予算委員会 第23号(平成23年5月16日(月曜日)) 抜粋

案件:

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(東日本大震災対策並びに原発問題等)

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〔前略〕

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 あの震災から二カ月以上が過ぎました。そして、皆さんお取り上げのように、なかなか復旧が進んでいない。避難所での厳しい生活、あるいは仕事はどうするんだろう、今このテレビをごらんになっている被災地の皆さんも、また、それを案ずる国民の多くも、一日も早くこのプロセスが前に進むことを願っていると思います。
 私は、きょうはその中で、特に、原発震災と言われる原発事故のことを取り上げさせていただきます。
 限られた時間、二十五分ですので、御答弁はなるべく簡潔にお願い申し上げます。
 先ほど来の笠井委員あるいは他の委員もお取り上げですが、今回、この原発事故、発生いたしましてから、最も深刻な事態が発覚しておると思います。いわゆる炉心溶融、メルトダウンと言われる状況であります。
 原子炉の中は、ホタテガイみたいなペレットと呼ばれる燃料棒の中とそれを覆う被膜がございまして、これが傷ついたことで、最初は被膜が落ちてくる。そして中のペレットが燃える。最後には、その姿をなさず、メルトダウンする。一番深刻な事態だと思います。
 はてさて、東京電力の清水社長には、このメルトダウンという状況が現実の事態であるというふうに認識されたのはいつでしょうか。
 同じ質問を保安院の寺坂さんにいたします。また、安全委員長の班目さんにもお願いいたします。

清水参考人 一号機の今のメルトダウンというお話でございます。
 一号機は、発災以降、大変放射線量の高い環境に置かれておりまして、人間が入れなかったという状況下に置かれました。それが先月、いろいろ環境改善をしながら、中に入りまして、さまざまな水位計を正しく校正したりしたということで、その水位の状況が明らかになったということでございます。
 それと同時に、今おっしゃいました、いわゆる燃料棒が圧力容器の底部にたまるというようなことがそこでわかったということでございます。

阿部委員 済みません。いつであるか、明確にお答えください。申しわけないが、時間が短いのです。いつで結構です。
 次の御答弁の寺坂さんも班目さんも、いつ認識なさいましたかと聞いているので、今のように状況説明はわかっております。

清水参考人 今申し上げましたとおり、実際に中に入りまして、水位計を校正し、確かめたその時点でございます。(阿部委員「いつですか」と呼ぶ)日にちはちょっと確かめさせていただきます。後ほどお答えいたします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
 燃料、炉心の状況に関しましては、燃料ペレットの溶融という言い方をしてございますけれども、これは四月十七日に炉内の状況について、燃料ペレット、何らかの形で溶融をしているというふうに原子力安全委員会の方に御報告申し上げておりますけれども、まず、そういうことがございました。
 さらに、今おっしゃっておられるような意味での炉心の溶融、そういったことにつきましては、先般、水位計が回復して、それで十分な水位がなかった時点ですから、五月十何日かだった、そういうふうに思っております。

班目参考人 原子力安全委員会としましては、事故発生後、かなり早い段階、数日後の段階で、メルトダウンの可能性もあるということははっきり認識しております。
 それから、実際にもう燃料は溶けたということは、三月の二十八か何日かわかりませんけれども、二号炉のタービン建屋地下で高濃度の汚染水が発見された時点で確信を持ったという次第でございます。

阿部委員 前者のお二人には、いつですかと聞いているんですから、こういう正式な場ですから、御自身が認識されたときですから、いつとお答えください。
 それから、今、班目委員長の御答弁にもあったように、安全委員会としては三月二十八日、これは二号機であるというお答えですが、今私のお尋ねしているのは一号機でありますから状況は違うと思いますが、恐らくこの間常に一号機も二号機も三号機も炉心が水の上に出て、そして被膜が損傷し、ペレットが損傷し、そうしたら後はもう溶けて流れるしかないわけですね。同じような状況が恐らくあるんだと思います。
 私が今懸念いたしますのは、工程表はただの紙ではないのです。しかるに、極めてあいまいな、そして甘い予測で幾ら作文してもらったって、だれも安心できません。
 続いて伺います。
 これから起こり得る最悪の事態と、そのことにどう備えているか、これもお三方にお願いを申し上げます。

