予算委員会 第2号(平成23年1月31日(火曜日)) 抜粋

案件:

理事の補欠選任

 予算の実施状況に関する件(外交(TPPを含む))

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〔前略〕

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 野田総理にお伺いいたします。
 今、赤嶺議員の御質疑の件ですが、事の重大性に鑑みて、即刻お出しいただきたいが、いかがでしょうか。こんなことはあってはならない。特に、公務員に対して職権を利用して行うことなどあり得てならないです。
 総理としての危機感を伺います。今の御答弁では確認ということですが、即刻やっていただきたいが、いかがでしょう。

中井委員長 阿部さんに申し上げますが、委員長として、理事会で、あしたの朝、資料を全部取り寄せて調査する、こういうことを申し上げました。あなたも私も資料を見ておりません。そういうことを前提に御質疑ください。

阿部委員 はい、もちろんそうであります。しかし、こういうことが行われること自身、もう本当に政治の信頼の根幹ですから、中井委員長がおっしゃったように、では、明日、きちんとした形でやっていただきたい。危機感はしっかりと総理にも持っていただきたいと思います。
 私は、本来予定されましたTPPについてきょうはお伺いをいたしますが、この間、きょうの質疑の中でも一貫してそうでありましたが、総理は、確かに遠くを見てということはおっしゃいますが、足元の実際の民の暮らし、庶民の暮らし、私たちの暮らしへの目配りもなければ、思いの、心のひだに届くところもないと思います。
 TPPについては、菅総理の時代に持ち出され、しかし、その後、東日本の大震災がございました。総理はどのようにお受けとめでいらっしゃるか。私は、東日本の大震災というのは、人の暮らしが当たり前にあしたも続くこと、命がそこにあること、豊かな自然が、特に東北地方は私どもの、日本の食料庫でありました。そうしたところがかくも無残な姿になり、今もって、一年近くたとうとする今日も、復興どころか復旧も遅い中であります。
 私たちは、このことを通じて、改めて時代の価値というものを考えねばならないと思います。特に、例えば食料自給、食べ物の問題、あるいは日々の暮らしの原点である働くということ、私はきょうその問題から総理にお尋ねしたいと思いますが、一枚目の資料、総理もお目通しいただけますか。
 冒頭、民主党の議員は、これからTPPによって輸出や投資が伸びるから、これがパラダイスであるかに言われました。しかし、もっと綿密に足元を見てみれば、これは、輸出が一九九七年代に比べて約一・八倍数値の上では伸びても、所得は下がる一方であるということを簡単にグラフ化したものであります。下がり続ける所得、そしてデフレ、雇用の不安などを抱えております。
 総理は、まず、このTPP問題でもそうです、輸出や海外投資がふえることが第一なのですか。もちろん、それは否定しません。しかし、このような状態を放置したままそういう道を歩めば、我が国の民、国民は疲弊いたします。一点目の質問をお願いいたします。総理にお伺いをいたしております。総理の御答弁を、きのうも投げてございますから、お願いいたします。

古川国務大臣 阿部議員がおっしゃいますように、私どもは、やはり足元のことを、特に被災地の復旧復興、これを第一にやっていかなきゃいけないと思っています。
 新成長戦略で、もちろん輸出や海外への投資、それの促進も大事なんですけれども、まずやはりうたっているのは内需の拡大、内需創出なんですね。ですから、グリーンイノベーションやライフイノベーションを通じて内需を拡大していく。そのラインにのっとって年末にまとめた日本再生の基本戦略では、被災地の復興の過程を通じて、こうした新成長戦略で実現をしようとしていることを前倒しし、そして重点的にやっていこうと思っていますから、決して輸出や海外投資だけで成長しようと考えているわけではないということは御理解いただきたいと思います。

阿部委員 ぜひ総理にお伺いしたかったのですが、次は総理にお願いいたします。
 では、次のパネルでありますが、ふえない勤労者の所得の一方、一体何がふえているかであります。
 企業は、企業活動を行い、その利潤を株主配当やあるいは内部留保などに回しておられますが、ここにお示ししたグラフは、一九九二年ごろからですが、一貫して、後段、二〇〇〇年に入ってから株主配当はふえる一途ですが、勤労者の所得はふえておらないということであります。根雪のようにと言うと変ですが、こういう構造がずっと一貫して続いております。被災地ももちろん含めてであります。
 今度は総理にお願いいたします。こういう実態、一体何が問題でありましょうか。総理にお願いいたします。

野田内閣総理大臣 今の御提示の表とその前の表と、ストレートに物を言えるというのはちょっと難しいと思っていますのは、その御指摘は、例えば一枚目の表だと、輸出が伸びても人件費は上がらないという御指摘なんですよね。そこについて言うと、同じ期間について業種別に賃金の推移を見ると、輸出関連の製造業では好調な業績を反映して賃金は上昇しています。輸出の伸びは給与に対して基本的にプラスに働くということが言えると思います。
 それからもう一つ、今の二枚目の資料で、株主配当はふえても人件費はふえないという御指摘でございますけれども、輸出比率が高い企業は配当増加率が高くなります。そうした企業は同時に人件費も増加をしています。
 という解釈もありますので、ちょっと一概にこの表題にあるような断定はできないのではないかと思います。

