予算委員会 第21号(平成23年4月29日(金曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)

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〔前略〕

中井委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 三月十一日に我が国を襲いました地震、津波、そして原子力発電所の事故によって、きょう現在、お亡くなりになった方が一万四千五百七十五人、また、まだ行方の知れない方が一万千三百二十四人と大変に深刻な状況が続いております。そして、きょうの御質疑でも各委員お取り上げでありますが、復旧がおくれており、いろいろな意味で厳しい状況に立たされた方がおられます。
 そんな中でも、とりわけ、この事件というか事実を通じて世界が我が国を見たときに、我が国の国民の一人一人の我慢強さ、そして思いやりの深さ、あるいはあきらめない強さなどを改めて世界が評価しておられるということをよく聞きます。
 一昨日でしたか、ドナルド・キーンさんがこの秋、帰化をされると。こよなく日本を愛し、日本の文化を愛し、人々を愛してこられた方が、この今の日本の未曾有の危機に、ともにここから生きていきたいと思ってくださったことに、私ども政治の場にいる者も改めて責任を強く思うものであります。
 私は、きょういろいろな御質疑の中で、私も使いましたけれども、未曾有の災害というふうに言われておりますが、実は、三陸海岸にとっては、震災、津波というのは約四百年間で四十数回ここを地震や津波が襲っております。その規模においてはさまざまなものがございますが、こうした三陸海岸沖の実態に対して、各自治体はいろいろな備えをしてこられました。今回、地震の強さ、津波の高さ、あるいは、福島では原発事故などが加わったために被害は格段に大きくはなってございますが、逆に、人々が準備してきたもの、各自治体が準備してきたものは、この困難な中でもいろいろなところでサポートとして生きていると私は思います。
 お手元には、まず一枚目、せんだって私が岩手県に参りましたので、過去の岩手県の津波被害状況というものを載せさせていただきました。実は、これは遠野市からいただいてきたものでございます。
 この地域で近年のものを申しませば、明治の三陸地震、明治二十九年、このときはマグニチュードが八・五、そして津波は三十八メートル。昭和八年三月三日、このときは同じ場所で二十九メートル。そしてチリの津波は、震源地が遠かったために比較的波高は低うございましたが、この地域にとって、二十メートル、三十メートル、あるいは貞観まで戻れば五十メートルの津波があったと言われている部分でございます。
 こうした置かれた自然条件の中で、三町村そして五市が、この図の一番下にございます三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会というものを、実は、こんな地震の前、十九年につくって、県に提案書を上げておられました。
 私は、きょうはこの取り組みを御紹介して、私どもがこれから立ち上がっていくときに何が必要なのかを御一緒に考えさせていただきたいと思います。
 実は、遠野市と申しますのは、柳田国男さんなどのいろいろな書かれたものでも有名ですし、民話の里とも言われておりますし、岩手県においては、三陸海岸部と内陸部をちょうど結ぶ、クロスする物流の中心でございました。
 そして、この市では、一たん事あれば、いろいろな各自治体にどのくらいの時間で行けるのか、あるいは、どんなものをどういうふうに運ぶのか、ちょうど自衛隊の基地があり、また、消防車の集積地も広いグラウンドをつくって、訓練を日ごろしておられました。津波の大きさは非常に厳しいものでありましたが、しかし、自分の市が被災しながらも、この遠野市では、早急に、この訓練どおりというか、こうした地図に基づいて後方支援を早速に開始いたしました。
 その開始された後方支援に対して、実は、三十二の県や市町村がこれまた早速に駆けつけて、この遠野市の後方支援を後方支援するという展開をいたしました。三枚目の皆様のお手元の資料には、静岡県を筆頭に、いろいろな市町村あるいは県の名前が「全三十二自治体」となっております。今ではここにはボランティアセンターも置かれ、ボランティアを現地、特に町がなくなってしまった大槌町などにも派遣しながら、いろいろな人のサポートになっております。
 菅総理に冒頭お願い申し上げます。
 こうした自治体間の、自治体の首長は皆、住民の命を預かるその重みにおいて、それぞれ真剣に御努力であると私は思います。命が近いからです。この取り組みについて、まず御感想をお願いします。

