第177回国会 厚生労働委員会 第14号(平成23年5月24日(火曜日)) 抜粋 案件:
介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)
〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日の参考人の皆様のお話、この法案の審議に当たっても大変参考とさせていただける部分が多いと思います。
まず冒頭、田原参考人がおっしゃったように、私も、今回の東日本大震災プラス原発事故ということの中で、今この枠組みを決めていくことが本当に妥当なのかどうかというのは、実に大きに疑問であります。
なぜならば、おとといですか、被災地に、また避難所に行ってまいりましたけれども、避難所を見ておりますと、御高齢者が今震災関連死とか言われる状況になる前段階で大変に弱っていっているのが日に日に、毎週毎週行くごとに目に見えるわけです。もちろん、介護認定は認定作業そのものがおくれておりますし、被災認定すらおくれている中で、しかしながら、時は待ってくれず、御高齢者には年齢がかぶさり、プラス今のような不幸な事態がかぶさっているということを見ると、きょうも話題になっておりました虚弱な方あるいは介護予防と一口に言われている部分を実は国全体として持ち上げていかなきゃいけないし、その一番のモデルは東北地方なんだと思うんです。そこが本当にうまく運べば、どんな厳しいときでも、日本の介護保険と言われる仕組みやあるいは先ほど木村参考人のおっしゃった老人保健事業で取り残してきた部分が私は救い上げられるんじゃないか。
では、今回の改正がそういうふうな段取りになっているかというと、残念ながらどっちつかず、中途半端かなと思いますので、その私の懸念を払拭していただくべく、参考人の皆さんにはお答えいただきたいと思います。
まず大森参考人に伺いますが、日常生活支援総合事業、これが今私が申しました高齢期にありがちなさまざまな問題を介護認定以上に実はトータルでどう支えていくかという視点に立ったものであるとは思います。でも、二〇〇六年の介護保険の改正でもございましたが、要支援一、二を分けて、例えば筋トレマシンに乗るとか口腔内清拭をするとか、逆にメニューが限られてきたことによって、要支援一、二の方にとっては、介護保険というものが自分に本当に役立つものかどうかという疑念が生じたのではないかと思います。
今回の日常生活支援総合事業でございますが、そもそもは、これらは介護保険財源を使うよりも、本来の国の予防保健行政、トータルな健康増進行政として考えられるべきではないか。逆に、限られた介護保険の財源を使っていくことによって、どちらも手薄になってくるように思います。重い方、要介護五でも十分、一〇〇%使っている人はいない。それから、軽い方と言われる方も、本当にこれで健康増進できているかというと、そうではないと思います。もちろん財源トータルの問題はありますが、ここの財源を介護保険に求めるべきかどうかということで一点お伺いいたします。
○大森参考人 私が知っている市町村の介護担当でしっかりしている職員の中には、今先生がおっしゃったような御意見がありまして、生活支援事業というのは介護保険の外なんじゃないか、これを組み込んだから問題が起こったのではないか、明白に切り離すべきだという御議論がございまして、結構傾聴に値すると私も考えています。
その際は、軽度者についての従来の介護保険サービスというのをどうするのか。やはり現場の皆さん方がどういうふうにするのが一番動きやすいか、実際には利用者にとって何が望ましいかという判断でございますけれども。
私は、将来は今御指摘のような方向性はあり得ると思っているんですけれども、今回はどういう考え方に立っているかというと、従来の包括支援センターの介護予防プランプラス支援事業を全体として組み合わせるようなものが可能ですよということを選択肢をふやす形で仕組んでいることでございますので、今回はこれでいって、将来、もしかしたらそういう方向性がある。それは現場の意見を聞いていくと、そういうことは十分ながらあり得るんじゃないか、仕分けをするということがあり得ると思っていますけれども。
○阿部委員 日本が他国にないスピードで高齢化を迎えておりますし、介護保険のところで切り取ることによって逆にその本来のサービスが縮小するということを私は懸念しておりますので、また引き続き御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
佐藤参考人に伺いますが、今回の二十四時間対応のいろいろなサービス、いわゆる二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設ということがございますが、この中で、五千余りの訪問看護ステーション、おっしゃるように経営規模というか運営規模も弱体ですし、逆に、今回の改正は、この訪問看護ステーション、せっかくここまで頑張ってこられたものにとっては、その芽を摘みかねないものになるのではないかと私は正直言って懸念します。
それで、今回の震災対応で、例えば東北地方だけは一人訪問看護ステーションでもいい、これはある種の規制緩和、そういうことも認めようということが出てくるくらい、訪問看護ステーションというのは、本来もっといろいろな応援をして、やりやすくして、頑張っていただいて、星の数ほどというふうに思うわけですが、このあたりの兼ね合い、訪問看護ステーションを本当にエンパワーしていけるものなのかどうかということについてお考えを伺います。
○佐藤参考人 訪問看護ステーションを本当にエンパワーしていけるものかどうかということは私自身も不安を感じているところです。小規模多機能プラス訪問看護もそうですし、今度の二十四時間定時巡回の方も、すべて地域密着型で、しかも包括払いとなりますと、訪問看護ステーションという言葉での今までの活動がどうも陰に隠れてしまうような、そんな懸念を持っております。
