第180回国会 厚生労働委員会 第10号(平成24年4月17日(火曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六八号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

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〔前略〕

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 岡田副総理にあっては、ようこそ厚生労働委員会にお越しいただきました。そして、きょうは三十分お時間をいただきましたので、少し応答の形式になれるかと思いますが、これまでの各委員と岡田副総理とのやりとりを聞いておりまして、まず、疑問に思った点からお尋ね申し上げます。
 先ほど岡田副総理は、御自身、新進党におられて、当時、消費税が三から五%に引き上げられた後、山一証券の問題を初めとして、経済を揺るがすような状況があり、結局、税収も下がっていったわけですね。消費税を上げても税収が上がらない構造をとってしまったわけです。そのときにいろいろ御質問をされたという御経験を踏まえて、しかし、その当時の経済よりはまだ今の方がいいんじゃないかというふうに思っておられるんだなということを改めて実感したんですね。
 私は、そういう経済、マクロの指標で見る経済と、実際、生活者が感じる経済、体温の経済と、両面あるように思うんです。
 ここで岡田副総理に、冒頭、一問目です。
 現在の我が国は、一九八五年、データのある限りにおいて、最も相対的貧困率が高くなりました。経済のパイというか大きさと、その中で生きる人間が、格差が拡大して、いわゆる普通の半分以下の収入で生きる方が多くなったということも、今の政治が最も考えなければいけない構造変化なんだと思います。
 経済の体温ももちろん温まってはおりませんけれども、岡田さんは、この実態、御自身の実感の中での先ほどの御答弁ですけれども、私は、逆に、社会としてはより深刻になったんだと思うんですね。逆に、経済成長率、名目成長率、実質、名目、もしゼロであっても、その中での分配とかあるいは経済の循環がよくいっていれば、それが持続可能な経済なのかもしれません。
 この最大の相対的貧困率ということ、データを取り出して以来最大ということは、どうごらんになりますか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、貧困率がOECD諸国の中でもかなり高い状況、特に、親が一人、そして子供がいる、そういう家庭の貧困率はOECD諸国の中で一番高いということで、そこは非常に深刻な状況であることは私もよく認識をしております。そういったことを早く方向を変えなければいけないというふうに、当然、政治家として考えております。
 ただ、先ほど申し上げたのは、当時の山一証券が破綻したあのときは、いわば、今ももちろん平時ではないんですが、あのときはまさしく戦時だったと思うんですね、経済が一体どうなるのかと。各金融機関、長銀の破綻とかいろいろありましたが、主要行が全部倒れても不思議ではないという状況もあったと思います。そのぐらい不良債権の問題は深刻であった。あそこをうまく切り抜けなければもっと悲惨なことになっていたことは間違いないので、そういう意味で私は先ほど申し上げたわけであります。

阿部委員 もちろん金融危機が加わったわけですから、経済も社会も不安定になったと思います。でも、同時に、今だと、そのもともとの社会のベースが、先ほど申しましたように、貧困層というものを膨大に抱えておられるわけです。
 副総理は今、例えば単身の女性、シングルマザーの問題等をお取り上げになりましたが、実は、単身の女性の貧困率、相対的貧困率、今や三四%、三人に一人であります。男性のシングルも貧困。あるいは、これから御紹介いたしますあらゆるところに貧困、相対的貧困ということが顔を出す時代の中で、果たして、消費増税の手順を間違えば、私は、いわば金融危機は外から来たショックだったかもしれないが、今度は我が国の中から崩壊していくような危機になるだろうということを思うわけです。
 もう一つ副総理にお伺いいたしますが、あれは三年前というよりは、もう少し、まだ二年と八カ月か九カ月ですが、副総理が、当時、民主党の幹事長でいらして、私が社民党の政策審議会長で、今は忘れられてしまった三党連立合意というものをつくりました。
 ここの一文、文書を読ませていただきますので、この認識は今も続いているかをお伺いいたします。
 「連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み替えていく。さらに地球温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした施策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく。」ここの肝は、「国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる」と。

 消費税というのは、ある意味では可処分所得を減らしていくわけであります。可処分所得というのかどうか、所得から負担をかけていくわけですが、副総理にあっては、この部分、変わっていないのでしょうか、それとも、三・一一があったから変わったのか、教えてください。

