第177回国会 厚生労働委員会 第25号(平成23年8月3日(水曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件  国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百七十四回国会閣法第四一号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 派遣委員からの報告聴取

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〔前略〕

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 八月一日のせっかくの福島への視察は、直前にみずから転倒いたしまして骨折をして、本当に盛りだくさんな、いろいろなところをお訪ねするこの厚生労働委員会の意味ある視察に参加できずに、委員長初め各委員の皆様には申しわけないと思います。まず冒頭、みずからの不足を恥じておわびを申し上げます。
 引き続いて、質問に入らせていただきます。
 きょうは、篠原農水副大臣にもお越しいただきまして、食の安全、とりわけ今牛肉のセシウム汚染の問題が著しい拡大を見せておりますので、その点について主に質疑させていただき、後半、子供たちの、特に食の安全をめぐる子供たちの問題という赤ちゃんの問題に触れさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、篠原副大臣にお伺いいたしますが、八月二日の朝日新聞でしたか、私は、安愚楽牧場という、オーナーを募って、出資をして、牛の肥育、繁殖などをする、いろいろそういう業者はございましたけれども、比較的日本の中では残ったと言われる業者がもう配当できなくなるというような状態になったという新聞記事を読みました。同日、いわゆる牛の出荷停止が四県に及びまして、岩手、宮城、福島、栃木でしたか、四県からの牛の出荷停止ということがございました。
 振り返ってみれば、私は議員になって十一年たちますけれども、牛たちの問題はO157に始まり、BSE、口蹄疫、またO157、そして今度の放射性物質による汚染と、極めて、生き物を飼い、それを肥育して食に供していくというところで大変に苦労の多い分野だと思いますが、我が国の中でこれだけダメージを受けた場合に、今農水省に頑張っていただかないと今後本当に業として立ち行かなくなるのではないかと、今回の事態でまた不安を大きくいたしました。
 一方で、TPPなどがあり、海外からの食料の輸入、食の自給率の問題にもかかわってきます。今、スーパーに行きますと、オーストラリア産の方が確実にお買い物の手が出ているようで、もちろん、海外のものでもいいものはいいと思えばいいんですけれども、国内において一生懸命肥育してきた畜産家がいかに歯がゆく、そして悔しい、いたたまれない思いをしているかと思えば、これから先、農水省として、これを業として成り立たせていくための強い決意と対策、何をすればよいと思っておられるかについて、冒頭お伺いいたします。

篠原副大臣 農業生産者に思いをはせていただきまして、ありがとうございます。
 まず、安愚楽牧場の件でございますけれども、安愚楽牧場というのは、私、農林水産副大臣を拝命して、翌日から宮崎県の口蹄疫現地対策本部長で行っておりましたが、そのときに、もう安愚楽牧場というのがいろいろ取りざたされておりました。今度また話題になっておるわけでございます。
 その点についてちょっと述べさせていただきますと、預託という形になっております。厚生労働委員会の皆さんは余り御存じないかと思いますけれども、安愚楽牧場は、お金を集めて、そして農家の皆さんに、牛も子牛も自分で購入し、えさも供給して、そして牛を飼ってもらう。ですから、危険は安愚楽牧場が担うわけですけれども、作業するのは高齢の農業者、夫婦二人で、七十歳の人と七十五歳の人というような感じでございます。
 言ってみれば、すぐお気づきかと思いますけれども、私は、現代の畜産における小作状態だと思っております。こういったことが行われるのは、正直言って、私の感覚では余りよくないことだと思っております。一番最初の、南相馬の物すごく汚染された牛、四千三百五十ベクレル・パー・キログラムの牛も、実は安愚楽牧場の一員でございます。そういった問題を抱えているのではないかと思います。
 しかし、大半の農家の皆さんは、朝から晩まで牛にえさをくれて、酪農家ならそれに乳を搾ってというか、勤勉な農民の代表が畜産農家になるのではないかと私は思います。ですから、世界じゅうで、農業政策の中で一番手厚いのが畜産農家に対するものでございます。穀物の場合は、大規模になりまして機械で一気にやってというようなことになりますけれども、畜産農家というのは毎日えさをくれてということになりますから。
 そういった意味では、私はぜひ、こういった状況の中でございますけれども、畜産農家を全面的にバックアップすべきではないかと思っております。
 TPPについて触れられました。これについても、私はほかの委員会でもちょっと申し上げたわけですけれども、この際、円高にもなった、外国のは安全なんだから、思い切ってTPPに参加して、外国の安い農産物を供給するのが日本国政府の役目ではないかと。私は、とんでもない言いがかりだと思います。畜産農家あるいは漁業者に何の罪があったか。それでこんな混乱に陥れている。
 我々、東京電力、福島県は東京電力傘下ではないですけれども、電力を供給していただいている。そういったことを考えたら、できる範囲で福島の農家、畜産農家の皆さんを応援すべく、まあ、汚染されていない方がいいわけですが、基準値以内のものは食べて応援するというような気持ちを礼儀として私は持つべきではないかと思います。こういったことを国民の皆さんにも訴えていくべきではないかと思います。
 もちろん、農林水産省としては、全面的に畜産農家をバックアップしていく所存でございます。

