予算委員会第四文科会 第1号(平成24年3月5日(月曜日)) 抜粋

案件:

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

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〔前略〕

若井主査 これにて山内康一君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子君。

阿部分科員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 平野大臣には、長時間多様なテーマでお疲れさまですが、よろしくお願い申し上げます。  私は、文部科学省並びにその担当大臣というのは、最も大事な、日本における未来の人材をお育てになるという分野でのお仕事でございますので、多くの期待が寄せられていると思います。ぜひ頑張ってお取り組みもいただきたいのですが、まず、大臣のお手元に示させていただいた、きょう私が冒頭取り上げますのは、小学生や中学生並びに高校生等、最も未来を期待される子供たちの自殺の多さでございます。
 上の段に、警察庁が集計しております自殺の数でございますが、高校生までを入れますと、平成二十二年で二百八十七人となっております。下は、ちなみに、文部科学省が学校から報告を受けた自殺者数となりますと百五十六人。これはちょっとギャップがございますけれども、厚生労働省の人口統計上とっております数値もこの上の警察庁の数値とほぼ近いものでございますので、実態としては三百人前後の子供たちがみずから死を選んでいるということがございます。
 開いて二ページ目をごらんいただきたいと思いますが、年齢別で見てみますと、一番上、十から十四歳というところでの死因を並べてみますと、一番目は悪性新生物、がんなどであります。それから二番目が不慮の事故、そして第三番目には自殺が出てくるということで、ここでもまた、十から十四というと、ちょうど小学校の高学年から中学生でも自殺というのが第三位。
 がんなどはやむを得ないとして、不慮の事故も、減らせる限り減らす。でも、みずから死を選んでいく子供たちの多さというのは、これはちょっと、日本の未来が閉ざされているというふうに、私は小児科医でもありますので、大変せつなく見ております。
 また、十五歳以上の年齢になってきますと、しばらく、思春期、青年は自殺が一位になるわけですが、それ以前の、十五以前の子供における自殺の多発という問題を平野大臣はまずどうごらんになりますでしょうか。

平野(博)国務大臣 国務大臣 阿部先生には、本当にいろいろな意味で御指導いただいておりますことに感謝申し上げます。
 子供の自殺ということについては、本当につらい思いをいたします。また、これは子供だけではなくて、要は、世の中に生をうけて、みずから命を絶つ、こういう自殺はまだ年間約三万人を超えているということについて、政府としても、自殺対策ということで、私、官邸で少しやってきたところもございます。
 加えて、今、阿部先生御指摘の二百八十七人という警察庁の統計ということであります。文科省としては百五十六名というふうになっておりまして、調査が悪いのか、こういうことになるかもしれませんが、文科省の宿命とも言える、各教育委員会を経由して確認しているところでございます。やはり家庭の思いも、それを乗り越えてやっていくというわけにいきませんから、そういう家庭環境の中で、知らせたくないというところについては、あえて私どもとしてはその部分についてはここに出していない、こういうことで、この数値の差については御理解をいただきたいと思います。
 したがいまして、私は、何としてもこの自殺対策はしなきゃならない。病気でお亡くなりになっている方等々ありますが、少なくとも、みずから命を絶つということについては何としても防がなきゃならない、こういう気持ちでいっぱいでございます。

