予算委員会 第8号(平成23年2月8日(火曜日)) 抜粋 案件:
平成二十三年度一般会計予算
平成二十三年度特別会計予算
平成二十三年度政府関係機関予算
〔前略〕
○中井委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
私は、きょう、医療保険、とりわけ国民健康保険についてお尋ねをいたしたいと思います。
実は、二月五日の日に社会保障改革に関する集中検討会議が行われまして、先ほど来、その話題も出ておると思います。この集中検討会議は、もちろん与謝野大臣が主宰というか中心になり、社会保障国民会議、福田内閣当時のメンバーや、あるいは安心社会実現会議、これは麻生内閣当時のメンバーの皆さんですが、プラス柳沢元厚生労働大臣までおられて、オールキャストというか、フルキャストというか、いつか見た顔というか、いろいろ言われておりますが、私は、ある意味では、それ以上に、現実に起きている矛盾に密着して本当の解決策を出すことが求められていると思います。
それほどに社会保障の問題は深刻であり、これに、単なる増税のためのいわば前置きとして、このためにという前置きとして社会保障制度改革を考えるのではなくて、現実のほつれ、破綻した社会保障制度が再建されるような会議であってほしいと思います。
ちょうどその前日、我が国は、国民皆保険制度、国民健康保険制度が始まって五十年たつ中、昭和三十六年です、この間の保険料の納付率が最低を記録したという報道がございました。納付率にして八八%という数値は、同時に、世帯でいうと約五世帯に一世帯が滞納、未納状態にあります。みんな健康はいつ害するものかわからないから医療保険証だけは持ちたいと思っておりますが、それを持てない世帯が五世帯に一世帯あるという現実です。
私は、翌日行われた社会保障制度の改革会議が、こちらの本当に極めて深刻な国保の空洞化問題、果たしてどこまで真剣にこれを受けとめて制度改革会議の意識の中に上らせたものであるのか、大変懸念をいたしております。
冒頭、総理にお伺いいたします。国民健康保険の空洞化問題について、総理はどのような御認識でしょうか。
○菅内閣総理大臣 今、阿部委員の方からもお話がありましたように、一九六一年ですか、国民皆保険制度がスタートして、ある意味我が国は、そのおかげもあって長寿社会が達成できた、大変いい効果を上げてきたと思っております。
しかし、この国民健康保険、当初は自営業者中心の制度と言われておりましたが、近年は、職のない方、高齢者の方が大変比重が高まる中で、今御指摘のように、未納の問題などがだんだんと深刻になっております。
そういった意味で、この問題は、やはり、五十年間育ててきた日本の社会保障制度の根幹の大変重要な部分がいろいろな理由で傷んできているということで、深刻な問題だと理解をいたしております。この問題も含めて、社会保障改革の姿を考える中では重視して検討していきたい、このように思っております。
○阿部委員 国民皆保険というのは、日本の世界に誇るべき宝と言われてまいりました。しかし、今総理も御答弁にあったように、国民健康保険に加入している方の五五%が無業者、すなわちお仕事を持っておられないという数値、あるいは、もともと自営業の方のためにと言われた方々の比率は一四%になっている、それで高齢化が進んでいる、どう見てもこれは非常に問題が山積している部分であります。
私はきょう、もう一つ、この国民健康保険に加入しておられる方の所得の推移と、一方の保険料の推移を表にしたものが一枚目でございます。総理のお手元にも行っているでしょうか。ここには、平均の国保の世帯の所得、例えば〇五年が百三十九万八千円、これは総所得と言われるものから基礎控除を引いた部分ですが、ここに保険料がかかっていく、その保険料を算定する根拠です。これが〇九年になりますと、百二十九・三万円、約十万円余りこの五年で低下しているわけです。
一方、保険料の方は、これも平均値です、年間で十五万何がしから十六万に、逆に一万円近くはね上がっているわけです。当然、負担率なるものを計算すればおわかりのように、このわずか五年を見ても、二・数%上昇をいたしております。
この上昇というのは、これはあくまで厚労省からいただいたデータでつくったものですが、しかし、実態をさらに詳しく見ると、この程度ではとても済まないという現状が浮かんでまいります。