岡田国務大臣 基本的には変わっておりません。そして、その中にあります、やはり消費中心の内需、そこで経済成長していくという基本的考え方、非常に重要だと思っております。
 ただ、そのためには、やはり将来に対する安心感というものがなければならない。今、もちろん、委員御指摘のように、貧困率が非常に高くなっているとはいえ、それでも高齢者を中心に資産を持っておられる方は結構いらっしゃる。しかし、なかなかそれが使われない。やはり、将来に対する安心感がないためにそういった形になっているというふうに思います。
 社会保障制度をしっかりと安定感のあるものにするためには、そのためには財源の手当てが私は必須だと思いますが、そういうことによって将来の安心感をしっかりとつくっていくということが一つの重要な柱であるというふうに思っております。

阿部委員 今回の、政府が打ち出される税と社会保障の一体改革、副総理のお言葉をかりれば、社会保障、安心してもらえて財布のひもが緩むように、非ケインズ効果とかいいますが、そういうものが十分、本当に国民に受けとめられるほどに今政府のお出しになった案が社会保障の充実をメッセージしているかというと、そうでもないんだと私は思います。
 この点は、また別途、特別委員会等々ができるやに聞いておりますから、岡田さんとも私は論議を交わしたいと思います。
 先ほど、どなたかの委員の御質疑にありました。加藤委員だったかと思います。まず社会保障の充実が実感できる形で打ち出したならばもう少し違う結果もあろうかと思いますが、残念ながらそうなっていない。
 そして、きょう手元に配らせていただきました資料、一枚目、岡田大臣にもごらんいただきたいんですが、これは私が予算委員会でも取り上げましたので趣旨はおわかりと思いますが、二〇一〇年現在、消費税が五%で、そのうち四%が国税に入るといたしまして、国税収入の中で消費税の占めるパーセンテージは二四・三%。約四分の一に、我が国においては、わずか五%の消費税でも既に四分の一になんなんとしている。税収構造はいびつである。これは、先ほどの小林委員の御質疑で、ありました。
 先ほど岡田大臣の御答弁にもありましたように、所得税と法人税が下がり続けておりますので、それは景気もございましょう、あるいは累進度を低めたこともありましょう、法人税も減税をされたこともあるし、日本はアメリカ以上に課税ベースが狭いとも言われています。そういう中で、基幹三税の中で、法人税も所得税も少なくなる、結果、消費税が目立ってくる。
 これを、今政府のお考えのように、二〇一五年八%、そして二〇一六年一〇%といたしますと、何と、単純試算ですからいろいろな要素を含んでおりませんが、消費税の占める割合は、二〇一五年で三四%、二〇一六年、一〇%になさったら三九・二%、四割近くなるよと私が予算委員会で指摘しました。そのとき、安住財務担当大臣が、いやいや、所得税の上を四五%に上げるので、もう少し、三七%くらいですとお答えになりましたが、いずれにしろ、今の景気がこの一、二年格段に上がらず、所得税も上がらないとして、法人税も同じだとすると、何と、消費税が税収構造の四割を占めることになります。
 これは、岡田大臣は、さっき、いや、社会保障がかかるんだから、この安定財源の消費税がしっかりする、しっかりいただくということがいいことなんだとおっしゃいましたが、一国の税収構造から見て、もろもろやらなきゃいけないことがあるわけです。今、地震、津波、おまけに原発事故、幾らかかるかわからない。その全体を国は賄っていかなきゃいけないときに、消費税ばかりで、それが社会保障で、他の国の施策はどうなるのか。
 私は、まず手をつけなきゃいけないのは、当然ながら、所得税がもっと上がってくる、ないしは担税力を、おのおのが、働く一人一人が持てる政策だと思いますが、いかがでしょう。

