第177回国会 厚生労働委員会 第5号(平成23年3月25日(金曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

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〔前略〕

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
 本日は、さきの三月十一日の東北地方太平洋沖地震とそれに相次ぐ福島原発の事故等で我が国にとっても未曾有の事態、そして、御出席の各委員も、それから厚生労働省の担当の皆さんも、大変貴重なお時間をきょうはここの審議の時間にいただきましたので、私としても、骨格的なことをまずお尋ね申し上げたいと思います。
 震災の方は、大変な、もう本当に経験したことのない状況でありますが、少しずついろいろな救援の手だても、遅々たるものではあれ進みつつあると思います。
 一方、原発事故の方は、収束と言うにはちょっとまだというところで、なかなか明かりが見えてこない中で、必死の作業をされておられる作業員の方二名のこの間の病院への搬送という事態を受けまして、私は、放射線を大量に浴びる現場でのいわゆる労働安全衛生管理、もっとこれは厚生労働省に頑張ってもらわないと、今一番厳しいところをやっている方にも申しわけがないと思いますので、そういう観点での御質問でございます。
 先ほど申し上げました二名の方は、このたび、水が下から十五センチくらいあって、そこにくるぶしまでしかない靴で入ったために、水の中からも入っている放射性物質に汚染されてしまったと言われております。
 この間、一体何人くらいの作業員がこの原発の事故のために作業に従事し、そして、ある線量を超えたりあるいは異常値を示されたような作業員というのは何人くらいおられましょうか。これは、作業員の方は個人管理をされている放射線量の機械をつけておりますので、そこからお答えいただきます。お願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。
 東京電力によりますと、放射線管理区域におけます復旧作業に従事している者でございますけれども、これにつきましては、今議員の方からもお話がございましたけれども、全員、線量モニターによります管理が行われてございます。
 現在、福島第一原子力発電所におけますこれまでの延べ従事者数でございますけれども、三月二十五日ゼロ時現在までで、約百八十名の方が従事しておられるということでございます。
 その方々の中につきまして、これまでの従業者の一人当たりの被曝線量でございますけれども、被曝線量の最大の方が百九十八ミリシーベルトでございます。急性被曝症状を呈しておられる方は、現時点では確認されておりません。そして、百ミリシーベルトを超える線量を浴びられた方は、合計で十七名というふうに伺っております。
 その中で、先ほど議員の方からございました二名の方々につきましては、これは昨日でございますけれども、発電所の中でケーブルの設置工事をやっているということで被曝をされた方でございまして、その方々については、今現在、放医研の方に搬送されているというところでございます。
 現状は、以上のとおりでございます。

阿部委員 この二名の方の今回の被曝、三名被曝なさったんだと思いますけれども、その方々が作業する現場には放射線の線量管理士の方は置いておらず、これだけ厳しい作業であるにもかかわらず、当然守られるべき現場のルールが実施されていない。これを一つ東電だけの問題、あるいは、これは東電から下請をされた作業員の方だと思いますが、そこの問題にするのでは、やはりこれからもまた起こり得るんだと思います。
 先ほどのお答えで、百ミリシーベルトを超えた方が十七名ということでしたが、きょう、皆さんのお手元に、三枚の私の資料の二枚目をあけていただきますと、放射線量とリスクの関係という図がございます。
 ここで見ていただきますと、この間、規制値になっております百から二百五十ミリに上げられたところの基準は、ここは、個人差もございますが、例えばリンパ球とか白血球が一時減少したりする値でもございます。
 この百ミリシーベルトを超えた方々は、この十七名は一体どのようなチェックを受けておられて、また、もう一点あわせてお願いいたします。いわゆる沃素剤の投与はどうなっておるのかという二点、お願いいたします。