それから、私どものサービスというのは高齢者ケアが中心になっておりますけれども、医療も対応しています。ですから、地域密着で、例えば今上がっています二・五人ではなくて一・七人のような基準で看護を置いて、それで訪問介護看護の巡回をやるということになると、健康保険法等、医療の方の訪問看護は二・五人以上を基準にしないと報酬は支払われないということになっていますので、その辺のところが、介護だけやるような訪問看護になってしまうような、そんな懸念もあります。
ですから、訪問看護ステーションは訪問看護ステーションとして、しっかり単独型でも規模を大きくして、さまざまな基幹型のステーションにし、予防からリハビリテーションまで行うような、そういう発展形を私は期待しているところです。
また、介護予防という意味では、以前は訪問指導事業を老人保健法でやっていました。それで、私どもの方では、地域包括支援センターの機能強化ということで、最近、訪問型の介護予防が数が減少しているということから、訪問看護ステーションがその役割を担うことを試行しました。とてもいい結果が出ております。なぜかといいますと、生活習慣病の健康管理、予防にかかわることが訪問看護ステーションではできたからです。
以上です。
○阿部委員 訪問看護ステーションのニーズは、今御指摘のあったように、御高齢期のみならず、いろいろな御病気を抱えて呼吸管理をしている方とか含めて、やはりトータルに非常に重要と私は思います。今回の改正がそうしたものを隠してしまうのでは本末転倒と思いますので、私もなお、これは質疑の中で求めていきたいと思います。
木村参考人に伺います。
よくサービス利用者さんに聞くと、ケアマネジャーさんは、自分たちのケアプランのやりやすいプランばかり出してくるんだよねと。これは木村さんだからちょっと平易な言葉で言いますが、そのあたりの、今、介護保険をやってきて十年ですね。本当に利用者本位かどうかというあたりで、では、どうすればケアマネジャーさんたちももっと利用者本位になれるのか。例えば、よく言われるのは、ケアマネジャーさんの事業所からの自立でありますけれども、そのあたりで御意見があればお願いいたします。
○木村参考人 今までは、本来は居宅介護支援事業の支援費は事業所に入るという形で当然やってきたわけであります。ところが、議論は個人ケアマネジャーに向けての話であるわけですね。要するに、Aさんがケアプランをつくってどうだこうだという議論がすごくあったと思うんですね。
私ども、今、やはり事業所としてどういうプランを提案できるかということをもう一回立ち返ってやらなきゃいけないと考えています。
それは、前回の報酬改定で、主任介護支援専門員が一人、ケアマネジャーが常勤で二人以上いるところに特定事業所加算というものをつけて、一人開業のところから、三人、それから四人、五人、そういう形に持っていったときに、やはり事業所の中で多くのケアマネジャーの目が入って、アセスメントがきちんとできて、いろいろな角度から指摘があって、その御利用者様に対していいケアプランが提案できている、そういう声がかなり上がってきているわけです。
また、それができないところでも、周辺の、例えば医療サービスを行っている訪問看護事業所とかドクターから指摘いただいたものをきちんと連携をとってやっている、そういうふうなことを今の時点でもっと強化してやっていくと、何かというと、個人でつくったケアプランではなくてチームでつくったケアプランということで提案して、利用者さんに御理解していただく。その中で経済的負担とかは当然考慮をしていくという形になると思いますので、そういうことが非常に大事だと思います。
○阿部委員 ありがとうございます。時間が短くてごめんなさい。
服部参考人に伺いますが、今度、いわゆる月の包括単価、マルメになることによって、先ほどサービスの低下が起こるのではないかという御指摘がありました。私も、これは非常に、さっきの定期巡回・随時対応型訪問介護看護というややこしいものの一番の問題なんだと思うんですが、これが入った場合に、例えば今までの通所介護、デイサービスに行くとか、あるいは訪問介護、これらがトータルのマルメ管理の中で抑制されてしまったら本末転倒、利用者にとっては、逆に、在宅で家にじっとしている、待つしかないとなってくると思いますが、このあたりについてお願いいたします。
○服部参考人 基本的には、介護保険で支えるということにお金を使うことが誤りだというふうになってしまうと、本当に限られたものしか行かないだろう。そのことを支えることによって、例えば医療費に関してもほかの費用に関してもトータルで見られるのではないかというふうに思います。
今回、包括単価が入ったときに、その単価の枠内でしかサービスが提供されません。今までだったら、深夜だったら幾らとか、時間が何分なら幾らとか、重度の人にこう対応すれば幾らとかというふうについていたものもつかないです。そうすると、その単価の中で、必要性がもっと高まっても、介護度別の単価は固定になってしまえば、必要があっても、その限度の枠内、限度というのは、介護度別限度額の中にさらにもう一つ限度ができますので、その枠内でしか結果として提供できない。または、そのことは、予防訪問介護とか予防通所介護でもう全国で明らかになっています。
ですから、結果として、サービスが必要なものが提供されなければ、劣悪になるか、ないしは自己負担をしなければいけない。お金があれば自己負担できるけれども、そうでなければ受けられないということ。それから、限度額をさらにぎりぎりまで上げれば、結果として他のサービスが入らないということで、これも問題であるというふうに思います。
あと、最後に一つですけれども、包括単価はケアマネジメントも形骸化させます。今まで、介護度で、これを利用すれば幾らとなっていましたら、ケアマネジャーが給付管理をするとか、こういう意味も全く配慮されないということで、非常に危険だと私は思っております。
○阿部委員 まだまだお聞きしたいですが、時間の制約で田原参考人には伺えませんでした。でも、とてもいい御指摘をいただきました。ありがとうございます。
終わらせていただきます。
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