第180回国会 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号(平成24年8月7日(火曜日)) 抜粋

案件:

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件

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〔前略〕

松宮委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
 本日は、主に、低炭素社会の実現ということで、古川国家戦略担当並びに科学技術・イノベーション担当の大臣に伺います。
 低炭素社会の実現というのは、実は、昔の三党合意、政権交代当時に、御党と社民党と国民新党でつくった合意文書の中で、冒頭に出てくるワーズでございました。これからの社会にとって極めて重要な、国民を本当にそういうふうに向けていくということが重要だと思いますので、その観点から古川大臣に御答弁いただきたいと思います。
 まず、そのことと関係もいたしますけれども、去る八月の六日、野田総理大臣が、この間さまざまに行われています二〇三〇年のエネルギーの比率の選択肢にあって、国民の約七割が原発ゼロを望んでおられることを受けてだと思いますが、原発ゼロにした場合の課題とは何かということを、担当大臣、細野さん、枝野さん、古川さんに投げられたと思うのですね。
 古川担当大臣は、果たして、原発ゼロにする場合の解決すべき課題は何かということと、原発ゼロは可能であるとお考えか、この二点お願いいたします。

古川国務大臣 私はいつも、意見聴取会などでも最初の御挨拶のときに申し上げているんですが、やはり、昨年の福島の原発事故を受けて、多くの国民の皆さん方が、原発に依存しない社会をつくりたい、そういう思いを持っている。そうした思いを受けて、政府としては、原発の依存度をできる限り低減させていく、そのかわりのエネルギーは、基本的には化石燃料ではなくて再生可能エネルギーであったり、あるいは省エネであったりという形で、原発からグリーンへ、そうした方向性というものをきちんとお示しして、そして、グリーン成長戦略を日本再生戦略の中でも最重要の戦略として位置づけたわけであります。
 ここの部分をいわば、もちろんさまざまなコストがかかる部分でもありますが、むしろそこの部分は、新しいエネルギー社会をつくっていく、投資であるという視点に立って、このグリーン成長を実現して、それを新たな日本の成長のメーンエンジンにしていこう、そういう位置づけをさせていただいております。
 そういう中で、きのう総理から御指示がございましたのは、将来、原発の依存度をゼロにするとした場合にはどのような課題があるか、整理をした上で、それをどうすれば克服できるのか、そういうことを検討してもらいたい、そういう御指示がございました。
 具体的には、これは枝野大臣や細野大臣の方で、そういう論点、課題というものをまずは事務方の方にしっかり指示して挙げていただいて、そして、ではどうしたら克服できるのか、そうしたことを考えていくことになろうかと思いますが、やはり私は、昨年の事故を受けての国民の皆様方の思いというものをしっかり受けていかなければいけないと思っています。
 ですから、きちんと着実に原発への依存度を下げていく、そして、その最終的な姿としては、原発がない社会を実現していきたいという思いというもの、では、それがどういう課題を克服すればできていくのか、やはりそうしたことは丁寧に、そして現実を見据えた上で考えていきたいというふうに思っております。

阿部委員 私は、重ねて申し上げますが、それを解決すべき課題がグリーンイノベーションなんだと思っています。
 その観点からお尋ねいたしますが、今、大臣のお手元に、今回のエネルギーの選択肢に当たって、私が最も問題と感じます省エネということが十分に国民に伝わらない選択肢ではないかと思いますので、ここをお尋ね申し上げます。
 冒頭、一枚目の図でありますけれども、これは科学技術振興機構の中にある低炭素社会戦略センターがお出しになったもので、実際に、この間の三・一一を受けて、果たして電力の使用量は関東圏と関西圏でどのように省エネされているかという実績の値でございます。
 左側が関東圏、右側が関西圏ですが、簡単に言いますと、関東圏では二年続いて約一六%くらいエネルギーの消費が下がっているということであります。関西圏でも、昨年は五%ほどしか下がりませんでしたが、ことしは、予測されるところ一四%くらい下がる。すなわち、一割強は既にこの二年間でも削減が実現している、定着しているということではないかと思うのですが、この間、エネルギーの選択肢で示されておるものは、二〇三〇年で一・一兆キロワットアワーから一・〇、すなわち、二〇三〇年、二十年かけて一割の削減という、省エネの、そもそもの構造をとっております。これは実績値から見ても現状にそぐわないのではないか、なぜもっと省エネを大胆に進めた選択肢をお出しにならないのか、この点についてお願いします。

古川国務大臣 今回お示しさせていただいた数字というのは、これはさまざまな立場の方々が参加をされた総合資源エネルギー調査会や中央環境審議会における議論の中で提示された、それをベースにしてお示しをさせていただいたものであります。
 したがいまして、こうした目標を共有して、先ほど申し上げました原発からグリーンへという、そうした方針のもとで、政策資源を総動員して、エネルギー構造改革のための投資や消費を増進していくということは、これは方向としては私どもは別に変えているわけではありません。
 ですから、ここのところは、もちろん、今回の国民の皆様方から御意見をいただくものについて、その数字、ほかの数字についても、例えば成長率が、この成長率は低いではないか、そういう御指摘もいただいたりします。これも、総合エネ調であるとかこうしたところで専門家の方々で御議論いただいて、ここのところの置き方としては、何か数字を出すためにはやはり前提となる設定が必要でありますので、そこのところはこうした形で設定をしましょうということで示させていただいたところでありますので、そうした数字というふうに御理解をいただければと思っております。