菅内閣総理大臣 私もちょうど、テレビ放送でこの遠野市のことを少し見ておりました。また、大震災発生から直後に、例えば九州地域の各県、さらには関西の地域、幾つかの県や自治体がグループになって、役割分担を決めて各被災地に人を送る、物を送る、また、都内でも杉並区などが南相馬の方との連携の中で、これも幾つかのチームで、連絡があった翌日にはバスを仕立てて避難を希望される方を受け取りに行く、そういう活動も直接にもお聞きをいたしました。まだまだ、私も知らないといいましょうか、こういう動きが非常にたくさんあっていると思っております。このことは本当にすばらしいことだと。
 もちろん、企業やNPOやいろいろなものがありますが、自治体同士というのは、まさにプロ集団がボランティアの気持ちで連携をするということで、逆に、国が間に入っていない分だけ本当にスピーディーで、物事が実態的に進んでいるということも、これは率直に認めなければならないと思っております。そういう意味で、大変すばらしい活動であり、今後の日本の一つのあり方として、一つのいろいろな意味での参考になるのではないかと感じております。

阿部委員 先ほどの片山総務大臣の御答弁でも、各自治体の本当に相手を思いやる心、支え合いたい心が今形になりつつあるということは、総理もおわかりの上で今のように御答弁いただいたんだと思うんです。
 では、国のやらねばならないことは何かということを今度は私から提案をしたいと思うのですが、これは、こうした災害がある都度、災害復興一括交付金のような、いわば省庁縦割りでなく、農水省、環境省、厚労省、そのおのおのの省庁の予算ではなく、自治体が必要なものを一括交付金として被災自治体に渡していくような仕組み、これが非常に人の復興を支えるもとになると思います。
 実は、今委員長席にお座りの中井委員長も、かつて防災担当大臣であったとき、二〇一〇年の五月十五日でした、この震災一括交付金。
 市町村にはさまざまな要求があります。そして、一つ一つの事業を、これやっていい、あれやっていいと各省庁に聞いている間に、目の前で失われていく命があったり、困窮する市民、住民がいるということです。私は、今回の補正予算で最も不満な点は、こうした市町村が、自治体が中心になった一括交付金化がなされていないということであります。
 例えば遠野市では、住宅を建てるのに、なくなってしまった大槌町の集落を、なるべく同じように、住民を集めながらできまいかというので、いろいろな場所にいろいろな工夫を提案しておられます。それは必ずしもプレハブでもなく、そして、集落に近いものをつくるためにはさまざまな要素が必要であります。人をばらばらにしない、その支えられる仕組みは何かということをつくるためにも、実は、震災の一括交付金というのは、民主党の皆さんがずっと言ってこられながら、しかし今現在、形になっていないという点で、私は大変残念ですし、各市町村も要求しておられます。知事会も要求しておられます。総理、いかがでしょう。

菅内閣総理大臣 一括交付金という制度そのもの、さきの予算で、これは災害ではありませんが、提案をいたして実現をさせました。
 今、阿部議員の方から、災害において特にこういう形が効果的だという御指摘をいただきまして、ぜひ、このことについて私自身もよく検討して、総務大臣初め関係者と検討をしてみたい、こう考えております。

阿部委員 これは、こうした人を支える仕組みのための交付金だと思っていただければいいんだと思います。今いろいろある交付金、例えば災害救助法でも、だれそれをどこに派遣するというのはあるんですけれども、それは限られたテーマで、限られた方法しかとれません。柔軟に、自治体がニーズに応じてやるということの必要性で、今、総理、前向きに御答弁いただきましたので、ぜひ御検討いただきたい。
 そしてもう一つ、先ほど高橋委員との御質疑の中で、県が持っております被災者生活再建支援法、これもお金をプールしておりますが、これも、住宅について、最初百万、次二百万、このメニューしかありません。これから県が復興を担うときに、基金として置いて、そこから自由に使えるようなものもぜひ必要だと思います。
 例えば、雲仙のときは一千九十億、阪神・淡路九千億、中越三千五十億、能登の震災五百億、中越沖、近々のもので千二百億となっていますが、これらはいずれも利子しか使えないものでありました。もっと大胆に、これから復興院もできるのかもしれません。これからは、中央直轄というよりも、中央はやらねばならないことがある、だけれども、地域から見て何が必要かを下から上げていけるような復興でなければ幸せになれないと思います。
 この県に置かれる復興基金の構想については、総理はいかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 県ができるだけ自主的な判断で復興に当たられるという意味で、基金ということを提案いただいていると理解しております。
 いろいろな仕組みの中で、今、金利ということも言われましたが、多くの基金が、今は低金利で、相当の金額を積まないと金利部分では余り事業ができないという、ある意味では取り崩しの基金というものもありますけれども、こういうものも、単年度では進まない問題について、さらには自主的な判断で行えるという意味で、検討に値する提案だと考えております。

