第180回国会 厚生労働委員会 第6号(平成24年3月21日(水曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕
○池田委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
この児童手当の改正に始まりまして、今回出されました法律改正まで、二年半余りの間、五回の、一つの法律のあり方についての審議が行われました。
私自身は、小児科医を長くやっておりますから、子供の問題は、それを児童と言いかえてもいいと思いますが、よく、子供は炭坑の中のカナリアに例えられます。この社会に起こるもろもろの問題を真っ先に身に受けて、例えば、今、日本でふえておる児童虐待や、あるいは、子供たち自身が生きづらいと感じているような時代状況の中で、政治がこぞって、子供たちのために何かできることはないか、お子さんをお育ての御家庭のためにできることはないかというふうにかじを切ったということは大変評価しております。
もともと、日本の子育てとは、明治時代に、イザベラ・バードなど海外からこの国に来られて日本各地を見て回った外国の方の目から見れば、日本は何て子供を大事にしているんだろう、大人の男の方たちが子供と遊ぶ姿、これは当時のヨーロッパではなかったことだと言われております。そのくらい、コミュニティーの中で、家庭の中で子供を受け入れ、そして一緒に育てていくという風習があったんだと思います。
実は、私自身、小児科医になって三十八年たちますが、まだ学生のころは、日本には児童虐待ということはほとんどないと言われておりました。教科書もイギリスのものを使って、当時、私たちは、ああ、そういうのがアメリカやイギリスではあるんだってねと。もちろん、ゼロではなかったと思いますが。今や、小児科の夜間救急をやっておりますと、転落を初めとする頭部打撲などの事故は、残念なことですが、まず、親御さんがやったのではないかと、疑りたくないけれども、そういうことまで含めて見なければならない。
やはり社会が病んでいるということのあらわれの中で、どうやって家庭も社会も国も子供を守れるかという観点から、この法律についての私の質疑をさせていただきたいと思います。
冒頭お示ししました資料にございますように、政権交代以来の平成二十一年から二十四年に至るまでの子ども・子育て支援施策に係る費用というものを並べてみました。
現金給付がブルーのところまでで、あと、右側が現物給付。ブルーとプラス、まあ見ていただければわかりますけれども、確かに、表面上は、金額は、例えば平成二十一年のトータル三・二兆円、子供施策のうちの一兆円余りが、これは児童手当時代でしたが、今回、名前を変えたところの改正案で約二・三兆円近くになるということで、これはこれで表向きは充実しているようにも受け取れます。
ただしかし、ここにもう一つの問題があって、ここには、要は、今回廃止されるという年少扶養控除の地方税の扶養控除分や、もう既に廃止された所得税の年少扶養控除分が隠されております。結局のところ、先ほど高橋委員が御指摘のように、今回の改正をしたとしても、年収四百万円のところから家計の収入は減ってしまうということであります。
私は、これ自身、今、我が国が少子高齢化だと言われ、どんな政党であっても、子供に対してあるいは子育て家庭に対して政策を手厚くしていこうと思う流れがあるんだと思いますから、まず小宮山大臣に伺いますが、結果として、これが家計の可処分所得を四百万円世帯から減らしている現状であることについての御認識を伺います。
○小宮山国務大臣 今委員が御指摘になった点が、私自身としても一番気にかかっている、大変申しわけないと思っていることでございます。そういう意味では、そこを何とか解消していくということがこれから私たちに課されているという認識を持っております。
そもそも、所得の高い人よりも低い人の方へということの中から控除から手当ということを打ち出したわけですが、そのときに、先ほども申し上げた子ども手当を満額できるだけの財源の見通しをちゃんと持っていなかったということが一番もとにあると思います。そこは大変申しわけないことで、そういう意味で、これから控除のあり方についてもさらに検討となっていますが、少なくとも、中堅所得層のところを含めてマイナスになってしまうということは、私どもからしてもあってはならないことなので、そこの対応は早急にできるように、そこは力を尽くしていきたいというふうに思っています。