清水参考人 工程表の見直しというお話だろうと思います。
 まず一号炉につきましては、冷却水が漏えいしているというふうに考えられますので、先ほどもちょっとお話がございましたとおりで、格納容器の冠水というのは見直さなければいけない。しかしながら、その際には、滞留した水を再利用して、いわゆる循環注水方式の採用によって現在の工程をしっかり守っていきたい、こんなふうに考えていることが第一点でございます。
 それから、最悪のシナリオというお話でございます。
 私どもは、これからの道筋ということでお示ししているわけですが、その中ではさまざまなもちろんリスクがあるということを踏まえながらつくってきたということでございます。
 その中でも、特に二つございます。一つは、何といいましても、格納容器の爆発といいますか水素爆発を防止すること。これが一つ。もう一つは、放射線レベルの高いいわゆる汚染水を敷地外に出さない。これが極めて大事な克服すべき課題というふうに認識しております。
 その意味で、格納容器内へ例えば窒素を充てんする、あるいは汚染水の保管場所を複数しっかり確保すること、あるいは汚染水の処理施設をしっかりと対策を進める、こんなふうな今の考え方でございます。

寺坂政府参考人 現在の各原子炉の状態におきましては、給水機能、冷やす機能、これを確保していくということが一番重要なことでございますので、そういう意味におきまして、何らかの事情によってその冷却機能が十分でなくなるような事態、あるいは水素爆発といったような事態、それから汚染水の処理において、この汚染水が十分内部で処理できるように今いろいろな対応を行っておりますけれども、それが何らかの事情によって難しくなってくるような事態、そういったようなことが考えられると思います。

班目参考人 原子力安全委員会としては原子力安全・保安院の方から正確な情報を得ていませんので、私の個人的な見解でお答えいたします。
 現在、炉は安定な状態にありますけれども、一番危険な状態というのは、やはり同程度の地震ないし津波の襲来によって冷却系が失われたり、あるいは海水中への汚染水の放出が起こること、これが非常に厳しいことだと思っております。

阿部委員 今三人伺っても、何が一番危機なんだろうという認識がばらばらで、恐らく意見交換もされてないんだと思うんですね。
 私は、ちょっとお待ちください、一点目の爆発であれば、このたびの一回目ではSPEEDIがスピーディーに動かずに、風下に逃げてしまった人がいたり、汚染マップを見ればわかりますが、同心円状なんかに広がってないんですよね。どっち向きに、そのときの風で物がどっちに飛ぶか、高汚染濃度地域はどこか、それをあわせてアナウンスできる体制をとらねば、爆発に備えたとは言えないんです。
 それから、二点目の汚染水の問題については、今極めて深刻です。だって、格納容器の下がどこも漏れているわけですよ。格納容器はクローズドでなきゃいけないのに、ひびがあるのか何があるのかわかりません、漏れているんですよ。極めて深刻です。その対策はどうかということとか。
 私は、今、班目さんが保安院とは連絡していないとおっしゃり、東電のお答えは、申しわけないけれども、ちょっと月並みですよ。深刻さが感じられない。こういう体制で、この重大な事故、経済も低迷させ、これが一番世界の中で不安と不信要素ですよ。私どもの国は、震災からは復興するであろうと、この国民性において。本当によく耐えて、今必死にみんな努力していますよ。だけれども、プラスこの経済に与える影響や、まき散らし続ける、世界にまき散らす環境汚染を起こしている原発事故については、我が国に対する評価の目は極めて厳しいものがあると思います。
 菅総理、お願いいたします。海江田さんがお手を挙げているので、その後でお願いします。
 今のようなばらばら体制で、果たして物は進められるでしょうか。それに一言お願いいたします。お聞きになったと思います。みんなばらばらなことを言って、国民はだれを聞いて、どこを向いて、何を見て安心するんですか。お願いします。

菅内閣総理大臣 ある段階で統合対策本部というものを立ち上げて、それ以降、東電、そして保安院、そして安全委員会、また政府の担当者が共通の議論のベースに立つことが相当程度できたと思っております。
 そういう中で、しかし、残念ながら、大変重大な認識でありましたメルトダウンについて、正式な発表はたしか昨日だったと思いますが、東電が発表されたものが文書としての最終的な形だと思いますけれども、必ずしもそういうものの認識が、確かに個々にはいろいろな意見が出ていたことは私もよく知っておりますけれども、こういう形であったというのは、水位計が直接生きてきた段階、つまり、稼働した段階でこういう新たな推定になりました。
 このことは、確かに不安を与えているという意味ではおわびを申し上げなければなりませんけれども、そういう水位が確定的に認識できなかったという、これも客観的な事実でありまして、その中ではいろいろな意見があったというのが、多分これも客観的な事実であろうと思っております。
 そういう中で、私としても、もう一度関係者の皆さんとしっかりと、議論をする場は議論をする場として、共有の認識を持って対策に当たれるようにしていきたい。
 最も深刻な状況についてというお話もありました。これについても、私もいろいろな方からの知見は個人的あるいは組織的にも聞いておりますけれども、そうした形の中でも、例えば、水の漏えいについてはもっと大がかりな形でそれを抑える手当てが必要だとか、あるいは、今回の新しい知見によって、従来の水棺という考え方は余り適切ではない、新たな形の、空冷的な形で漏れた水をもう一回戻していく、そういう形をしっかりとれば、先ほど来申し上げているように、ステップ2の工程が時間的には余り延びないでやれるのではないだろうかと、これは先ほど東電の清水社長も共通のことを言われておりましたが、そういうふうに考えております。

