予算委員会 第21号(平成23年3月7日(水曜日)) 抜粋

案件:

 公聴会開会承認要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 私は、本日二十分お時間を頂戴いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
 三月十一日の震災、津波並びに東京電力福島第一原発事故から、やがて一年がたとうとしておりますが、とりわけ被災地の復旧復興は、きょうも皆さんがお取り上げでありますが、なかなか進んでおらない状況があると思います。
 わけても、福島県においては、やはり原発事故による被害というものが加わっておりまして、ある予測によれば、人口が近年のうちに半減をしてしまうのではないかというようにも言われております。若いお子さん連れのお母さんたちが帰らない、帰りたくても帰れないという状況があるという中で、また、国民の多くが、我が国における原子力の安全行政ということに疑念を抱き、また、これから先どうなっていくのかという方向性をきちんとしてほしいと願っていると思います。
 そんな中で、この原発事故については、政府にあっても、畑村委員会が事故調査委員会を立ち上げておりますし、また国会においては、自民党の塩崎議員の多大なる御尽力で国会に調査委員会ができ、相進んでおるところでありますが、同様に民間においても、民間事故調査委員会というものが発足して、二月二十八日に調査報告書を出しておられます。きょう御答弁いただく細野現環境大臣、あるいは枝野前官房長官、現在は経済産業大臣も、その中でインタビューに応じておられるものでございます。
 こういう大部な調査委員会の検証報告となっておりまして、私も少しずつ読み進めさせていただいておりますが、その中で気がつく幾つかのことがございますので、国民の安心を求めるという観点から、きょうは質問をしたいと思います。
 まず一点目は、この本でも取り上げておりますし、また委員会でもたくさんの方が取り上げられましたSPEEDI、いわゆる事故が起きたときに風向きなどを予測して放射性物質の飛散する方向を住民などの避難に役立てるための方策でございますが、このことについてお伺いを申し上げます。
 事故発災当時は、SPEEDIの管轄は文部科学省になっておりました。文部科学省が外部に委託してこのSPEEDIというものを開発もし、運用もしてまいったわけですが、ちょうど事故の最も佳境にあります三月十五日、北西部方向に放射性物質が飛散したということが言われておりまして、また、そちら側に住民が避難されていたという不幸な重なり合いの中で、文部科学省は、今の平野大臣ではございませんが、当時の担当の御判断で、三月十六日から、このSPEEDIのいろいろな操作というか作業管理責任を原子力安全委員会の方に委ねるという判断をなさった、これは随所で公表されておりますが、この理由について、まず平野大臣にお願いいたします。

平野(博)国務大臣 SPEEDIの運用に関する御質問でございますが、私の今の現立場で承知していることを答弁させてもらいます。
 平成二十三年三月十六日の午前の、当時の官房長官、枝野さんのもとで、モニタリングデータの取りまとめ及び公表は文部科学省、これらのモニタリングデータの評価は原子力安全委員会、同委員会が行った評価に基づく対応は原子力災害対策本部が行う、こういう役割分担を整理されたと私は承知をいたしております。
 当時、なぜこういうことになったかといいますと、現地対策本部、本来、現地でモニタリングということをすべきという仕組みになっておったわけだと思いますが、現地ではモニタリング活動が十分行われる環境にない、こういうことで、国が主体となって、より積極的にモニタリングを実施するということがその当時の喫緊の課題となった、こういうことでございます。このような状況のもとで、官房長官から示された役割分担をベースに、文部科学省はモニタリングに全力を尽くす、SPEEDIの運用はモニタリングデータの評価を行うこととなった原子力安全委員会が担当することになったものでございます。
 具体的には、文部科学省に駐在しておりましたSPEEDIのオペレーター二名が三月十六日から原子力安全委員会に移動し、原子力安全委員会がSPEEDIの計算指示を直接行うことになった、こういうふうに私は認識をいたしております。

阿部委員 御説明はそのようなのだと思いますが、長く文部科学省がやってこられて、実際の、手なれているというか、そういうものでもあったわけです。
 やはり、事故が起きますと、実は三つの要件が必要になると思います。一つはモニタリング、そしてもう一つは原子炉から放出される放射性物質の放出のもとの量、そして三つ目はこれをいろいろ評価しまして避難に結びつけるということでありますが、このとき、にわかに安全委員会に手渡されたSPEEDIの管理運営情報は、その後も実は一貫して、三月の下旬に至るまで、ある意味で有効に活用されなかったわけであります。手渡したとして、その後が有効に活用されておれば、実は、今、国民の中に多々あるような不信や不安というものも少ないことであったろうと思いますが、そうではなかったという現実があるわけです。
 ここから、これから環境省の中に置かれる原子力規制庁を担当される細野担当大臣に伺いますが、この規制庁のあり方は別途また、委員会を環境省の外局に置くかどうかの問題は別にして、今のところ、とりあえず、管理運営上、今事故が起きてもそうですが、原子力安全委員会が取り扱うことになっております。私がこの間、いろいろなヒアリング等々の情報を集めて、班目原子力安全委員長のお話などをお読みいたしますと、なかなか、ここで本当に安全委員会がそうしたものを担当していくというところの位置づけがまだきちんとされていないのではないかとあえて言わせていただきたいと思います。そして、今度の組織の中で、実はモニタリング体制は文部科学省、そしてSPEEDIの部分だけ安全委員会、ここは規制庁に置かれるわけです。こういうふうにまた分離された形が続くわけです。
 私は、新しく発足する規制庁は、いずれの形態をとるにしろ、モニタリングから、あるいは原子炉の情報から、そして風向きを予測するSPEEDIまで一括管理、きちんとそこができないとまた同じ轍を踏むように思いますが、この点について細野大臣の御見識を伺います。

