第177回国会 厚生労働委員会 第26号(平成23年8月23日(火曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案(内閣提出第九〇号)
〔前略〕
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は、民主党政権と連立をしておりましたころ、子ども手当という、子供自身を給付の対象とする手当をつくるということに積極的に賛成してきた立場ですので、きょうの審議をいろいろ承っても、民主党内、あるいは民主党と他党との関係で厳しいいろいろなことがおありであったことは理解しながらも、やはりこの法案の行く末を大変案ずる立場から質問をさせていただきます。
先ほど、高橋委員と小宮山副大臣のやりとりの中で言われたことですので、今度は細川大臣に確認をしたいと思いますが、今度の法案は、「恒久的な子どものための金銭の給付の制度に円滑に移行できるよう、」ということが特措法の趣旨となっておりまして、先ほどの小宮山副大臣の御答弁では、お手元にございます、民主党のおつくりになった「子ども手当と、もともとの児童手当の比較」というものにございますように、月額、三歳未満一万五千円、三歳から小学生は第一子、第二子一万円、第三子一万五千円、中学生一万円と、この額をベースにして、考え方は児童手当を改正していくということでよろしいですか。この二点、お願いします。
〔委員長退席、郡委員長代理着席〕
○細川国務大臣 三党の合意におきましては、子供に対する手当の制度のあり方、この制度上の措置というものは、子供のための現金給付については、上記の支給額等をもとにして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする、こういうことで、この支給額等につきましては、先ほど委員が言われました額をもとにして決めていく、こういうことになります。
○阿部委員 そういたしますと、これは大臣でも副大臣でも結構ですが、この民主党のつくられた児童手当との比較というところにのっとって、ここには、年収九百六十万円のところで、所得制限をまだかけていない場合の給付総額が二・二から二・三兆円という試算がありますが、もしも所得制限をかけた場合、この給付総額は幾らになりますでしょう。お願いします。
○小宮山副大臣 これも、所要額についても三党で合意をしておりまして、二・二から二・三兆円ということです。
○阿部委員 今のは私への御答弁ではないですが、それは、所得制限をかけたところを何らか手当てするということがあるのでということですね。私の質問は、そうでない場合の総額はどのくらいですかということで、これは二・一兆円だそうです。
それから、もう一つ質問いたしますが、もともとの児童手当法、一番右の端ですね。ここでは、現金給付が一兆円と書かれておりますが、所得、住民税に係る年少扶養控除と、子育て世帯ということで特定扶養控除ということを考えますと、子供世帯を含めて子供たちに給付されていた、あるいは税額で引かれていたものの総計は幾らになりますでしょう。
○小宮山副大臣 その控除を合わせますと二・一兆円です。
○阿部委員 私が何を言っているかというと、もし所得制限をかけたら、結局前と同じ額を控除でやっているか給付でやっているかの差でしかないのですが、結局、パイ全体はふえていなくて、同じ子育て世帯内での分布を変えただけではないかということを指摘したいと思って、私は小宮山副大臣に今のような御質問をいたしました。
一枚めくっていただきますと、先ほど高橋委員が御指摘もありましたが、そもそも、今から二十四年の六月に至るまでの間も、一体幾らの所得層で実際の現金とあるいは減税分とがイコールになるのかというのをつくっていただきまして、最初にいただいたのが、上の、八百万円のところでマイナスが立つよという表でありました。
しかし、これをよく精査してくださいとお願い申し上げましたら、一番下にございますように、六百八十五万円のところで既に、この秋からのつなぎ法案でも、従来の子ども手当ではなく児童手当と比べた場合、すなわち、さまざまな控除があって現金給付があってというものと比べた場合に、既に六百八十五万円の世帯でゼロになってしまうというか、そういう結果になるんですね。
これを来年の六月以降、すなわち住民税がなくなっちゃったら、倒されたら、一体幾らの世帯からマイナスになるか。これはもう先ほどちょっと高橋委員が御指摘でありますが、厚生労働省としては、住民税の扶養控除もなくなり、そして先ほどの厚生労働大臣の御答弁で年齢ごとの区分で給付額を決定したとしても、幾らの世帯からマイナスが立ちましょうか。
○小宮山副大臣 住民税の年少扶養控除が廃止となる場合を試算いたしますと、月額マイナス二千七百五十円となります。このため、三歳未満、三歳から小学生の実質手取り額が四百八十八万円でマイナスになると計算をしています。
