十分でない、そういう地域が多かったというふうに思います。そういう意味で、今後こういう地域を再構築していく、そのためには、まず、高度な医療については医療機関を集約化する、その一方で、日常的な医療については住みなれた地域で受けられるのに必要な医療機能を確保する、その二つをあわせて医療機関の連携を進めていく、こういうことが重要ではないかというふうに思っております。
このための当面の取り組みといたしましては、被災した病院等を支援するため、災害復旧に係ります通常の国庫補助率から引き上げた、そういう額で、このための予算を二十三年度のまずは第一次の補正予算に計上いたしているところでございます。
○阿部委員 お取り組みいただいていることはもう前提ですので、しかしそれだけでは足りないだろうという趣旨なのです、質問は。
例えば、タイム誌、タイムという雑誌があって、そこに取り上げられた菅野武さんというまだ若い医師でしたが、この方は、公立志津川病院で、どんどんどんどん津波が上がってくる、患者さんを救いながら自分も屋上まで行き、屋上で二日間ヘリコプターが来るまで待つということで、タイム誌が取り上げた日本の医師の一つの献身的な姿でありました。
彼はもともと自治医科大学の御出身で、この被災に際して、実は、自治医科大学は、OBの皆さん百人余りがいろいろな形で支援に入っておられます。
私は、ぜひ大臣にやっていただきたいのは、これは自治医科大学のそうした取り組みにもきちんとヒアリングをしてみて、どんなふうに拠点配置したらいいのか、あるいは、そのほかにもいろいろ現地で頑張ったお医者さんたちがおられますから、それをしっかり厚労省が酌み上げて、そして、どことどう連携を、ネットワークをつくっていくのか、今がそうしたビジョンをかく時期であります。
そして、今までよりもまさる活動をしているところもいっぱいあると思います。この公立志津川病院では、もう一人、菅野さんの上司の西澤先生という方も、地域の、むしろ出向く診療を広げたり、気仙沼の市立病院でもそうですし、石巻でもそうです。
私は、そうしたことを厚労省がしっかり聞いていただくことによって新しいビジョンやマッピングができてくると思います。正直言って、このまま政府の復興会議や、あるいは、あの税と社会保障の一体改革の会議も、震災後は実は厚労省が全然出ていないところで会議が行われてまいりました。私にとっては、それで本当にこの復興から立ち上がるためのビジョンが描けるんだろうか。
あすですか、きょうですか、厚労省からも御提案があるということですが、もっとお聞き取りいただいて、本当に命を支えるネットワークができるようにしていただきたいし、そのことが細川大臣の大きな役割でもあり、大臣ならできると私は思っています。心優しく、そして人の話を聞くのに本当に真摯だからです。
今それをやらないと、はっきり予測されることは、税と社会保障の一体改革はとにかく消費税を上げたいというお話であります。その一方で、選択と集中と言われて、地域の実際の下支えは切り捨てられかねません。
私は、一人の医療者として大変懸念しておりますので、まず大臣には、今申し上げましたこと、聞くべき相手はたくさんいると思います。本当に一人一人、医師たちは頑張られました。看護師さんもそうであると思います。その他の医療スタッフも、皆さん苦しい中頑張られたので、その経験を酌み上げるということをぜひお願い申し上げたいと思います。
次の質問に行きます。
次には、被災した介護保険施設などの関連で、お手元に資料をお届けさせていただきましたが、これはこの地域にございますいわゆる介護保険関連の施設がどのように被災したかであります。
政府の調べでは、三県で四十七施設、そしてお亡くなりになったり行方不明になった方は四百二十四人ということでありますが、一方、共同通信社の調べでは、壊滅的被害をこうむった施設が岩手と宮城だけでも五十三施設、お亡くなりになった方も四百三十八人と、少し数値は違ってございますが、いずれにしろ、たくさんの数のこうした介護の拠点が失われております。
そして、今政府ではそれらの再建のために経済支援をなさるということは伺っておりますし、おのおのかさ上げをなさっていることも存じておりますが、だがしかし、先ほど来御質問にありましたように、新たな用地を取得してそこにかかわる土地の代金、あるいは建物も、何分の何かは補償されたとしても、それを二重ローンを抱えながら大変人件費比率の高い介護の分野を提供していくということは、至難のわざとは申しませんが、やはり非常に現実的に困難が多いと思います。
細川大臣にあっては、どのような手だてで、やはりただでも実はこうした御高齢者の介護の拠点は少なかった東北地方です、ふやしていかねばならないときに、よりふやしていけるためにどんなお取り組みをなさるのか、これもお願いいたします。
○大塚副大臣 これも大変重要な御指摘をいただいているわけでございますが、まずは復旧をしないことにはその次に進めないという面もございますので、国会でお認めいただきました補正予算で復旧については五百六十三億円を計上させていただきましたので、これらをしっかりと使わせていただきまして、そうした施設の復旧をまずさせていただきたいというふうに思っております。
