第180回国会 本会議 第18号(平成24年5月8日(火曜日)) 抜粋

案件:

 郵政改革に関する特別委員会を廃止するの件(議長発議)

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

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〔前略〕

副議長(衛藤征士郎君) 阿部知子さん。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 社会民主党の阿部知子です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表して、年金機能強化法案並びに被用者年金一元化法案について質問をいたします。(拍手)
 冒頭、野田総理に、原発再稼働に関してお尋ねしたいと思います。
 三月十一日の東京電力福島第一原発事故以降、政府は脱原発依存を掲げてこられましたが、その具体策についてはほとんど手つかずの状態です。
 五月五日夜半をもって、我が国で稼働する原子力発電所はゼロとなりましたが、なぜか政府は、福井県の関西電力大飯原発三、四号機の再稼働に著しく前のめりとなっています。しかし、福島の事故の検証も途上である上に、安全性についても多方面から疑義が上がり、周辺自治体も大きな懸念を抱いています。
 果たして政府は、再稼働について、主権者である国民の六割以上の反対を無視して、電力不足のみを盾に、強引に事を進めるおつもりなのでしょうか。野田総理の見解を伺います。
 次いで、法案に対しての質疑に入ります。
 そもそも、国民の老後の生活の最大の支えである年金問題は、政権交代前後の大きなテーマでありました。拡大する非正規雇用によってその多くが厚生年金や健康保険に加入できない結果、国民年金や国民健康保険の対象者となり、いわゆる未納、未加入問題が将来の社会保障を危うくするとの認識が与野党で共有されていたと思います。そうした社会状況に対して、果たして、年金、とりわけ老後の生活保障機能をどう担保していくのかに関して、税か社会保険方式かという大きな分岐があったはずでもあります。
 まず、税と社会保障一体改革担当の岡田副総理に、基本となるお考えを伺います。
 今回提出された年金機能強化法案には、その点について明確な方向性が示されておりません。
 例えば、一定所得以上の高齢者の給付を削減する一方で低所得者への年金加算を行うことは、保険の原理から逸脱しております。これは、税による最低保障年金の導入に踏み込まれたということでしょうか。
 他方、受給資格期間の十年間への短縮を行えば、新たな低年金受給者が生まれ、また、結果として福祉的加算に頼るというモラルハザードが保険方式を危うくしかねない等の混乱を、どうお考えでしょうか。小宮山厚生労働大臣に伺います。
 加えて、提出された年金機能強化法案では、何をもって最低保障機能と考えるのかが全く明らかではありません。現金給付を幾らとするのか、住宅や医療、介護、移動の自由などの生活保障施策とあわせ考えて、国民に具体像を示す必要があるのではないですか。
 また、そうした施策の充実は、当然、地方の独自財源の必要性ともつながりますが、今回の一体改革では、消費税を福祉目的とした結果、地方の裁量権は極めて限られたものになりました。むしろ、地方消費税の充実により、自主財源として広く活用を図るべきと考えますが、岡田副総理に伺います。
 また、短時間労働者への社会保険の適用拡大への歩みを進めることは賛成ですが、今回の法改正による適用対象は五百一人以上の企業です。非正規社員に社会保険を拡大しようとする中小企業の保険料負担を軽減する方が、企業に対するインセンティブともなると考えられますが、いかがでしょうか。厚生労働大臣に伺います。
 さらに、被用者年金一元化法案は、実は真の一元化とはほど遠く、従来のおのおのの年金管理組織はそのままにして、表向きの一体化を図るだけのものとなっています。いわゆる歳入庁構想を大胆に推し進め、地方自治体と協力して所得把握を行い、漏れのない社会保険料の徴収を図り、所得に比例した公平公正な年金制度とすべきと考えますが、岡田副総理に御見解を伺います。
 年金をめぐっては、世界に例のないスピードで少子高齢化が進む我が国にあっては、一、高齢期の安心できる生活のイメージを国民と共有すること、二、働く世代、とりわけ非正規雇用に置かれる女性、若者への積極的支援、三、年金の持続可能性の根本にかかわるデフレ脱却のいずれもが不可欠です。
 このままのデフレ状態が続けば年金積立金は二〇三一年に枯渇すると政権交代当時言われていましたが、さらに早まったのではないですか。
 野田総理は、デフレ期にあっての消費増税が経済を悪化させ、年金の持続可能性すら危うくすることを一体どうお考えなのかを最後に伺って、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 社民党の阿部議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、エネルギー政策及び原子力発電所の再稼働についてのお尋ねがございました。
 中長期的には原子力への依存度を最大限引き下げていくという方向を目指すべきと考えており、これを実現するためには、徹底的な省エネに加えて、思い切った再生可能エネルギーの普及拡大が重要であります。
 政府としては、今後、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成を目指し、幅広く国民各層の御意見をお伺いしながら、ことしの夏をめどに、新しい戦略と計画を取りまとめてまいります。
 また、大飯原子力発電所三、四号機の再起動については、事業者の実施したストレステストの結果を原子力安全・保安院が確認し、その妥当性を原子力安全委員会が確認いたしました。その上で、これまで約一年間で政府として積み重ねてきた対策や知見をわかりやすく整理した、原子力発電所の再起動に当たっての安全性の判断基準を、先般の四大臣会合で取りまとめた次第であります。
 大飯原子力発電所三、四号機については、この判断基準に基づき、安全性を確認した上で、電力需給の見通しや電力コスト増の影響を検証した結果、再起動の必要があると判断したところであります。
 こうした政府の判断について、立地自治体を初めとする国民の皆様の一定の理解が得られるよう、丁寧に説明を行ってまいります。
 次に、消費税率引き上げが経済成長等に与える影響について御質問いただきました。
 デフレ脱却や経済活性化に向けた取り組みは重要であり、これらと社会保障と税の一体改革は同時に進めていかなければなりません。
 デフレから脱却すべきという認識のもと、税制抜本改革法案では、平成二十三年度から平成三十二年度までの十年間の平均において、名目成長率三%程度、実質成長率二%程度の経済成長を目指すという政策努力の目標を示し、デフレ脱却や経済活性化に向けて、こうした望ましい経済成長のあり方に早期に近づけるための総合的な施策を実施することを明記したところであります。
 年金を初めとする社会保障の安定財源を確保し、その持続可能性を確保する観点からも、社会保障と税の一体改革は待ったなしであり、不退転の決意で臨みますが、それとともに、新成長戦略の加速や日本再生戦略の策定、実行を初め、デフレ脱却や経済活性化に向けた取り組みを全力で進めていく決意であります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣岡田克也君登壇〕

