第180回国会 厚生労働委員会 第8号(平成24年3月28日(水曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
 民主党の皆さんには、この数日、大変に長時間の消費税の御論議でお疲れでもあり、また、私から見れば、国民の側から見れば、社会保障がどうなるんだろう、年金もそうです、AIJの問題で大変に深刻、そして、ある意味では最も深刻なのは医療の問題で、それも医療提供体制についてあるようにも思います。
 この世界的に見て第二位の経済大国であるはずの我が国で、例えば、出産の場所を確保できないとか、それから、後ほど取り上げますが、今、我が国の死亡の大半、三人にお一人ががんで亡くなりますが、そのターミナルケアのための病床がもしかして潰されてしまうかもしれない事案、これなども御紹介しながら、国民の思いに寄り添った厚生労働行政をぜひ小宮山大臣には本当にやっていただきたいと願うものです。
 一点目、私がきょう取り上げさせていただくのは、まず、国民健康保険制度あるいは保険事業というものを考えるときに、いつもこういう場での論議は、保険の、すなわち保険財政がうまくいっている、いっていない、赤字だ、さあどうするということは大変論議になっても、実は、保険というのは、保険でお金をいただいて、実際に医療を受けられる給付、給付事業と裏表でなければ、保険あって給付なしということになります。
 私は、今回の改正は、二点大きな問題点があると思います。
 一点目は、先ほど高橋委員もお取り上げでありますが、この間、都道府県の調整交付金という形にかえて、国による定率の国庫負担を下げていくという動きが一連でございます。
 皆さんのお手元、ページの二枚目を繰っていただきます。
 資料二にございますけれども、ここには、昭和三十三年から、今回の法改正ができ上がったとして平成二十四年まで、国保財政の運営について国の負担してきた負担額あるいは調整額などの推移を見ていただきたいと思いますが、実は、昭和四十一年は医療費の四〇%、国の調整交付金も医療費の五%。それが、昭和でいう五十九年、一九八四年には給付費の四〇%。給付費のということは、医療費と給付費の違いは何かというと、医療費というのは、患者さんがお払いになる自己負担も含めて全部の医療にかかった額の四割を国が負担する。そして、財政調整交付金の方は一〇%であると。
 そもそも、国の財政調整交付金の出生の歴史を追えば、戦後間もないころ、日本がまだまだ、農村地域や特にいろいろな条件の大変な地域で、診療所がない、かかれる診療機関がないというものに関して、国保による直営の診療所や病院を整備していきましょう、もっとさかのぼれば、昭和の十三年、この当時は農村の疲弊が著しくて、そうした中で、何らかの国の補填による、いわゆる診療体制の充実のためにやりましょうということで、おのおの系譜がございます。突き詰めますが、保険事業に対するお金の、すなわち保険料に対する問題と、医療提供に対する問題の両輪を回してきた歴史があるわけです。
 定率の国庫負担は医療費から給付費の四〇%になり、それがどんどん、もし今回、給付費が都道府県調整交付金の方になれば、給付費の三二%が定率国庫負担で、都道府県の調整交付金が九%。これを足し合わせれば同じようになるんだというお考えでやっておられるのでしょうが、そこには先ほど高橋委員がお取り上げになったような問題もまだまだ潜んでおります。
 一枚目の資料をごらんいただきますと、今回の改正で、例えば、高額医療費や保険財政の共同安定化事業、あるいは保険者支援分、ここの色のついた部分ですね、これを恒久化するということは誰もいいと思うのですが、でも、これを恒久化した場合に、市町村の格差が生じて、そのことのために都道府県調整交付金という、右側の枠にあるものから持ってこようというわけであります。本当に、これで果たして市町村格差の是正に向かうのかどうか、ここが私は大きな懸念のもとであります。
 もしかして藤田政務官のお答えかもしれません、伺いますが、この間、先ほどの御論議でもありました、地方自治体の一般会計からのいわゆる法定外繰り入れというのはどんどん増加しております。平成二十二年度では三千九百億円、今までで一番高いのではないかと思います。すなわち、各市町村が自分たちの運営のために一般会計からさまざまな理由で入れていかねばならないものがどんどんふえてきているわけです。
 こうした実態があり、なおかつここで国庫負担はまた減らし、都道府県の調整交付金に任せてよしとする根拠をまずお願いいたします。

