第180回国会 厚生労働委員会 第9号(平成24年4月13日(金曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

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〔前略〕

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日の早朝、北朝鮮によるミサイルの発射、直後に分解、落下したようでありますが、我が国政府においては、この情報収集が極めて不備であり、また対応の問題も、今回はこのような形であったとしても、今後も緊急対策、対応ということで、危機管理対応が問われるところと思います。
 危機管理ということを言えば、日ごろから危機に備える体制ということが一番大事だと思います。例えばミサイル発射も、起こり得ないことではなくてあり得ること、なくしていくべきですが。そして同様に、またそれが、日本の場合、たくさんの使用済み核燃料をためたプールを持っておりますので、こういうところへの核テロということも十分考えられます。
 私は、今回の三月十一日の震災におきまして、地震、津波プラス原発の事故でありましたが、厚生労働省の体制は、他の地震、津波等の災害については我が管轄と思っていらしても、この原子力事故災害についてはどうしても遠のけているところがあると思います。例えばきのうも、担当省庁を聞いたら、被曝医療は文科省だとか。
 でも、私は、日ごろからの備えがあらゆる危機に万全な対策をとると思いますので、あるところから危機になったからといって切り分けて被曝医療だと持っていく以前に、被曝せぬ方法あるいは十分避難できる方法、それは、日常の医療や介護や障害者や、そうした方々をきちんとインクルーシブ、包括してシステムが成り立っていることにあると思いますので、その観点からお伺いを申し上げます。
 政府にあっては、大飯原発再稼働にかなり前のめりになっておられるように思いますが、まず福島の第一原発事故の検証抜きにこのことをやれば、国民的な不信を買う大きな、政権にとっても最大のマイナスになると私は思っております。命の安心、安全を守れずして政治を語る資格はないということでもあります。
 冒頭の質問でありますが、小宮山大臣にもお手元に、見ていただきたいですが、きょうは資料として地図をお配りしてございます。これが何の地図かと申しますと、今回の福島の第一原発事故で二十キロ、三十キロ圏に円を描いてみた場合に、どのくらいの医療機関がそこにあるかということでございます。
 これは、民間事故調と申しまして、この事故の検証にかかわって民間の皆さんが自分たちで行った冊子がございまして、このような形のものですが、ここの中からとらせていただきました。よくよく見ていただきますとわかりますように、二十キロ圏内は言うに及ばず、東京電力の福島第一原発事故の直近のところに、例えば五キロとか十キロ以内のところに、双葉厚生病院や、あるいは県立大野病院や双葉病院などがございます。
 このおよそ十キロ圏内、八から十キロ圏内に、当時、病院並びに老健施設などで、少なく見積もっても五百人の、移動に何らかのサポートを要する方がおられましたが、実は、このうちから五十四人が亡くなっておられます。
 私は、今回の事故で死亡者がなかったやに言う方々の、その感性が信じられません。逃げられない、逃げおくれた、あるいは避難の途中で亡くなった方も多数おられるわけです。
 小宮山大臣に、この事案、この経験、どのように考えられるか、防ぎ得たとすればどうすればいいのか、今後はどんな教訓をお持ちであるのか、まず冒頭、お願いいたします。

小宮山国務大臣 まず、今の御質問につきまして直接のお答えとしては、災害発生後、混乱をしていたとはいえ、その二十キロ圏内にある病院などからの避難に際して十分な対応がなされなかったということがあると思いますので、そこはしっかりと、何が足りなくてこれからどうすればいいかということを検証しなければいけないと思っています。
 例えば、患者さんの搬送のときには医療関係者の付き添いが必要だということですとか、常備薬を持っていくとか、あるいは診療の記録などを、患者さんの病状ですとか使っている医薬品の情報を伝えるとか、こうしたことは被災当初に入っていただいたDMATの皆様などからもいろいろな御提言がありますので、今官邸の方でやっております防災対策の検討会議の中でもこうしたことは検討されています。
 おっしゃったように、確かに、原発の事故についても、健康については厚労省がしっかりと責任を持って当たるべきだと私も思っていますが、今まで事故はないということを前提に組まれた仕組みの中で、人も財源も、何も今、厚労省は持っていない。その中で、今度また御検討いただく規制庁がありますけれども、そこのところで厚労省としても協力できることは全て協力をしながら、一元的にやるという仕組みをいろいろ検討した結果、そういう形をとることにしましたので、以後には今後の教訓としたいと思っています。

