第177回国会 厚生労働委員会 第18号(平成23年6月10日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五四号、参議院送付)
〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、議題となっております予防接種法についてお尋ねをいたしますが、まず、どんな医療の中でも子供たちへの予防接種というのは、本人が同意等々、小さいお子さんですとすることができませんので、接種する側が万全の安全などの確認のもとに行わねばならないものと思います。
先ほど来、各委員がお取り上げですが、もともと、予防接種には個人防衛の視点と社会を防衛していく視点、あるいはメリットとデメリット、すなわち効果と副作用、絶えずてんびんの中で動いておると思います。
ちょうど本年の二月から開始されました子供のワクチンの同時接種、Hib、プレベナー、従来の三種混合などの同時接種を受けた子供たち七名が相次いで死亡したということで、厚生労働省は三月四日に接種を一時見合わせておられましたが、その後、検討委員会などの結果で、このワクチン接種が直接的な明確な因果関係はないと判断して、三月二十四日、再開を決定されました。
私はいつも思うのですが、ワクチン接種において、直接的な明確な因果関係というものが証明されるということ自身、極めて希有ではないか。絶対ないとは申しませんが、ここで言う直接的な明確な因果関係とは何を指しておるのかについて、岡本政務官にお伺いいたします。
○岡本大臣政務官 なかなかこれは難しいものでありまして、これだからこうだと一律に断ぜられるものではありませんが、例えば、ワクチンを接種して、その直後にショックを起こして、そしてその後死に至る、こういうようなことであるとすれば、それはワクチンの接種と因果関係があるのではないかということは推認されるんだろうと思います。
今回、委員から御指摘の事例の中には、一週間程度時間がたってからの死亡というものも含まれておったりするわけでありまして、それぞれのケースを専門家の先生方に御議論いただいたというのが、この三月二十四日のいわゆる我々が得た一つの結論であったというふうに考えております。
○阿部委員 その専門家会議を経てもなお、私のお尋ねした直接的な明確な因果関係というのは専門家の間でも大変議論が分かれますし、今岡本政務官のお答えのアナフィラキシーショック死のようなものがあればそうでしょうが、なかなか一日たって二日たって、長くても一週間たってという状況の場合に、因果関係というのは、実は否定もできない、肯定もできないというものが大半なんだろうと思うんですね。
そうすると今度は、ある件数接種して、その中からどのくらいの頻度で上がってきたか、すなわち確率的な話に移っていかざるを得なくなるというのも実際にはやむなしと思いますが、しかし、私は、その確率的な話に立ち戻ったとしても、今回の予防接種の再開に向けての取り決めはちょっと乱暴ではないかなと思うのです。
なぜならば、この二月からの七例の事案をもとに、先ほど仁木委員もお取り上げになりましたが、今回熊本でも六月三日に事案が発生いたしましたが、そもそもその七例発生したときの発生頻度というものをとると、十万回接種当たり、重篤な副反応、死亡が起きたものが〇・一から〇・二程度という取りまとめでありました。
これだって幅がありますが、今回、厚労省の出されたいろいろなガイドラインというか省のまとめを拝見しますと、六カ月の間で十万接種当たり、事故、死亡が〇・五を超えた場合というふうになって、その場合には速やかに対応を、調査会の評価を行って立ち上げるとなっているんですね。単純に考えると、十万回接種して〇・五、子供を十万人一回として、もし死亡事案が〇・五起きたら、小児科医はびっくりの世界です、百万人接種して五人ということですから。
それで、岡本政務官も御存じのように、例えばインフルエンザ桿菌、Hibですね、これによる我が国における髄膜炎の発症は十万人当たり五から八人であります。五から八人だけれども、そのうちで死亡は三から六%なんですね。すなわち、インフルエンザ桿菌で、十万人として、お亡くなりになる子供は〇・一から〇・二に、簡単な計算です、なるんです。
