第180回国会 厚生労働委員会 第11号(平成24年4月18日(水曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六八号)
国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案(田村憲久君外五名提出、第百七十三回国会衆法第一二号)の撤回許可に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案起草の件
議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕
○池田委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
ただいまの高橋さんの最後の表明、きょうは、実は私の事務所からも、六十九人の障害のある当事者の方も含めた傍聴の要請を受け、お取り次ぎをいたしました。各委員会がある中でこれだけたくさんの方が傍聴を希望される、それも障害の当事者が希望される、固唾をのんでこの審議を見守っている。
私は、この障害者自立支援法が、そもそも私どもも加わっていた三党連立政権の生みの親であったと思います。障害者自立支援法が成立せんとするときに、当事者団体の方々が、自分たちの声抜きに、自分たちが長年無視されてきた、その長い長い歴史をここで変えたいという強い思いで、私ども当時の野党にも働きかけがあり、また、与党の皆さんも当時そのことに随分いろいろな意味で影響を受けられて、この障害者施策をお考えになったでしょう。
ですから、当然、その結果としてある今の政権は、現実にお金がどのくらい足りない、これは現実の、政権の抱える最大限の制約です。しかし、そのことと同時に、障害者に向けて、皆さんに向けて、常にその声を受けとめますという姿勢、できることとできないことがありながら、対話をしていくという姿勢を欠いてしまえば、もともとなぜ与えられた信任であるかという根拠が消えてしまうと思います。
私は、委員長にもお願いがありますが、実は、私の質問で最後で、もう採決をなさるということで、あと、みんなの党も質問がございますが、私と共産党の高橋さんは、強く反対をいたしました。
その反対の理由は、せめてここに参考人として、これは今後も続いていかなければならない施策の今や途中にあるものであるから、参考人に来ていただいて審議を深めたい。なぜ今この三時間で決着しなければならないのか、誰も、先ほど来の質問の中で、そのお答えは政府側にはないと思いますし、また委員長にもこれは私はお願いをしたものであります。与野党の筆頭同士の合意で、参考人なく採決ということになっておりますが、極めて残念であります。
あわせて、政府には、例えばこういうことに向けて全国で公聴会を開くとか、もう一度なさるべきであったと思います。TPPでも全国公聴会を、あれが形式だけであるかどうかは別に、やっておられます。この問題がこれからも続くということを考えられた場合に、今どこまではできて、どこからはこれからだということを広く理解していただくための取り組みが圧倒的に欠如しているように思います。
小宮山大臣に伺います。
今の私の指摘、せめて、公聴会も含めて、大臣は、例えば税と社会保障の一体改革でもいろいろなところに行かれているということは存じ上げています。それと同じような労力、身はお一つですから大変です。でも、西村智奈美副大臣もおられます。女性三人おられて、私はいい厚生労働省の体制だと思っております。そして、そういうことを裏切ることのないよう、ぜひ当事者の意見を聞くような体制をつくるべきであったと私は思います。
そして、当事者性とは、例えば私どもが議員であったり、小宮山大臣が政府であったりして、それを、障害者団体から言われたことのどのくらいを取り入れたか、要望があって、じゃ、これしましたよというだけではないんですね。できないときもある。だけれども、どういう方向に持っていきたいかを十分伝える。そして、今はここまでだけれども応援してほしいとお願いされてもいいんだと思います。
だって、国民的理解が必要で、お金をそこに割いていくにも、社会を変えていくためにも、最も根幹は社会を変えることです。社会の中に偏見や差別がなくなることです。そういうことに向けて本来の努力をなさるべきであったと思いますが、いかがでしょう。
○小宮山国務大臣 阿部委員がおっしゃること、私も共感をするところが大変多いところです。
今回、こういう形で、三時間の審議でということは国会の中でお決めをいただいたことですが、委員もおっしゃっていただいたように、今、私が社会保障と税の一体改革で全国を歩かせていただいている中で、どの会場でも、やはり障害当事者の方からこの問題について多くの御意見をいただいています。ある会場では半数ぐらいがそういう意見だったこともありまして、皆さんの御意見が非常に強いということは私自身わかっておりますので、できることなら、そういう機会をつくるということも考えられたのかと今思っております。
当事者の方も入っていただいた会議体を政府につくったというのは、やはり政権交代があったからできたものだと思っています。その中で骨格提言をいただいたときに、私もいただいたとき、本当にいろいろな思いがぎっしり詰まっている、本当に重いものだと思います。ただ、現実の問題として、それが一度にはできないので、これは段階的にでも、しっかりと受けとめてやらせていただくと申し上げた気持ちは今も変わっていません。