岡田国務大臣 もちろん、個人の所得が上がるような政策、成長戦略というふうに一言で言えるかもしれませんが、これが並行してなされなければ、単に増税だけで物事が賄われるわけではないというのは御指摘のとおりだと思います。
 ただ、一方で、今委員は、二〇一〇年度と一六年度を比べて、消費税が二四・三%から三九・二%に高まって四割になってしまう、こういう御指摘でございました。しかし、もしこれを所得税で丸々、消費税を増税せずに、この差額である一五ポイントを賄うとすれば、逆に所得税が五割近くなってしまうわけで、それは私は余り現実的とは言えないんじゃないかというふうに思います。今の所得税を七割ぐらいふやすということになるわけですから、それは多分、今所得税がかかっていない方々に対しても課税するというようなことも含めてやらないと、税率を上げるだけでは難しいことだと。
 そういう意味で考えても、もちろん、所得がふえていくことで所得税がふえることは非常にいいことだと思いますが、やはり消費税というところにかなりの部分依存せざるを得ないというのが現状ではないかと思います。

阿部委員 まさに鶏が先か卵が先かのそういう論になってしまいますので、逆に、政権交代してからずっと、何とか雇用をふやし、経済をよくしようとしてきたわけです。そのことの立ちおくれの方を深刻に受けとめていただきたいし、私とて、これを全部所得税でやれとは当然思っておりません。ただ、今の現状だと、おのおの、本当に貧困層が多い中で、貧困層というと少ない人たちのように思いますが、そうではなく、拡大している中で、所得増税が先なのかどうかという物の順番のお話であります。
 大臣には、次のページを見ていただけますか。ここには、若い人たちの不安定就労者というくくりの定義を設けて、非正規労働者のうちで十五歳から三十四歳で、中にはアルバイト、パートをしている学生もカウントしておりますが、そうでない、非在学中の、そして不安定な就労をしておられる若者が四百二十一万人おられます。これは、十五から三十四の年齢層の若者をとると約三〇%、すなわち三人に一人。よく言われますよね。下には、その推移を描いたグラフがございます。
 私が今回の提案の税と社会保障の一体改革をじいっと見ても、この大事な未来、担い手である未来に対しての施策が余りにも弱いメッセージで。当然、この方たちは担税力を持てません。税を払ったり、保険料を払ったりするだけの自分のキャパシティーがないという方であります。
 岡田副総理は、この現実はどうごらんになりますか。

岡田国務大臣 特に、若い方々が働く意欲を持ちながら働く場が持ち得ないということは、これは極めて残念なことですし、政治として何とかしなければいけないことだというふうに思います。
 例えば、介護とかあるいは医療も含めて、いろいろな福祉の現場では人が足らないという部分もございます。結局、うまく条件がマッチしないということだと思いますが、そういった一方で、これだけ職につけない方々がいる一方で、人が足らないそういう場面もありますので、もう少し、そういったところの条件を改善する中で、多くの方に働いていただけるようにしていく必要があるというふうに考えております。