○阿部委員 そうしますと、さっき高橋さんは五百万円というデータをお出しいただきましたが、先ほど小宮山さんの御答弁はマイナスが出る世帯には申しわけないとおっしゃいましたが、一体マイナスの出る世帯はどのくらいなんでしょう、子育て世帯の中で占める比率は。年収五百万円くらいからもうマイナスが立つというお話でありました。それは一体、子育て世帯の中のどれくらいなのか。
専ら所得制限の話は、一千二百万とか一千万とか、まあ九百六十万でも、比較的中間所得より上の世帯について言われますが、この五百万円内外ということを考えると、子育て世帯全体で見て、どのくらいの世帯では少なくとも現金給付ではマイナスが立つでしょうか。
○小宮山副大臣 申しわけありませんが、どれぐらいの世帯という計算は、今ございません。
○阿部委員 これはぜひしていただきたいんですね。何かここの論議はずっと所得制限の話になっているけれども、直撃されるのは中間所得層なんですね。それはさっき高橋さんが御指摘でありますが、五百万、六百万、七百万、八百万、その世帯が非常に負担が加わって、それは全体で見れば、自公時代の児童手当よりもさらに現金給付はマイナスが立ち、控除はなくなる。
そうすると、一体この数年間何をしてきたのか、私たちの政治は。日本で一番大事な対策は少子化問題であると認識して、みんな政治家はここに集っているわけです。先ほどの御答弁では、それを現物給付の方でとおっしゃいましたが、やっぱり私は違うと思うんです。現金給付は所得再分配ですし、現物給付はやはり実質サービスで物事の考え方を整理していかなきゃいけない。
ちなみに、三枚目をおめくりいただきますと、これは、なかなか子育て世帯の年収というのは出てこないので、厚生労働省の方でおつくりいただいた男性のサラリーマン、そこでの年収分布を出していただきました。当然、五百万円までが一番多いわけであります。もしかして半数以上の世帯でマイナスが立つんじゃないかと危惧するわけです。
ぜひこの法案の、私は、六カ月のつなぎですから、次に本格施行になるときに、今のままでは五百万より上の世帯から五百万円の下の世帯に移行したにすぎない、分配方式を変えたにすぎないことになってしまって、中間にある子育て世帯を本当に支援することになるのかどうか、懸念をいたします。
今回、私どもは、法案への態度は、ここで法案がなければもとの児童手当に戻って混乱が多いということにおいて賛成はいたしますけれども、果たして、先ほど大臣の御答弁の額で、いろいろな控除を倒してしまってなくしてしまったら、子育て世帯のど真ん中がマイナスになりますよということを厚労省としてはどう自覚しておられるかなんですね。
細川大臣、御答弁を伺います。
○小宮山副大臣 私からちょっと一つだけ。
ただし、五百万円の世帯では、中学生分が児童手当の場合はなかったので、その部分はプラスになるということだけ申し上げたいと思います。
○阿部委員 それはちょっと違うんですね。十五歳まで合算するとやっぱりマイナスになります、これは計算をいたしましたから。またよく御検討ください。
五百万の世帯でも十二年あるんですね、十二歳まで。このマイナスを合算していくと、住民税を倒しちゃうとマイナス四十万になり、片っ方の児童手当の中学生がもらった分では十六万くらいしかふえないと、私の試算では思います。ですから、今、副大臣とはちょっと御意見が違いますけれども、また試算をしていただきまして、次の改正のときに。
それから、委員会室からお話のあった、だから控除も見直すんだよというお話がありましたが、しかし、この法案を見ると、控除の見直しは高所得世帯のところしか言及されていないんですね。所得制限のかかる世帯の控除を見直していただいても、はっきり言って、今私が指摘した階層にはきかないんですよ。私が問題にしたのは、この法案には所得制限世帯以上しか税制の見直しが言及されていないということであります。
そこで、総務省から政務官の逢坂さんに来ていただきまして、ありがとうございます。
私は子供の医者ですから、子育て世帯をずっと見てきて、年収にして五百万円前後、手取りではありませんよ、年収と呼ばれるところで五百万円前後から控除を全部外してしまったら、実際、この次、この額でも現金としてはマイナスが立つということは極めて深刻だと思っております。かつて三党の連立におりましたころ、住民税の扶養控除は外すべきではないと私は主張しました。影響が広過ぎるということと、実際にマイナスが出過ぎるということであります。
政務官は、今私がるる申し述べましたことをお聞きになられて、どのように思われますか。お願いをいたします。
○逢坂大臣政務官 ただいま阿部委員が指摘になったような事実というのは、このままの仕組みでいくとあり得るものだというふうに認識をいたしております。