法改正でやること、予算措置でやること、また、運用改善でできること、いろいろあるので、その項目の全部がこの法律にどう入っているかで、やっている、やっていないということではないということは申し上げたいと思いますが、全体として、これからもぜひ皆さんと向き合って、しっかりとこの問題は取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひ、そういう意味では、委員の御尽力もお願いをして、これは各会派、そして政府、みんなで正面から受けとめて、一つずつ解決をしていかなきゃいけない問題だと考えておりますので、そういう気持ちでやっています。
○阿部委員 今、大臣の覚悟のほどは伺いましたが、私は、先ほどの高橋委員とのやりとりを聞いていても、例えば、原則を応能負担にするのと、逆に、現実的に応能負担になったけれども、やはり原則応益負担の考え方が残っているのではないかということと、これは違うと思うんですね。
これまでのというか、今現在のやり方だと、いろいろな意味で応能負担に近くしたけれども、その骨格部分、根底部分に応益負担の制度そのものが残っているということが実は当事者団体と今のやり方の大きな違いで、きょう、皆様のお手元に、私は骨格提言を項立てしたものを一枚にしていただいたのをお配りいたしましたが、例えば利用者負担のところも、七番ですね、障害に伴う必要な支援は原則無償とするが、高額な収入のある方には応能負担を求める。
負担を、障害のある方も否定しているわけではありません。ただ、原則の考え方、これが応益とされた障害者自立支援法にすごく反対が強かった。例えば、トイレに行くのも応益か、食事を食べるのも応益か、外に出るのも応益かと。考え方ですね、ここは非常に大事なんだと思うんです。
大臣にはここで確約していただきたいが、この施策は原則応能負担なんだなということです。なし崩し的に現実が応能負担になったというのではなくて、原則は、これは障害者の権利条約の考え方とも密接なんです、障害があるゆえに不利益をこうむらない。障害があるからサポートしていただくときにお金を出したら不利益なんです。ここが非常に、障害者権利条約が今目指すべき途上にあって、その途上に今の審議があり、今の政策があるということです。
大臣、いかがですか。
○小宮山国務大臣 障害者権利条約を何とか批准し、障害者権利法をつくろうということは、私も議員になったときからずっとやってきたことでございますので、委員が言われることはそのとおりだというふうに思います。原則応能負担ということだというふうに私は考えています。
○阿部委員 そういたしますと、応能のときに、もちろん障害者御自身の収入とかそういうことが認定根拠になるわけで、そこを先ほど副大臣の西村さんが、介護保険との並び等とおっしゃいましたが、実は、障害者の権利条約とは、障害者の権利としてそういうことを、御自身の権利として保障するということなんですね。どなたとお住まいかということではなくて。
これも考え方ですよ。やはり、もし今障害者権利条約に向かっていっているとなるならば、先ほどの西村副大臣の御答弁は、ちょっと私は、ずれてしまうと思うのですね。他の法律との並びですとおっしゃいましたけれども、並びを超えていくものであります。それは、障害ゆえに差別をされないということからもそうなってくるんだと思いますが、大臣、いかがですか。
○小宮山国務大臣 それは、どこをベースに物を言うかということの違いかというふうに思います。
厚生労働省をお預かりしている責任ある立場からしますと、やはり、今のさまざまな社会保障制度の中で、個人単位か世帯単位かということがいろいろなところで問題になっています。このことについては、これはしっかりと検討していかなければいけないと思っているんですが、もちろん、条約の精神というのはすごく大事です。
ただ、現実に、今の社会保障制度をいろいろと運用している中で、どこだけがどうという話にはなかなかなりにくいという現実があるということもぜひ御理解をいただいて、全体に社会保障制度が、これもやはり個人単位にすれば、当然、その障害当事者個人のことになります。ただ、全体に世帯単位で考えている部分もあること、そうしたこととの並びをどう考えるかということも含めて、これはぜひ、私どもも真剣に議論をいたしますし、皆様方ともこれから検討をさせていただきたいと思っています。
○阿部委員 特に障害者の問題は、家族という問題が、あるときは桎梏であったりしたわけです。だからこそ、世界じゅうで、障害者権利条約のときには、本人の例えば権利であり、収入やあるいは生活に着目をするわけです。
今のようなやり方では、障害者の権利条約が批准できなくなります。他の法律との並びということは、政権としてあるというのは当然でしょう。しかし、権利条約を批准したいという意思があるならば、どこかで超えていかねば批准ができないんです。ここに家族の問題等々を持ち込めば、同じ法体系になってしまいます。