阿部分科員 実は、政権交代をいたしましてからも、平成二十一年の十一月二十七日には自殺対策百日プラン、そして二十二年の二月五日には、いのちを守る自殺対策緊急プランとして、民主党政権、民主党を中心とする政権のもと、自殺を減らしていこうというお取り組みはあるのですが、もう一歩具体性というか踏み込んでいただきたいと思って、きょうの私の質問をいたすわけです。
 ここにも、実は、平成二十二年の三月にレポートされた、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議というのがございまして、ここの中では、今、平野大臣の御答弁の、文部科学省が警察とは違って例えば捜査権を持っておらないとか、御家庭がプライバシーもあってお話しになりたくないというような要因以上に、やはり御家族としては、子供をめぐって本当に何があったのか、自分たちも大きな意味で大事なものを失った喪失感と、あるいは世に言われるいじめのようなことがあったのかもしれないしと、多様な要因があって、真実を知りたいという思いの方が、実際に亡くなられたお子さんを抱えた親御さんには強いようには思います。
 政府でやられた協力者会議ですから、後ほどでもお目通しをいただきまして、とにかく、警察庁に報告される数との間の差をまず埋めていく、背景を探っていくということは、お取り組みをいただきたいと思います。
 その中でも特に触れられておりますのは、例えば第三者機関的なもの、学校では教育委員会を初めとして隠すつもりでなくても、親御さんたちとして見れば、学校で起こったことで学校サイドが本当に真実を言ってくれているんだろうかといろいろ思われるというのもむべなるかなと思いまして、第三者機関の必要性なども述べられておりますが、またこれも一概にそうそう簡単ではないと思います。
 そこで、私の提案として二つございます。
 一つは、子供のオンブズパーソンというのがございまして、これは、一九九八年に兵庫県の川西市で取り入れられた仕組みで、子供が学校で感ずる、あるいは家庭生活で感ずるいろいろな悩みや自分の息苦しさを相談できる機関をオンブズパーソンとして置いている第三者機関なわけです。
 ここは、熱中症でお子さんが学校で体育の最中に亡くなられたようなケースについても川西市のオンブズパーソンは調査をされて、学校の教育的に改善すべき点、あるいは、子供の健康管理上注意すべき点なども助言をしておられる。市長のもとに置かれるオンブズパーソンで、教育委員会でもなく、御家庭ともある種の距離はお持ちだというので、このオンブズパーソンという子供のための駆け込み機関というのは、常時そこにあれば、多様な問題にも対処していけると思うのです。
 これは大臣じゃなくて担当者で結構ですが、一体、日本に子供のオンブズパーソンの窓口はどのくらいあるか、御答弁があればお答えください。御無理でしたら、私が。今急に振りましたので。

平野(博)国務大臣 済みません。私自身も詳しく承知していませんし、政府委員の登録がされていませんので担当が参っておりません。改めて、もし必要であれば。

阿部分科員 急に聞いて申しわけありません。設置している市町村というのは恐らく十くらいなんですね。北海道札幌市、東京の目黒、豊島、川崎、岐阜の多治見、十よりちょっとありましょうか、川西市も含めて。でも、これは実は網羅的な確認はしておらず、インターネット等の情報から確認したものに限るというお話でありました。
 きょうの私の大臣へのお願いは、私は大変いい仕組みだと思いますし、川西市にもお尋ねしたことがありまして、これが、政府から補助が出ているものではないですし、今は事業の中にも入っておりませんが、一体どんなふうに運営されていて、どんなよい点を持っておるかというようなことを含めて、文部科学省としても調査研究をしていただけまいかと思いますが、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 ぜひ、私、先ほど申し上げましたように、これは大変な課題だと思っていますので、一度、調査研究はしてみたいと思っております。

阿部分科員 よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つは、先ほど永江さんがお取り上げになりましたスクールソーシャルワーカーでございます。
 実は、このスクールソーシャルワーカーというのは、五年ほど前に私がここの分科会で取り上げさせていただいて、当時、大臣は伊吹先生であったと思うのですが、スクールカウンセラーの方は最近認知度が大変に高まっておりますが、スクールソーシャルワーカーというのは、文科省もお取り組みではあるんですけれども、まだまだ認知度が低いように思います。
 単純な質問で恐縮ですが、大臣にあっては、このスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーと一体何がどう違うのか、イメージで結構ですので、ちょっとコメントをいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 イメージというより、役割の違いで申し上げてもよろしゅうございますか。(阿部分科員「はい、結構です」と呼ぶ)
 そういう意味では、例えば人ということで見ますと、カウンセラーで考えますと、臨床心理に関して専門的な知識、体験を持っておられる人。ワーカーについて申し上げますならば、教育分野に関する知識プラス社会福祉等の専門的な知識や経験を有する方だ。これが人の違いという。
 資格という観点で申し上げますと、臨床心理士、精神科医等がカウンセラー。ワーカーにつきましていいますと、社会福祉士、精神保健福祉士、こういうことであります。
 どこに配置するかというのは、これは同じ教育委員会とか学校、こういうことですから、大体、イメージ的に言うとそういう役割の違いなのかな、こういうふうに認識いたします。