阿部委員 ぜひ実現していただきたいです。
 引き続いて、ゴールデンウイークを控えまして、読売新聞によれば、約十三万人のボランティアが現地入りすると言われております。
 私が二十六日の日にお尋ねいたしましたが、私は、日本の復興のためにみんなが力を寄せるというのはすばらしいと思いますが、もし、その行ったボランティアの方が、私が懸念しておりますアスベストの問題などに暴露され、後々、中皮腫などになられたのでは、大変にこれは償うことができないことになると思います。
 環境大臣と厚労大臣に一つ一つお願いいたします。
 まず、環境大臣については、せんだってもお伺いいたしましたので、これがアスベストが含まれているよと、例えば、瓦れきの中にも明らかにそれらしいものはあります。それがボランティアで行った人にもわかるようなことをしていただきたい。やっているときは一生懸命ですから、あれもこれも拾ってあげようと思います。
 あと、マスクも、このわきが甘いと全部入ってきます。ぴったりとした防じんマスク、これも必要であればさらにきちんと備えて、若い人たちが行くわけですから、体を守れるようにしてあげていただきたいが、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 この間から、アスベストの御指摘を受けて、環境省でもまた厳しく、阿部委員の御指摘を受けて、指導してまいりました。
 被災地におけるアスベストがどのような場所に飛散するかは、被災地における復旧作業の進捗状況、あるいは天候や風向きそして風速の気候条件によっても大きく変化をいたします。マスクのかけ方、あるいは防じんマスクの配付等々も含めてこれから対処してまいりたいと思いますし、ホームページや自治体を通じて、一般住民等への、あるいはボランティアに向けてのアスベストに関する基礎知識の情報提供をしてきたところであります。
 また、四月二十七日に公表いたしましたアスベスト大気濃度に係る予備調査の結果では、アスベスト濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでしたけれども、一部の現場では一般粉じんが通常より多く飛来をしている場所もあることから、今後とも、被災地で実施する調査の結果を周知するとともに、引き続き防じんマスクの着用を呼びかけてまいりたいと思います。

阿部委員 環境省でおはかりいただいたのが十数カ所ですから、あの膨大な瓦れきの山を思いますと、私は本当に、せっかく若い人が行って、そこで健康を害しては、その未来ということを案じてしまいます。だけれども、行ってほしいし、みんな頑張って支えてほしいと思います。
 次に、細川大臣にお伺いいたします。
 アスベストを含んだ建物の解体等をこれからはお願いせねばならないと思いますが、菅政権では、例えば避難所などに避難されている方も、どの程度そうした作業にかかわられるのかわかりませんが、自治体の臨時職員として雇って、そこで働いていただくことも考えておられるやに伺います。
 私は、そうした場合、どんな雇用関係であれ、雇用関係があれば必ず労災保険はつくものですが、その点について、皆さんきちんと労災保険を持ってやっていただくことが大事であると思います。一日だけで、そのときだけで、お金もそのときだけでというようなことではなくて、実は阪神・淡路のときの大震災でアスベストが労災として認められたのはたった一件で、それ以前のその人の暴露歴がわからないからということにされてしまっています。
 瓦れきの膨大さを思うと、またいろいろなものが、ほかにも有害物質がありますから、きちんとそこで働く人が、労災保険は持って当然なんですけれども、そうした労働行政、監督をしていただきたいが、いかがでしょう。