それが、もし予防接種をやって、十万回打って〇・五、逆にもともとの御病気の髄膜炎で亡くなるよりも多い頻度で死亡事案が起きたら、これはやはり予防接種としては大変に問題が、さっきのてんびん、メリット、デメリットで、私はデメリットの方が高いと判断されてしまうと思うんです。
なぜ十万回分の〇・五というところをおとりになったのか。これは根拠があるならお示しいただきたいし、私がこれまでの集計をいろいろとって、せめて〇・一から〇・二くらいであれば死亡数とそう変わらない。だから、髄膜炎の死亡と予防接種による死亡が変わらないと言えるかもしれない。それでも困ると思いますが、ちょっと今回のガイドラインというかお取りまとめは乱暴なのではないかと思いますが、政務官、いかがでしょう。
○岡本大臣政務官 二十四日の取りまとめの素案を役所の方でつくったわけですけれども、その議論の中でも、私も、どういう数字がいいのか、考えたことがあります。ただ、専門家の皆さんに、いずれにしても、この〇・五ということでいこうという御了解をいただいたというふうに思っています。
〇・五がいいのかと言われると、そのときに思ったのは、いろいろな理由で子供さんが亡くなる、ただ、亡くなる子供さんの報告を広くしてもらうということを考えますと、今の、もちろん、必ずしもいわゆるHib、肺炎球菌の予防接種による死亡ではなくても、例えば熊本の事例も解剖して死因を調べましたら、SIDSだという疑いだ、こういう話になっていますが、例えばSIDSでも年間百数十人の方がお亡くなりになられている。また、誤嚥でも亡くなられている方もいる。さまざまな事由で、必ずしも予防接種かどうかわからないけれども予防接種と因果関係が否定できない方が報告をされてくる。その数が十万人対〇・五、これを超えたらということで、広くその数を見ているということを御理解いただいて、必ずしもこの予防接種で十万で〇・五、こういうことではないということです。
○阿部委員 そういう御説明であっても、さきの二月、三月に起きた事案でも、あれでも十万人に対して〇・一から〇・二なんですね、あれだけ立て続いて見えたとしても。あれが全部因果関係が明らかでないことは一番目の御答弁で出たと思うんです。本当にわからないのです、原因が確定できない、断定できない。そのときのアンテナをどこまで立てておくか。
今回、もし十万に対して〇・五まで待っていると、実は何例も何例も死亡例が出ないと再検討に向かわないというのでは、やはりちょっと不安が残ります。もちろん、熊本の事例を十分検討していただいていることとは思います。いろいろな報告は、副作用は、多い方がいいんです。それでも、死亡例を十万当たり〇・五と置かれることは、私は高いと思いますので、これは行政上の問題になりますので、ちょっと岡本政務官に、もう一度この検討を私からお願いをしたいと思います。
あわせて、これは今ダイレクトエントリーで、副反応が起きたらすぐ厚労省に上がってまいりますけれども、自治体の皆さんは何を知りたいかというと、例えば熊本県で起きた事案のロット番号はどうであったのかなど、もし自分の自治体で起きたらどうするか、絶えず考えるわけです。
こうした事案は、当然、個人情報保護とかいうことを言われて、なかなか自治体側に情報は伝わらない。でも、私は、念のため、いろいろなことが起きたときの自治体への、特に今ダイレクトエントリーをしている、直に国に上がってくるという中で、自治体はメディアで取り上げられれば、ああ、うちもということで、後々報告がありますが、あの事例を受けて、ことしの二月、三月、自治体との連携はどのように改善されたのか。この点については大塚副大臣、いかがでしょう。
○大塚副大臣 今回の被害、お亡くなりになる事例が最初に出始めたころ、阿部委員と御一緒に宝塚の市長、西宮の市長がおいでくださいました。そうしたことも念頭に置いての御質問かと思います。
今先生が御指摘になりましたロット番号等の情報をできるだけスピーディーに自治体にお伝えすることなどは、必ずしも個人情報の観点から問題があるとは思いませんので、そういう合理的な範囲で、接種の主体として事業を担っていただいている自治体にできるだけ情報を御提供できるように、今後もしっかり検討させていただきたいと思います。