権利条約の批准というのは、そこほど重要であり、しかし、恐らく、今政権におられる皆さんは、権利条約の批准はやるという覚悟であるんだと思います。そして、逆にそのことでプッシュしてもらってでも、障害者個人単位に、ここは先んじて持っていかねばならない課題なんだと思います。大臣もおわかりだと思いますので、私の意見として強く受けとめていただきたい。
そして今回、骨格提言と申しますものが幾つかできまして、これは、障がい者制度改革推進会議が英知を集め、また、その下に部会を設けて、いろいろな当事者の、半数は当事者で占めるような部会もつくってつくられたもので、ぜひこれを、大臣は一歩としたいとおっしゃいましたが、そうすると、工程表というのが普通要るわけです。どこまでに、何をゴールとして、どうやっていくか。この六十項目のどのくらいが達成点かとすると、当初の厚生労働省案よりは、民主党のさまざまな部会を経た案の方が少し達成は高くなっていると思いますが、でも、まだまだで、骨格的なところも残されております。
大臣には、ぜひ工程表というものを明示する努力をしていただきたいのと同時に、いろいろなサービスを受けたくても、そこの地域にそういう基盤、拠点がなければできません。
思い起こせば、介護保険のときは、ゴールドプラン、新ゴールドプラン、新新ゴールドプランとして、基盤整備を財政的にも位置づけてやった。そのことによって、今、保険とサービスは両輪で回っているわけであります。
この障害者施策においては、一つには工程表が必要であろう。一つには基盤整備のための、これはもちろん、立法する、財源が必要だ、もう頭がいっぱいになるというのはわからないではありません。でも、そうやって進めていかないと、実は、私がこの前の法案の審議のときに最も気になったのは、本当にサービス提供基盤が地域間で非常に格差があって、そして、残念ながら厚労省が把握しておらないということであります、自治体ごとですから。そうであると、均てん化もされませんし、あるところはサービスが受けられないとなります。
工程表と、そしてサービス提供基盤の整備について、小宮山さんのお考えを伺います。
○小宮山国務大臣 それはやはり、段階的に、確実にやっていくためには、皆様にもわかりやすい工程表というのは必要だと私も思いますので、それは努力をさせていただきたいと思います。
また、基盤整備につきましては、これは法律だけではなくて、予算措置やら運用やらいろいろな形でやらせていただくと申し上げているんですが、現実には、今厚生労働省と内閣府といろいろと所管が分かれている部分もありますが、そうしたところを連携して、ぜひ、必要な予算措置も含めて、基盤づくりにも努力をしていきたいと考えます。
○阿部委員 先ほど来私がお願いした当事者の参加、工程表、そして基盤整備、これらは、行政としてなさるときに、同時に、行政がきちんと進んでいるかどうかをある種チェックしていく体制が必要だと思います。
大臣はそうした意識は強くおありと思いますけれども、もともと障がい者制度改革推進会議が内閣府にできて、そしてその後、基本法の改正も行われて、いずれも内閣府の中でありました。
今度、実際、行政としては厚生労働省が施策を行っていくときに、もちろん自分たちは努力しているつもりであっても、当事者から見ればどうか、地域基盤から見ればどうか、工程表はどこまでいったかなどを、ある意味で行政監視といいますか、チェックしていくような場を、それは障害者の当事者も参加でお考えいただけまいか。いかがでしょう。
○津田大臣政務官 阿部委員にお答えを申し上げます。
今回の新法では、法施行後三年をめどに見直しの検討を行うこととしておるわけでございます。この検討に当たりましては、障害当事者やその家族、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じることを盛り込んでいるところでございます。
具体的にどのような方法で障害当事者やその家族、その他の関係者の意見を反映させていくかにつきましては、今後、法案の施行に向けて検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
○阿部委員 津田副大臣はさっきもそうお答えになりましたので、わかっているんですけれども、余りに抽象的過ぎて。そして、例えば関係団体のヒアリングをしただけでも障害者の声を反映したと言われてしまいますので、私の申し上げた、一つはどのくらいのスピードで工程が進んでいるかのチェック機能、そして当事者の声がどのくらい反映されたかということ、地域基盤がどう整備されたかということ、そういうことがきちんと検証されるようなものであっていただきたい。ぜひよろしくお願い申し上げます。
次に、難病の問題。
これも何人もの委員がお尋ねでありますが、今回の骨格提言の中でも、非常に大きな変化があったというところに、法の理念・目的・範囲ということがございます。これは、障害の有無によって隔てられないということと、それ以上に、保護の対象から権利の主体へ転換すると同時に、医学モデルから社会モデルへ。今までは、例えば病名がついたり、病気であるがゆえの医学モデルであることから、環境と自分の間に障壁がある、社会と自分の間に障壁がある、そういうことから障害というものを照らし直していこうという大きな転換点であります。