細野国務大臣 阿部委員の御指摘は、基本的にごもっともだというふうに思っております。
 今回の事故発災直後、実は一番問題になりましたのは、モニタリングというのは、災害が発生をしたときは自治体がやることになっていて、国が直接やれる体制になっていなかったわけです。そこで、当時、私も官邸におりましたので、そのときに、やはりモニタリングは国がしっかりやらなければならないのではないかということで、随分、文部科学省の皆さんとやりとりをしたという記憶がございます。
 ですので、国がまずしっかりやれる体制をもう一度つくるというのが大原則になるわけです。今は、文部科学省はその体制をつくっていて、ほかにも、例えば食品であれば厚生労働省であるとか農林水産省もさまざまなモニタリングをする、そういう体制になっております。
 もう一つ大事なことは、そうしたモニタリングを、文部科学省だけではなくて、実は環境省も一部やっておるんですけれども、いろいろな部署でやっている。それを、どこをそのときにはからなければならないかというコントロールタワーが不在だったわけです。ですから、当時の官邸の中で、では、どこをはかるかということも含めて、なかなか判断をする権限がどこにあるのかということも含めて混乱をした、そういう経験がございます。
 したがいまして、モニタリングをやる部署自体は、文部科学省や厚労省、農水省を含めて、今も複数存在をしておりますし、新しい規制庁が誕生した後も全部を集約するということはいたしません。ただ、どこをはかるべきかというコントロール機能は、平時も含めて原子力規制庁が持つ。そして、いざ原子力災害が発生をすると、これはもう絶対に起こしてはなりませんが、これにやはり備えなければなりませんので、そのときは、原子力規制庁そのものがしっかりとモニタリングをできるような体制をとっておくということが重要であると思っております。
 具体的には、福島に関する、この事故に関するモニタリングの予算というのは規制庁が全て持つという形になっておりますので、有事については直接規制庁自身がはかれるという体制も含めて、今回の事故で経験をした当面の問題は、私は新しい組織のもとで解決ができるのではないかというふうに考えているところでございます。

阿部委員 今、有事のコントロールタワーを新しい規制庁が持ち……(細野国務大臣「違います、平時もそうです」と呼ぶ)平時も。では、両方持つということでありますが、当然なことですね。有事は突然やってくるわけで、平時からやっていないと。
 それにしては、正直言って、きのうもずっと省庁とやりとりをいたしたんですが、全体のモニタリング体制にどのくらいお金がかかっているかとか、本当に体系立っているかということが、残念ながら私は、まだ新しい庁はできていないからというお言葉があるやもしれませんが、できていないように思います。予算づけ一つ、では、全体でどのくらいになっていますかということもなかなかばらばらで、出てまいりませんでした。
 今、細野大臣が平時も有事も大切なのだとおっしゃるモニタリングのコントロール体制、実はこれは今までは文科省がやっておられたわけです。でも、ここが本当に上手に移行しないと、ばらばらばらばらの中で、では、あそこの実測データを持ってこい、SPEEDIに入れようと、また泥縄式になっていくわけです。
 ここは強く、モニタリングの平時常時、その上にコントロールという体制をしいていただきますようお願いを申し上げます。
 次の質問に移らせていただきます。
 この間、何回か取り上げさせていただきました原子力規制の問題については、やはりどなたもおっしゃいますが、実際に規制をしていく人の人材の質、能力である、突き詰めればそうであろうと思います。そして、政治家には政治家の能力、官僚には官僚の能力があって、これがうまく協力し合って国民を守っていけるものと思いますが、枝野経済産業担当大臣にお伺いをいたします。
 国会の事故調などの報告の中で、寺坂前保安院長もおっしゃっていますが、五階に菅総理たちの対策本部があり、地下にも経産省を中心とする省庁が集まった体制があり、自分は五階にもおらず、そして、御自身の原子力保安院の方での業務もこれあり、責任もこれあり、実はこの間、上と下とは申しませんが、政治家たちのおるところとお役所との間の上手な情報伝達、すなわち、省庁の皆さんにはぜひ、ロジスティック、大事な情報を政治家に伝える、そういう意味のロジをやっていただきたかったが、ここがうまく機能しておらなかった。結果として、政治家が独走する部分もあったやもしれません。
 では、その体制は今見直されただろうか。その端的なあらわれとして私は議事録問題を取り上げさせていただいて、そして、現場の担当者、その当時、原子力災害対策本部の総括班が議事録をつくるということであったから、その担当者にも聞いていただきたい。私は、本当は寺坂前院長にも、実は、官邸と地下の媒介をしていただいて情報を上げる、そういうことが一番重要だったと思うんですが、この点について見直しはどこまで進んだか、枝野大臣に伺います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、三月十一日の直後、違う立場から見ておりましたが、保安院が保安院として集めた、得た情報を、例えば官邸の幹部等に十分に伝達をする役割、機能が果たせていなかったというのは、真摯に受けとめて反省しなければいけないというふうに思っております。
 その事態を踏まえて、万が一にもまた大きな原子力災害があった場合、例えば今度の院長も技術屋さんではいらっしゃいませんが、しっかりと原子力についての基本的な認識あるいは原子力発電所についての基本的な認識をお持ちで、私のところにも日常的な報告についてもきちっとしていただいておりますし、また万が一の場合の経産省内そして官邸に対する情報伝達については、その教訓を踏まえた体制を整備しているところでございますので、少なくとも三・一一の直後のような事態にはならない、これは自信を持って申し上げたいと思っております。

