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共謀罪強行採決、市民総監視社会を許さない!

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2017/06/16 ページ用コンテンツ   abetomokojp
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共謀罪強行の前に森友・加計問題の説明責任を果たせ!

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2017/06/12 ページ用コンテンツ   abetomokojp
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6月12日原子力事故調査特別委員会議事録

○阿部委員 ありがとうございます。民進党の阿部知子です。

まず、今回アドバイザリー・ボードをお引き受けいただいた黒川先生には、国会初の事故調、そして国際社会への発信、本当に敬意を表します。

きょう、私は、残るお三方、初めてですので、短く一つずつお願いいたします。

まず、石橋参考人には、私は、あの「わかりやすいプロジェクト」ってすごくおもしろくて、高校生がいっぱい見てくれるといいなと思いましたが、若い世代への波及というか、実際どのように活用されていますでしょうか。

そして、藤垣委員には、ドイツは、いわゆる倫理委員会をもって原発の廃止を決めていきました。そこには、科学技術と、それを受けての人間という、そこの間に起こることを一番重要に、すなわち、市民参加、住民参加ということを第一に、その意見を酌んでという形を行ったと思いますが、今後、我が国がそのような形になっていくために、まず何をやるべきか。

最後に、桑子委員には、先ほどお隣の木内さんも言われましたが、東電の事故にかかわる費用も試算もばらばら。原発、安いのか高いのかもばらばら。データをどう読むか。国民が共有できるデータのあり方はどうか。

お願いいたします。

 

○石橋参考人 ありがとうございます。

「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」では、国会事故調の報告書、今でも、先ほど御紹介した衆議院のホームページからもアクセスできる国会事故調のホームページから、委員会の動画も見ることができます。それを活用して、いろいろなことを考えるということをやっております。

例えば、事故調の委員会を見て、当時、黒川先生が、委員長コメントというのを、委員会の最後に、三十分後にやるということをやっておりました。そのコメントを実際につくる、記者会見のようなものをしてみるというふうな取り組みをしたりしています。

また、先ほど、私の前半のお話の中で一番最後に御紹介した共同コメントというのがありましたけれども、福島原発事故を取り巻くさまざまなステークホルダーになり切って、過去を振り返って、今何をどう思うのかということを発言してみる。その中で、自分の本当の心の中と、自分の口から出てくる言葉のずれはなぜ起こるのか。そこから、何をどう考えるのかというふうなことをみんなで議論して考えるということをしております。

その結果、これは福島高校の生徒ですけれども、何が大事なのか、自分の頭で考えること。自分の頭で考えたふりをして、自分の外側にある権威に寄り添って、それをそのまま口に出して言ってしまうことをいかに防ぐのかということが大事だという気持ちになっている人がたくさんいます。

以上のような活用をしております。ありがとうございます。

 

○藤垣参考人 御質問ありがとうございます。

ドイツには、確かに、安全なエネルギー供給に関する倫理委員会というものがございまして、そこが、日本の事故を受けまして、ドイツでも二〇二二年までに原発を全廃するということを決めました。

この倫理委員会にはどういう人が入っていたかというと、科学技術社会を考える人、社会学者、それから倫理学者、人類学者、社会科学系の人が多いんですけれども、日本が倫理という言葉を使うときに込める倫理という意味と、この倫理委員会の倫理の意味は少々違っておりまして、それこそ、市民参加も含めて、科学技術ガバナンスを考える委員会と考えていいんじゃないかと思います。

それで、御質問は、まず、そういうことを考えるときに、それと同様のことを考えるとき、日本は何をすべきかという御質問だったと思いますけれども、それこそ、市民参加も、市民の議論も含めた形で規制委員会を改組するのか、あるいは、規制委員会と並行して、原発ガバナンスを考える国民会議みたいなものを、さまざまなステークホルダーなり、あるいはドイツの倫理委員会を模擬してつくるのか、両方の道があるかと考えます。

 

○桑子参考人 ありがとうございます。

費用とデータのあり方というとても重要なポイントだと思います。黒川先生の方からアカウンタビリティーというお話がありました。アカウンタビリティーのとても大事な意味は、アカウンティングといいますか、会計についての情報をしっかり開示して、それに基づいて、関係者がきちんとした判断ができることというふうに思います。

原発の問題をめぐっては、東電の財政状態、それと、例えば東芝も関係しているでしょうし、大きな企業、あるいは、ゼネコン等の関係する、そういう財政的な問題がさまざま入りまじっていると思います。あるいは、国民がどういうふうな形でこれを負担しなければいけないかということが、国民にわかるような形で示されていないと思いますね。