○阿部委員 今の大臣の御答弁のように、野田総理は分厚い中間層と言っていらしていてなぜそこの手取りを減らすようなことをするんだろうと、私は本当に大きな疑問ですし、結果的に、子育て世代内で、中学生のいる世帯には少し増収になり、低所得、三百万円以下には増収になったとしても、中間所得層より上は手取りが減る。この国を本当に支えていくためにまさに大事な中間所得層と呼ばれる堅実な国民をどう育てていくのかということが政策の中核に来ないと、私は、これが子ども手当であれ児童手当であれ、やはり子供の揺りかごはまず家庭でありますから、そこがきちんと所得を得られない状態というのは、何としてでもまた大臣に頑張っていただきたいと思います。
と同時に、子供施策は、何も現金だけでなく、現物の部分もございます。
これは、見ていただきますと、現物給付部分は実際にはほとんど増減なしと思います。例えば、こども園関係の、ピンク色のところですね、これが一・五兆になったり、その前が一・四兆であったりすることから見れば多少ふえたやに見えますが、一方で、その他の部分が二千四百億から二千億に減ったりしておりまして、現物給付に係るいわゆるお金の支出というのは、この予算が厳しいという中にあって、残念ながら余り充実ができていない。
特に私がきょう伺いたいのは、二点ございます。
実は、この間、例えば保育園の問題でも、公立の保育園などは一般財源化されてここには出てこなくなったりはしております。一般財源化するということの裏には、それをやっても質が担保される、子供たちを育てる本当に大事な作業というか営みですから、本当に子供が健やかに育っているかどうかが検証されねばなりません。
その意味で、公立保育園の運営交付金というのが一般財源化されたことによる影響はどうなのかという点が一点。
もう一つ、今回大変気になりますのは、皆さんのお手元の三枚目の「その他現物給付の減額要因について」という図の中に、実は、子どもの事故予防強化事業というのが一般財源化されました。一般財源化されると、やる自治体はやる、やらない自治体はやらないということになるのですが、この子どもの事故予防強化事業というのがとても重要なのは、実は日本は、新生児死、一歳までの死亡率は世界一、二に低くても、二歳から幼児期の死亡率は、特に不慮の事故というところが高いために、世界で二十位くらいでしょうか、余り褒められてはおりません。
となると、この事業自身は、本当に、さっきの転落とか交通事故とか、あるいは、まかり間違うと虐待も入っているかもしれません、そういうことを一生懸命どうやって、例えば、家庭の責任といっても、家庭をサポートする必要もありますでしょう。今、家庭に丸投げしても、その家庭自身が、お金の多寡だけではなく、子供を育てることに大変困難を持っている場合もあります。ですから、少なくとも命を守る。事故だけはまず何としてでも防止しなきゃいけない部分です。
ここについて一般財源化されておりますが、では、こうした、ここで行われてきた今までの交付金事業でしょうか、このものから変えたときの検証、変えるに至る検証はどうなっておるのか。
さっきの公立保育園の運営交付金のお話と、二つ伺います。
○小宮山国務大臣 そこも、委員と同じ問題意識は私も持っています。ただ、そこの検証は今きちんと行われていないと思いますので、私もそこはするべきだと思いますから、するように指示をしていきたいと思っていますし、公立保育所の一般財源化ということも、私も野党議員だったときに、そこはよくないということを言ってまいりました。
そうした中で、今度、子ども・子育て新システムでこども園給付に切りかえられますけれども、それは、公立のところは一般財源化のままそこに含まれる形になりますので、そこの問題は、やはり、御指摘のように、自治体の意識にかかわるところがありますから、そこがきちんと子供に使われるように、どのようにしていくかということは大きな課題だというふうに思っています。
○阿部委員 次の子ども・子育てビジョンの実施に当たっては、ぜひそういうことをきちんと検証して、本当に、家庭や社会で子供を守っていける国の政策であっていただきたいと思います。
次に、修正案の提出者、田村委員にお伺いをいたします。
お手元、二ページ目の資料を開いていただきますと、これは、この間、所得税の年少扶養控除が廃止されましたことによって、いわゆる所得税の課税最低限がかなり下がってまいりました。
見ていただきますと、平成元年から、人的控除のうち、日本では基礎控除も三十八万円と低いものですから、何とか家計と家庭を健全に運営できるよう基本的な人的控除をふやしていこうというので、ここにある順次の改革、これは自民党時代ですからよくおわかりだと思います、特定扶養控除を引き上げたり、給与所得控除を拡充したり、さらにまた特定扶養控除を引き上げられて、そして配偶者特別控除がなくなりましたけれども、それでも課税最低限度額は三百二十五万でありました。これは、子供二人の、一人が特定扶養控除を受けておられる高校生くらいの年齢、そして一人は年少扶養控除とモデル化しました。しかし、その世帯にあっても二百六十一・六万と、かなりのところから課税が始まってしまいます。