細野国務大臣 簡潔に御答弁を申し上げます。
 新しい規制庁のもとで、そこは相当しっかりと整備をしていかなければならないというふうに思っております。
 大きな事故が発生をした直後は、やはり官邸に機能をしっかりと集中する必要があります。ただ、そこが保安院と連携をする、そういう情報共有ができておりませんでしたので、その情報機能を強化します。そして、原子力規制庁の中でしかるべきポジションの人間が、事故を起こした電力会社の本店に行って、そこで情報管理をする、もう一人の責任者が今度はオフサイトセンターに行くという、当初は官邸と電力会社の本店とそしてオフサイトセンターの体制、そして、落ちついてきたら官邸から保安院に戻って、保安院でしっかりとやる、そういう体制を組むべく今準備をしているところでございます。

阿部委員 では、最後に、原発の再稼働のことについて伺います。
 民間の検証委員会の中で、私にとって大変に有意義であった点は、福島の第一原発事故は、実は六基ございまして、四基、あと、事故には今直接関係しておりません五号機、六号機、問題がなかったわけではありませんが、これらが狭いところに、一カ所に集中してあったこと、ここでは並行連鎖原災と言っておりますが、複数の炉が密集して並ぶことによって連鎖事故を起こした。一号機の水素爆発が三号機の作業、中でも冷却作業を妨げ、三号機の水素爆発が二号機のベント作業と海水注入を難しくする、すなわち、つながっているために一つの炉の事故に抑え込むことができないような状況をいいます。
 今度、再稼働を予定されているやに聞きます大飯原発でも、お手元に資料がございますが、四つの原子炉が三百メートルの中に非常に近接してございます。お互いの炉の関係は五十メートルか六十メートルしかありません。おまけに、福島でも問題になった使用済み燃料プール、ここも大変な本数が現在眠っております。
 再稼働に当たっては、これらについての対策をどう考えられるのか。三号炉には千四百三十四本、四号炉には千三百七十一本の燃料棒であります。隣接しているということはこれは変えようもありませんが、一体どのようにお考え、この指摘を受けとめるか、枝野大臣にお願いします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、今回の事故では、各炉が隣接をしていたため、例えば、ある炉の水素爆発の瓦れきが、高い放射線量で他の作業に対してマイナスの影響を与えた等ということがございました。いろいろなところから指摘を受けているところでございますので、今、ストレステストを踏まえた専門家による検証、安全委員会における検証のプロセスでありますが、ストレステスト等においては、そのことも踏まえた中で、きちっと万が一の場合でも抑え込みができるのかということの作業を進めていただいております。
 また、燃料プールについても、特に今具体的な作業が進んでいる大飯などについては、高いところにたくさんの燃料があるんですが、福島とは形状が違っていて、地表面のところと同じぐらいの高さということですので、これについても、今回の福島の事故で対応に困難を来したというその原因については、そういったことまで含めて検証作業を進めていただいているところでございます。

阿部委員 済みません、一言だけ。
 今、枝野さんのおっしゃったことでちょっと違うのは、ストレステスト以上の、シビアアクシデント以上の問題が隣接問題であります。重ねて御検討をよろしくお願い申し上げます。
 終わります。


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