これは、どういうふうな形で、会計のあり方、財政のあり方を示すのかということも含めて、やはり制度をしっかりしていかなきゃいけないんじゃないかというのが私の考え方でありまして、会計というのは、もともと司馬遷の史記にある由緒ある言葉なんですね。治水をやった禹という王様が、その事業について、関係した人たちの事業評価をきちんとして、それに対する報酬を考えるというのが会計の考え方ということで、そういう意味で、原発の問題は、会計、財政、費用、このデータをどういうふうに整理して、またわかりやすいやり方で国民に情報を共有してもらうかということが非常に大事なポイントだと思います。

ありがとうございます。

 

○三原委員長 そろそろ理事会で決定した時間になりましたので、今回の会議は、これにて参考人に対する質疑を終了させていただきたいと思います。

この際、一言御礼を申し上げたいと思います。

参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。(拍手)

次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

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2017/06/12 ページ用コンテンツ   abetomokojp
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6月9日厚生労働委員会議事録

○丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

 

○阿部委員 民進党の阿部知子です。

近年、子供の出生数が減少しておりますが、その中でも、わけてもやはり悲しい事案というのは、せっかく妊娠した赤ちゃんを、分娩時に、お母さんが亡くなるあるいは赤ちゃんが亡くなる、あるいは脳性麻痺など重い障害を負うという事案が、今もなおございます。きょう取り上げたいのは、いわゆる無痛分娩における死亡事故であります。

無痛分娩と申しますのは、最近大変お母さん方の間でもふえてきております。一つは妊婦さんが高齢化をしておられること、そして、やはり痛いのは嫌だから、もし無痛で済むならそちらがいいなと思うお母さんもふえているのですが、しかし、そのはらむ危険性について十分認識されているかどうか不安がございますので、御質問をいたします。

まず、ことし一月に老木レディスクリニックというところで、いわゆる無痛分娩として腰椎麻酔を受けた妊婦さんが、その後急変して呼吸困難となり、一週間余りで亡くなってしまいました。また、二〇一五年八月、母と子の上田病院というところでは、無痛分娩の麻酔をかけて、プラス、どうしても、麻酔がかかりますと陣痛がちょっと緩い、緩く感じられるということもありますし、その上で、陣痛促進剤を投与されて出産されて大出血をして、緊急搬送されましたが、約一年間寝たきりで、その後亡くなられました。

こうした事態を踏まえて、四月の十六日に三重大学の池田教授が、医療機関に対して、急変時に対応できる十分な体制を整えた上で無痛分娩は行うべきだという緊急提言も発表しておられます。

皆様のお手元にあるものは、この池田教授が学会で発表されたときのものを示してございますが、二百九十八例中無痛分娩が十三例あって、これは妊産婦さんの死亡の二百九十八例中十三例あって、有床診療所、医療施設、大学病院など半々。その死因は出血死が多く、陣痛誘発剤は十三例中十二例で使用され、分娩も、吸引分娩や帝王切開に移行していくということをずっと書いたものでございます。

そして、下には、提言がございますけれども、無痛分娩は自然分娩と違った分娩経過をとることを十分認識する、陣痛促進剤が使われ吸引鉗子分娩が必要となる率が高い、そして、自然分娩のみを扱うときよりもより高いスキルとマンパワーが必要なんだ、さらには、クモ膜下麻酔などの合併症による知識を持っていないと一例目のように死亡するなどの提言をしてくださっています。

この一連の事件を受けて、産婦人科医会でも実態調査を開始すると聞いております。産婦人科医会というのは、開業医を中心とする全国一万二千人の産婦人科医が参加する専門職集団で、病院のお勤めの場合とか病院での出産を扱うところは基本的には産婦人科医会のメンバーではありませんが、この産婦人科医会の調査に協力して、医療界を挙げて、医会もそれから病院側もこの調査に乗り出すということが六月から始まろうとしております。

私が一点目に伺いたいのは、本来、こうした事案というのは、例えば、厚生労働省が率先して調査にかかり、そして学会やいろいろな医会のお力もかりながら、やはり、厚生労働省の関与というものが今のところまだはっきりいたしません。この点について、神田医政局長に伺います。

 

○神田政府参考人 お答えいたします。

無痛分娩に関しては、実施した際の死亡事例等が日本産婦人科医会に情報収集されていることから、日本産婦人科医会が主体となりまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、無痛分娩の実施状況や合併症の発生状況等について近く実態調査を行うこととしているところであります。

厚生労働省といたしましても、日本産婦人科医会の調査を踏まえまして、関係する学会と連携して、無痛分娩とその他の分娩を比較した合併症の発生状況等について詳細な分析を行うなど、しっかりと関与していきたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 私が今、厚労省の関与を伺ったのは、実は、今回の医会を中心とする調査では、そこに陣痛促進剤の使用実態というものがきちんと把握されるかどうかという問題がございます。

きのうのヒアリングで伺いますと、医会の方の調査項目にはない。でも、この池田先生の提言というところを見ると、陣痛促進剤、吸引分娩が必要となる率が高いという指摘もございまして、きちんと陣痛促進剤の使用というものもチェックリストの中に入れていかないと、だって十三例中十二例は使用しているわけですから、そのときにどんな注意が必要かなども浮かび上がってこないと思いますが。