中村政府参考人 被曝をされた方々につきましては、まず、管理区域から出るときに内部の放射線量を測定いたしまして、具体的な線量値を把握いたしております。また、外部線量については、線量モニターによりまして把握をしているところでございます。
 その上で、発電所の中におきまして除染のための措置を実施しておりまして、必要に応じまして福島県の病院、それからさらに第二次病院としての放医研の方に行っていただいて、さらに綿密な確認、被曝がないかどうか、あるいは被曝の程度について確認をしているという状況でございます。
 それから、そういったことにつきましてどのような形での管理、具体的には沃素剤等の投与はしているのかどうかということになろうかと思いますけれども、東京電力の方から聞いておるところでは、放射線管理区域において復旧作業に従事している方、これは関係会社の方をも含めてでございますけれども、四十歳未満の方々については全員、それから四十歳以上の希望者の方については飲んでおられるというふうにお伺いをしております。

阿部委員 私が伺ったのは、御答弁が無理な範疇なのかもしれませんが、白血球が減ったりリンパ球が減ったり、個人差ですけれども、必ず反応が出る方がおられます。それがどうフォローされているかということを伺いたかった。
 それから、沃素剤は、恐らくこの状態だと連日のように飲んでおられるんだと思うんですね。本来は一回投与と言われていますけれども、やはり甲状腺に集積するものがあるということと、外部被曝、内部被曝、外部で被曝すれば甲状腺機能低下症になりますし、内部被曝は当然ながら将来の甲状腺がんになります。そういう状況ももう少し詳しく教えていただきたかったですが、私は、ここで厚生労働省にお願いがございます。
 こうした観点からも、やはり私は、積極的に厚労省が関与していただきまして、この被曝という現実を、一つは、一人の人間の一生の線量管理をきちんとしていただきたいんですね。今、働き方もさまざまで、先ほど申しましたように、ここで被曝された方は、東電の社員よりは、下請、孫請のケースが多いわけです。そうすると、今のこの線量とその方が生涯受ける線量と、これが本当に個人単位で管理されているかどうかが実は大きな問題であります。
 そして、例えば学術会議が昨年の七月に、「放射線作業者の被ばくの一元管理について」というレコメンデーションというか勧告を出しております。この学術会議が心配、懸念されるほど、日本の放射線作業者の一元管理はなされておらないのです。ここでどれだけ受けた、そして次の職場でどれ
くらい受けた。しかし、その人はトータル線量で、ある危険値に達するということが間々起こっております。
 このケースをきっかけに、今般の事案をきっかけに、細川大臣にお願いいたします。もう少し積極的に、そして、今言った白血球はどうなんだ、そういうことも、何をチェックされているのかほとんど伝わってまいりません。沃素剤は毎日飲んでいるのか。一方で沃素は毎日やってはいけないと言いながら、しかし、飲んでいただかざるを得ないんですね。
 そういう中で、個人に集積されていく負担を一体だれが責任を持つのかという点で、細川大臣に御決意のほどを伺いたい。一元管理をきちんと個人単位でやっていただく。職場の労働安全衛生行政、これは、線量計をはからないところにそういう作業者を置かないということであります。危ない、危ないと言いながら、なぜはかられない中に行かせるのかと思いますので、この二点、お願いいたします。

細川国務大臣 今の阿部委員からの御指摘は、原子力発電所のような、そういうところで作業をされている労働者の人たちがどういうように放射能を受けて、そして、それがどういう影響を受けるか、それをしっかり計算ができるような、そういういろいろな形で労働安全衛生法の中でそれらについての管理監督をしっかりやるような検討を、こういうことだというふうに思います。
 私も、この点、今回のこういう事故を踏まえまして、こういう点については検討をやっていかなければならない、そういうふうに考えております。

