予算委員会 第15号(平成23年2月23日(木曜日)) 抜粋

案件:

 公聴会開会承認要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ (衆議院のサイト)(お使いのブラウザー環境によっては、再生できない場合があります)


〔前略〕

中井委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
 昨日の社会保障と税の一体改革の審議に続いて、きょうは経済政策、特に円高、デフレ、あるいは第一次産業等がテーマですが、実はきのう扱われたテーマは、ほとんど消費税、消費税、消費税と言われて、国民にとっても暗くなっていくようなメッセージだったと思います。せめてきょうは、我が国にどんな可能性があって、本当は、誰もが望む経済の再生や活性化をどうやってこの国会がみんなで力を、知恵を合わせて論議しているのかということが有権者、国民の皆さんに伝わるような場であってほしいと思って質問をいたします。
 冒頭、総理、きょう朝日新聞に、御党の川内議員がいろいろ各省に資料請求されて、昨年の第一次、第二次の復興関係の予算の執行状況を聞かれておりました。
 簡単に言うと、一次、二次、六・七兆のうちの三・七兆が昨年末の段階で執行。そして、この予算委員会の審議でも出てまいりましたが、第三次補正までも合わせて、三次補正は昨年末ですから時間が短かったですけれども、それでもやはり五割くらいの執行。五割という数値が出るのは、横にいる安住さんの財務省関係の、これは貸し出しとかですから、ここは執行状況がよく出るんですけれども、その他の分野というのは、それを差し引けば、半分もいかないということでありますね。
 私は、総理に、このテレビを被災地の皆さんも見ておられると思うんですね。寒い、長い冬で、もうすぐ一年になろうとします。現在の復興の取り組み、いかに期待にかなっていないか、沿えていないか。いろいろな制約があると思います。でも、改めて、この一年近くを思って、総理のこの復興の予算の執行状況についてのお考えと被災地の皆さんへのメッセージを冒頭お願いしたいと思います。

中井委員長 御質問の中で恐縮ですが、先日の予算委員会の理事会で、一月三十一日現在の状況についてデータをお配りして、一月三十一日現在では七四%ぐらいだという報告を、一次、二次の補正では、受けている。このことを含んで、野田総理大臣。

野田内閣総理大臣 最新の数字については、今もう委員長から御紹介をいただきました。
 なお、その後の三次、四次と皆様の御協力をいただいて補正予算を成立させていただきましたけれども、残念ながら、執行が十分に進んでいないところもあります。それはいろいろな事情があります。自治体のマンパワーの問題とかを含めていろいろありますけれども、何よりも、中身については、それは各党にも御了解をいただいた大事な内容ばかりだと思います。
 きちっと早期に執行することが復興需要の顕在化につながると思いますので、そのことも含めて、しっかり執行できるように着実に進めていきたいというふうに思います。

阿部委員 確かに、おっしゃったように、一次、二次は一月三十一日現在で七割になった。私が申し上げたのは、三次までも含めて五十数%ということで、違いはないと思いますが、今総理の御答弁にあった、もし人的な、要するに、このことに対応するための人材の不足であれば、そのことも含めて、本当に早く復興復旧できるように対策するのが国なんだと思います。
 どういう問題があって遅くなるのか、これを分析するために、委員長、この復興問題で集中審議を要求し、これまでも各党から出ておりますので、理事会でよろしくお取り計らいを願いたいです。