となると、今度、この施策の対象が、いわゆる障害者として難病も含むという形になる。難病も含むという言い方ではなくて、法の対象となる対象者に、治療法の確立していない疾病その他の特殊な疾病であってというふうに入るわけで、何も難病というふうに規定されたわけではないのですが、先ほど来伺っていると、この難病という今の百三十という疾患プラスリウマチというような疾患モデルで、そこの人たちを給付対象にしようというようなお考えに聞きます。
障害者基本法の改正でも、そうではなくて、心身の障害ゆえに抱えるさまざまな困難に対しての支援というふうに書いてございますし、そちらが理念法であれば、給付についてもそれと同等、横並びでなくてはならないのではないか。
特に、障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言というのを津田副大臣は御存じだと思いますが、ここでは、さまざまな、今認められている難病だけでなく、医師の意見書などをつけた場合も含めて、それを演繹して対象にしようということでございます。この総合福祉部会の提言はどう受けとめられましたか。
○津田大臣政務官 政務官でございますので、よろしくお願い申し上げたい。(阿部委員「ごめんなさい」と呼ぶ)
御指摘の点につきましても、私どもとしては、しっかり対応していきたいと思っております。ただ、医学モデルということについての批判がこれまで非常にあったということについては、今後の検討の中ではしっかり反映をしていかなければならない、そのことを踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部委員 いつかは明確ではない、難病のための審査部会といいますか検討部会を待ちながらということをほかの委員の御質問にお答えでしたが、そうではなくて、ここは、本当に障害者基本法の改正にうたわれたような理念を現実にするものとしてやっていただきたいと思います。
最後に、自立支援医療についてお伺いをいたします。
障害者自立支援法ができるときに、何だ、この自立支援医療というのはと、私も随分お尋ねをいたしました。これによって、例えば、精神障害のある方等のデイケアとかの自己負担増なども起こるし、また、私のような小児科医の分野は、とりわけお子さんたちの重い病気の方々がこの育成医療というのを受けておられますが、それもまた障害者自立支援医療に取り込まれることによって、親御さんの負担がふえるのではないかということを懸念いたしました。
見直しの中で、お示ししたような、図にありますような幾つかの軽減措置はとられました。例えば、市町村民税の課税以下であるか、課税世帯であるか、あるいは二十三万五千円以上の世帯であるかなどによって区分けがされました。
しかし、育成医療という医療、子供たちの医療をお受けの方が十八歳以上になると、ここを出なければならなくて、次は更生医療という方に行きます。そうすると、この減免措置なるものが、がくんと少なくなります。その理由は、更生医療に行くと、いわゆる低所得者については少し減免措置がありますが、中間所得者については、御病気が重くて「重度かつ継続」に行ける、心臓移植とか肝移植の後とか、そういう方以外は御家族の負担能力に応じて払っていただく。
例えば心臓病を例にとりますと、今、日本の医療は、私が小児科医になって三十八年ですが、随分、各段発達いたしました。二十以上の、長く生存される、心臓病でも重いお子さんたちが四十万人、手術とかをなさいますから、見かけ上は重く見えないとしても、いろいろな生活上の制限を抱えた方が四十万人おられます。育成医療に行かれる方であります。多くはなかなか就労がかないません。御家庭の収入も、市町村民税の非課税世帯以上ですから、中間所得くらいであります。
この四十万人の皆さんについて、現状、更生医療になった場合の負担が大変に重いという実態がございます。ぜひ実態調査をしていただきたい。そして、しかるべく、もしそこで軽減措置が必要であれば組み込んでいただきたい。
恐らく厚生労働省は、実態は御存じないのではないか。私は、そうした実態がまずあって、どのように、例えば、長じて後も本当は仕事ができた方がいいんだけれども、できないで、おうちにいて家族が支えてくださっている御家庭は多いんです。小児科医をやっていると実感します。そういう方の実態が全く把握されていない。そして、育成医療は終わり、更生医療だと言われる。むしろ問題は深刻になっていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○津田大臣政務官 御指摘の実態調査という点については、省内で検討をさせたいというふうに考えております。
阿部委員御指摘の自立支援医療制度、これは、各医療保険制度の自己負担を軽減する仕組みでございます。医療保険制度は被保険者とその被扶養者の世帯を単位として設定をされているため、自立支援医療の負担額を決める際にも、医療保険と同じ、世帯の所得で決定することにしているわけでございます。これを障害者本人所得のみと改めることは、医療保険制度等との整合性の観点から、慎重な検討が必要というふうに考えているわけでございます。
さらに、今、育成医療と更生医療、育成医療から更生医療に移ることによってさまざまな課題があるのではないかという御指摘をいただきました。この点につきましては、今後、省内でしっかり検討をしていきたいと考えております。