阿部委員 今おっしゃったように、食べて応援はしたいのだけれども、果たして、ぽっと高い放射線濃度の牛が出たりすると、やはり、このたびのことも不意をつかれたというところもあると思うんですね。きちんと測定されていて、ある程度の了承がついていれば、今回のようなことにもならなかったと思うのです。
 私は、後段、また御質問をいたしますが、やはり、このたびの事象に学んで二つ対策が必要で、一つは、きちんとした測定体制。実は、今後いろいろな食品に同じように問題が起きる、そのときに、本当にその業を守るためには、安全なんだ、安心なんだという測定がきちんとしているという測定体制についての見直しを今やっていただかないと、例えば桃なども、せんだっても私も福島へ参りましたけれども、九割、収入が減っているんですね。桃は今はかれば、一個一個は高いものではないのだけれども、それがきちんと測定されているかどうかというところの信頼性がまだ伝わっていないんだと一つは思います。
 それからもう一つは、やはり、その業をなしてくださっている人たちをどうサポートするか。私は、安愚楽牧場の例も、確かに、安愚楽だと一括管理で、幾らという形で請け負って、マルメですよね、その中で処していくというやり方で、農家にとってはある意味では簡単かもしれないけれども、でも、ある意味では負担が強い。例えば、飼料を幾らのものを与えればどれだけその範囲内で抑えられるか。医療でも、マルメというときついものですから、非常によく身にしみて私はわかるつもりであります。宮崎の口蹄疫の農場にも行きましたし、南相馬のこの問題になったところにもお訪ねをいたしました。
 でも、また同時に、その人たちが必死の中で、例えば三月十九日といえば、まだ食べ物も自分たちもない中で稲わらを与えていた。そして、先ほど篠原副大臣がおっしゃっていただいたことで、私は本当にそうだと思ったんですけれども、実は、非常に高い稲わらの濃度ですね。例えば、郡山、相馬、喜多方などでは、これは宮城県産の稲わらなんですが、五十万ベクレル・パー・キログラムのセシウム、それから、二本松、郡山、須賀川、白河、会津坂下いろいろでは最大六十九万ベクレル。そうすると、その稲わらを扱っていた農業者の皆さんの健康はどうだろうか、内部被曝しなかったろうかと、私はもう本当に素直に不安になるわけです。
 稲わらであれば、ほこりも立ちますし、それから、与えていた期間、特に、警戒区域や緊急時避難準備区域以外は知らなかったということもありますから、でも、高い放射線濃度のものを知らずに与え、自分も吸収したかもしれません。
 それで、ここが悲しいところで、縦割りで、では今だれが、この放射性物質による汚染の健康被害の予防や適切な対処に責任を持つのか。
 私は、例えば今、篠原農水副大臣、この農家の方々、高い濃度の稲わらをやっておられた方々、この方たちに何か農水省としてアナウンスメントがありましたか、健康診断を受けてくださいとか、内部被曝も心配ですよとか。私は、それが行き渡らないと、まず、業をなすには、業をなす人をつぶしたら、もとがつぶれます。
 私は今、この問題で非常に不安に思っているので、さっき、高い稲わらの濃度だったと副大臣はおっしゃってくださったので、まさにそうです。それゆえに、この扱っていた農業者の皆さんの健康診断を、厚生労働省と御相談なさるなりなんなりしてやっていただけまいか。どうでしょうか。