阿部委員 今度の税と社会保障の一体改革をいろいろ拝見しても、やはりこの側面が非常に弱い。そして、政府にあっては六月に若年雇用戦略を雇用戦略対話の中でつくられるということですが、今の若者たちに本当に訴え得るメッセージ、あるいは御高齢者に対しても、私は、社会保障の安定の実感が、メッセージが薄いと思います。そういう中で増税だけが突出する。
 そして、次に、女性の問題で、次のページの資料を見ていただきたいのですが、これは、この五年間で子育て世代で暮らしが、ゆとりがどうか、ゆとり実感はどうかというと、母子世帯、父子世帯、二人親、そして全体、並べて見ても、いずれも、例えば全体、平均をとっても、五年前に比べて、五〇%の家庭が暮らしのゆとりはなくなったと言っている状況があります。
 下には、もっと問題なことがございます。
 実は、この下のグラフ、世で言う専業主婦の皆さん、昔であれば夫の収入のもとに妻がある程度安定した生活が送れたはずの専業主婦の皆さんの御家庭、これを見ると、この専業主婦と呼ばれる方たちの、無職、奥様がお仕事を持っていない家庭では一二・四%が相対的貧困にある。夫一人の稼ぎの家庭で一二・四%が相対的貧困に入ってしまう。
 共稼ぎであれば、これは、奥様が正社員、まあ夫がでもいいです、両方正社員かな、というと四・四%に減る。
 では、専業主婦の貧困は何が原因なのかというのを、この横に。今、あなたのこの状態、どうすればいいと思いますかと伺うと、子供の保育の場がないと、五〇%以上がそうお答えになります。
 私は、若者も貧困、単身の女性も貧困、専業主婦の七人に一人も貧困、こんなになってしまったら、社会は、どういう改革を、税と社会保障といっても、とてももたないと思います。
 小宮山大臣にお伺いいたします。
 大臣は、特に子育て、保育には熱心にお取り組みであります。先ほどの子ども・子育てビジョンの内容も、私は、全般にわたってはいろいろ申し上げたいことがあります。ただ、家庭的保育ということで今まで保育ママさんがやられていたようなことを、特に都市部で足りない保育、専業主婦で、働きたいと思い、でも貧困から抜け出せないお母さんたちにも、例えば今の家庭的保育を拡充して、自分の家でなくても、どこかのマンションを借りる、あるいはグループでこういう保育に取り組むなども本当はもっと広がっていいと思うのですけれども、私が昨日厚生労働省に聞きましても、厚労省はこれで比較的やっているんだというお答えでしたが、平成二十六年に一万九千人計画のところ、まだ、全体的に言えば、今までの保育ママも含めて、五千人余りの子供しかそこには行っていません。
 特に、新しく打ち出した、そうしたアパートを借りたりマンションを借りたりしての保育は立ちおくれていると思いますが、これらについて早急に、何が、いわゆる制限というか、これらを爆発的にしていないのか、調べていただきたいが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほどからの委員の問題意識は共有する部分が大変多いのですが、家庭的保育については今五千百人で、これも少ないです、確かに。でも、この二年間でこれが二倍にふえてこの数なんですね。ですから、何とか応援を、しっかりバックアップをしてその一万九千人を目指したいと思っています。
 問題としては、保育者の方が一人でお子さんを預かることに対する責任の重さですとか、今度、自宅以外でやろうとすると賃借料が負担になるというようなことが言われております。
 そのため、平成二十三年の四月から、待機児解消の先取りプロジェクトの中で、先ほどもおっしゃっていただいた、複数の家庭的保育者が一つの場所で実施するグループ型の小規模保育、これを実施しています。また、平成二十三年度の第四次補正予算によって、安心こども基金の期限の延長と積み増しを行いまして、この家庭的保育事業を自宅以外で実施する場合の賃貸料の補助も行っているところです。
 この家庭的保育は、先ほどからお話ししたように、今度の新システムの中でも非常に重要な役割を期待していますので、そういう意味では、その課題を克服できるように支援を強力に行っていきたいと考えています。

阿部委員 本当に、今、都市部においては、保育所はつくってもつくっても足りないし、一方、地方においては、過疎化が進んで子供たちがいない。実は、一九九〇年代から、我が国の人口構造は、特に東京を中心として非常に都市に集中をしてしまって、これもまた、いびつな形をとっておる。その結果、若い人たちも流入してきて、そして、そこで働こうにも働けないという状態が専業主婦を選択させている。もちろん、自分が本当に選択したくてすればそれもいいですが、半分は働きたいと思っているという中ですから、ぜひ大臣には、この点、しっかり頑張っていただきたい。
 それから、五千百人とおっしゃいましたが、うち、国の補助分は半分でありますから。地方の独自事業というのもあるわけです。でも、地方だけではなかなか財源も足りない。
 そして、私が漏れ伺います例えば小宮山大臣の地元である世田谷などでは、そうやってマンションやアパートを借りてやりたいと思っても、消防庁との、その安全管理上の、やはり、お子さんを預かりますから、火事のときに抱えて逃げられるかとか、防災がどうかとか、いろいろな安全基準があると思いますがそういうもので、現場では大変に、もっと借りてグループでやりたいという方がいても、これが普及していないというお声も聞いております。
 大臣にお願いです。
 ぜひ、現場でどんな声が上がってきているか。これは、子供にとって、家庭的保育は安全性を伴えばとてもいい保育の形態だと私は思います。それが、荷物みたいに、あるいは危険を無視して置かれるのはいいことではありませんから、大臣には、現場に聞いて、何がネックになっているか、もっと本当に普及させる手はないか、調べていただきたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 ちょうど待機児解消プロジェクトのときに、これは横浜市とか世田谷区も含めて、非常に待機児さんが多くて先進的に取り組んでいるところから多くのことを伺いました。それで、規制の中でも改革できるところはしたんですが、今おっしゃった、子供の安全というところにつきましては、非常に大事なところなので、その現場の声をしっかり聞いて、消防庁を初め関係機関と調整もして、安全を確保した上で、可能な限りいろいろな形でできるように努力をしていきたいと思います。

