第177回国会 厚生労働委員会 第16号(平成23年5月27日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)
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〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
介護保険が始まりましてから十年。今回の改正は、またさらに利用者にとってはわかりづらく、また利用制限も加わり、先ほどの赤嶺委員のおっしゃったような低所得者の問題も解決されず、加えて介護労働者にとっても明かりが見えない、非常に問題が多い改正だと思います。
具体的にお伺いをいたします。
まず、この前お伺いいたしました介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
時間がございませんので、お手元の、お配りしました資料をごらんいただきたいと思います。今度設けられました介護予防・日常生活支援総合事業では、いわゆる要支援一、二の方が予防給付を受けておられることと加えて、この方々は地域支援事業も受けられるのかどうか、一言でお願いします。
○大塚副大臣 これは受け得るとは思いますが、極力重複のないようにいたしたいというふうには思っております。
○阿部委員 そこが極めて利用者にとって不安なわけですね。今まで予防給付を受けておられた方が、今度この地域支援事業に行くことによって、旧来の予防給付すら受けられなくなるのではないかと。このことに一度として明確にお答えがありません。今の大塚副大臣のでも、受け得るが、その先はてんてんてんなんですね。予防給付というのは、保険制度に乗っかった権利であります。すなわち、わざわざ認定を受けているわけです。その権利まで脅かされるのであれば、保険制度そのものの根幹が揺らいでまいります。
細川大臣、私は今の答弁に納得できません。そんなことのためにこの制度、新しいものをつくるなら、これは給付抑制ではありませんか。そもそも、この上段の予防給付は保険事業です。下段の地域支援事業は保険事業ではありません。保険事業を受けることと保険事業外のものを受けることが並列しなければ、全く意味がないではありませんか。大臣、明確にしてください。
○大塚副大臣 阿部委員のお気持ちは共有をしております。ここは大事なところですから、きちっとお答えをさせていただきます。先ほどももちろん、端的にとおっしゃられましたので、端的にお答え申し上げました。
本人の御意向を尊重しつつ、利用者の状態像に応じて、従来どおりの予防給付をお受けいただくことは可能であります。要支援者が予防給付を受けつつ、総合事業のサービスを利用することは可能であります。ただし、例えば総合事業と予防給付の両方からホームヘルパーの派遣を受けるなど、重複して同じサービスを受けることはできないというふうに考えております。
○阿部委員 基本は御利用者の選ぶ権利、選べるということで介護保険は始まったわけですから、今の大塚副大臣の御答弁を前向きに受けとめて、次の質問に移らせていただきます。
お手元に「介護予防事業対象者及び事業参加者の推移」というのがございます。これは何を言っているかというと、先ほどの一枚目の地域支援事業のうち、介護予防事業と特定高齢者事業と呼ばれたものの推移でありますが、特定高齢者並びに高齢者人口に占める割合を見ても、非常に利用率が悪い。高齢者人口の〇・五%しか利用されません。すなわち、この事業は、これまで事業としてありながら、十分な充実を図られてこなかった。下に事業費がございます。そうはいっても、平成二十二年度までには六百二十八億がここに使われてまいりました。
この事業、なぜ推進がはかばかしくなかったかというと、利用者に自己負担を強いるとなかなか来てくれない。先般お伺いいたしました、特定高齢者はこの事業を利用するのに幾らお払いですかと。昨日資料をいただきましたが、毎回三百円から五百円、あるいは三カ月で六千円とか一万二千円とか。その額にたえない人はなかなか、特定高齢者であってもこの事業を受けられない。そして、資金力のある自治体はこれを無料にすると。自治体に投げたがために、非常にまだらになった事業であります。
今回の改正でも、私は、そのまだらをそのまま引き継ぐのではないかと大変懸念しております。すなわち、どこに住んでも、その方の健康をパワーアップ、エンパワーしていくための施策がなければ介護予防事業ともなりません。
そして、三枚目の資料を見ていただきたいですが、では今度、この件についてどんな予算編成があるかであります。今年度ではありませんが、ごらんになるように、介護予防事業についての予算づけは、平成二十二年で七百五億、平成二十三年度は六百二十一億というように、実績値を下回った予算しかつけられておりません。実績を下回る予算しかつけないまま次の事業に移行するということは、厚生労働省の方針の揺らぎと、私は、本当にこの事業が充実していけるのかどうか、非常に疑念を持ちます。いかがでしょう。
○大塚副大臣 恐縮です。三枚目の資料というのがちょっと我々の手元にありませんでした。いや、今いただきました。大臣用にちょっと一部いただければ。済みません、恐縮でございます。
まず、行おうとしている事業に対して十分な予算がついていない、これで本気でやる気があるのか、基本的にはそういう御質問だと思います。
それは、極力そういう御懸念に対応できるように予算をつけていく努力は我々もいたしたいと思います。ただ、先ほど、その前にお取り上げになった二次予防の事業の件もそうなんですが、結局、財政力のある自治体によっては、利用料は大変低いし、あるいは無料でも可能だと。
この点は、実は前回、坂口元大臣からも御指摘いただいた、例えば二十四時間サービスが本当に過疎地で可能か、都市部と過疎地では介護サービスの形態は違うじゃないかという御指摘ともこれは連動しているところでありまして、やはり各自治体が、それぞれの自治体のいわば医療、介護、そして予防の実情に即した、財政力に見合い、かつ地域の実情に見合った施策を行っていただけるかどうかにひとえにかかっておりまして、これを全部均一にやろうとすれば当然いろいろな問題が起きますので、その点はぜひ一緒にお考えをいただければと思います。