○阿部委員 ぜひそうしていただきたいと思います。それを犯人扱いするのではなくて、注意を喚起していれば同じ事例は見つかりやすいということであります。
次いで、細川大臣に伺いますが、今大塚副大臣が御答弁いただいた宝塚や西宮市の事案ですね、結局、その後の御家族のフォロー等々はどうなっておりますでしょうか。当然、死亡された事案であります。それで、明確な、直接な因果関係はないと言われて、一方で予防接種は再開されておる。しかし、それまでHibやプレベナー単独でやっていた場合に、実は死亡例の報告は一例しかありませんで、Hibを百五十三万人やって一例の死亡例があったのみであります。いかに何でも立て続いた事案でありましたが、この件について、御家族とはどのようにお話しされ、また救済はどのように考えられておるのか。これは大臣にお願いします。
○岡本大臣政務官 ちょっと事実関係も含めて。
先ほどお話があった、十万対〇・五にならないと検討しないということではないので、それまで待っているわけじゃないです。一例一例きちっと、今回、熊本で出た事案も、大変我々としてもその事態を重く見て、詳細な検討を加えておりますから、そういう意味では、待って何もしない、十万対〇・五を超えなければ何もしないというわけではないということは御理解をいただきたいと思います。
それから、今の宝塚の事例等、それぞれ詳細な検討を加えた結果はもう御承知のとおりでありますけれども、その後、御家族の方に厚生労働省から何らか接触をするということは行っていないと承知をしております。
○阿部委員 予防接種行政は、やはり最前線に立つ自治体にとっては大変に負荷の強いものでありまして、そうした点も密にフォローしていただいて、もちろん厚労省がダイレクトに何と言うよりも、例えば検討会でやった知見とか情報とかも御家族にも必要かもしれません。そのことをお伝えした上でまたどう判断されるかも出てまいりますので、ぜひこの点はよろしくお願いしたいと思います。
次いで、こうした副反応の報告について極めて特異的な事象が起こっております。皆さんのお手元の新型インフルエンザの報告事案ですが、実は、これが新型インフルエンザと大変話題になりましたときは、報告件数が、大体二千二百万回ほど接種いたしまして死亡例百三十三というのが上がってまいりました。その後、これが新型ではなくて季節型に組み込まれて接種いたしますと、五千万回以上やっていて医師から上がってくる報告例は十六例。恐らくこれは製薬業界から上がってくるものも含めて、厚労省に伺うと二十二例でありました。
使われているワクチンは同じで、逆に季節型の中に組み込まれたわけですから、いわゆる抗体価、ワクチン量、抗原量は多くなっていると思うのですけれども、実は、こんなに副反応の報告に差が出てまいります。一けた違ってまいります。
私は、先ほど申しましたように、より多く拾って、その中から問題があれば点検していくという方がこういう行政はよろしいかと思いますが、岡本政務官はこの数値をどうごらんになりますか。
○岡本大臣政務官 我々としても、重篤な副反応があったものについて報告を求めているわけでありますけれども、例えば、先ほどの三月のHib、肺炎球菌の副反応の報告についても、新聞報道がなされると、ちょっと昔の事例についても報告が上がってくるというようなこともありまして、副反応の報道がある、もしくはそのワクチンについての報道があったりすると、さまざまな注意喚起がなされることもあるんでしょう、報告が上がってくる傾向にあるのかな、この資料を見てもそのような感想を持たせていただいたところであります。
○阿部委員 もちろん、要はリスクコミュニケーションの一端だと思うんですね。報道はそういうリスクを確かに伝えてくれますので、それについて注意が喚起されて報告例が上がってくる。でも、私としては、今後も、予防接種行政の中で副作用、副反応がより上がってきやすい体制を、季節型の中に組み込んだからといってそれが減ってくるというのは、やはり周知徹底の方法とか厚労省の方からもさらに厳密にお願いして、ぜひリスクを拾っていただきたい。この次の回で新型インフルエンザの事案を取り上げていきたいと思いますが、やはり必ずメリット、デメリットあるものですので、この点についてはお願いを申し上げます。