篠原副大臣 阿部委員、さすが、盲点をついていただいたのではないかと思います。私も実は、そのことが最初に気になりました。畜産農家は、外の、違う倉庫に置いてある農家もありますけれども、通常は、牛の二階に干し草、稲わらを置いておるわけです。そこからどんどん落として、毎日くれていたりということになります。
 体内被曝、体外被曝というのがよく言われますけれども、経口的体内被曝、ほこりで必ずしているはずです。もちろん、さわって、経皮、皮を通じた体内被曝もあります。ですから、食物を通じた経口的、口を通じた体内被曝、消費者のことばかりに目が行っていますけれども、一番は、農業者が相当汚染されているわけです。
 ですから、我々、健康診断まではいっておりませんけれども、六十九万ベクレル、五十万ベクレルというのは半端な汚染の度合いではありません。例えば、汚染された汚泥、汚染汚泥については、十万ベクレル以上は隔離しておけといいますが、それの五倍、六倍、七倍ですから、今、応急処置をしてもう近づくなということで、その後どのように処置するかというのを今検討中でございます。
 それから、もう一つ言わせていただきますと、五十万ベクレル、六十九万ベクレルに汚染されるところへ、農業者はもちろんですが、そこの近くに子供たちがいたらどうなるかということ、人の汚染ということも考えなければいけないのではないかと思います。
 極端なことをちょっと言わせていただきますと、我が日本国では、野菜や稲わらや牛の方がちゃんと検査をされ、人の検査がされていないのが実態ではないかと思います。この点は深く反省して、こちらの方に早く目を向けていかなければいけないことではないかと私は思っておりますので、御指摘がございましたので、厚生労働省とも相談いたしまして、畜産農家の健康診断をいち早くしていただくように手配をしたいと思っております。

阿部委員 明確な御答弁、ありがとうございます。やはり私は、この問題は皆未経験ですから、でも、一つ一つわかったことから対処し、人を守り、そして、もちろん食の安全も守りということで日本が立ち直っていかねばならないと思います。
 今の四県を、今度は私ども消費者の立場に立って、この出荷停止を解除していくときに何が必要であるか。これは細川厚生労働大臣にお願いをしたいと思いますが、どのようにお考えでありますか。

岡本大臣政務官 今御質問いただきました出荷制限の解除に当たっての条件についてでありますけれども、先ほどからお話がありますように、福島県における緊急時避難準備区域等、並びに宮城県、岩手県、そして栃木県の特に指示する区域等については、現在、全頭検査を実施し、暫定規制値を下回った牛肉については販売を認め、福島県、宮城県、岩手県、栃木県のその他の地域については、農家ごとに初回出荷牛のうち一頭以上を検査する全戸検査で、暫定規制値を十分下回った農家については、牛の出荷、屠畜を認めることとし、その後も定期的な検査の対象とする、このようにしているところであります。

阿部委員 福島県については全頭、そのほかには農家ごとの検査と申しますが、もし農家ごとの検査をして、また、その検査しなかった牛からたまたま、たまたまです、いろいろな条件がありますから、出た場合に、私は、この畜産業というのが本当に二度と立ち上がれないと思うんですね。
 先ほど、田村委員かどなたかの御質問にありましたが、例えば、今業者さんも臓物と肉と分けて処理しますよね。この牛がストップがかかったときに、臓物もストップをかけるかどうかと。これを一頭一頭やっていると、大変に、実は工程がストップするわけです。そうであるならば、逆に、肉も臓物もなるべく消費に近い段階で、オンラインでベルトに流してチェックしていく。そういう形で、全頭というか、食べる肉なら肉、まあ食べるとは言いません、そこまで解体された段階で、全部チェックで流すくらいしないと、本当に私は食の安全は回復できないと思います。
 どこにどのくらいたまるかも、私たちは残念ながら知見を持っていません、初めてだから。そのときに、本当に国民に、消費してくださいと私は農家のために言いたいんです。でも、それには、そうしたら高かったよということが一つでも出たら、今まで言っている国の側の言葉も全部私は崩れ落ちてしまうと思います。
 私がちょっと席を外しているとき、大塚副大臣が御答弁くださったようですが、このオンラインで流して、例えば富士電機が、昨日の日経新聞に出しておりました。もう今は、検査は、この科学立国日本で技術は必ず開発できます。そして、なるべくコストと手間暇と、そして抜けがないような検査体制を新たに考えて構築しないと、本当にこの食品行政は成り立たないと私は思いますが、もう一度、私は、一戸の農家の一頭を調べてばらばらにしてというのは、絶対に同じことがもう一回起こると思います。どうでしょう。