国務大臣(岡田克也君) まず、年金財源についてお尋ねがありました。
 現在の基礎年金は、現役時代に拠出した保険料の実績に応じて年金額が決まる、社会保険方式の仕組みとなっております。ただし、基礎年金の半分は税金で賄われており、財源面で見ると、社会保険方式と税金との組み合わせになっていることになります。
 今後の年金改革に当たっては、私としては、大きく言えば、最低保障機能については税を中心に、それを超える部分については社会保険方式を中心にというふうに整理をしているところでございます。
 次に、最低保障機能の具体像と、消費税を地方の自主財源とすることについてのお尋ねがありました。
 まず、最低保障機能の具体像についてであります。
 今回の一体改革では、子ども・子育て、医療、介護、年金など社会保障制度全般にわたり、改革の項目や実施時期などの改革の全体像を示すとともに、低所得者対策の強化や重層的なセーフティーネットの構築などによる貧困、格差対策の強化を行うこととしております。
 低所得者の方への支援につきましては、金銭的な支援のみでなく、その方の状況に応じ、必要な医療、介護の提供、働く意欲に応じた就労の機会や就労支援の提供、住まいの確保、社会参加の機会の提供など総合的な支援や取り組みが必要であり、可処分所得を幾らにするのかということが必ずしも対策の基準や目安となるわけではないと考えております。
 次に、消費税を地方の自主財源とすることについては、少子高齢化の進展に伴い、社会保障費は急速に増大しております。こうした中で、社会保障は、子育て、医療、介護など、多くが地方自治体を通じて国民に提供されており、地方自治体の役割も極めて大きいことから、地方単独事業も含め、国とともに地方が負担する社会保障給付に対する安定財源を確保することが重要な課題となっております。
 このため、今回の一体改革においては、地方団体にも御理解をいただいた上で、社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付における国と地方の役割分担に応じて引き上げ分の消費税収を配分するとともに、現行分の地方消費税を除き、地方分の消費税収については、現行の基本的枠組みを変更しないことを前提として、全額社会保障財源化することとしたところでございます。
 消費税引き上げに対する国民の理解を得るためにも、今回の引き上げ分について、全額社会保障に使うということが国民の理解の増進につながるものだというふうに考えているところでございます。
 被用者年金一元化法案の実施機関と、公平公正な年金制度についてのお尋ねがありました。
 被用者年金の一元化後も、共済組合や私学事業団は引き続き医療保険のための保険料徴収や給付などを行うことから、保険料の徴収その他の年金関係事務についても、これらの共済組合等を引き続き活用することとしたものであります。
 また、被用者年金一元化法案において、公務員等の保険料率を引き上げ、厚生年金の保険料率に統一し、民間サラリーマン等との同一保険料、同一給付を実現することにしております。
 なお、御指摘の歳入庁について、年金に対する信頼回復の観点からも、年金保険料の納付率向上等を図ることは重要な課題であり、そのための徴収体制の構築について精力的に検討を進めているところでございます。(拍手)