確かに、民主党政権にあっては、課税によるもろもろの影響をなるべく遮断しよう、特に住民税の年少扶養控除廃止に伴ってもろもろ保険料が上がりますので、そのことを何とかしようと御尽力されていたのは知っておるのですが、しかし、やはり家計にとって可処分所得のありようというのは、私は、それが子供の手当で来るからという問題を超えた問題があるように思います。
今回、プラス住民税の年少扶養控除が廃止されますと、住民税の方はもともと最低の課税限度額が所得税より低いものですから、余りに厳しい取り立てにはなってはいけないということで、最低限度額よりも課税限度額を少し引き上げては措置してございますが、それでも、私は、住民税の年少扶養控除廃止というのは大変に影響が大き過ぎると思います。そして、与党におりましたときも、税調でも反対をしてまいりました。
今回、修正案を出された皆さんはこの問題をどのようにお考えであるのか。そして、これは所得税と地方税の絡みで同じようにやらなきゃいけないんだという論議を当時民主党の税調でなさっていましたが、私は、やはり違うと思うんです。住民税というものと所得税、これからますます分権化の中で違った位置づけがあってしかるべきであります。提案者は、私、もろもろ言って申しわけありませんが、この点、どうお考えでしょうか。
○田村(憲)委員 委員がおっしゃられます住民税というもの、これと、言うなれば所得税、国税の方と、この絡みがどうかというのは、今お話をお聞かせいただいて、一つの考え方だなというふうには感じました。
ただ、ここで、この修正案の中で、そういう部分も含めて速やかに検討をして、そして結論が出たら一定の措置を講ずるというふうに書いておるわけでありますけれども、もともと我々は、税というものは、国家といいますか行政が国民、住民に課す大変大きな義務だというふうに思っています。ですから、できればそういうものは少ない方がいいのは当たり前であります。もちろん、今、財政状況が非常に厳しいので、そうはなかなかいかない部分があるわけでございますけれども。
そのような考え方と、我々独自の、やはり家庭を大事にしよう、きずなというようなものも含めて、この年少扶養控除初め控除というもの、所得控除というものに対して我々は考え方、思い入れがあるわけでございまして、ですから、ここで、いろいろな状況を鑑みた中で、必要があるのならば、当然のごとく、年少扶養控除というものも含めて見直す、復活も含めて見直すということがあってしかるべきではないかということで、このような文面を入れたわけであります。
あわせて申し上げれば、先ほど委員がおっしゃられましたとおり、この控除がなくなった部分をそれぞれの家計で子供の数と合わせてプラスマイナスどうなんだということを考えた場合に、民主党さんが初め言っておられたように、財源が幾らでもあって大きく子ども手当というものを支給できるのであるならば、その部分をカバーできるのでありましょうけれども、現状を考えたときに、なかなかそれだけの財源というものは出てこない。すると、どこかの世帯でマイナス世帯が出てくる。
子育て、子供を大事にと言いながら、しかし、一方で可処分所得自体が落ちてしまうということを考えますと、やはり、年少扶養控除というものを復活した上で手当をどう考えるのかということを議論した方が、私は、子供をお持ちの家庭、また子育てをする上において、そちらの方が正しい考え方ではないのかなというふうに思っておりまして、そういうことも含めて、この附則の中で検討しようということを盛り込んだわけでございます。
○阿部委員 今の点について、民主党の皆さんには、この年少扶養控除等々は今度は税額控除で何とかしたいというお気持ちがあるのは知っております。ただ、それが同時でないと、こうやって片っ方は控除を外しちゃって手当が行き渡らないとなれば結局家計は苦しむわけで、その間、どちらが一番よいのか、どうするのがよいのか、どこの場でそれを論議するのか、私は非常に重要だと思いますので、恐らくまた三党でとなるのやもしれませんが、やはり、偏りのない、本当の論議をしていただきたい。これは、子供については年少扶養控除を廃止して手当にという考え方もあり得るんですが、御高齢者の控除はどうかとか、いろいろな人的控除、トータルをもうちょっと深く考えた結果で考えていただきたいと思います。