ただ、その後に、先生御指摘のように、どのように新しい姿をつくり込んでいくのかということについては、先ほど社会保障改革の厚生労働省の案にもお触れをいただきましたけれども、大臣の御指示のもとで、東日本大震災に遭われた被災地が、今先生が御指摘いただいたような観点も踏まえて、どのような医療、介護を含めた社会保障体制を構築すべきかということについての考えもその中に盛り込まさせていただいておりますので、私どもといたしましては、復旧をするだけではなくて、その先に、限られたリソースの中で、一人でもいわばケアの谷間に落ちるような方がいらっしゃらないような、きめ細かい、そういう先進的な地域をどうやってつくっていくかということを明確に記しておりますので、今回の改革案をベースにしっかりと対応させていただきたいというふうに思っております。
○阿部委員 用地の取得から建物の建設に至るまで、先ほど来の御審議の中では、例えば公設民営というような考え方はどうかということもありましたし、かなり、本当にそこにきちんとお金を入れるという覚悟がないと、私は、これは復旧もできない、もちろん復興もできない。復旧でもとに戻すことがなかなか、その地域が使えなくて新しい土地を求めなければならないという負担があることはもう御承知だと思います。
ここで厚労省にしっかりその見積もりをしていただかないと、ビジョンをかいていただかないと、私は公設民営も一つの選択肢だと思います、わざわざ土地を取得し、また建ててというのは本当に耐えられないと思います、経営母体が。そのことも含めて、ぜひここはお取り組みをいただきたい。あす、きょうかな、出るものに期待したいと思います。
最後に、皆様もお取り上げの避難所の問題に触れさせていただきます。
私も震災以来、毎週末被災地を訪れ、避難所も同じところを何回か重ねてお訪ねをするようにしてまいりました。その中で非常に気がついたことは、やはり比較的お元気な方から、当たり前ですが、次のところに出ていかれる。これは、職が見つかったり、住宅を借り上げたり、あるいは仮設も入れたりなさるのでしょうが、逆に言うと、虚弱であったり、そこからいろいろな御病気を抱えがちな方が残されていくという、これは神戸でもあった現実ですが、それが著しく目に見えてわかるというのが今回の被災であると私は思います。
一方、介護認定の方は、現状でも要介護認定の申請待ちが二千九百六十件ほどあり、待っているというだけではなくて、実は、今は介護認定があるかないか以上に、高齢化し、被災し、孤立しがちな人、被災者の皆さんを、集団ごとと申しますと変ですが、一人一人を認定する作業以上に、皆さんをどう支えるかという保健活動が一つは必要で、これはさっき古屋委員も御指摘でありましたが、そのお取り組みはどうかということ。
あわせて、仮設、仮設というお話ばかりが出ますが、例えば住宅を共同で借り上げて、介護保険の認定があるや否やの別なく、だれかのサポートやケアを必要とする虚弱な御高齢者も含めて、私はケアハウス的な運営を早急になさるべきだと。仮設ができるまで待っていればいるほど、実は生活能力が落ちていくのが目に見えています。
この点について御答弁をお願いいたします。
○大塚副大臣 多くの委員の皆さんから御指摘いただいているこの点については、仮設でどのように対応するかということと、代替施設としてどういうふうに対応していくのか、そして最後に本格的な施設をどう復元するのか、この三段階になっていると思っております。
仮設という意味においては、先ほども古屋委員にも御報告申し上げましたが、仮設福祉住宅、そしてまた、仮設住宅の集合の周りにサポート拠点をつくる、こういう形でいわば仮設対応をしてまいります。代替施設としては、これはやはり事務局の方から答弁させていただきましたが、周辺のホテルであるとか、観光施設で立派なインフラがありますので、そういうものを借り上げる、一時的にいわば介護施設として使っていく。さらにその先に、本格的に、先生御指摘のような方々にしっかり入所していただくような施設をつくる。
しかし、その間も、虚弱な方々という表現をお使いになられましたけれども、そういう方々の対応がいわば脆弱になることのないようにしっかりとやっていかなければならないと思っております。
○阿部委員 私が申し上げたかったのは、例えば要介護認定がおりてからの措置、例えば大きな施設を借り上げてというのは、それは介護保険施設としての借り上げだと思うんですね。そうではなくて、その中間に、例えばグループリビングのような形での借り上げという方式も取り入れていただきたい。悪くなってからよりは、その前に、本当に体と心を休められて、人の縁があるような、まとまりのある住宅が必要で、それは何も仮設とは限らない、五、六人の規模でもいいと思います。そうした視点をぜひ持っていただかないと、ますます、残るのは御高齢者だけということになると私は思います。
以上、時間が参りましたので、ぜひ細川大臣には、政府の中でもしっかりと発言して、社会保障がゆめゆめ削られることのないよう、むしろ、これを機に羽ばたいていただけるようお願いいたします。
終わらせていただきます。
第177回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る