阿部委員 もちろん被曝の問題は急性期の問題で、今回被曝された二人の方も、さまざまな医者のコメントがありますけれども、重く見る人は皮膚の移植まで必要ではないか、軽く見る人は一週間くらいでいいのではないか、一カ月とか、そうおっしゃいます。だけれども、それは医学管理がどうなっているのかがきちんと伝えられていない。
 やはり万全を期して、国民のためにやっていただくわけですから、ぜひお願いしたいのと、さっきのチャート図ですと、例えば一年間で五十ミリシーベルトで五年間で百ミリと書いてありますが、今回ここで受けた分と、それから、その方がこれから年余で受ける分で、また、今問題になっていない方々も必ずや問題になりかねないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 引き続いて、皆様のお手元に、一昨日になりますかしら、夕方出されましたSPEEDIという文部科学省で試算しておられます今回の原発事故の内部被曝の資料データがございます。
 ちなみに、被曝には外部、皮膚などに外界から寄せてくるものと、それが呼吸あるいは摂水、水を飲むとか体の中に取り込まれて、中で放射性物質が放射能を発出し続ける、両方がございますが、ここで問題にされておりますのは、いわゆる先ほどお話ししました、甲状腺にたくさんの放射性を持った沃素が集まってしまって、これが将来、甲状腺がんの危険になるのではないか。チェルノブイリの経験などから、日本でも平成十四年にさまざまな指標を設けてやってきたものとの関連で、私はちょっときょうこれをお示しいたしました。
 ここを見ていただくと、百ミリシーベルトという線がここの黄色の一番拡大した部分でありまして、それ以下の部分はもっと濃度は濃いわけですが、いずれにしろ、百ミリシーベルトという、現場で働く方も以前は百ミリであったわけですから、逆に言うと、ふだんの市民が受ける量としたらかなりの線量をこの三月十二から二十四日に受けられたわけです。本当はこれはスピーディーに、もっと早く、事故の当初に出されねばならなかったものなのですが、いろいろな計測モニターが動かないとかで指標が足りないということで今日になっております。
 このデータを見ますと、やはり二十キロから三十キロ圏、言われております部分の南相馬市などはそこに入りますが、今は屋内退避ということになっておりまして、これから放射線量が引いていくならいいのですが、まだその予見がされません。そして、屋内といっても日本の家屋は、コンクリートではなく、多くがやはり木造などで、すき間も多いものでございます。私は、これを見たときに、対策は今や二つしかないんだと思います。
 一つは、沃素の予防投与ですが、もう予防になりません、正直言って。十二日以上過ぎちゃったからです。そうなるとあとは、積み上がっていく線量に対して、これはやはり医学的見地からも、原子力保安院として、ここからの退避という判断をなさるが妥当だと思います。
 例えば、ここの圏外の飯舘村というところも、高い濃度が毎回毎回示されております。ここの判断で、昨日でしたか、官房長官のお話も大変わかりづらかったです。今後は避難勧告が必要になるかもしれないけれども、今は屋内退避だと言われているんですね。でも、二週間も屋内に退避したら軟禁状態になりかねません。
 この判断をもう一度保安院に伺います。お願いします。

中村政府参考人 恐縮でございます。こちらの方の内部被曝の臓器等の等価線量による被曝の評価でございますけれども、こちらの方は内閣府の原子力安全委員会の方でやっているものでございます。我々の方は、直接これについて分析をしたり評価をしたり、また意見をしたりするものではございません。
 この評価を活用させていただいているという立場でございますけれども、私どもが安全委員会の方から聞いているところによりますと、ここの評価の紙にも書いてございますけれども、この試算については、第一原子力発電所の事故発生後、連続して一日じゅう屋外で過ごすという保守的な条件で試算をしたものということでございます。
 そして、私どもが安全委員会の方から承っているところでは、屋内では、屋外と比べて四分の一から十分の一に放射線の影響を低減させることができるということでございますので、そういったことも含めて考えますと、まずはこういった試算も踏まえながら、この試算の精度を高めるということと同時に、今、関係機関で環境のモニタリングが行われておりますので、そういったモニタリングの体制あるいは実施というものを充実させていくということがまずは大切ではないかなというふうに思っております。

阿部委員 済みません、安全委員会のお話は、当然ながら、ある被曝が起きたときの短期的なものを考えておられるんだと思います、屋内退避ということも。先ほど言った、じっと二週間も屋内退避していられません。本当にこれは苦痛に近いというか、もう人権無視の状態であります。
 もちろんお尋ねは、第一に原子力安全委員会、内閣府の担当であることはよく承知しておりますが、しかし、現状、こうした事態が生じていて、各省庁ばらばらに、文科省ははかり、内閣府の安全委員会はそうした指導を出し、保安院は私のところではないと言って、健康被害だけが、あるいはストレスが増悪してまいります。ぜひトータルに人間の健康、安心、安全を守っていただけるよう、これは細川大臣にもお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。


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