ちなみに、最後につけました資料、可処分所得の変化試算の中で、これは前回もお示ししましたが、大和総研の資料の中で、あのときは二〇一一年と比べてあったものを私の部屋で二〇〇九年と比べますが、これを見ますと、住民税額の増加とあとは厚生年金の保険料の増加によって、とにかく四百万円世帯でも、もう二〇一一年を境に二〇一二年からずっと赤が立っていくわけです。この試算はかなりよくできていると思いますので、こうした状況が一日も早く是正されるようお願いいたします。
最後に一問お願いいたしますが、今回、地方の年少扶養控除を廃止して、そこから上がってくる金額を国民健康保険の都道府県の調整に使うということでありました。そもそもを言えば、子供のために使うものを何でそうするのですかと思います。そして、もしそれだけの財源があれば、前から申しておりますように、国民健康保険の問題があるのはもうみんな共有です。特に、お子さんがいる世帯の国民健康保険の保険料が高いのです。
この点につきまして、私は、前回、予算委員会でも、今計算されておるところの計算方式、すなわち、基本保険料と、家族の人数掛け一人当たりの保険料、プラス所得比例、プラス資産で計算されますところの家族の人数を、十八歳以上にしてはどうかと。それが子供の基盤を、家計の基盤を高めるということであります。
これ、ぜひ御検討いただきたいし、長妻大臣の時代から私はずっと提案し続けております。今のやり方で調整の方に投げては、結局、子供から低所得の高齢者の方に回るだけであります。ぜひ、子供自身の施策として検討いただきたいが、小宮山大臣、いかがでしょう。
○小宮山国務大臣 今回こういう形になりましたのは、地方増収分の取り扱いについて、国と地方の協議の場で議論する中で、地方団体の方から、地方負担は地方に裁量性のあるものとすべきという御意見が強く出されまして、今回はこのような形になりました。
それで、委員御指摘の点は、予算委員会の中でも、総理も検討をするというふうにお答えをしているところでございますので、まず、限られた財源の中で、地方からの御要望の多い保険料の軽減を図るということをとりましたが、子供の均等割の軽減については、その後の検討という形で検討させていただきたいと思っています。
○阿部委員 健康保険、国保については国庫負担分が減りますので賛成しかねますが、今の小宮山大臣の答弁は、ぜひよろしくお願いいたします。
終わります。
――――――――――――― 中略 ―――――――――――――
○池田委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案並びに修正案について賛成をいたします。 しかしながら、この賛成は、平成二十一年度以前の水準に逆戻りすることによって受給者、自治体へ大きな混乱を及ぼすことを避けるためのものであり、積極的な賛成ではありません。
以下、本法律案の問題点を指摘いたします。
まず、本法案は、策定過程において、当事者である子ども・子育て世代の声に真摯に耳を傾けた形跡が全くありません。政府内のみで議論がなされ、最終的には、民主党、自民党、公明党、三党それぞれのメンツを優先させて着地点を決めたものであります。目的、支給対象年齢、支給水準、費用負担のあり方、所得制限は本当に必要かなど、制度の本質的な議論は公の場で一切行われておらず、今回決まった支給水準等の根拠も国民には説明されていません。
また、子ども手当導入に伴って行われた住民税の年少扶養控除の廃止の影響で、今年六月分以降、所得制限額以上の者だけでなく、年収四百万円台の中堅世帯の実質手取り額まで減少することは非常に問題です。何のための現金給付であるのか、根本が揺らいでいます。
さらに、子ども手当の導入と年少扶養控除廃止をセットにした今回の手法が子育て世代層内での所得再分配にすぎないことも問題です。民主党がマニフェストに掲げた子供の育ちを社会全体で応援するは、どこへ行ってしまったのでしょうか。子ども・子育て新システムをも含む社会保障と税の一体改革にも疑念を抱かざるを得ません。
加えて、最も納得がいかないのは、年少扶養控除の廃止に伴う地方税増収分が、国民健康保険法の都道府県調整交付金やエコカー減税による地方負担への振りかえなど、子ども・子育て施策と直接的に関係のないところに使われてしまう点です。
子育て世代から徴収する地方税増収分でありますから、緊急を要している待機児童対策や国保保険料の子供分の軽減など、子育て施策財源に充てるのが本筋です。
子ども手当は、この二年間で、一年、半年、半年と、細切れの立法措置が繰り返されてきました。制度変更に伴う混乱は、政治に対する国民の不安感、不信感を増幅させているばかりです。政治が子育ち施策を最優先に考え、誠実に取り組むことを訴え、私の討論といたします。
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