藤田大臣政務官 共同事業の拡大に伴いまして国の定率負担を引き下げた後も、国の負担としては依然として公費負担の七割以上をしっかり確保しておりますので、そういう意味では、十分な財政責任を果たしている、このように考えているところでございますけれども、先ほどから委員の方からも御指摘がございましたが、この配分の負担の割合がいろいろ動いておりますけれども、そこはしっかりこれからも確保して、国の責任というものは果たしていかなければいけないと思っております。

阿部委員 今の私の指摘は、都道府県が一般会計から繰り入れねばいけない分はどんどんふえる一方で、果たして国の責任というものは十分これまでも担われてきただろうかという目で見ていただきたいということと、それから、地方格差を本当に、これから給付事業がまた三十万円以下のものも含めて拡大していった場合に調整できるんだろうかという懸念の点は、もう一回お伝えをいたしておきます。
 そして、時間がございませんので、次の問題に行かせていただきますが、私が先ほど申しましたように、医療保険制度というのは、金目の保険料の問題が解決すればいいのではなくて、その背景に医療提供ということを伴わなければ、逆に言うと、取り上げるだけのものになってしまいます。
 この間、実は、戦後さまざまな形で、国保もそうでした、協会けんぽもそうでした、組合健康保険もそうだと思いますが、保険料を徴収しながら、例えば協会けんぽにあっては社会保険病院、組合健保にあっては厚生年金病院、国保は国保直営病院と、みんな両輪で回してきたものが、この間、社会保険病院や厚生年金病院の今後をどうするかという論議の中で、逆に、本当に医療提供体制がきちんと保持されながらその次の時代のビジョンが出るのかどうかが揺らいできていると私は思います。
 その例として、先日高橋委員がお取り上げの社会保険病院の問題をもう一度お尋ねさせていただきますが、既に小宮山大臣も衆議院でも参議院でも御答弁でありますので、余り重ならない形でやりたいと思いますが、この社会保険病院は、昨年の十一月の二十五日でしたでしょうか、川崎市長から、地域の医療の機能のためにも、必ずしも公的なものにこだわらず、譲渡ということもあり得るやの要望書が厚生労働大臣に届いたところからスタートしたと思います。
 そして、そういう市町村からのお声があったとして、あったときにといいましょうか、厚生労働大臣としてまず何をなさるべきかということで、もちろん、どの病院を譲渡するかは厚生労働省がお決めになるわけですから、全ての責任は厚生労働省にあるんですけれども、大臣に知っていただきたいのは、医療というもの、今、医師の疲弊や過重労働が言われていますが、その医療を担っている人たちとしっかりと意思疎通して状況を把握して厚生労働省が受けとめないと、私は、実は、医療というものを担っている人たちが心の疲弊をして、こんなに頑張っているのにわかってくれていない、こういう形になるのを一番、この間のこの問題では恐れております。
 厚生労働大臣には、市からそういうお声が上がったときに、まず、そこの病院長に会ってみるなりお声を聞くなり、そういうことはなさったでしょうか。大臣御自身がです。これは、大臣にはぜひ、坂口大臣のように、本当に現場に一番自分が率先して行って、思いを酌み上げる厚生労働大臣になっていただきたいので、私はお尋ねをいたします。

小宮山国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、そちらの病院長の方にはまだお目にかかっていません。
 ただ、そこで医療機能が維持されることが必要だということについては、そこの病院運営団体の方にも申し上げているところですが、今、御承知のような事態で、大変住民の皆様に御迷惑をおかけしていることは残念な経過になってしまっていますので、これからでも、少しでもそこの不安が解消されるように努めていきたいというふうに考えています。