阿部分科員 これも永江さんの御質問のときの答弁を聞きながら思ったのですが、実は、平成二十年度からモデル事業で行われまして、例えば、北海道では四十八人配置、あるいは京都では二十三人配置というのをモデル事業でやりました。
 翌年には、モデル事業ではなくて、国が三分の一の補助をして、あと県が出すか政令市が出すか、中核市などにも今年度広がりますが、そういう配置になってきて、広がらない理由が、県が財政負担ができる、できないというところもあるのではないかという御答弁があったのですけれども、それも一因であろうかと思いますが、私は、その特殊な役割というか、役割の意味付与と、そこでその方が本当にやれる仕事として定着していくための位置づけというものがちょっと弱いのだと思います。
 ちなみに、例を挙げさせていただきますと、京都府などでは、平成二十年のモデル事業が二十三人で、翌二十一年は、これは国が三分の一補助、県が三分の二となるわけですが、二十八人にふえ、さらに、平成二十二年には三十一人にふえました。これはふえた方であります。
 大阪府は、平野大臣のお地元ですが、とんとんです。最初、モデル事業が三十四、次の年が三十、次が二十九となっておりますが、これが、がくんと減ってしまっていくようなところも実はあるわけです。私の神奈川などは、モデル事業で十五やって、後、例年七、七と。
 しかしながら、やりようと、その位置が確定されればもっと活用されるという声を強く聞きますので、これは資料をお渡ししないで失礼でしたが、先ほど大臣が前向きな御答弁をしてくださいましたので、やはり専門職として、ソーシャルワーカーの資格をお持ちの方の採用をふやしていく。
 というのは、今本当に、非常に家庭というものが機能を低下させておりますので、福祉的なつながりを持っていただくということが大事でございますので、今はリタイアされた学校の先生でも構いませんし、いろいろな人材、多様なことはいいのですが、しかし、ソーシャルワーカーという、医療分野でのメディカルソーシャルワーカーは、必ずソーシャルワーカーでないとメディカルソーシャルワーカーにもなれないというふうに厳密にしてございますけれども、そうやって、より資格性を高めていくということも御検討いただきたいですが、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 国務大臣 特にこのソーシャルワーカー、現状では、今委員御指摘のように教員をリタイアした方々とか、こうなっているんですが、社会福祉士ということを言った方がいいのかもわかりませんが、そういう資格を持つ専門職の採用、こういうことを先生は御指摘されているんだろうと思っております。
 この点につきましては、文科省としては、問題を抱えている児童生徒の環境にしっかり働きかけてもらう、こういう方でありますから、教育の相談体制を整備する中で、今御指摘の資格を持った専門性の方を配置するかどうか、こういうことでございます。
 なかなか、これはぶっちゃけた話、そういう専門家の方々がそこで勤めていただくための環境整備もやはりしっかりしないと、いい人材が来てもらえない。したがって、今、非常勤で、そういうOBのボランティア的な役割を含めて、必要であるから来てもらっている、こういうところから脱出しておりません。
 しかし、委員御指摘のように、非常に大事なことだと思っておりますので、ぜひ、都道府県それぞれ、政令市を含めて財政的なところはありますが、文科省としては、これは非常に大事なことなんだということを含めて、そういう方向に一歩でも二歩でも近づいていけるように努力はしてまいりたいと思っています。


