第177回国会 厚生労働委員会 第21号(平成23年7月8日(金曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五四号、参議院送付)

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〔前略〕

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、本来の予防接種法の審議に入ります前に、今大変親御さんの間でも不安が強い、子供たちの放射線による外部被曝並びに内部被曝、とりわけ低線量の持続被曝の問題について取り上げさせていただきます。
 まず、先ほどの宮崎委員と大塚副大臣のやりとりにもございましたけれども、実は、今回の福島の事故の汚染の広がりと申しますのは、よく私どもの目にいたします三十キロ圏、二十キロ圏のドーナツだけでなくて、例えば私は神奈川ですが、足柄地域でのお茶の葉の大変に高いと言われるセシウム濃度、この足柄は原発サイトから大体二百九十キロでございます。また、もっと越えて、最近では、静岡の方でもお茶の葉の問題が出てきている。後から後からそういうことがわかるので、一体、何が安心の基準なのか、どこまで汚染が広がっているかが正しく把握されていないということが大変混乱のもとにもなっているし、対策の後手後手が、いわば、お母さん方は、今、給食に使う食材も西日本のものを使ってくれという声が上がっておるわけです。
 これは私は、ひとえに、政治がこの事故を正しく評価し、対応をどうするのかを示していないことによって大変混乱が広がって、そして、西日本の食材の方がもちろん低いとは思いますけれども、逆に、今復興途上にある東日本の皆さんの例えば農産品の問題も、除外してしまうようなことが起こると国民全体にとって不幸ではないか、むしろ、正しく測定して、そして正しい値を伝えるということをまず第一にすべきだと思います。
 大塚副大臣にもぜひ政府の中で検討していただきたいのですが、実はチェルノブイリ事故では、三万七千ベクレル・パー・平方メートル以上のところを国際基準で汚染地区として定義をして、その広がりを地図に落としたわけです。これはもちろん三百キロ圏も超えておりますし、正直言って、飛び地様になったところではもっと広がっております。日本でまずこの三万七千ベクレル・パー・平方メートル以上の測定は一切ございません。これによって、広がりがわからない中での五里霧中の対策になっておるということで、これはどうすればわかるかというと、アメリカ、米軍と文科省が指し示した八十キロ圏、あれは実は三十万ベクレル・パー・平方メートルの地図が一番外側であります。三万七千ですからもっと広く、現実には汚染のスポットとして出てきてしまうものが後々出てくる。
 大変な調査ではなく、やればやれることですので、ぜひ政府として御検討いただきたいと思います。
 そうしたことをお願いした上で質問に入りますが、お手元には、見ていただきますと、「福島県内の学校等調査の結果の変化」という一枚の数値が並んだものがございます。これは何かというと、前回私が大塚副大臣にお尋ねを申し上げまして、主には三十キロ圏外にあり、福島県内にある学校や幼稚園、保育園の校庭と、コンクリート敷地と、部屋の窓際と中心地の放射線の値を測定したものでございます。
 ちなみに、四月十四日調査で、校舎外ですと、一メートルの高さで三・二マイクロシーベルト。これは、もしここに丸一日いたら三十ミリシーベルト・年間近く、そこまでいきませんけれども、そのくらいの数値感でとらえていただきたい。大変に高いということであります。それを、表土を除去したり、あるいは、ここでは恐らく表土の除去しかしておられませんでしょうが、やったところが〇・五マイクロシーベルト・パー・アワーに落ちたというのが六月十六日の数値でございます。
 しかし、この〇・五マイクロシーベルト・パー・アワーは、年間に直しますと、五ミリシーベルトには届かないが、しかしそれに近い数値になります。五ミリシーベルトというのは、この間、一か二十かとさまざまな数値が学校校庭で飛び交いましたけれども、ちなみに放射線管理区域とされるのが五ミリシーベルト・パー・年間ですから、少なくとも何かの対策のスタートはそこ以下からでないと、子供は置くことができないということだと思います。
 そこで、この〇・五、では、これでずうっと校庭にいたって五ミリシーベルト・年間にしかならないじゃないか、安心かというと、そこが違うんですね。この前も申し上げましたが、この〇・五で校庭、園庭等であります場合、必ずそのそばに側溝や雨どいがあって、そこは大体これの十から二十倍、ホットスポットと言っていいところがございます。
 残念ながら、この文部科学省の調査は、今後もこのパターンで継続するという総括が出ております。でも、この〇・五という値は、実はそのそばにもっと高いところがあるよというサインだと思った方がいいと思います。
 前回、大塚副大臣は、側溝あるいは雨どい、ホットスポットと思われるところを測定する必要もあるとおっしゃっていただきましたので、ぜひ私は、この測定後の文部科学省のまとめを見ますと、測定期間中に出た線量をまた今後もフォローしていくということだけでありますので、大切なことは、ホットスポットを見つけて、そこを対策するということであります。平均値を見つけても、子供の遊びのパターンを見ますと、いろいろな角に行きたい、あるいは雨どいの下も行くかもしれません。そういうところが外部被曝の一番の危険なところであると思います。
 続いて、ちょっと長くなって済みません。二枚目をあけていただきますと、これは表土の剥離あるいは除染措置を通じて、当初、四月十四日は、二つ、幼稚園と保育園を挙げさせていただきましたが、三マイクロシーベルトを超すようなものが、確かに一近くあるいは〇・五近く、減ってきております。でも、繰り返し言いますが、もし一マイクロシーベルト、一・二マイクロだったら年間十になってしまいますから、ちょっと許容範囲にはこれはできない。
 そして、見ていただきますと、今度、そこからなかなか下がりがありません。これが先ほど申しました、その周りにもう少し、表土以外のところに高いところもあって、そこからも影響されて、もう一歩実は除染が必要な根拠となるものです。
 文科省では、雨が降っても変わらなかったということも添えておりますが、それはそれで一つのデータですが、ちなみに、水を張った方が放射線は少しは抑えられますけれども、雨の有無と、今ここで、雨の降った日というラインがありますが、これは本当に完全に流し去るということをしないと下がらないということだと思います。
 長い説明になりましたが、大塚副大臣の御答弁、二つ私お願いしました。お願いします。