阿部委員 そうした数値であることは理解しているんですけれども、その数値には実績が組み込まれていないということを指摘させていただくために冒頭の一枚を載せました。
 二〇一〇年までの年次年次の省エネがそのように続くと考えると、二〇三〇年で、さっきの一・一から一・〇兆キロワットアワーになるというだけであります。三・一一が出来事として起きて、その後、実績としてかなり国民の中に省エネが根づいてきている。それを組み入れて国民に投げ返さないと、私は本当の論議にはならないと思います。
 あけて二枚目、めくっていただきますと、今回のエネルギー選択肢の中でも際立った特徴は、実は、温暖化対策についてと、それから省エネについてということで、かなりここに、温暖化対策は費用負担が生じます。省エネをどう進めるかということをあわせ行うことによって、実は家計のエネルギー消費が減りますから、家計の側から見て、省エネをやることがポジティブな意味を持つということの読み込みがすごく少ない提示だと私は思います。
 例えば、二〇三〇年で原発ゼロにするには温暖化対策に大変なお金がかかるんだと、これは簡単に言いますが、書きぶりが目立つわけです。しかし、家計にとって、あわせて省エネ政策を進めれば、実は家計にもゆとりができるんだと提示した場合は、国民の選択もまた違ってまいります。
 ここに、家庭での省エネの三つの例ですが、一つは次世代型省エネ住宅、一つは次世代型自動車、そして、家電、自動車等のトップランナー制度。トップランナー制度というのは、一番性能のいいものを次の年度には平均値に持ってくる、イノベーションをしていくということであります。
 この三つを兼ね備えると、次のページ、めくっていただきますと、ゼロシナリオの場合でも、下に温暖化対策にかかるコスト、そして上は省エネを進めたことによる家庭の電力消費の減を見込んだ家庭へのプラス効果というものがあって、電力の使用料、代金も政府の見通しとは大幅に違ってまいります。
 私は、こういういろいろな試算がある中で、国民に今与えられた提示は、ゼロシナリオが一番電力料金が高くなる。それは再エネを導入するときにかかるコストでありますが、その結果、もう一回開いていただいて、資料四ですね。  例えば、二〇三〇年段階で、今使っているエネルギーコスト、使用量の四分の一、二五%までに削減できるとすると、家計の電力の代金は大幅に下がってまいります。この差は何かというと、ここに見ていただくように、さっきの自動車、住宅、家電製品を積極的に省エネしていった結果、家計負担が減ってくる。もちろん、さっき大臣がおっしゃったように、ここには投資が必要です。
 このような選択肢もあるという形で、これから温暖化対策やあわせて省エネ対策をやることが、何も負担ばかりではなく、家庭から見てプラスなんだということも、私は試算の一つとして考えてみるべきだと思います。今回のエネルギー選択肢の一番の問題は、具体性がないということだと思います。二〇三〇年の時代、どんな生活をしているのかということであります。
 時間の関係でもう一つあわせて伺いますが、私は、具体性がないという意味で、二〇三〇年一五%シナリオは、一体、原発の新規増設はどうなっておるのかということも国民には伝えられていないと思います。
 これは、最後は経産省からいただいたものですが、二〇三〇年段階で稼働率を七〇%と見越せば、実は新増設が二基ないとできません。稼働率八〇%とみなすから、新規増設が要らない。国民が知りたいのは、どの原発が動いているか、どれを増設するか、どんな生活が来るかです。
 古川大臣にここで最後にまとめてお願いがありますが、一段落、国民的議論が一めぐりしたところで、より具体的に国民が選べる形にエネルギーの選択肢をバージョンアップ、今私が提案しましたようなことも勘案して提案していただきたいが、いかがでしょう。

古川国務大臣 さまざまな御意見を阿部委員からもいただいております。まさに今回、別に私どもは、この三つの案が全てで、この三つの中から選びますというふうに言っているわけじゃなくて、ここは、これをたたき台にして、さまざまな御意見をいただきたいと。
 これまで、エネルギーのあり方というのは、本当に一部の専門家の皆さん方だけで決めて、ほとんどの国民の皆さんはそういう参加をしておりませんでした。しかし、私たちが目指す新しいエネルギー社会というのは、一人一人の国民の皆さん方が、あるときにはエネルギーの供給者になったり、また自分で主体的に行動を起こしてそして節約したりとか、まさに一人一人の国民参加のもとで、分散型、ネットワーク型の、そういうエネルギー構造をつくっていきたい。
 実は、一人一人の主体的な参加がないと、そうしたエネルギー構造はできないんですね。だからこそ、従来のような専門家だけでなくて、一般の方々にも御議論に参加していただいて、さまざまな意見をいただくという手順を踏ませていただいているわけでございます。
 これまでの意見聴取会であるとか討論型世論調査などでも、まだ討論型世論調査の結果というのは実行委員会の方から御報告をいただいておりませんけれども、既にいろいろな、私自身も意見聴取会も参加させていただいたり、また参加していないところも、その内容であるとかアンケートとかを読ませていただいたりして、承っています。
 そういった意味では、きょうの委員の御意見も含め、さまざまな御指摘、そうしたものをいただいた上で、政府として、最初から申し上げているような新しいエネルギー社会をつくっていく、そうした方向性というものを責任を持って示してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 私からは、省エネの深掘り、そして、国民の生活の具体像、低炭素社会が明るく豊かなものである、そして、原発は動いているのか動いていないのか、つくるのかを明確にしていただきたいと思います。
 終わらせていただきます。


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