○阿部委員 残念ながら、質問への答えになっていません。実績値を下回る予算をつけたのはなぜですかときのう厚労省に聞いたら、来年度は予算を上げますと。要は、一つのことをやるのにふらふらふらふら方針が定まらないということが問題なのであります。
また、今おっしゃったまだらの状態をどうするかというのは、そもそも地域の予防保健事業というのは、やはり国として本当に責任を持って財源をつけてやるべきところを、介護保険に頼り、自治体力に頼ってやっていることの証左であると私は思っています。
時間がないので、最後に一問だけ。宿題を投げさせていただきました、郡山でのマルメ、包括に対して、三月十一日地震があったので、三分の二返しなさいというお話です。
この事業所は、訪問介護や予防訪問介護などを提供しておりましたが、震災のときにはたくさんの被災者を受け入れて、その地域の拠点になりました。拠点であるということは、それだけの実は日常的な活動をしている。だけれども、後から、地震だったからあのとき全部やれなかったでしょう、返しなさいというのは、利用者が受けていないのに負担をされるのは申しわけないという理由だときのう伺いました。
では、利用者にそのいただいたお金は返されたのかが一点。それから、今後とも、自然災害があって、包括でやっていたらもうやれなくなって、自然災害ですよ、それにもかかわらず何の配慮もないのか。この二点だけ、端的にお願いします。
○大塚副大臣 これは端的になかなか言いにくいことで、ちょっと一分ぐらいお時間を下さい。
まず、先生の御質問で、私も、仮に被災地で被災された事業者が大変厳しい状況の中でそういうことを行政から言われていたとすれば、大変心苦しいということで、こちらでうなずかせていただいておりました。
その上で、私も確認をいたしましたところ、被災された方というイメージではなくて、実際に包括払いで、例えば四回のサービスをするために受け取っていたけれども、そのサービスの対象者が被災されていなくなって、二回しかサービスを行えていない、したがって、残りの二回分は調整させてほしい、こういうような話でございました。
そのことはそのこととしてやはりきちっと対応しなければなりませんが、今先生がまた新しい状況説明をしてくださいましたが、その事業所が被災された皆さんを受け入れて、そのこととは別に大変な拠点として活動していたのに、それは余りに無慈悲な対応ではないかということですので、二つの問題がそこに入っております。
いずれにしましても、福島県、それから郡山市、全国介護事業者協議会、日本在宅介護協会に確認をしましたところ、日割りの取り扱い自体について、何かこれが大きな問題だというふうに制度として言われているわけではありませんので、ぜひもう一度、具体的にどのような事業者からの御指摘なのかをしっかり承って、介護制度の問題と、そして被災者を受け入れて頑張っていただいたという問題を峻別して、しっかり対応させていただきます。
○阿部委員 私が申し上げたいのは、包括がある日日割りになったり、既にもう契約として取り交わされたものがカットされれば、事業所はそれまで抱えていた人の給与も払えないという状態になってまいります。極めて不安定です。介護基盤の強化のためを一方で言いながらこうした対応があるということの問題。でも、副大臣はおわかりいただいたようですので、少し詳しく実際にお話を詰めさせていただきます。
ありがとうございます。
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○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案並びに修正案について、反対の立場から意見を述べさせていただきます。
今回の改正案は、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援の推進が主題となっています。高齢者が地域で安心して暮らし続けていくために、地域包括ケアの理念は非常に重要です。しかしながら、本改正案は、その理念が実現できる改正とは言えず、むしろ、在宅の高齢者の暮らしを困難にしたり、要支援認定者が介護保険を利用する権利を奪われかねない危険もあります。
まず、地域支援事業に介護予防・日常生活支援総合事業を設け、介護予防事業の対象を要支援認定者に拡大し、市町村の判断によって行うとしていることです。市町村が同事業を導入した場合でも、要支援認定者が従来どおりすべての介護予防サービスをみずから選択し、利用する権利が保障されるのか、とりわけ利用者のニーズの高いホームヘルプなどの制限が危惧されます。
そもそも、切れ目のないサービスの名のもとに介護保険認定者に対する介護給付と介護保険対象外の人に対するサービスを同一の事業の枠内として扱うこと自身に無理があり、介護保険制度の保険原理を崩すことにつながりかねません。
また、財源の確保にも非常に困難があります。新事業のもたらすものは、本来の介護予防事業の方向性をも誤らせ、高齢社会に必要な地域保健のあり方を遠ざけかねません。
また、今回、地域密着型サービスとして定期巡回・随時対応型訪問介護看護を追加するということですが、この事業が実際に機能できるのかどうか、全く見えません。
加えて、包括定額払い方式となれば、報酬は介護度別の利用限度額の枠内に抑えられるため、結果として通所リハビリや訪問介護など他のサービスが制限され、QOLの低下が予想されます。また、枠外のサービスは自費か利用制限するしかなくなります。さらに、看護職に主導的な役割を与える形になるため、介護保険の柱の一つであるケアマネジメントの形骸化につながりかねません。
高齢化社会における社会保障の一つの柱である介護保険制度をより使い勝手をよくすることは、社会的な要請です。しかし、今回の改正は、そうした社会的な要請に全くこたえていないばかりか、むしろ、保険制度として定着してきた介護保険制度を変容させかねないものであり、大きな問題が含まれていると思います。
なお、修正案は、こうした根本的な問題を回避したものであり、賛成しかねます。
最後に、サービス内容を向上させるためには、利用者にとって複雑になり過ぎた認定のあり方を見直し、必要な介護サービスの提供に向けて公的な負担をふやしていくことも必要であると考え、最後にこのことをつけ加えて、私の反対討論といたします。
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