大塚副大臣 まずは、先ほど宮崎委員にもお答えいたしましたが、今度の二次補正予算案の中に、先生からもこの委員会で御指摘をいただいた除染の対応経費も盛り込ませていただいております。これは内閣府からの計上でございますが、いろいろと御指導、御指摘いただいておりますことをお礼申し上げたいと思います。
 その上で、まず一点目の、一枚目の資料で、外部被曝、例えば〇・五マイクロシーベルト・パー・アワーでは五ミリぐらいになってしまうので、これでも高過ぎるということでありますので、これはこれからできる限り早く平時の状態、一ミリ以下を目指すというのが大きな方針になっておりますので、その方向に向けてさらに打つ手がないかということは、しっかり政府全体としてやっていかなくてはいけないと思っております。したがって、文科省がどういう方針であるかということも改めてもう一度確認をして、調整をしっかりさせていただきます。
 それから二点目の、その二枚目の、例えばこのセントポール幼稚園の例ですと、一マイクロからなかなか下がらない、これであると年間十ミリであるので、園庭とか校庭以外のそういった局地的、ホットスポットにも対応すべきであるというのも、私もそう思います。したがって、先ほど宮崎さんのときに申し上げましたように、ようやくモニタリング調整会議が政府全体でできておりますので、これからできるだけ広域にそうした汚染状況、放射線量の状況についてのマップ、そしてホットスポットをプロットしていくというところから対策が次々と打たれるべきと思います。
 ただ、その一方で、やはり、残念ながら、我々が直面している現実を考えますと一朝一夕にいかない部分もあろうかと思いますので、その点を踏まえると、できるだけ正しい情報を国民の皆さんにお伝えして、冷静に御対応いただけるように努力しなきゃいけないと思っております。
 最後に一点。この委員会でも御報告申し上げましたが、例えば労災の基準になっております五ミリという数字が何であったかというのは、昭和五十一年当時の公衆被曝量ということが明らかになったわけでありまして、そうしますと、昭和五十一年当時は年間五ミリというのが、他国の核実験とかいろいろなものの影響で、我々は甘受せざるを得ない状況にあったということでございます。そういうことも含めて、つまびらかに国民の皆さんにお伝えをしていきたいと思っております。