ただ、今回の年少扶養控除の議論でありますけれども、二十二年度の税制改正の議論の中におきまして、控除から手当へという考え方、あるいは子ども手当を導入するということで浮上したものであります。その際に、住民税においても国税と同じ税体系の中で制度設計がされることが妥当ではないか、あるいは自治体の側からも、国税と地方税、同じような仕組みにすべきではないかという要望があった中で、今回の年少扶養控除というのは住民税にも適用するということになっておりますので、税制上の体系としては整合性がとれているものだと認識をいたしております。
ただ、今後、税制の体系だけで、国民の皆様がどういう最終的な収入になるかというのは、税制だけではこれは議論できませんので、八月四日の「子どもに対する手当の制度のあり方について」の三党合意に従ってこの内容というのは議論されるべきものであろうと認識をいたしております。
○阿部委員 私も、今逢坂政務官のおっしゃったとおりだと思うんですね。実際に子育て世帯の現金収入、手取りが減れば、やはり子供を育てるというのは何だかんだでお金が要ることだというのは、もう皆さんも重々おわかりだと思うんです。
せっかくこれだけ大騒ぎして、二年間たってもとより悪くなっちゃったというのでは、余りにも私たちは政治にかかわっている意味がないし、私自身は、何度も言いますが、子ども手当で、現金給付で充実していって、御家庭ではなくて子供にということに賛成ですけれども、それでも、もし全体が児童手当をベースに戻すのであれば、ぜひ御検討をいただきたい。
それは、所得制限世帯以外の住民税の扶養控除、本当は所得税もそうですが、来年四月から始まるのは住民税ですので凍結ができますから、ぜひよろしくお考えいただきたいが、細川大臣、いかがでしょう。
○細川国務大臣 子供に対する手当の問題については、各党いろいろ考え方が違いがある、その中で子供の健やかな育ちを支援していく、こういう形で一体どうすればいいのかということについて、これは三党合意でも、それまで本当に難しいところをいろいろと協議していただいて、ぎりぎりのところでこの合意が成立したものだというふうに承知をいたしております。
したがって、その実績を踏まえまして、二十四年度からの制度についてもこれはまた話し合いによって決めていく、こういうことになっておりますので、その際しっかり検討をしていただくということがよろしいかと思います。
○阿部委員 私は、もちろん三党が合意されたので、それは事実でありますから無視はいたしませんけれども、何度も指摘するように、子育て世帯内で所得再分配をしていてどうするんだということを言いたいんですね。もともと、社会がと言ったのは、やはり全体のシステムの中で、子供を育てている世帯に給付していこうという意思だったと思いますから、そこをぜひよろしくお願いしたいと思います。
続いて、養護施設の子供たちのことでお尋ねをいたしますが、これまでの議論の中でも、養護施設にいる子供たちが、実際には監護という言葉を使われてお手元には置いていない親御さんに行くというのはいかにも不都合であるということで、今回は施設の設置者に行くということになったと思います。一歩前進と思いますが、しかし、これには物理的に実際にやらねばならないことが多々ございます。
一つは、子供の住民票は親のところにある場合が多いので、市町村ではそれを見て子ども手当を給付しますが、実際に施設にいれば、施設にいるということを市町村情報に流さなければいけません。このための取り組みがどうなされるのか。
お手元の新聞記事は、実は消えた子供たちと言われる子供たちですが、これは小学校入学以降で住民票はあるけれども学校には来ていないという、すなわち実態と、子供がどこにいるのかわからなくて、住民票上はいるんだけれども学籍簿には載らない子たちが、何と、ことしは千百八十三人いるということなのであります。
自治体が住民票で把握する能力の限界と、そして、本当に子供に対して給付をきちんと届けていきたいのであれば、社民党が連立時代に提案した子供台帳、子供一人一人の台帳を住民票とは別につくってフォローしていただきたい、子供が消えちゃうときがあるわけですから。それくらいやらないと、今の時代、子供たちは守れないと思います。
自治体支援と子供台帳について、母子手帳を渡しているんですから、そのときに市町村側も控えを持って子供の台帳としていけばできることだと思いますが、いかがでしょう。
○小宮山副大臣 例えば児童虐待防止などにつきましては、子どもを守る地域ネットワークを設置しまして、それで進行管理台帳ということを関係機関で共有してやっているというような例はございます。
ただ、全体の子供たちについて子供台帳ということは、やはり子供のプライバシーへのいろいろな影響を考えるというようなこと、それから台帳作成の市町村の事務負担などということもあり、すぐに、はい、やりますという形にはなかなかいかない。
御意見も伺いながら、そういう子供の把握のできる方法をぜひ検討していきたいと思っています。