大塚副大臣 大変重要な御指摘をいただいていると思います。
 今の御質問にお答えする前に、今、岡本政務官から答弁をさせていただいた点についても、解除条件は岡本政務官が申し上げたとおりなんですが、それに加えて、該当の県も、全頭検査をやるというようなことを方針として打ち出している県が多数なわけでありますので、こういったところもどんどん、消費者の安全、そして生産者の風評被害を防ぐために進化をしている過程でございますので、また、その点についても整理して御答弁等をさせていただきたいと思います。
 その上で、さらにその先に何があるかといえば、今先生がおっしゃいましたように、全頭検査というのが事実上、実務的にかなり難しいというところに大変な悩みがあるわけでありますので、今、富士電機さんの名前が出ましたけれども、十二秒で、ベルトコンベヤー方式で検査できるという、この機器が九月から発売という報道でありましたが、この実用性についてもしっかりチェックをして、導入すべきは導入したいと思っております。
 いずれにいたしましても、この富士電機さんの製品を含め、放射性物質の検査機器先進国にならなければこの事態は乗り切れないと思っておりますので、関係省庁と協力をして、そういう方向で全力を尽くさせていただきたいと思います。

阿部委員 まさにおっしゃるとおりで、一歩先んじないと、この日本の危機は乗り越えられない。でも、危機はチャンスですから、ぜひ政治の主導においてそうした方向性を出していただきたいと思います。
 次の質問は牛乳です。
 皆さんのお手元にございますのは、被災の直後に、特に沃素などが高くて牛乳の出荷制限というものが行われましたが、その後、解除されて、しかし、だんだんセシウムの値が上がってまいりました。これは物の理でございまして、宮城県、新潟県、岩手県など、一関市で二十四、新潟の囲ってございますところで十三・五ベクレルですね、宮城で十二と。一枚目の表ですが、これだけをとれば、あっ、百ベクレル・パー・キログラム以下なんだと思われますが、実は、この牛乳のセシウムの測定というのは、一枚あけていただきますと、いろいろな酪農家から集めた牛乳をクーラーステーションで一緒くたにして集めたものではかります。そうすると、もしどこかのところに高いものがあっても希釈されてわからない、だけれども、全体ではオーケーよという考え方なんですね。
 でも、これも汚染ということを考えれば、本当にこれでいいのかというきょうは問題提起と、もう一つ、実は、このミルクを脱脂粉乳にすると十倍くらい濃縮するわけですね。お茶っ葉も、荒茶にすると濃縮しますよね。そうすると、今私が読み上げた十二とかは百二十になり、二十幾つは二百になって、基準値を超えてしまいます。だがしかし、日本では、ミルクは全くはかられていません。
 この点についても、私はぜひ改善が必要と思います。特に、子供たちが飲むものですから、安心して牛乳もあるいはミルクも飲める体制にしていただかないと、今、お母さんたちは、ミルクは大丈夫かという不安に襲われています。はかるということは、まず安心の第一歩になります。濃縮ということも考えて、岡本政務官、どうでしょう。

岡本大臣政務官 御指摘のとおり、乳児用の粉ミルクの安全性の確保を図るというのは大変重要な課題でありまして、国立医薬品食品衛生研究所において検査を実施しまして、測定をしたものにつきましては、五十ベクレル以下であるということは確認をしたところでありますし、また、製造業者に対して、自主検査の結果を公表してくださいというお願いをさせていただいております。
 ちなみに、国立医薬品食品衛生研究所における粉ミルクの検査は、十五商品行わせていただいたところでございます。

阿部委員 では、それをきちんと公表して、お母さんたちに伝えてください。
 あと、母乳の問題もありますけれども、時間がないので、次回にいたします。
 ありがとうございます。


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