○阿部委員 私は、それだからこそ、そもそも自立支援医療というふうに変えるところからそごが生じますよと。今、津田政務官がおっしゃったような認識があるからです。医療保険制度での仕組みと違ってまいります。そしてまた負担増になる。なったからこそ軽減措置が行われたわけです。
その結果、しかし十八歳以上になれば、先ほど申しました子供さんの状態は、子供ではなくなるけれども、生活の実態はもろもろに負担がかかってまいります。例えば、高校の無償化という問題がありました。あのときに特定扶養控除が減額されました。でも、高校にもしお子さんが行っていなければ、この御家庭は扶養控除が減るだけで、実際には給付は来ません。果たして生活実態がどうであるのか。
私は、もともと障害を抱えてお子さんを育ててくださっている御家庭について、やはり社会がサポートしていく、国がサポートしていく、そういう視点がなければ、この国自身が本当にそうした人を排除していくことになると思います。
津田政務官は、実態調査をなさってくださるとお答えでありました。もう既に四十万人おられます。どのようにお暮らしか、家計はどうか、親御さんも年をとっていかれる、さまざまな問題があります。私は今、心臓病だけを例にとりましたが、子供の慢性の長期の疾患は全部同じ課題を抱えております。ぜひそうした親御さんたちの団体とももっときちんと調査をされて、政策に生かしていくということをお願いしたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
――――――――――――― 中略 ―――――――――――――
○池田委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に反対の立場で討論を行います。
二〇〇六年、自公政権下において、障害者自立支援法は、私たちのことを私たち抜きに決めないでというシュプレヒコールの中で成立いたしました。障害者に対する本格的な所得保障や抜本的な就労対策がないまま、障害福祉の分野に応益負担原則を持ち込み、当事者をして天下の悪法と言わしめました。
三年後、政権交代を経て、三党連立政権は、障害者自立支援法を廃止し、制度の谷間がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることを政策合意に盛り込み、内閣府に障がい者制度改革推進会議を設けました。
また、障害者自立支援法違憲訴訟団との間で二〇一〇年一月に基本合意を交わし、障害者の尊厳を傷つけたという深い反省に立って、自立支援法の抜本改正を約束しました。この基本合意に基づき、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が編成され、障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言(骨格提言)がまとめられたのです。
ところが、それを受けて閣議決定された厚生労働省案は、現行法の廃止を経ての新法ではなく、その実態は、障害者自立支援法の一部改正にすぎないものでした。総合福祉部会が二大指針としていた障害者権利条約や障害者自立支援法違憲訴訟に伴う基本合意文書とは相入れないばかりか、総合福祉部会五十五人の一致団結によって取りまとめられた骨格提言の水準からもほど遠いものです。
まず第一に、障害者総合支援法、今回の法律は、権利条約の批准に必要な国内法整備であることが大前提であるべきです。しかし、基本理念の規定に「可能な限り」が盛り込まれたことにより、その位置づけが揺らいでいます。障害をカバーして社会参加するための最低限の支援が、お金がない、資源がないという理由で必要な支援が受けられない現状を改め、対等に地域で生活する権利として確保する必要があります。「可能な限り」は削除されるべきです。
次に、障害の範囲について、「政令で定めるもの」という規定では、病名で対象が決められる可能性があります。骨格提言は、従来の医療モデルから福祉モデル、社会モデルへの障害概念の転換を図ること、谷間を生まない包括的規定をすることを求めており、機能障害、疾病があることを前提に、生活上の困難さを抱える人が対象となるよう、障害者基本法との整合性を図り、包括的な規定に改めるべきです。
三点目は、検討規定における障害当事者参加の保障が極めて不十分なことです。障害者の権利条約の批准に向けて、障害当事者の参加と情報公開、そして情報到達へのアクセスの確保、そして当事者の決定権の保障を強く求めます。
四点目は、立法府としての審議が極めて不十分なまま採決を行うことです。本日も百名を超す方が傍聴しておられますが、委員会として、障害当事者を初め幅広い立場の方々からも意見を聞き、十分に審議を尽くす必要があり、しかるに、民自公三党の合意にのみ基づく短時間の審議で採決ということは、到底認められません。
最後に、障害者にとって未来の十年を目指すものになるよう、今回の法案を骨格提言や基本合意に忠実にのっとった、障害者や難病の方々の思いや実態に応えられるものにつくり変えることを強く求め、私の反対討論を終わります。
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