2021/09/28

柏崎刈羽原発における法令違反に対する東電トップ認識について原子力規制委員長に質問状を送りました

阿部知子は、9月28日に、柏崎刈羽原発における法令違反に対する東電トップ認識について、更田豊志原子力規制委員長に質問状を送りました。回答を受け取り次第、公開致します。

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原子力規制委員会

更田豊志委員長

                  衆議院議員 阿部知子

                  2021年9月28日

 

柏崎刈羽原発における核物質防護規定違反に対する

東京電力ホールディングス株式会社小林喜光取締役会長の認識について(質問)

 

東京電力は9月22日に昨年の柏崎刈羽原発におけるIDカード不正使用および核物質防護設備の機能喪失事案への改善措置報告を記者発表しました。

その席で小林喜光取締役会長は、「今回の報告書の検証を通じまして、核物質防護規定違反を明確に示す事案は確認されませんでした」(会見記録 37:40)と発言しました。

しかしながら、本事案が「核物質防護規定違反」であることは更田委員長自身が国会で何度も答弁されています(別紙)

そこで、以下、2点につき、10月1日までに文書回答をお願い致します。

1.原子力規制委員会は小林会長の見解をどう認識されておられるでしょうか。

2.原子力規制委員会は9月15日に「柏崎刈羽原子力発電所に対する追加検査の状況」を議題に非公開会議を行いましたが、記者発表された改善措置についても報告を受けたのか、またその非公開会議でも東京電力は、本事案が核物質防護規定違反ではないとの認識を示したのかを明らかにしてください。

 なお、柏崎刈羽原発では本件以外にも、安全対策工事が完了したとの住民説明の後に未完了だったことが判明し、新規制基準を満たさない火災感知器が100個も設置されていた等、数々の不適切事案が報告されています。

 更に福島第一原発でも、多核種除去設備ALPSで生じる汚泥状の放射性物質の移し替え作業で、ALPSの排気フィルター25カ所中24カ所が損傷していたと9月13日の原子力規制委員会特定原子力施設監視・評価検討会で報告。しかし、①それは8月24日にダストモニタの警報が鳴ってから2週間以上が経過した時点の報告で、②それまでに9月2日には10カ所、6日には15カ所損傷したと小出しで発表、③10日には2年前にも全損傷していたと報道され、13日の検討会で問われて初めて2年前の全損を認め、公表も原因究明も再発防止策も講じなかった旨を回答、④次いで27日に全ALPSで76カ所中計32カ所が損傷していたと続報しました。

 どれも初歩的な不適切事案であり、この際、原子力規制委員会は、原子炉設置許可要件である「発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力」(原子炉等規制法第43条の3の6)が東京電力にあるのかを問い直すべきであることを付言させていただいきます。

 

(別紙)

更田原子力規制委員長による柏崎刈羽原発に関する核物質防護規定違反に関する答弁

■衆議院 予算委員会第七分科会 2021年2月25日

○菊田真紀子 (略) 一連の原子力規制委員会の判断は本当に適切なものだったと考えているのか、また、本事案は判断に影響を与えるものではなかったと考えているのか、規制委員長に伺います。

○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用の事案につきましては、核物質防護規定に違反となる事案でありまして、保安規定の判断に影響を与えたものではないというふうに考えております。 

■衆議院 環境委員会2021年3年3月9日

○近藤昭一 委員予算委員会第七分科会で菊田真紀子議員が取り上げています。それに対して更田委員長は、核物質防護規定に対して違反であると明確に答弁をされました。では、原子炉等規制法のどの条文に対する違反なのか、お答えをいただきたいと思います。

○更田委員長 お答えをいたします。

 今回の事案は、原子炉等規制法第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項に対する違反であります。

 具体的には、発電用原子炉設置者及びその従業者は、核物質防護規定を守らなければならないと定められているものでございます。

■衆議院 経済産業委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会2021年3月18日

〇阿部知子 二月の十日の日に私が予算委員会で更田委員長にお尋ねをした事案でありまして、いわゆる核物質防護規定違反であるというふうに委員長は明確に御答弁をされました。引き続いて、三月の九日、環境委員会で立憲民主党の近藤昭一議員の質問にお答えになって、今回の事案と申しますものは原子炉等規制法第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項に反する違反でありますというお答えで、これが何を意味するかというと。四十三条の今度は三の二十に基づいて、事業者に対して、原子力規制委員会が許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずる理由になり得ること、すなわち、核物質防護規定違反は原子力事業者の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずる理由になり得ることと理解してよろしいでしょうか

○更田委員長 そのとおり理解していただいて結構であると思います。正しいと思います。

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■提出した質問状は更田委員長宛て質問(阿部知子).pdfからダウンロード可能です。

 

■柏崎刈羽原子力発電所のIDカード不正使用および核物質防護設備の機能の一部喪失に関わる改善措置報告書について

 動画:https://www.tepco.co.jp/library/movie/detail-j.html?catid=61697&video_uuid=af9c46c8

 プレスリリース:https://www.tepco.co.jp/press/release/2021/1642625_8711.html

■小林喜光取締役会長の関係発言個所(抜粋)

東京電力ホールディングス株式会社小林喜光取締役会長の当該発言個所

(36:20)今回の検証で明らかになった弱みを、自ら評価し継続改善を図っていくことが、原子力部門にとって、あるいはまた発電所にとっても重要であることから、取締役会として次のような措置を取ることといたしました。

(36:45)第一が今回の事案の重要性を鑑みまして人事措置でございます。

 今回の事案の一連の発生によりまして地元や社会の皆様からの信頼を失う結果を招いたことを受けまして、本年4月には社長を含む4名が月額報酬の30%6か月の自主返納の申し出がございましたが、報告書の提出に合わせまして、取締役会として人事措置を講ずることと致しました。

 具体的には、今回の報告書の検証を通じまして、核物質防護規定違反を明確に示す事案は確認されますた。(首を振って)されませんでしたけれども、経営トップとしての小早川社長、原子力立地本部長としての原子力部門を統括する立場にある牧野常務、そして発電所の責任者である石井柏崎刈羽原子力発電所長の経営管理責任を問い、小早川社長、牧野常務につきましては月額報酬30%3ヵ月の減俸、石井所長につきましては辞任との処分を本日、取締役会として決定を致しました。

 牧野常務につきましては、人事措置としての減俸に加えまして、今回の事案における責任を勘案すれば、今後の改革推進のリーダーに適さないと考えられることから、本部長から異動させることと致しました。

 なお、これに対しまして牧野取締役から取締役職の辞意が表明されたため、取締役会としてこれを認めることと致しました。

 これに伴う後任の人事でございますが、現在、現場で改革の責任を担っている稲垣常務執行役に原子力立地本部長と柏崎刈羽原子力発電所長を兼務させ、核物質防護、安全文化等にかかる改革を現場の立場に立脚して本部と発電所とで一体的に推進することと致しました。

 以上が人事措置の内容でございます。