これは甲府市のデータを私どもの所属の市会議員が、きちんと市のデータに基づいて累積的に、経年的にとったものでございます。実は、一九九三年から今日まで、長いスパンをとってございます。そして、所得にして百五十万と二百五十万の二つのモデル世帯をとったものがこのグラフでございます。
これは国民健康保険の保険料プラス、後には介護保険の保険料も加わってまいりますが、その集計。九三年当時は十八万円は国民健康保険料ですが、これが二〇一〇年になりますと、所得百五十万円の世帯で二十八万円に、すなわち、一六二%、一・六二倍にはね上がっております。一方、上段は所得二百五十万の世帯で、これも二十五万円から何と四十五万円にはね上がって、一・八一倍となっております。
同じようなデータは、先回の基本的質疑の予算委員会で共産党の志位委員長もお出しになりましたが、保険料が四十万、五十万の世界になって、もとの世帯の所得は二百五十万内外であると。極めて厳しい状況にあると思いますが、総理は、あのときは明確にお答えじゃなかったですが、こういう実態については御存じであったか、また、どう考えておられるか、お願いいたします。
○菅内閣総理大臣 その先ほどの志位共産党委員長の御指摘のときにもお答えを申し上げましたが、具体的な数字ということで私が詳しく認識していたわけではありませんが、今、全体に医療費が上がり、また、一般的に国保財政、これは自治体によってさまざまではありますけれども、より厳しい財政状況にあるという中で、その負担が増大しているということの認識はあります。
ただ、きょうお示ししていただいたように、これほど急激な形で平均としても伸びているというのは大変なことだ、改めて、このように受けとめたところであります。
○阿部委員 今、社会保障制度の改革で一番大事なことは、空中で論議するんじゃなくて、一つ一つ実態を見て、その実態をよくしていくための論議であってほしいと思うんです。そうでないと、私が冒頭申しました、ここも足りない、あそこも足りない、こっちも足りない、そっちも足りない、だから消費税というふうに集約されるような論議であっては、冒頭、菅総理がおっしゃいました、国民にある程度負担があっても安心していただけるというふうには全くならないわけです。安心は来ないわ増税はされるわで、国民はダブルパンチになりますから、私がきょう、甲府市というたった一つの自治体ですけれども、こんなにも上がっているんだという実態をお示ししたということは、今後も、この改革会議の中で数多く、例えばモデルケースでも実際のケースを調べて、必ず対応していただきたいと思います。
与謝野大臣に本当は確認をとりたいですが、私が予告しませんでしたので、これは総理に、伝言をよろしくお願い申し上げます。
次に、同じ甲府市の例ですが、これは国民健康保険の算定のときにモデルになる世帯であります。大体四人世帯、すなわち、お父さん、お母さん、子供たち二人。今はなかなかこのモデル世帯も少のうございますが、とりあえずこうした算定基準のときにモデルとしてとる世帯で、所得で二百五十万円というところの家計を見てみました。逆に収入でいうと大体四百万円をちょっと欠けるくらいの世帯が、この所得で二百五十万円の世帯になります。
さて、この方たちがお払いの国保並びに介護保険の保険料は何と四十五万五千四百円で、一八・二%。この家計のさまざまな支出のうち最も大きなパーセンテージを占めて、はっきり言って、残る生活費は、例えば四百万の収入であっても百五十二万、これで四人がお暮らしになるわけです。
国保にはさまざまな矛盾がございます。お子さんの数が多ければ多いほど保険料が上がってまいります。我が国は、少子化に対策するだの何だのかんだの言って、子供がふえればふえるほど、さっき坂口元大臣の御質問でもそうでしたが、子供がふえたら負担できゅうきゅうとしてしまうというふうな現実がございます。
このことについて、細川厚労大臣、どうお考えでしょうか。私は、これは国保の構造的な問題になっておると思います。いかがでしょう。
○細川国務大臣 国民健康保険につきましては、まず、入っておられる方が大変高齢者が多い、そしてまた、職業をお持ちでなく収入も少ない方が多い。国民健康保険では、入っておられる方が他の健康保険と比べてそういう特殊性もあります。