阿部委員 総理は今、それは希望的観測というんですよね。この工程表の一を見ていただくと、全部、ステップ1はどれもできないですよ。窒素充満は一号機はやったんでしょうか。そのほかはわかりませんね。二番目の冠水、これはもうできないんですよね。熱交換機能の検討、実施、これからなんですよね。二号機の格納容器損傷部分の密閉、これからなんですよね、漏れているんですから。
 私は海江田さんにお願いがあります。本当に信頼性のあるもの、そしてそれはいろいろなリスクを勘案したものでいいんです。一つの形で美しいものじゃなくて、リスクをちゃんと入れたもの、踏み込んだものを政府の責任で出していただきたいです。あした例えば東電から出ても、またかと思いますね、はっきり言って。お願いします。

海江田国務大臣 この一月前につくりましたものにも、私どももしっかりと責任を持たなければいけないということで、関与をしておりますので。
 リスクを書いてないということでございますが、今一番最初の紙をお出しですけれども、その後ろに別紙がございまして、全部リスクはわざわざ赤い字で書いてございます、これは。例えば、放射線レベルの高い場所で作業が長期化するおそれがあるとか、一つ一つ全部書いてございますから、これはぜひ見ていただきたい。
 それからもう一つ、私どもと班目委員長の立場とはちょっと違います。班目委員長は第三者機関でございますから、それは少し意見が違いますが、少なくとも保安院と私ども、それから東京電力とは、統合の対策本部、今は対策室になりましたけれども、本当に毎日、きのうも四時間、五時間私はそこにいまして、まさに、あした発表しなければいけないものをどういうものにするのかということで、しっかり議論をしております。
 それから、全部言いますけれども、先ほどお話をした、班目委員長が言いました地震の備えということでも言いますと、これを見ていただければよろしゅうございますが、四号機の支持構造物の設置と書いてございますが、これは、炉に入っている燃料はそういう形で炉という安全弁がございますが、プールはやはり、これは深さ五メートルぐらいですけれども、危ないですから、そこを地震のときにしっかりと支持構造物をつけなければいけないということで、その意味では万全の体制を整えておりますが、御意見があれば、またそれはいつでもお聞かせいただきたいと思います。