細川国務大臣 阿部委員がおっしゃるように、災害復旧での作業について、アスベストなどの被害をこうむらないように、これについては徹底的に気をつけてやらなければいけない、こういうふうに思っております。
 普通の建設業で仕事をしている方などについては、阿部委員が言われるような心配はなく、きちっと労災などにも入っているというふうに思います。
 厚生労働省で進めております重点分野雇用創造事業がございます。これについては、震災対策ということでもその基金を利用してもいいということを今回やりました。そこで、市町村などでは、被災された方も採用して仕事をしていただく、その際にこの問題が起こるんだろうというふうに思います。しかし、その基金事業で採用する場合はきちっとした雇用となりますので、これについては労災などもすべて適用になるということでございます。

阿部委員 ありがとうございます。
 続いて、まだ瓦れきの問題でもう一問。
 実は、午前中のやりとりを聞きながら思いましたが、今回の補正予算には、いわゆる放射性物質に汚染された瓦れきの除去については、どこからも予算づけが組まれておらないのではないでしょうか。
 全体、瓦れきの量は、環境省が上から航空写真で撮って、そしてその一部を今回補正予算で積んでおられますが、放射線汚染のものは、原発の施設、それから二十キロ圏内、あるいは二十から三十、一々チェックして、大丈夫ということでないとどかせないと思います。そのチェックにかかわる費用は一体どこから出るのでしょうか。費用がない限り、放置されるのでしょうか。原子力賠償法の第一次案を見ても、これはどこにもないのです。
 私は、では経産省が出すのかな、原子力賠償法で東電が出すのかな、では環境省かな。どこにも予算計上がないように思いますが、海江田産業大臣、どうでしょう。

海江田国務大臣 阿部委員にお答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、今度の第一次補正では、放射性物質に汚染をされた瓦れきの処理というのは計上されておりません。
 これは、委員つとに御案内のとおり、敷地の中、サイトの中であれば、これは当然のことながら東京電力が責任を負うべきでございますが、サイトの外の瓦れきについては、実は法律もない状況でございます。ですから、現在、環境省と私ども、それから関係省庁が集まりまして、そして法律的にやはり手当てをしなければいけないということが一つ。
 それから、放射線に汚染をされました瓦れきが一般瓦れきとまじってしまって、そして例えば燃やしたりしますと、放射性物質がまたそこから出るということがありますから、これは厳密に区別をしてください、区別をして、残念ながら今の時点ではこれをまず一時保管をしてくださいということをお願いしてございます。

阿部委員 一時保管に分けるにも、私は予算と人手が要ると思うんです。何だか、これだけ聞くと、福島置き去りと本当に私は懸念をいたします。おまけに、放射性物質はまた空中に出て人の健康を損ねていく。私は、本来はこの補正予算で入れていただきたかった。海江田大臣はおわかりでしょうから、迅速にやっていただきたい。
 最後に、お伺いいたします。
 今回、この震災を通じて最も厳しい状況に置かれたのは、私は、親御さんを失った子供たちだと思います。震災孤児、御両親を失った子供たちが、今現在、わかるだけでも百三十人おられます。血縁や御親類の縁が強い東北地方ですから、どなたか御親族が預かってお育てをくださっているケースがほとんどであります。
 この方々にも親族里親などの仕組みがあるということをきちんとお伝えいただいて、子供たちの安住の場をおつくりいただきたいが、いかがでしょうか。これが最後の質問です。

細川国務大臣 この大震災で両親を亡くされた子供さんがたくさんおられます。そういう子供に対しては、しっかりと社会で支援をしていかなければいけない。
 そのときに、親族里親制度というものがございます。今委員が言われましたように、百三十人わかっておりますけれども、普通の里親制度と親族里親制度では違いがございまして、親族の中でもその子供さんを健やかに育てていただく、それにはやはり支援をしていかなければいけないということで、非常にいい制度だというふうに思いますので、ぜひ我々も推奨をしていきたいというふうに思いますし、里親の認定の審査会についても、頻繁に開いて早く決定をするように督励をしていきたいというふうに考えています。

阿部委員 パール・バックが一九四七年に書いた「つなみ」という本は、親御さんを失った子供の話でございます。ぜひみんなで支えてやっていきたいと思います。
 ありがとうございます。


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