    〔国務大臣小宮山洋子君登壇〕

国務大臣(小宮山洋子君) 阿部議員からの、低所得者への年金加算と受給資格期間の短縮についてですが、低年金、無年金問題に対応することは現在の年金制度上の大きな課題であり、今回の社会保障・税一体改革では、最低保障機能の強化を図るため、一定の低所得の人に基礎年金額を加算する低年金対策や、受給資格期間を短縮する無年金対策を行うことにしています。
 加算を行う場合には、低所得者に対する加算の効果を出すことが必要である一方で、保険料の納付意欲をできるだけ損なわない仕組みとすることが必要です。
 社会保障審議会年金部会等の場で、そうした視点をもとに検討を進め、社会保険方式である現行制度の中で、低所得者に対し、税財源によって福祉的な加算を行うことにしました。対象者に対し一律月額六千円の加算と、免除を受けた期間については割り増しの加算を行うことで、真面目に納付している人の納付意欲にできるだけ悪い影響を与えることのないよう配慮しています。
 また、受給資格期間の短縮については、現に生まれている無年金者をできるだけ救済すると同時に、納付した保険料をできるだけ給付に結びつけるため、実施するものです。
 一方で、年金制度は、四十年間保険料を納付することを前提に、法律上の義務ともなっています。この点については十分周知していくことが重要だと考えています。
 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大についてですが、今回の適用拡大案では、非正規労働者へのセーフティーネットの拡充や働き方に中立的な制度を確立するという観点と、中小企業などの経営への影響に配慮する観点の両方の立場に基づいて、総合的な観点から、現実的なスタートラインとして設定をしています。
 さらに、今回の法案では、第一段階の施行から三年以内という期限を置いた上で、社会保険の適用範囲をさらに拡大するための法制上の措置を講ずるとして、将来のさらなる拡大を明確にしています。
 お尋ねのように、適用拡大を行うために企業の保険料負担を減免することにすると、保険料の減免に応じて年金給付も引き下げることにすれば、セーフティーネットの強化にならず、適用拡大の意義が失われてしまいます。また、仮に保険料負担を減免しつつ年金給付を維持することにすると、減免した保険料に相当する費用負担をその他の企業や労働者にお願いすることになり、こうした企業の理解を得られないといった課題があります。
 短時間労働者への社会保険の適用拡大については、非正規労働者のセーフティーネットの拡充や働き方に中立的な制度にするという観点から早急な改善が求められることから、この法案の御審議をお願いしたいと考えています。(拍手)


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