阿部委員 私がこういう直截な聞き方をしたのは、今大臣がおっしゃった、医療機能が維持されるとは何かということなんです。医療は人によって担われているんですね。ですから、人がある意味ではやる気になり、ある意味ではみんなが力を合わせて頑張っていこうと思っていただかないと、病院の機能というのは成り立たないんですね。誰かがむちを打っても成り立たないし、金目の話でいっても成り立たないんです。人がなすわざなんです。
 ですから、こういう問題が起きたときに、では、その病院が譲渡の対象に上ってきている、一体どうなっているんだろう、何が問題なんだろうと。もし、問題点が話し合われて改善に向かうのであれば、そこでも新しい展開があるかもしれません。
 実は、もう大臣も御承知おきですが、この病院はいろいろに工夫されて、昨年の暮れあたりから経営的にもやっと立ち直ってきた。そうしたところが、寝耳に水、全く自分たちの知らないところで、新聞で譲渡だと見るわけですね。私は、これは、医療現場というものがどう成り立っているのかということをぜひわかっていただきたい。
 病院を潰すは簡単なんです。医療機能をなくすは簡単なんです。でも、維持するには、そこで働く人たちの誇りを持った仕事を認め、そのことをどうつなぎ、そして、それは運営形態が何であれ、どんな病院でも一緒です、それがないと、単なる命令系統だけでは物は動かない、医療は内部崩壊していくと私は思います。
 そして、実は、これら社会保険病院や厚生年金病院は、もちろん、今後の機能、地域で重要ですから、いろいろ考えるときには必ず自治体の意見を聞けということがございます。そこで、厚生労働省は自治体にアンケートを二回なさいました。ところが、このアンケート結果が各病院長には全く伝えられておりません。
 もともと、例えば、社保病院とか厚生年金病院はみんな、縦系列というと変ですけれども、社会保険という組織、厚生年金という組織が運営してきたために、地域との横軸を結んでいくということが歴史的には難しく、でも、これからは、地域医療機能推進機構に移っていくという中で最も大事なことは、自治体側の思いと、病院も一生懸命やっている、もしすれ違うとすると、どこに問題があるのかと。
 一刀両断しないで、丁寧に、本当に改善点がないのか、どうすれば一番機能は維持されるのかということをステークホルダーの一人である病院当事者と、院長とでいいですから、きちんと話し合う姿勢がなければ、これは、今一生懸命頑張っていただいている多くの病院の病院長たちも、本当に自分たち医療現場を必死で支えている人間がどのように国によって思われているのかと、全体の士気にもかかわってくると私は思います。
 具体的な質問は、厚生労働省がおとりになった自治体アンケートを病院長たちは見せてほしいと言っておられますが、提示していないようですが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 このアンケートにつきましては、公表を前提としないので答えてくださいということでとっているアンケートだということなんですね。だから、これをストレートにはお伝えするのが、ちょっと前提からするとできないかと思いますけれども、委員がおっしゃっていることはよくわかりますので、なるべく、そこの病院で働いていらっしゃる方、病院長さんを初め、こうしたことを全体像でもお話をして、何らかの形でコミュニケーションをとらせていただくということは必要だと思います。

阿部委員 病院が立地しているところはどこかの自治体なんですね。その自治体がどう思っているかを、厚労省がおとりになったから伝えられないという今の御趣旨はわからぬではないですが、しかし、それではうまく地域の医療機能も保持していけないと私は思うんです。そういう意思疎通がないままに、ぽこっとのっけたような状態では、医療は提供できないと思うんですね。
 もう一点、大臣にお願いがあります。
 今の御答弁は何らかの形で努力するというふうに受けとめましたから。そもそも自治体のアンケートを内密でとらねばいけないようなことなのか、医療というのは公共性がありますから、自治体はこういうのをやってほしいと思っている、病院はこういうのをやりたいと思っている、でも、それを調整していかなければどうにもなりませんから。
 もう一つのお願いは、この川崎社会保険病院については、今もう既に、大臣からの譲渡、売るぞという告知が行った後、譲渡検討委員会というのが持たれておるやに聞いております。二月の二十五日からだと。しかし、この議事録も出ないし、一切公表されない。といたしますと、病院関係者は、全く自分たちのかかわりないところで自分たちが一生懸命やらねばいけないことが決められていってしまう。住民も、私が申しました譲渡検討委員会が非公開であれば、一体どんなことが検討されているのか。
 出せないことももちろんあるかもしれません。でも、今住民の間で一番懸念されているのは、例えば、この病院が本来の不動産評価額よりも低くたたき売られるのではないか、そういう情報も流布しておるわけであります、かんぽの宿がそうであったように。そういうことを思われたら厚生労働省としても不本意でしょうし、透明性を高めて、地域に開かれた情報発信をしながら、一つの地域の病院としての、運営主体はこれから決まるんでしょう、そうしたあり方を、大臣、もう一度、公開、透明性を考えていただけまいか。

小宮山国務大臣 それは、委員が御指摘のように、やはり透明性を確保するということは私は重要だと思っています。入札に関するものなのでなかなか公表は難しい、出たものに対しては病院に対してきちんと説明する、それは当たり前のことだと私は思いますので、もう少しそこのところを丁寧にやれないかということは、私の方からも検討するように言いたいと思います。