また、お年寄りが多いから、当然その医療費も多くなってまいりますから、そういう意味で、公費ももちろん入れなければいけませんけれども、しかし、そもそも国民健康保険の中に構造的にそういう大きな問題があるということについては、我々も認識をしているところでございます。
○阿部委員 私がここで取り上げたのは、御高齢者の問題でもなく、無業者の問題でもなく、あえて言えば、御家庭を持って、お二人お子さんがいて、一番現政権がサポートしたいとおっしゃっているその世帯すらです。ほかの世帯ももっと問題がありますが、ここに、この高い比率は、実は、お子さんをお二人お持ちであるというところから保険料が高くなっていることをお示ししたいがためのものであります。
次に、この間、実は、国民健康保険料の保険料がどんどん上がることについて、大変に深刻であるというふうなお答えは聞きましたが、現実はどうかというその立ち入った検討がないままに、今度、ここにお示ししてありますように、保険料の算定を変えていかれます。もちろん、国民健康保険全体ではありませんが、特に東京都を初めとして、約五百五十四万人余りの算定方式が変わります。
簡単に申しますと、今までは、保険料を算定するその大もとに、全体の収入金額からいろいろ引いて、基礎控除を引いて、そして所得の控除もございました。例えば、扶養控除、配偶者控除、障害者控除、あるいは医療費にかかった分の控除、社会保険料の控除などを差し引いて、すなわち、これらは要るだろうから、そこから保険料の掛けるもとにしないで、取り置いてから保険料を掛けておりました。
ところが、今回の見直しの中で、このもろもろの控除部分を外して、ここにはある意味で考慮せず、例えば障害者のいる御家庭、あるいはさまざまな理由で医療費のかかっている御家庭などなど、そうしたもので控除を受けている方たちの分については配慮がなくなってしまうと思いますが、この件について、細川大臣と、そして申しわけございませんが、引き続いて野田大臣に。
私は、こういうことをやるのであれば、もともとこの基礎控除が十分であるか検討してからにしていただきたい。だって、税と社会保障の一体改革は、消費税を上げる話だけじゃないんです。十分にその方の生活が成り立つかどうかであると思いますから、二点、お願いします。
○細川国務大臣 この旧ただし書き方式に移行するということになりますと、御指摘のように、低所得者あるいは所得控除の額が大きい、そういう世帯の保険料が増加をする、こういう可能性がございます。
そこで、各保険者、東京都などにおきましては、低所得者に対して、独自の保険料の軽減、そういうことを行うような、それは十分可能でありますし、東京都二十三区でも検討が行われているということでございます。
○野田国務大臣 保険料の算定方式に絡めての御答弁は今の厚労大臣の御答弁だと思いますが、委員御指摘の、基礎控除の水準を引き上げるべきではないかということでございます。
これについては、いわゆるどの段階から税負担が生じる水準にするかということの観点でいうならば、基礎控除だけではなくて、先ほどの所得控除のところで出てまいりましたけれども、扶養控除とか配偶者控除とか給与所得控除とか、こういう各種控除と水準をあわせて見るということが一つ税の上では大事な観点ということと、ここ最近、私どもの政権になってから、控除から手当へという取り組みをさせていただいております。その手当分も加味して実質的に負担が生ずる水準はどうすべきなのかなというのが、税の部分での議論としては必要だろうと思います。
いずれにしても、個人の所得課税については、所得再分配機能と財源調達機能が低下をしていますので、そういう回復の観点から、控除の問題と税率の問題を含めてこれから検討していきたいと思います。
○阿部委員 地方では、こうした事態に対して、独自に一般会計から繰り入れて、それがもう三千六百億になっているわけです。地方が勝手に補てんしているからじゃなくて、国の制度がまずければ地方が負担を受けます。私は、税と社会保障の一体改革は、まず人間を守る、命を守る、暮らしを守るという観点でやっていただきたいと思います。
終わります。
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