2023/08/01

【質問主意書・答弁】国立病院機構徳島病院の機能移転構想に伴う災害時のリスク管理に関する質問主意書

6月15日提出、「国立病院機構徳島病院の機能移転構想に伴う災害時のリスク管理に関する質問主意書」の答弁が、同27日にきました。

衆議院HPでも見れますので、ぜひご覧ください。

令和五年六月十五日提出
質問第一〇九号

国立病院機構徳島病院の機能移転構想に伴う災害時のリスク管理に関する質問主意書

提出者  阿部知子
 

内閣衆質二一一第一〇九号
令和五年六月二十七日

内閣総理大臣 岸田文雄


 令和二年九月、会計検査院は独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者健康安全機構、及び独立行政法人地域医療機能推進機構の三団体傘下にある災害拠点病院について、自家発電機などが浸水しないよう各地のハザードマップに応じた対策をとっているかを調査し、公表した。その結果、全六十三病院のうち、三分の一を超える二十三病院で浸水のおそれがあることが判明、うち、六病院ではハザードマップで想定される浸水の深さよりも低い位置に自家発電機などが設置されており、浸水による故障で災害時に必要な電力を確保できない可能性があるという調査結果であった。
 会計検査院ではこれらの病院に対し、浸水のおそれがある自家発電機などについて応急処置を行うとともに、機器の移動や防水扉の設置など対策の計画を策定するよう要求し、病院を所管する各機構にも浸水対策の実施状況を確認する体制の整備を求めた。
 これら六病院のうち、独立行政法人国立病院機構(以下機構)傘下の病院は北海道医療センターと岡山医療センターの二病院であった。関連して以下、質問する。

一 機構における災害リスク管理について
 「改善を必要とする事態」として、「貴機構の二災害拠点病院において、水害により商用電源が途絶した場合に、自家発電機等が浸水して稼働できず、継続して医療を提供する上で必要な電気を確保できないおそれがある状況となっている事態は適切ではなく、改善を図る要があると認められる。」とされ、「発生原因」として「このような事態が生じているのは、貴機構本部及び二災害拠点病院において、地方公共団体が公表しているハザードマップに応じた自家発電機等の浸水対策についての検討が十分でないことなどによると認められる。」と改善要求が出された。
 1 「地方公共団体が公表しているハザードマップに応じた自家発電機等の浸水対策」という部分の指摘について、機構本部としてどのような処置を講じたのか。政府として承知しているところを示されたい。
 2 その結果と再発防止対策について、災害拠点病院のみならず傘下の病院に対しどのように共有され点検されたのか。政府の承知しているところを示されたい。

一の1について
 お尋ねの「機構本部として」の意味するところが必ずしも明らかではないが、独立行政法人国立病院機構(以下「機構」という。)においては、御指摘の「二災害拠点病院」の浸水対策について、会計検査院の指摘を受け、自家発電設備等の浸水被害を防止するため、応急的に土のうの調達を行ったところであり、さらに、当該二災害拠点病院が立地する区域の浸水深を踏まえた自家発電設備等の設置に係る整備計画を策定する等、災害発生時に必要な医療を提供できるよう、適切に対処しているものと承知している。

一の2について
 お尋ねの「結果と再発防止対策」については、機構において、御指摘の会計検査院の「調査結果」及び機構が令和元年七月から八月にかけて「傘下の病院」に対して行った災害時に必要な設備等の確保状況に関する調査の結果を各病院に周知しており、これらの結果及び各病院が立地する区域の浸水深等を踏まえ、必要に応じて浸水対策等を行うものと承知している。


二 災害想定地域に統合移転するメリットについて
 国立病院機構徳島病院の、同東徳島医療センターへの統合移転計画は、二〇一八年二月に「基本構想」が公表され、地元住民の他、近隣の市議会や県議会から上がる反対決議の中、移転は事実上「凍結」となっていたところ、機構より本年十月、徳島病院のPost-NICU病床八床を東徳島医療センターへ移す方針が公表された。
 しかし、同センターは、機構が公表した「東徳島医療センターにおける災害対応について」(令和元年五月三十日)によれば、所在地(板野郡板野町)は、徳島県地域防災計画(以下防災計画)の南海トラフ巨大地震による液状化危険度が極めて高い地域とされており、防災計画の徳島県中央構造線・活断層地震被害想定の震度分布では震度七(南海トラフ巨大地震は震度八強)である。さらに、洪水浸水想定は、国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所の吉野川水系吉野川洪水浸水想定区域図によると、浸水した場合に想定される水深は三~五mとされている。
 そうした災害想定地域にある病院に、わざわざ手厚い医療的ケアの必要なPost-NICU病床を移す必然性は理解に苦しむ。ちなみに徳島病院の立地は高台であり、洪水によって想定される浸水深はゼロmである。以下の点について政府の把握しているところを述べられたい。
 1 Post-NICU病床の移転先は新設病棟か、既存病棟か。またその何階に置かれるのか。
 2 周辺道路の液状化により患者の移送や食料、物資等の搬入搬出が途絶し、病院機能が果たせなくなる可能性についてどのように対策しているのか。
 3 浸水時、医療用電源はどのように確保されるのか。設備が浸水想定面より上階になければ呼吸器管理の必要な患者は即時命の危機にさらされるが、機器は何階に設置されているのか。
 4 自家発電機の老朽化が指摘されているが、新規設置等の検討状況はどうか。
 5 災害時の患者の避難方法、必要な人員についてどのような計画を策定しているのか。
 6 ショートステイ・レスパイト等、在宅支援の継続体制をどのように考えているのか。


二について
 政府としては、お尋ねの点については把握していないが、災害発生時においても、医療機関がその機能を維持し、地域において必要な医療を提供することが重要であると考えており、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が平成三十一年二月二十八日に指示した「独立行政法人国立病院機構が達成すべき業務運営に関する目標」において、機構については、「災害や新型インフルエンザ発生時など国の危機管理に際して求められる医療について、国や地域との連携の強化により、災害対応時の役割の明確化や災害医療現場等で貢献できる人材の育成、厚生労働省のDMAT事務局の体制強化など国の災害医療体制の維持・発展への貢献を含め、中核的な役割を果たす機関としての機能を充実・強化すること」及び「発災時に必要な医療を確実に提供すること」としているところであり、機構においては、当該指示を踏まえ、機構徳島病院及び機構東徳島医療センターについても適切に対応するものと承知している。 

以上