阿部委員 燃料プールが危ないのも当然ですよ。もしかして炉以上に危ないかもしれません。地震で揺れて、中で遮断している棒がとれたら再臨界を起こしますから、危険なんですよ。それはそうです。
 海江田さんはるるおっしゃいましたけれども、なぜ炉心溶融という危険をそこに入れ込んでいないのですか。ごめんなさい、私、このお話で時間をとれないので。しかし、安全委員会と我らは違うと言ったら、国民は安全でないものを受け入れなきゃいけなくなりますよ。何のための安全委員会ですか。それも大きな異議があります。ごめんなさい、私の時間の限りで、次に行かせていただきます。
 出るものは、安全委員会ともきちんと、もちろん置かれた立場は違いますよ。しかし、一番安全を大前提に進めてきた原子力が安全でなかったから、これだけの審議と論議になり、大きな見直しが必要とされているんです。今の海江田さんの御答弁では、国民は納得できません。よくやっているのもわかりますよ。しかし、それでも安全性が担保されなかったから大きな問題になっているんですよ。そこをきちんと受けとめていただきたいと思います。
 そして、次の質問にこの図で行かせていただきます。鹿野大臣にお残りいただいたので。
 私はこの前も取り上げましたが、実はこの図の一番下に、モニタリングの拡充、充実、そして避難指示、計画避難、緊急時避難地域への十分な低減、原子力の放射性物質を低減するという言葉が出ているんですね。でも、これのスタートがすごく遅いんです。それで、これからまた先、この事故の経過が後に延びれば延びるほど遅くなってしまう、そう思っていたやさきに、五月の十二日に出されたのは、二十キロ圏内の動物、家畜の屠殺でした。
 私は鹿野大臣にはお願いがあります。実はチェルノブイリに学ぶべきは、チェルノブイリの事故は悲惨でしたが、ほとんどの家畜は直後に一緒に連れ出しているんです。そして、連れ出せなかったものも、飼料等を与えてその家畜が持つ放射線のレベルを下げさせているんです。殺してしまったら汚染物質になってしまうんです。軽減措置とは、そうやって、いい飼料を与えて動物の放射線レベルを下げることなんです。
 今、確かに、野に放たれたような状態で不可能かもしれないとお考えでしょう。しかし、殺してブルーシートは間違っています。これはよく、副大臣の篠原さんもこの前のチェルノブイリの共同の会議にいらしていますから、学んでいただきたい。また、御一緒にロシア、共通のシンクタンクでもいい、何でもいい。だって、これから長い過程なんです。最悪のことはもう起こったんです。だけれども、私たちはそこでひるむわけにはいかない。だったら、前に出るために、かつての悲劇の経験から学ばなければなりません。原子力安全委員会にも、実はこの軽減措置のペーパーは二〇〇一年に出ています。なぜ原子力安全委員会と農水省とが共通の認識に立てないのか。
 きょう、時間がないので、大臣には突然で申しわけありませんが、私は、今の方針はとてもがえんじません。土壌もそうです、動物もそうです。一体畜産とか酪農を何と考えているのか。業をなすということを何と考えているのか。到底納得できる措置ではありません。私は、きょう後で大臣にその文献というか発表されたものもお届けしますから、きょうのところは、城島さんへの御答弁では学術的なものは少し考えましょうということでした。そうではなくて、産業として、業として考え直せということをお願いしたいですが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 基本的に、今、阿部委員からも申されましたけれども、原子力安全委員会とは常に私ども御相談申し上げながら、連携をとって一つ一つ判断をさせていただいておるのであります。私ども農林水産省として独自で判断できるものではございません。
 そういう意味で、先生から、具体的な業として取り扱うかどうか、こういうことでございます。
 確かに、外部被曝については、当然、スクリーニングすれば、これは除染というふうなものも行うことができますが、内部被曝については、どういうえさが供給されておったとか、どういう水が、汚染された水も飲んでおったんじゃないかというようなことからするならば、なかなか困難な対応であるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

阿部委員 それも含めて、プルシアンブルーというものを牛に与えるんですね。これはチェルノブイリの経験です。そして、そうしたことはもう被曝の二、三週間後からやっているんです。あと、土にカリウムを入れて放射線レベルを下げるとか、いろいろな方法が実際にとられてきました。私は鹿野大臣の農水への取り組みは一番評価していますから、これはぜひ学んでいただいて、前向きに検討していただきたい。
 最後の質問に行かせていただきます。今度発表された東電への補償スキームの問題です。
 ここに挙げました図は、私が勝手に理解し、つくったところですが、今度の補償スキームは、簡単に言うと、東電が利益を上げた、その利益の中から補償をお返しいただこうというものです。
 一方、下段は、東電の資産、いろいろ資産をお持ちですね、東電はお金持ちですから。その資産を基本にきちんと賠償していただこうとするものであります。
 何が違うか。本当に簡単に言うと、上段は、利益であれば、簡単なことは電力料金を上げることです。あるいは税金を入れることです。税金というのは支援機構に入るわけですが、しかし、今、アンケートでもとられているように、この件で東電の責任を抜きに国民に電気料金を上げろといったって、だれも納得できません。
 下段は、いろいろな資産を売却し、特にここでお勧めしているのは、発電と送電の分離をして、送電線も資産ですから、これを売り、その代金を支援機構なりなんなりに入れて、いわゆる私どもがずっと言ってきた発電と送電の分離を、部分的でも、東電のエリアだけでもまずやっていただきたいということであります。これが国民負担を最小化する。だって、持っている財産を出してもらうしかないじゃないですか。
 総理、この件についていかがでしょう。

中井委員長 海江田経産大臣。時間が来ていますから、短くお願いします。

海江田国務大臣 はい。
 私どもも東京電力に対して、まず手持ちの資産を、本当に売れるものはすべて売ってくださいということをお願いしております。それから、やはり、まず隗より始めよではありませんけれども、役員を初めとしたリストラもしっかりやってくださいということは、本当に口が酸っぱくなるように何度も何度も申し上げております。(発言する者あり)

阿部委員 その程度では間に合わないという今のお声のとおりでした。
 終わります。


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