阿部委員 私がお願いしたいのは、そもそも、医療をやっている当事者に寝耳に水で、あんたのところを売るよというのだけは、簡単に言うとやめていただきたい。これが一番士気が、びくびくしながらやらなきゃいけなくなるからです。ぜひ大臣にはこの点を御理解いただきたい。
 きょうは、黄川田副大臣にも来ていただきましたので、次の質問の前に黄川田さんにお伺いをしたいと思いますが、実は、公立病院改革ガイドラインというのがございまして、これは、各公立病院が自分たちの経営を、改善の指標を立てながら、平成二十年から五年計画であったと思いますけれども、総務省が管轄して、御指示がございます。
 ところが、この間、副大臣もよく御承知のように、震災がございまして、特に被災地では、実際に、例えば公立志津川病院なんか全部流されてしまいましたし、あと、南三陸の本吉という病院ですね、これも国保の病院ですが、これも私も行きましたけれども、一階部分は全部もう水につかっているような状態。
 そこで、これまでの、二十年から二十五年までの計画を、経営改善のいろいろな指標を出しなさい、報告しなさいと言われても、みんな未達成、未達成、未達成になってしまうんですね。しばらく、この当面の間ですよ、この公立病院改革ガイドラインのこういう報告書の出し方を被災地にあっては見直して、凍結も含めて考えていただけまいか。
 私は、例えば本吉病院から出た報告書を見て涙が出ました。それは、なぜならば、自分たちの病院が改革がうまくいかなければ潰されるんじゃないかという、すごく恐怖感が背景に見えるような文面なんです。でも、あの震災のひどかったときも、本当に看護師さんたちも一生懸命やっておられました。医療は人がなすわざであり、そのことを本当に、冷たく評価しないで温かく見守って、そして、当初の指標が行かないのは当たり前ですから、今、違う見方をできまいか。
 総務省の黄川田副大臣にお伺いいたします。

黄川田副大臣 お答えいたします。
 阿部委員御指摘のとおり、全壊した公立病院をとっても、岩手では山田、大槌、陸前高田、それから宮城では志津川、石巻などあると思います。本吉も、全壊まではいかないかもしれませんが、大変な被害であります。
 そういう状況にありますので、今回の東日本大震災により大きく被災した病院にありましては、これまでの改革プランが妥当しなくなるのは当然でございます。場合によっては、病院の存廃も含め、病院事業のあり方等も問い直すことが必要になってくるかとも思っております。病院は今仮設で診療再開ということで、仮設ではなくて本格的な開設はというと、未定というところが多くあるわけであります。
 そこで、総務省といたしましても、こうした状況を的確に把握いたしまして、そしてガイドラインを画一的に当てはめるのではなく、その趣旨を生かしながら、被災地域における公立病院の今後あるべき姿を構築するに当たって、適切に助言していきたい、こう思っております。

阿部委員 お願いですが、このガイドラインに沿って報告書を出さねばならないと必死に思っている各病院に、今はその時期ではないよというメッセージを出してあげていただきたいんです。
 そうでなければ、読ませていただきますが、例えば本吉病院は全ての指標が未達成なんですね。当然ですよ、入院患者さんも来られませんしね、地域がないんですから。そして、いろいろ未達成だったという結果を真摯に受けとめ、現状の詳細把握と課題の解決方策を模索しながら、経営の健全化に努力してまいりますと。経営の健全化に努力してまいりますと書かねばならない、潰されちゃうかもしれないからと思うわけであります。
 今、黄川田副大臣は、その存続も含めてとおっしゃった。それは副大臣は善意の方向でおっしゃったんですけれども、現地にあっては、本当にどうなっていくんだろうという不安の中なんです。
 私は、ぜひ、今この報告書を出してどうこう評価する時期ではないというメッセージをしっかりと、本当にしっかりと伝えていただきたい。日本の医療を崩壊させないため、地域に医療基盤をきちんと存続させるためであります。お願い申し上げます。

黄川田副大臣 阿部委員お話しのとおりでございまして、被災してから二十三年度の決算等は九月に出てくると思います。それで、同列な公表はするべきではないと思っておりますし、地域医療がしっかりと確保されるような、そういう工夫をしてくださいという意味合いのもとに、しっかりと助言していきたいと思います。

阿部委員 ありがとうございます。
 終わります。


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