阿部委員 大臣の御答弁は前向きであり、なおかつ、では何でそんな段階で大飯の原発を再稼働するんだろうかと。これは大臣の担当ではありません。しかし、大臣は、そこにいる患者さんや要介護の方たちの命の責任は持っておられるわけです。まだ政府の原子力災害対策本部でも、実は、なぜ五十四人も死んだのか、何の総括も出されておりません。私は、その段階でまた他の原発を動かし、事故はないこととした上で犠牲者を出すということは、政治としてやってはならないと思います。
 今、大臣は、例えば情報の共有のためのカルテのお話などをなさいましたが、そもそも今回の事案では、三月十一日に原子力発電所の事故が起きて、三月十二日の朝まで、例えば大熊町の住民が、あるいは双葉の住民が朝方の避難を始めるまで、病院には一切、何の情報も参りません。自治体からも来ません。県からも来ません。誰からも来ません。みんなが逃げているのを確認して、院長が慌てて町に行き、どうなっているんだ、うちには運んでもらわなきゃいけない患者さんがいる、バスを準備してくれと、そういう交渉から始まっているわけです。
 三月の十二日の朝の段階で、第一陣が出発したまでは現実に避難がまだできましたが、十二日に爆発して以降は、来てくれる自衛隊も警察署も、きょうは運べない、きょうは運べない、これで一日延ばしになりました。自衛隊機に、先ほど、ヘリに例えば医者の同乗はどうだと。これはとても重要です。できない場合でも、移動してもらわなければ助からないから。しかし、きょうはだめだと言われて、寝たきりでそこに置かれて、その一日がどんなに長かったか。
 そして、翌日には確かに自衛隊は運んでくださいました。そのとき、院長は、誰かに助けを求めてあっちこっち走り回って、警察に行く、自衛隊に行く、その奔走中で同乗できませんでした。結果、移送の途中で二十数人を含めて、避難所に行くまでです、避難所でも亡くなりました。
 私は、この事案はきちんと厚生労働省として検証していただきたい。原発災害じゃなくても、津波でも地震でも同じです。ただ、何か今回のことが原発震災だったから、このことを検証せずに、全ての厚生労働省の災害医療の見直しが着々と進行しています。しかし、それは意味がない。真実を見ていない。
 お伺いいたします。
 EMISという、広範囲に避難のための連携システムをつくるための情報システムがあります。これは医政局長に伺いますが、阪神・淡路の大震災の折に、このEMISとDMATは二つとも、我が国がこれから災害に対してやっていこう、取り組んでいこうとするものでありました。今回、果たしてEMISは機能しましたか。先ほど言うように、病院には被災の情報も来ません。事故情報も来ません。何にも来ません。大体、通信網も使えません。日本の各地にある災害拠点病院で、あるいは原発の近くの病院で、情報伝達システムはどうなっているのか。原発は特にもう一つのリスクをかけていますから、伺います。医政局長、どうでしょう。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の震災の際のEMISあるいはDMATでありますが、おっしゃるとおり、初動において情報の収集が手間取り、非常にその機能が十分発揮できなかったというのは御指摘のとおりであります。
 災害時において、医療体制でEMISに情報を集める、また保健所が現地の情報を収集する、そういうことを想定しておったわけでありますけれども、今回、三つの、震災、津波、原発ということで機能しなかった、今それで見直しを進めているところでございます。