中井委員長 理事会で協議いたします。

阿部委員 では、引き続いて、本来の質問に入らせていただきます。  総理は覚えておいでだと思いますが、昨年の暮れに、日本再生の基本戦略、総理の言葉ではフロンティア戦略と申しますけれども、これを決めておられます。私が今復興復旧のことをお伺いしたのは、このフロンティア戦略の一番冒頭に、新成長戦略の施策を先進的に被災地において実施することで、復興を日本再生の先駆例としていくと書いてございます。しかし、おくれて、先駆例と言えるんだろうかということで、私が冒頭、例を引きました。
 そして、内容的に先駆例と言えるかどうかということについて、せんだって私は総理と質疑をいたしました。
 日本は、輸出とそれからいろいろな海外投資ということで、結果的には、ここにございますような、経常収支はいまだ十兆円余りの黒字を維持はしておりますが、円高で輸出が少し落ち込んでいる。このときの論議で、きょうもございましたが、輸出を盛んにすればするほど働く者の賃金が上がってくるということと、そのときは雇用もふえるやにおっしゃいました。
 私は、この御答弁というのは、もう少し深く現状を把握していただきたいとお返しいたしましたが、実は、輸出関連企業で特に伸びが著しいのはいわゆる事業規模の大きい大企業で、そしていろいろな、労働生産性を高められる、一人一人の技術者をより向上させることができるところの正社員の皆さんの給与は上がっていても、雇用全体として見れば、大企業が非正規化を強め、世の中の格差が広がり、平均的な賃金が下がっていっているというのが我が国の現状なんだと思います。
 民主党政権が政権交代したとき、御一緒にしましたから、格差の是正や雇用の問題、本当に、ディーセント、尊厳のある働き方ということは共通認識でありました。
 もちろん、一人一人の労働の力を高める、付加価値を高めることは否定いたしません。でも、全体を分析するときには、果たして、働く者の置かれた状況が、本当にきちんと暮らしていけるのかということも含めての政策でなければ、先ほど来の輸出企業、これは可能性のあるものはやられたらいいです。賃金も、可能性のある人だけがどんどん上がっていくのではなくて、分厚い中間層が総理の眼目とされるところであると思います。
 このことについて、特にTPP問題も控えておりますから、もう少し詳しく分析されてはいかがでしょうか。輸出企業における給与が上がるというお話と、どういう人の給与が上がっているのか、格差はどうか、非正規はふえていないか、中小企業、零細はどうであるか。経済白書にはこのことが多少は書かれておりますが、それ以上の詳しい分析がないように思います。お手が挙がっていますので、どうぞ。

枝野国務大臣 御指摘の部分は、ある部分、しっかりと受けとめなければいけないと思っております。輸出といった場合も、我が国が高い技術力を持って、競争力を持って、オンリーワンあるいはナンバーワンの技術で世界と競争している部分と、それから他の、特に新興国と価格競争しなきゃならない部分と二種類あると思います。
 まさに、我が国のオンリーワンあるいはナンバーワンの技術を持って国際競争している部分については、そこで働いている人たちにも高い給料を払って成長していける。ただ、価格競争の側面に入っていけば、当然人件費の安い国と戦っていくことになりますので、むしろそういったところに我が国の雇用の質が引っ張られるということになります。
 したがって、まさにこれから輸出もしっかりと稼いでいかなきゃいけないわけでありますが、オンリーワンあるいはナンバーワンの高い付加価値を持った部分にできるだけ特化をしていく、そういったところにできるだけ資源を集中していくことによって高い労働の質とそして国際競争力を維持するという方向に向けて、国際競争という観点においてはシフトを徐々に進めている。
 ただ、一気にはこれはできませんので、新興国との価格競争の中で、厳しい雇用環境のところでいろいろな矛盾がまだまだ出てきていることは十分踏まえながら、しかし、そのシフトを急いでいきたいと思っています。

阿部委員 私は、緻密な分析が必要であると。それは、小泉政権下に輸出中心に、トリクルダウンというお話もありました。しかし、結果、格差が広がったということもあるわけです。私たちは今、そのいろいろな経験を踏まえてこれからの日本のモデルを出さなきゃいけないということなので、ぜひ今の枝野さんの詳しい分析、お待ちいたします。
 次に、この貿易収支の問題と、でも一方で、海外投資でお金がもうかっている、だけれども、もうかったお金が国内に十分投資されているだろうか、投資の場あるいは芽はどうだろうかということで、次のパネルをお願いいたします。
 私は、ここで緑の分権改革ということを取り上げたいと思います。
 総務大臣に伺いますが、この緑の分権改革という言葉は、私が調べた限り、二〇〇七年ごろ高知県で文章として出てまいりまして、地域にあるさまざまな可能性、実は高知は大変山間地でありますし、人口構成も高齢化が進んでおりますし、失業率も高いですし、最低賃金も低いですしというところですが、そこが自分たちの価値をもう一度地域で見出して再生していける芽はないかということで始められた。それは一つのモデルであったと思います。
 総務省が昨年から、ことしの予算にもありますが、この緑の分権改革という言葉を使って、地域におけるさまざまな財産、歴史も文化も自然も、自然エネルギー等々は大きな財産です、そういうものを、地域の価値を見出して発掘して、これを人材的にもサポートしていこうというモデル事業を開始されました。私は、これは非常にメッセージがあって、いいものだと思います。同じことを環境省も再生可能エネルギーという分野を中心にやっておられます。
 総務大臣、これをぜひ政府全体の中でもっと宣伝していただいて、国民にわかりやすく具体的に、こうやってもっとすばらしい日本で生きていこうよというメッセージを出していただきたいが、いかがでしょう。