阿部委員 今の総理の御指摘は、業種別によく見よと。
 輸出企業と、そして国内のもしかして中小というものもございます。一枚目の図、もう戻しませんが、見ていただくと、実は大企業ほど労働分配率も低くなっておりますので、きょう私の時間は十五分ですからやりませんけれども、今後、今の総理の問題意識を共有した上で、本当に綿密な分析が必要なんだということを私は申し上げたいんです。
 もう何か言葉だけで、輸出が伸びてよいとか投資が伸びてよいとかではないのです。国内の足元を見て、何がどのように、産業がどう変わっていくか、生活がどう変わっていくかを国民に伝えていないから論議が上滑っているのだと思います。
 三枚目のパネルをお願いいたします。
 これは、一九八〇年代から、いわゆる株主の中で外国人投資家の占める比率をとってございます。これは法人企業統計、財務省がやっておりますものから引きましたから、二五%ほどになっておりますが、いずれにしろ、株主の中に外国人投資家が占める比率が大変ふえております。
 これは、例えば五つの証券取引所などで見ますと、もう三割近く株主比率は外国人になっております。もっと言えば、例えば中外製薬という医薬品の会社などは七五%が外国人の株主、もちろん、カルロス・ゴーンさんの日産も六五%。すなわち、日本の国富、富はどこに行っているかであります。
 もちろん、外国の方が株主になって悪いということを言っているのではありません。しかし、この張りついたような賃金の低さと、そしてその一方で、海外展開、グローバル化する企業のあるのが実は今日の日本であり、世界であります。
 TPPで考えねばいけないことは、日本の国内の構造もしかりですけれども、例えばアジアの国々の人たちが本当に国内で生きていける基盤はどうであるのか、そのこともあわせて、日本国内もあわせて考えねばならないと思います。
 しかるに、政府から与えられている情報は一切そうはなっておりません。実は、この間、アメリカにもいろいろな情報収集をなさっていると思いますが、アメリカの国内ですら、自動車産業界も含めて、雇用がどうなるのか、このことは、今、これまで政府が宣伝してきたような実態ではございません。各国、グローバル化した経済の中で、雇用や賃金、この問題が一番深刻であります。
 さて総理、私は前回、総理に、各町村会の皆さんがたびたび上げておられる反対決議に触れました。総理はそれを一顧だにすることなくAPECに向かわれました。最後まで、この場でも、どうされるか御発言もなかったと思います。
 御帰国されて、この町村会、町村会というのは一番小さな自治単位であります。民主党の皆さんも大事にしたいと思っておられると思いますからあえて伺いますが、町村会の皆さんは、十一月三十日、集会を持たれて、繰り返しTPPには加入していただきたくないと決議をしておられます。
 聞く耳を持たぬのか。どのように各地の産業別の実態に即した影響などを情報として伝えていかれるのか、その方策を伺います。

野田内閣総理大臣 ちょっと日付は忘れましたけれども、昨年の全国町村長大会では私は御挨拶をさせていただきまして、それはAPECの後だったというふうに思いますけれども、その席で、APECでTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨の表明をし、その意義についてその総会でお話をさせていただきました。
 そのことも含めてでありますけれども、それぞれの地域であるとか業界であるとか、できるだけきめ細やかに、関係国との協議の中で入ってくる情報についてはきちっと提供をし、御説明をしていきたいというふうに思います。

阿部委員 総理に欠けているのは対話なんですね。言い放つだけでは相手の不安も解くことができません。
 また、きちんとした実態の調査なんですね。もちろん、アメリカの言い分、あるいはブルネイ、ベトナム、相手国のいろいろな要求もございますでしょう。でも、そのことが日本に、農業のみではありません。製造業も含めて、あるいは、企業の輸出中心のものか国内のものか、連携もありましょう。それらを含めてどのような影響があるのかをきちんと伝えないから、実は、不安が不安として残ったまま、国民の大半がTPPとは何であろうかと、わからないし、知らないし、伝えられていません。
 先ほど、赤松委員の武器輸出三原則について、政府内で論議を詰めたからよかろうとおっしゃいましたが、この国の主権者は国民であります。その国民にきちんと伝わっていないという現状を、総理は総理であればこそ自覚されて、日本もアジアも世界も、これは大変大きな岐路であります。丁寧に分析し伝える努力が必要と思われますし、それ抜きに安易に交渉参加などを言っていただきたくないと思いますが、いかがでしょう。

野田内閣総理大臣 御指摘をしっかり踏まえまして、入ってくる情報、関係国との協議は始まりつつあります。そこでそれぞれの国が何を我々に求めるか等々を含めて、それが業界や地域にどんな影響が出るかを含めて、丁寧な御説明をこれからやっていきたいと思いますし、そのための、これは古川大臣を中心に地方の行脚も進めていきたいというふうに思います。
 また、当然のことながら、当たり前のことかもしれませんけれども、ホームページ等によっての公表等を含めて、しっかり情報提供に努めていきたいと思います。

阿部委員 TPPの問題は、この間アメリカが金融緩和などもいたしておりますし、むしろ、ドル安・円高、デフレの中で突入することが正しいかどうかという大局判断と、そして実際の雇用やいろいろな農業に与える影響などの綿密な分析、大局を見る目と現実の細やかな対応が必要であります。その双方が欠けていると思いますので、今の政府にあって、もっと開かれた論議と情報伝達を心がけていただきたいと思います。  私の質問を終わります。


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