阿部委員 何度も言いますが、見直しをしている間に、どうして稼働、次を考えますか。
 小宮山大臣、よく聞いてください。この二十キロ圏内には保健所などないのですね。各医療機関の情報を、今医政局長が言いましたが、保健所がサポートして集めるといったって、保健所はないんですよ。大飯はどうですか。ありますか。同じ轍を踏む、そうしたことがわかっていながら、今や事故はないことじゃないんです。あった場合も対応できるように備えないといけないということです。
 私は、大臣にぜひ知っていただきたい。保健所はどんどん減らされていっています。働く人も減らされていっています。その中で、では、各病院の、あるいは寝たきりの人の情報を集めて本当に機能できるのか。機能できなければ、幾ら紙で書いたって意味がないのです。
 私の時間が限られているので、これは大臣にしっかりとお伝えして、もう一つ、最後の質問に行きます。
 原子力保安院の関係でございますが、今回、例えば地域で防災計画をつくります。おおい町もそうでしょう。でも、原子力保安院は、おおい町がどんな防災計画をつくっているか、まず把握しておられませんよね。私がきのうお尋ねしたら、段ボール箱をひっくり返して捜すか、あるいは現地の県に上がっている情報を聞くかということで、そんな状態で、なぜ再稼働できるんでしょう。防災計画が福島でも機能しなかったということをなぜ踏まえないのか。
 この点について、保安院はなぜ、その地域の防災計画を把握していないのか、それでよしとしているのかについてお伺いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。
 まず、今回の市町村の地域防災計画の位置づけでございますけれども、原子力災害に関します地域防災計画は市町村がみずから処理すべきものとされたものでございますが、法律上、災害対策基本法におきましては、市町村の計画は都道府県に報告がされる仕組みにはなってございますけれども、国への報告義務は、義務づけられておりません。
 しかしながら、先生の御指摘のように、やはり市町村の計画をきちっと把握すべきというのは当然のことでございますので、各原子力発電所ごとにございます検査官事務所には防災専門官がおりますが、その防災専門官がそれぞれの各自治体の、市町村の地域防災計画を収集いたしまして、オフサイトセンターにおいて保管をしてその内容を見ているというところでございます。特に、年に一度、防災の訓練を実施してございますので、そういう防災訓練などを通じましてその防災計画の中身あるいは実効性などを確認しているというところでございます。

阿部委員  ○阿部委員 防災計画もありました。オフサイトセンターもあるはずでした。でも、全く機能していません。病院には情報も行きません。保健所が収集するといったって、保健所がありません。なぜこんな状態で、この国はまた愚かに再稼働するのか。
 小宮山大臣、少なくとも大臣の任務の中において、そうした地域の重症患者情報や、あるいはそれをどう集めて防災ということに組み入れていくのか。残念なことに原発災害は、先ほどの保安院のお答えですが、法令、国がそういう要請をしていないということで、自治体が勝手につくり、悪いけれども、後は野となれ山となれという状態で、これだけの死が起こりました。この死に学ばずして、亡くなっていった人に私は報いる手だてがないと思います。
 特に精神医療は、政権が交代されてから、精神病院でした、亡くなったのは、患者さんたちは。痴呆とか動けない、その方たちのことも含めて、疾病の中に、五疾病五事業となさるという計画と聞きます。そうであれば、大臣、本当に保健所が情報を集められるのか、機能するのか、この点について明確な方向性とそして政府内の検討をお願いしたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣  ○小宮山国務大臣 今回のことの教訓も踏まえまして、しっかりとそこを検証もした上で、やはり医療機関の情報の把握ですとか、それから搬送体制の確保、これは計画だけではなくて実地の訓練も含めて行っておかないといけないと思いますので、ここは関係省庁とも連携をとりまして、必要な取り組みをしていきたいというふうに思います。

阿部委員 犠牲を犠牲に終わらせることのない取り組みをお願いいたします。
 終わります。


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