川端国務大臣 緑の分権改革に関して非常に御理解と応援のお話をいただきまして、ありがとうございます。
 もう既に御案内のとおり、新成長戦略と、それから、先ほどもお触れいただきましたが、日本再生の基本戦略の中ではこれをしっかりと位置づけて、これこそ、地域の力を十分に発揮し特徴を生かしながら、まさに自立的な地方が頑張っていける大きな手法であるということで、総務省といたしましても、二十三年度の緑の分権改革調査事業ということでいろいろな応援もしながら、例えば被災地であります岩手県の釜石市、秋田県あるいは滋賀県等々で、非常に先進的に、お手本になるような事業もお手伝いをさせていただいております。
 そういう意味では、これからもあらゆる機会を通じて、正直申し上げてまだまだ緑の分権改革という言葉が今浸透していないので、しっかりとこれを、実証事例を示すことは非常にわかりやすいですから、そういうことを踏まえながら、応援すると同時に、啓蒙、宣伝もしてまいりたいというふうに思います。

阿部委員 ちょっと時間の関係で古川さんにお伺いできないかもしれませんが、総理にお伺いしたいです。
 総理は、一九七〇年代の終わりごろ、大分県に一村一品運動というのがあって、これが実はアジアのタイなどに行きましても、その村の特産品をどうやって付加価値をつけて売っていこうかという非常にいいモデルになっている現実を御存じだと思います。
 今、日本では、例えば若い人も、それからエネルギーもそうですが、全部福島のエネルギーを東京が使って、関東が使ってやってきた。全部吸い上げてきて、もう一度地方に人材も可能性も返していく時代になったんだと思います。それができないと日本の再生はない。
 一番目の雇用の問題、二番目の地方の問題、三番目のエネルギーの問題、この三つを兼ね合わせたのが、私は、取り組み方によっては緑の分権改革がモデルになると思います。環境省もモデル事業をやっている。でも、ぱらぱらで、要するに政治の意思が明確じゃないんです。
 総理みずからの口でこれの宣伝、これはお金を投資せよと言っているのではなくて、人材をどう育て、それをサポートし、金融が回る仕組みをつくるかということでありますから、御理解の上、政府の方針として宣伝にこれ努めていただきたいが、いかがでしょう。

野田内閣総理大臣 地域経済が活性化をし、そしてそれぞれのいわゆる文化が興隆をしていくという意味においては、今委員御指摘の緑の分権改革であるとか、あるいは今回、総合特区制度等々を導入してまいりました。地域のチャレンジが生かされて、そこから百花繚乱の文化、産業が興るような方向性を私も推進をしていきたいというふうに考えております。

阿部委員 もう一つ、エネルギー問題で、これも総理にぜひ御理解いただきたいですが、我が国は、原子力発電所の事故の後、やはりエネルギー不足、電力不足という問題の影におびえております。ここには、二十年間のドイツと我が国のエネルギーとGDP等々の比較がございます、ついでに言えば温暖化対策で二酸化炭素削減の。
 我が国の失われた二十年に比して、ドイツではこの二十年間、いわゆるエネルギー消費は下げながら、二酸化炭素も下げながら、成長を達成したというモデルであります。もちろん、地理的要件、EUの中にあることなどいろいろ違いますが、私は、今政治の中で大胆に提案していただきたいのは、エネルギーのどのような、さっき言った分権モデルもあります、原発に頼らないモデルもあります、こうしたものも大きな日本の経済の可能性だし、実は、世界規模で見れば、再生可能エネルギーは二十兆円の投資の、そこにある分野であります。政府を挙げてこの取り組みをお願いしたいが、いかがでしょう。

