2021/05/04

「原発のテロ対策に与えられた経過措置の撤廃に関する質問主意書」を提出しました。

原発のテロ対策に与えられた経過措置の撤廃に関する質問主意書」を提出しました。

阿部とも子は、4月30日に「原発のテロ対策に与えられた経過措置の撤廃に関する質問主意書」を提出しました。答弁は5月14日になります。

 

 

   原発のテロ対策に与えられた経過措置の撤廃に関する質問主意書

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)は、その第四十三条の三の九第一項に基づいて定めた原子力規制委員会規則で、原子力発電事業者に対して、「原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその重大事故等に対処するために」、特定重大事故等対処施設の設置を義務づけている。

 ただし、その規則の附則で、規則施行開始(二〇一三年)から一律五年間、さらに二〇一五年の規則改正で、工事計画認可時から起算して五年間の経過措置が与えられた。

 その結果、高浜原発一号機、二号機、美浜原発三号機、大飯原発四号機、玄海原発三号機、四号機が、現在も経過措置期間中にある。

 一方、柏崎刈羽原発では、不正IDによる中央制御室への侵入(原子炉等規制法第四十三条の三の二十七第二項で準用する第十二条の二第四項違反。以後、「核物質防護規定違反」)や核防護施設の損傷や故障の放置(同法第四十三条の三の二十二第二項違反。以後「防護措置義務違反」)など、テロリズムが生じ得る事案が繰り返し起きた。

そこで、以下質問する。

 

一 三月十八日の衆議院経済産業委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会(以後、連合審査)では、防護措置義務違反について、「東京電力の柏崎刈羽以外の事業所についても、同様な検査をしっかりと徹底して行い、報告を聴取するべきだ」との質問があった。これに対して、梶山経済産業大臣は、「他の事業者にも、注意をするようにということで、今、経済産業省から監督、指導をしている」と答弁している。

 その後、どのように確認したのかを尋ねたところ、資源エネルギー庁原子力政策課から、「令和三年三月十九日(金)に、松山電力・ガス事業部長から、東電以外の事業者においても、規制委員会の監視の下、常に緊張感を持って核物質防護を確保することを、口頭にて指導」したとの文書回答を受け取った。

 

1 経産大臣が連合審査で尋ねられるまでは、口頭指導さえしていなかったのか。その口頭指導は、防護措置義務違反についてだけか。それとも、核物質防護規定違反も含めて両方について口頭指導したのか。

 

2 口頭指導した相手は各原発事業者の誰か、記録を残してあるのか。

 

3 口頭指導のみで、報告は求めなかったとのことだが、それでは、他の原発で同様の問題が起きていないことを監督官庁として確認したことにはならないのではないか。

 

二 四月二十一日の衆議院内閣委員会で、更田原子力規制委員会委員長は、「柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護の劣化を捉えて、東京電力以外の事業者に対しても、核物質防護の状態について改めて確認するように調査をしている」と答弁したが、原子力規制庁によれば、口頭指導しただけだという。

 

1 口頭指導は防護措置義務違反に関してのみか。核物質防護規定違反についても指導したのか。

 

2 原子力規制委員会から原発事業者のどの部署に調査をしたのか。改めて文書による調査報告を求めるべきではないか。

 

三 更田委員長は、右の答弁に続けて、「核物質防護はテロを防ぐことを目的にしています。特定重大事故等対処施設は、テロが発生してしまっても、爆弾等を投げ込まれても、飛行機等が落ちてきてもという施設」であるとしている。

 

1 核物質防護規定違反や防護措置義務違反がないかの点検ができていないのであれば、他の原発でも核セキュリティ上の問題が生じているおそれがある状態であり、万が一の重大事故に備えて、特定重大事故等対処施設は、稼働中の原発で今すぐ必要ではないか。

 

2 同様に核セキュリティが確保されていない中で、特定重大事故等対処施設の設置義務を満たさず、これから稼働しようとしている原発は、稼働をすべきではないのではないか。

 

四 原子力規制委員会が二〇一五年十一月十三日に決めた「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」によれば、経過措置を設定したとしても、「安全上緊急の必要性がある場合には、新たな規制基準の新設・変更に際し、当該規制基準を即時に適用することもあり得る」としている。

 

 柏崎刈羽原発における核物質防護規定違反と防護措置義務違反に鑑みれば、この基本的考え方に沿って、特定重大事故等対処施設の経過措置を撤廃し、すべての原発に対して即時に適用すべきではないか。

 

右質問する。