阿部委員 今大塚副大臣がおっしゃったように、五ミリというのは、大人であれば、当時やむなしとしてきた数値だと思います。子供がなぜ危険をより、私たちが真剣に向き合わなきゃいけないかというと、細胞分裂のスピードが速く、感受性が高いということであります。特に、保育園や幼稚園の園庭で遊ぶ子供らの姿を考えると、本当にお母さんたちの不安はゆえないものではないし、実は今、疎開をさせてくれという大きな声になってきていますけれども、それは、最初に除染して線量を下げてから置いた方がその子の年間外部被曝量も少ないからであります。
 しかし、やはり家庭が例えば移転するとかは大変である、これも当然です。であるならば、まず、子供たちを守るという対策にのっとってこれは早急にやらないと、もう四カ月がたっておるわけです。この間のおくれが国民の中に不安と混乱を生んでおるということは、私も小児科医ですし、大変に責任を感じます。
 また、さっき宮崎委員がお取り上げくださいましたが、実は我が国では、アイソトープ等々の管理で、少量、しかし濃度のもっと高いものを管理する仕組みは文科省が法令の中に持っておりますが、こういうふうに必ずしも高くない、だけれども、ところどころ高いというような事態が起きたときに、何の法令も持ちませんし、対策がありません。
 例えばアイソトープ管理の皆さんの知恵ももっとかりながら、彼らは手なれていますから。先ほど御紹介した児玉先生は、実は、南相馬市に入られて、現実に保育園や幼稚園の除染をやれるところから積極的にやっている。そのデータは前回お示しいたしましたけれども、私は、やはりみんなで子供を守っていかないと我が国の将来まで奪われてしまうと思いますので、ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。
 そしてもう一点、これから見ていただきたいのですが、一番上ですね、教室内の平均値というところにも目をやっていただきますと、今、学校では窓際に座らないで中側に、席を窓じゃなくて中にしたいという子供がふえておるといいます。理由は、窓をあけるか閉めるかという論議まであるそうですが、窓から風で入ってくるものはもうほとんどないと思います、飛散で。だけれども、外の放射線の影響を受けやすいということで、やはり部屋の中心よりは窓の方が少し高いというのも実態であります。
 さて、屋内をどうすべきか。これは、逆に屋内に二十四時間いると考えた場合に、見てみると、やはり〇・一というラインまで落としていただかないと一ミリシーベルトにはいきません。これは、先ほど申しました外のホットスポットを少しでも軽減すると、雨どいと窓は近いですから、下がってまいります。このデータも文科省がとっていただきましたけれども、一つの示唆的な数値だと私は思います。
 これは決して恐れ過ぎるのではなく、実は今回の福島原発で飛散した放射線量は、例えると広島の原爆三十個分だと言われています。もちろん、原爆の場合のように温度が高温度ではありませんし、専ら三月十一から十五あるいは二十一までの飛散したものが地面を中心に沈着、森を中心に沈着している。後処理でありますけれども、決して軽んじられない数値と実態でありますから、ぜひ重ねて文科省とも、私は、厚労省が子供の乳幼児期を扱う保育園等々の管理者でありますので、ぜひ厚労省からも声を上げていただきたいと思います。  では、本来の質問に移らせていただきます。
 今回の予防接種法の改正で最も大きな点の一つになると思いますが、さきの新型インフルエンザ、もしかして豚インフルかもしれない、鳥だったけれどもその強さはわからないということで、早急にワクチンを入手しようということで、海外のワクチンメーカーと契約をするということがございました。そして、その経験を踏まえて、今回の法改正では、政府が海外の製造販売業者と新型インフルエンザワクチンの購入契約を締約する際には、そこで生じた損害賠償をいわば政府が負う損失補償契約を締約するとされております。
 ここで細川厚労大臣に、弁護士でもあられますし、こうした、だれがだれに責任を負うかという分野はお詳しいと思いますのでお伺いいたしますが、では、こうした補償契約を結んだときに、ワクチンメーカーの製造者責任というものは一体どうなるんでしょうか。この点についてお願いします。

細川国務大臣 この法案の中に、損失補償契約、これは今委員が言われましたように、ワクチン接種によりまして健康被害が生じたその賠償、これについて製造販売業者が損失をこうむるというのを国が補償するというところでございます。
 しかし、製造物責任というのはこの契約とは全然別でありまして、製造物責任そのものを、製造販売業者を免責するものではないということでございます。

阿部委員 明確なお答え、ありがとうございます。
 実は、MMRの訴訟の折に、メーカーと国が訴えられました。国の方はワクチン行政において、そしてメーカー側は製造物責任において訴訟となりました。やはり、製造物というものが持つさまざまな問題があった場合の、免責されるものでないということをしっかり担保していただいて、ありがとうございます。
 あと一分くらいしかないのですが、岡本政務官にお願いいたします。
 インフルエンザは人類とともに生きてまいりました。そして、今回、新型インフルエンザに新たな臨時接種の枠が設けられました。従来の臨時接種とは少し違います。
 この際に、蔓延の危険性、蔓延防止ということが言われていますが、果たしてインフルエンザワクチンに蔓延防止効果があるかというのは昔々から議論があったところであります。従来のものだと個人防衛で、それが今までの季節型の考え方でありました。事新型インフルエンザに限って、蔓延防止効果があったかなかったかの検証はどうされたのか、お願いします。

岡本大臣政務官 おっしゃるとおり、インフルエンザのワクチンに限らず、ワクチンには、一つは集団免疫という意味での蔓延防止の問題、それからもう一つはワクチンの接種により疾患の重症化を抑える、そういう二つの目的があります。蔓延防止については、今委員から御指摘のように、事インフルエンザにおいてはいろいろと議論があって、私も学生時代にかなりいろいろな説を学びました。
 いずれにしても、今回、新型インフルエンザにおいては、改正後の予防接種法の第六条三項で、新たな臨時接種を実施する要件として「まん延予防上緊急の必要があると認めるとき」、こういうような文言が入ってまいります。したがいまして、この中でどういうような蔓延防止が見込めるのかということは我々もしっかりと把握する必要があると思っています。
 今回、御指摘の新型インフルエンザにおいてのワクチンの有効性に関する研究としては、一つは肝疾患における新型インフルエンザワクチンの有効性に関する研究というもの、またもう一つは高齢者における新型インフルエンザワクチンと季節性インフルエンザワクチンの肺炎予防効果、この二つの研究があるということを御紹介しながら、我々としても引き続き、どういうような効果があるのか、それからまた蔓延予防というのはどういったところまでを指すのか、こういったこともなかなか難しいところがあると思いますので、そういうことを含めてしっかりと検証していかなければいけないというふうに考えております。

阿部委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 終わらせていただきます。


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