古川国務大臣 これは、阿部議員も一緒に与党として成長戦略を議論したときに、二つの大きな柱、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、これを通じて新しい政治を実現していこう、まさにグリーンイノベーションというのは、当時は原発事故がない状況でありましたけれども、世界の中で最もエネルギー効率が高くて環境にも優しい、そういう社会をつくって、それを世界のモデルとして発信していこうとしていました。
 それが今回、原発事故も起きたわけでございます。そういう中でございますので、今委員御指摘があったように、再生可能エネルギーの導入促進やまた省エネルギーの促進、こうしたことは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。そうしたものを促進して市場を拡大するため、これはもう政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。
 ちなみに、エネルギー・環境会議で昨年十二月に取りまとめました基本方針におきましては、創エネ、エネルギーをつくる、また蓄エネ、エネルギーを蓄える、そしてまた省エネ、これを軸にして、需要家や地域が主体的にエネルギー選択に参加できる新たなエネルギーシステムを築くことを基本として、エネルギー・環境戦略を策定することといたしております。
 新成長戦略、また日本再生のための基本戦略でも述べておりますけれども、グリーンイノベーション、特に再生可能エネルギー、省エネ、蓄エネ、こうしたところをフルスロットルでとにかく促進をしていく、その思いは委員と同じでございますので、ぜひ一緒になってその促進に向けてやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 やらなければならない法整備も多々あります。一つは、再生可能エネルギー法が成立しましたのでこれは前向きですが、地球温暖化対策の基本法や、あるいは環境税の問題や、あるいは固定価格買い取りや、具体的に政策を本当に遂行していくエンジンになるのが国家戦略室ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、福島県の米と魚の問題、魚は福島だけではございませんで、これについてお伺いをしたいと思います。
 私は、ずっとこの予算委員会でも福島の米の問題を取り上げてきました。なぜなら、米は私どもの大事な主食であり、宝であります。それがセシウムに汚染されて、農家の皆さんも極めて厳しい状況に置かれておる。
 この間いろいろな動きがありましたが、最初は五百ベクレル・パー・キログラム以上の米を買い取る、次は百ベクレル・パー・キログラム以上を買い取る、そうやっていて、今度は、その汚染が出た自治体、例えば二本松市の米は全部買い取る。実は、これは政府が買い取るんじゃなくて団体をつくって買い取るんですが、ここまではやられるんですね、今までは個別の五百とか百のを買い取るということでしたが、自治体ごと丸々その地域の米を買い取るというのが一つと、さて来年はどうするか。
 来年の作付について、実は、科学的にも検証されていないし、データ集積もないし、合理的な基準もないんだと思います。初めての出来事です。チェルノブイリでは、地面が、土壌が違います。我が国の肥沃な土をどうやって維持しながらこの未曽有の災害に備えるのか、農水省の知恵が問われると私は思いますが、前段、後段、二つあわせて大臣にお願いします。

鹿野国務大臣 五百以上のところはいわゆる隔離、そして百を超したところについては生産者の人たちのところのお米を隔離する、こういうことでございます。ただ、地域につきましては、いろいろな考え方が農家の方々にもあるものですから、これは県と今話し合いを進めているというふうなことでございます。
 それから、当然、作付の問題になるわけでありますけれども、いろいろと具体的に実証試験等々もやってまいりました。そういう中で、何とか作付に向けて、できるだけ農家の方々にも意欲を持って取り組んでもらうようなということで、具体的な形の実証試験を通して、そして、これからさらに作付に向けて具体的な方策が講じられるように、今取り組みをさせていただいております。
 そういう意味では、非常に重要な問題であるというふうな視点で県とも連携をさせていただいているということを申させていただきたいと思います。

阿部委員 汚染の出た農家だけでは、その地域全体、私は市町村名を挙げましたが、二本松市という市のお米ももう売れなくなっているんですね。ここを、ぜひ大臣、よく御理解いただいて、もう一歩検討していただきたい。
 そして、最後の図ですが、これは日本の輸出の落ち込み、特に、農産物、水産物の落ち込みの中で、魚、水産物の落ち込みが著しいと思います。額は、見ていただければ、大体全部の輸出の半分が水産物で千五百億くらい。まだ年度いっぱいではありませんが、それが千三百億くらいに落ち込んできております。
 これは、日本がやはり海洋汚染の問題で諸外国から極めて厳しい目を向けられておる。これを対策するには、きちんと測定して、大丈夫だということをメッセージしないといけないと私は思いますが、いかがでしょう。

鹿野国務大臣 まさしく阿部先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう意味で、具体的には、特に農林水産物の輸出減につきましては、香港、中国というところが非常に数字の上でも落ち込んでおるということでございまして、そういう中で、具体的に私どもも、各省の関係者の方々と連携をとってやってまいりましたが、まさしく今日の状況はそこに出ておるような状況でございます。
 そういう中で、大事なことは、先生がお触れになりましたとおりに、いわゆる検査の体制を強化して、できるだけその情報を正確に提供していく、こういうことによって信頼を回復するというふうなことが最も重要なことではないかと思っておるところでございます。

阿部委員 食料は国民の命に直結しております。よろしくお願い申し上げます。  終わらせていただきます。


第180回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る