時間の関係で、最後に、今大変問題になっております、子供たちの学校校庭における被曝や、あるいは幼稚園、保育園などの環境での被曝問題を取り上げさせていただきます。
きょう私が取り上げます事案は、いわゆる二十キロから三十キロ圏内、原子力発電所から見てその圏内にある地域、緊急時避難準備区域と言われた地域にある保育園、厚労省管轄は保育園ですので、保育園の事案だけ取り上げさせていただきます。
念のために、皆様のお手元には、五月の六日に文科省とアメリカで行った航空機モニタリングによる汚染マップがつけてございます。簡単に言うと、この飯舘というところがよく今、ここは計画的避難区域ですが、その一番外側の線は赤で、これと同じ程度の線は郡山とか二本松とか福島とか伊達でも出ております。飛び地化現象と呼ばれるものであります。
これは空間線量に直すこともできますが、一応、汚染状況の大略把握ということで念頭に置いていただいた上で、もう一枚おめくりいただきますと、これは東大のアイソトープ総合センターの児玉先生からいただきましたが、実は、南相馬市から依頼を受けて市内の保育園の線量をはかられたということであります。
市内には、保育園が九、幼稚園十一、小学校十一、中学校が五ございますが、二十キロから三十キロ圏内に七園、三十キロ圏外に二園ございます。今ここが緊急時避難準備区域だということで、子供たちはわざわざ三十キロ圏の外に行く措置がとられております。
そういたしまして、スクールバスの送迎費用も集計すると毎日百万円かかっておりますが、それだけではなくて、次のページをおめくりいただきますと、三十キロ圏外の方が、例えば雨どい、側溝と書いてあるところですと六マイクロシーベルト、これは年間に直すと、もしずっといれば五十ミリシーベルトに上がってしまうというほど高いところがございます。実は、線量だけ見れば、二十キロ圏内と三十キロ圏外には逆転現象が起きているところが多々あります。
今、厚労省では三十キロ圏外の保育園をおはかりでございますが、それも五十センチの高さだけです。もっと徹底して、子供は低い環境に生活します。側溝をまずはかること、必要であれば除染すること。三十キロ圏内も、これは解除されれば帰ってくるところですから、測定し、除染を図ること。細川大臣に、最後にお願いします。
○大塚副大臣 先生御承知のとおりだと思いますが、緊急時避難準備区域は、お話の中にもあったと思いますが、いざというときに自力で避難が困難なお子さんはこの区域に入らないように求めておりますので、実は、この区域内、つまり二十キロ―三十キロ圏内の保育所などは、ここでは今、線量をはかったり、除染活動は行っておりません。
ただ、まず、三十キロの外側の幼稚園、保育園等でもそこそこの数値が出ているではないか、特に雨どいについては、いただいた資料ですと六・一という数字がかみまの保育園で出ておりますが、こういったことは、やはり現実を直視して、雨どい等の除染もするべきだと思います。それ以前に、はかるべきだと思います。
また、二十キロ―三十キロ圏内は今は使用しておりませんが、やがてお帰りになることを考えると、優先順位を考えて、マンパワーや対応するリソースに余力が出てきた段階で、先生御指摘のような対応は検討しなければならないと思います。
○岡本大臣政務官 先ほどお尋ねがありました、厚生労働省が直接御遺族の方に連絡をとっているのかというのをもう少ししっかり調べましたところ、宝塚市と西宮市のケースについては、直接厚生労働省にお尋ねのお手紙をいただいたため、電話、ファクス、それからお手紙で厚生労働省からも連絡をとっておりますが、それ以外の皆様方についてはこちらから直接連絡をとっていない、こういうことですので、改めて御説明させていただきます。
○阿部委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。
この二十キロから三十キロ圏の設定は、さまざまな矛盾がございます。要介護者がいる、病院は入院できない。この件、また後ほど取り上げさせていただきます。
ありがとうございます。
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