阿部委員 まだ十分工夫の余地があると思いますから、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そして、きょう、せっかく岡田副総理に来ていただいていますので、最後の質問に移らせていただこうと思います。
 おめくりいただきまして、四枚目の資料をごらんいただきたいと思います。
 私がきょうの質疑の中で取り上げましたのは、拡大する貧困の問題と、そして、今回の税と社会保障の一体改革という中では雇用の打ち出しが極めて弱く、働き方が逆に雇用を、雇用こそが貧困の最大の防止策であり、また、家庭がきちんと収入を上げることが、子供の、いわゆる貧困の次世代送りの最大の防止策であると。
 とにかく、雇用、雇用、雇用。あっ、でも、これを言うと、誰かが言っていたなと。そうです。すなわち、菅総理の時代には、何かそうやって連呼しておられました。強い経済、強い財政、強い、もう一つありましたね、社会保障と言っておいられました。でも、いつの間にかそのトーンはだんだん弱まりまして、思ってはいらっしゃるんだと思うけれども、メッセージが弱まり、今回の税と社会保障の一体改革では極めてかすれていると思います。
 そこで、ここには、EU二〇二〇、欧州の二〇二〇。EUとて決して安穏とした状態ではありません。経済危機もありますし、金融危機もあります。そういう中でも、これは二〇一〇年に、二〇二〇年にはEUはどんな姿になりたいかという共同目標を立てるわけです。
 EU二〇二〇があって、ドイツがそれに基づいて我が国はこうやりますよという計画を立てたものが、EUの目標とドイツの目標というふうに書いて比較してございます。
 一に、雇用の促進であります。これは、EUは特に若い人の失業率が高いですから、次世代が貧困では困るということで。
 雇用の促進でも、我が国でも、先ほど来お示ししたように、同じ状態があります。それは岡田副総理も既に気がついておられると思います。ずっと雇用が安定して続いていた私たち以上の年齢と比べて、今の若い人たちの抱える不安定な雇用。
 そして、次が、イノベーションとか研究開発。これも重要なことです。
 そして、三番目が、排出量削減とか再生可能エネルギーの大胆な促進。
 もう、今、世界の経済競争の中で、新しいビジネスチャンスや、新しい雇用や、本当に力強い社会の地域の分権化が起こってくるにはこれしかないということだと私も思っておりますが、EUではこれを目標に挙げ、四番目が、教育レベルの改善であり、五番目が、社会包摂の促進、貧困対策であると思います。
 これは、我が国にとっても重要なメルクマール。もちろん、数値は現状によって違います。でも、この項立てをよく見ていただきますと、例えば女性の就業率、七三。日本でも、M字カーブをどうにかしようとか、貧困率はこう改善しようとか。それで、ここに目標値を設定して、それに向けてあらゆる政策を動員していく方式をとるわけです。
 岡田副総理には、ぜひ、こういう国民にわかりやすいメッセージと、政権が何をせんとしているのか、この点を私はつくり出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

岡田国務大臣 この欧州二〇二〇、そしてドイツの改革計画二〇一一の目標は、私もかなり共感を持って今見ておりました。目指す方向は同じだなという感じはいたします。
 ただ、いろいろな数字といいますと、何となくマニフェストを思い出して、余り数字ばかり先行するのもどうかというふうには思いますし、今の野田政権もかなりこういう方向に沿ったことはやっているというふうに思いますので、それをよりわかりやすく伝えていく努力は非常に重要ではないかというふうに考えております。
 委員にも、いつも御質問をいただくと大変勉強になりますので、きょうも随分勉強させていただきましたが、とにかく、我々は今、社会保障制度を持続させるために消費税の引き上げをお願いしているわけですが、物事はそれだけで済むわけではもちろんなくて、他方で、経済成長、そして、きょう委員御指摘になった雇用とか教育とか、そういったところにしっかり力を入れていくということが政権の目指すところでなければならないというふうに考えております。

阿部委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。手順を間違わずに、本当に国民に安心をメッセージしていただけることをお願いします。
 終わります。


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