○阿部委員 少なくとも、チルドレンファーストと言った小宮山さんには申しわけないけれども、抜けちゃう、ざるのように抜け落ちていく子供がいるということに政治が最も力を入れなければ意味がありませんよ。本当にこのままでは、消えた高齢者というのがありましたけれども、消えた子供たちが次々と出てまいります。政治主導でやっていただきたい。
最後に、お手元には、実は福島県の養護施設の放射線量の高さを示したものであります。これは、会津戦争のころに孤児がたくさん生まれ、その孤児たちを何とか養護しようと思った女性がつくった福島市内の養護施設ですが、広大な緑の中にある分、実は、お手元に示しましたように、大変高い放射線のレベルを示してございます。
これを、実は園長が一カ所一カ所丹念にはかって、だって、子供は二十四時間このスペースにいるわけですから、何とか子供たちの放射線被曝を軽減させたいと思ってやっておられますが、ここでやっぱり費用が生じてまいります。土の入れかえだけじゃなくて、木の剪定、何から何まで。
こうしたことにかかる費用は、国と東電の責任において必ず全額やっていただけるのですねということに、これは細川大臣、今、この施設ではどのくらい出るだろうか、基準額を算定されて、それではできないなといって、全部自分でやっておられるんです。膨大な尽力、手間暇です。こうしたことには、当然国が子供たちを守っていくんだという決意を示し、それを自治体にも知らせていただきたい。お願いします、細川さん。これで終わります。
〔郡委員長代理退席、委員長着席〕
○細川国務大臣 児童福祉施設に係ります土壌の入れかえに係る財政支援につきましては、空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上を観測した場合には、災害復旧の枠組みで国庫補助を行うということにいたしております。
この国庫補助につきましては、土壌の入れかえ方法等については費用が異なるということもありますので、補助単価などについてはあらかじめ設定するものではございませんで、土壌入れかえに実際に要した費用をもとにいたしまして補助を行うということにいたしております。
○阿部委員 今の大臣の明確な御答弁を、各自治体に必ず伝えていただきたい。自治体から来る、養護施設に来る情報が基準単価的なものを示されると、本当に手も足も出ないのです。
それからもう一つ、厚労省としてぜひ独自にお考えいただきたいのですが、例えば三・八マイクロシーベルトを超えると、激甚法の指定になって国庫補助がふえます、除染について。しかし、この三・八というのは、学校とか保育園で、ある時間、限られた時間しかいない場合の基準であります。ここは二十四時間、子供が過ごします。文科省の基準にのっとっていればいいわけではないのです。やはり厚労省として、これだけの高い基準値があるということをお考えいただきまして、もっと補助率を考えるなり、先ほど大臣がおっしゃいました、それは目安として全体が除染されるように積極的に取り組んでいただく、いかがでしょう。
○細川国務大臣 いろいろと委員の方からは御指摘をいただいております。私どもとしては、やはり園児が健やかに育っていくということ、そして心配のないようにということも考えていかなければなりませんので、検討はさせていただきたいと思います。
○阿部委員 今回でなく前回は、保育園の除染の問題を取り上げさせていただきました。校庭が一メートルで測定するのであれば、保育園は五十センチとか地表とか、もっと近いところで、子供の生活空間を見たところで測定をして対策をするということが必要になってきます。
私は、何度も申しますが、この間の厚労省の姿勢が、文科省基準をそのまま引っ張ってきてやっておられるのではないか。しかし、それでは子供は守れない。年少なほど子供たちへの被害は大きいということをきちんとお考えいただきまして、厚労省は厚労省できちんと独自の取り組みをしていただきたいですが、この点はいかがでしょう。しつこくて済みませんが、お願いします。
○細川国務大臣 当然、幼稚園と保育所の場合の、子供たちの年齢も違うということもございます。そういう点も考慮して、厚生労働省としての考え方もしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○阿部委員 年齢と生活時間が違うということ、それから、そこでかかる費用をきちんと補助していただくことをお願い申し上げます。
そして最後に、この委員会へのお願いですが、先ほど私と小宮山副大臣のやりとりの中で、もしも住民税の扶養控除まで外した場合に、一体どのくらいの世帯に影響が出るだろうかということですね。これを十五歳までというトータルの現金給付で考えても構いませんし、また、現物と合わせての支援と考えても構いませんが、大事な点ですので、次回、この次の年度の始まるまでの早い時間にお答えをいただけるようお願い申し上げて、少し時間を余して私の質問を終わります。
ありがとうございます。
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