阿部分科員 ありがとうございます。地域にいろいろな人材がいるのをつなげていくためにもソーシャルワークスキルは必要ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、同じく学校問題で、給食の問題に移らせていただきます。
 大臣とは先般の予算委員会におきまして、文部科学省が長年、太平洋でたくさんの核実験が行われておりましたころから、こういう放射性物質の影響をフォローするために日常食の検査というものをなさっていらして、それは長い目で見てトレンドがわかりまして、当初高かったものがだんだん落ちてきて、非常に落ちてきて、今回の福島事故でまた一番高かった時代くらいに上がってしまっているということで親御さんの不安も強いわけですが、でも逆に、そうやってモニターしてきたからこそ、ああ、このときくらいだわね、あのときのビキニの実験くらいだねと、ある程度、人は、安心とまではいかなくても、そういう感覚を持つことができる。もちろん、それは望ましい値ではないけれども、かつてあって、そしてだんだん軽減させていったということにもなるわけです。
 今、やはり、お子さんをお持ちのお母さんたちが大変御心配なのは学校の給食の問題であり、また一方で、貧困化が際立ってまいりますと、学校給食しかちゃんとしたものを食べないという子もおられますので、給食というのは極めて重要だと思います。
 それで、この放射性物質というのは、今、何ベクレル・パー・キログラムといいますが、例えば三十だ、五十だ、百だ、それを一回食べることが問題なのではなくて、ずっとある値が高く続けば、それが体に影響をするだろうということでございます。
 この測定におきましても、以前から文部科学省がやっておられた陰膳方式といって、実際に食べられたものを、簡単に言えばミキサーにかけて、何食分か集めて、そしてはかってみる、これを経年変化を見ていくというのは私は非常に知恵のある方式だったと思うのですが、前も申しましたが、二〇〇八年で中断をしておるわけです。
 これから厚生労働省が、マーケットバスケット方式といって、とってきて、それではかってみるか、あるいは陰膳方式にするかを考えて、十都道府県をやるというのが第三次補正で一応通っているのですが、実は、学校給食に不安をお持ちの都道府県はこの十にとどまりませんで、多くの地域で、子供たちの学校給食がどうだろうかという声が上がっております。
 私は、一回一回の、一つの食品の何ベクレルではなくて、実際に体に入ったものを経時的にフォローしていくという文科省のお取り組みがこれからぜひあってほしいと思いますが、大臣のお考えを伺います。

平野(博)国務大臣 この前、阿部先生とは、今日までの経過で、途中でやめましたということは申し上げました。今回は、給食における陰膳調査をやはりやるべきではないか、こういう御指摘、質問でございます。
 まず、先生も今御指摘されましたが、学校給食の提供前の食材の検査について、平成二十三年度三次補正につきましては、東日本の十七都県を対象に検査機器の整備に補助をしてまいりました。
 さらに、福島県に限って申し上げますならば、福島県の基金により、東日本大震災復旧・復興予備費を活用して、県内の全ての学校給食調理場、共同調理場、また学校において検査体制を整えることができるように、必要な検査機器の整備に要する経費を措置いたしました。
 これに加えて、先生の今お尋ねの学校給食の一食全体についての提供後における放射性物質の検査、いわゆる陰膳検査につきましては、二十四年度の予算の中に学校給食モニタリング事業として所要の経費を計上いたしました。全国を対象として継続的に行いたい、かように思っております。

阿部分科員 これも前向きな御答弁で、ありがとうございます。
 最後の資料、ちょっとだけお目通しください。
 これは、グリーンピース・ジャパンというところが測定している、スーパーなどで食材を抜き打ち的にとってきてはかっているものの値でございますが、産地と買った場所とを書いてございます。一つ一つはさして高くはありませんが、例えばスケソウダラなども、愛知の名古屋でのものも比較的高く出ます。魚は自由に泳ぎ回りますので、それによって御家庭が不安を持たれるといけないというのと、正しい教育のためにも、とったものをきちんとはかっていけば大丈夫なんだということで、安心をぜひ伝えてさしあげていただきたく、よろしくお取り組みをお願い申し上げます。
 終わらせていただきます。


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