この点は、厚生労働省の方から、学会の皆さんとも御相談の上、ぜひ調査の項目に加えていただきたいが、いかがでしょうか。

 

○神田政府参考人 お答えをいたします。

妊産婦が死亡した事案につきましては、日本産婦人科医会で情報収集しており、三重大学の池田教授らを中心に構成されます妊産婦死亡症例評価検討委員会で原因等について分析を行っているところでございます。

先ほど先生から御指摘ございましたように、二十九年四月十六日の日本産婦人科学会の学術講演会で池田教授が報告を行ったものの中では、妊産婦死亡例二百九十八例の分析をしたところ、無痛分娩が行われた十三例について、子宮収縮剤が十二例で投与されており、その十三例の死因について、一例が麻酔薬の影響によるもの、十二例については子宮破裂や羊水塞栓症を原因とする大量出血等であったというふうにされているところでございます。

この報告等を踏まえまして、日本産婦人科医会において、近く無痛分娩に関する実態調査が行われることとなっております。

御指摘の無痛分娩に関連した死亡事案における子宮収縮剤の使用実態や出血の原因について、日本産婦人科医会等とも連携しながら、どのような把握の方法があるのか、引き続き検討していきたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 私がここで繰り返し子宮収縮剤の使用のことを問題にいたしますのは、実は、この十三例中十二例の出血死、大量出血死ですが、それが大量出血死という表現しかとられておりませんで、例えば、子宮破裂したのか、頸管裂傷したのか、弛緩出血といってお産の後の大量出血なのか、産道裂傷なのか。子宮収縮剤を使ったときに起こりやすい過収縮、ぎゅっと収縮したり、それによって分娩のときに子宮が破裂してしまったり、あるいはその後の弛緩出血という、非常に多い合併症であります。

繰り返しますが、十三例中十二例が使用されています、そして大量出血ですから、ぜひ、これをチェックリストの中に加えて、そして因果関係も含めてきちんとチェックされるようにということを、今、神田医政局長、御相談いただけるという御答弁だと思いますので、お願いをしたいと思います。

あわせて、いわゆる産科医療補償制度、脳性麻痺に子供がなった場合の産科医療補償制度というのは、大変に、いろいろな意味で、再発防止の提言をされたり、この間、子供の安全、お母さんの安全な出産ということに大きな役割を果たしておられると思いますが、この産科医療補償制度の二〇一三年度の報告書の中で、陣痛促進剤を使用したケースの約八割は、学会のガイドラインを守らずに、きちんとモニターがされたりせず、投与実態も決められたものとかけ離れておったというようなことが既に指摘をされております。

今回の調査に当たって、きちんとモニターがこういうことをされていたのか、亡くなった事案、もう既にこの産科医療補償制度の再発提言の中に入っていることが果たしてどこまで実施されていたのか、このこともあわせて検証されるべきと思いますが、神田局長の御答弁を伺います。

 

○神田政府参考人 お答えいたします。

産科医療補償制度では、再発防止委員会におきまして、再発防止に関する報告書として取りまとめられた提言について、その取り組みの状況の調査を行っているところでございます。

先ほど先生御指摘がございました、子宮収縮剤を使用した場合に分娩を慎重に監視することといったことにつきましても、平成二十七年九月に再発防止に関するアンケートを行っておりまして、御指摘の子宮収縮薬の使用に関する提言について、既に取り組んでいる、既に一部取り組んでいると回答した分娩施設は調査対象の約六〇%ということになっておりまして、さらなる遵守率の向上が必要であるというふうに考えております。

この点につきましては、これらの提言の認知を高めるために、診療ガイドラインを作成している関係学会、医薬品の添付文書の作成を行う製薬会社と連携してさらなる普及啓発に努めるとともに、日本医療機能評価機構とも連携いたしまして、遵守状況の把握に継続的に努めてまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 神田局長、聞いたことにだけ答えてくれませんか。時間がもったいない。私は、今の十三例もちゃんとモニターされていたのかどうか、調査項目に入れなさいよと言っているんですよ。そこだけ答えて。

だって、私が言ったことを繰り返すんじゃ、質問時間を二倍もらわないとやれないですよ、申しわけないけれども。丁寧な答弁はいいけれども、確信のない答弁はやめてください。この十三例でどうだったのかと私は聞いているんですよ。

これは厚労省が自分で調査してないから、わざわざ厚労省が把握するために、学会の方と連携してやるしかないから今言っているんです。本当は厚労省がみずから調査研究班を設けてやるべきですよ。お母さんたちの妊娠の安全、本当にこれだけ子宮収縮剤が使われて事故が起きて、放置されることになりかねないからです。

さっきおっしゃった、アンケートを聞いて、六割やっているといっても、実はこの死亡例ではどうだったのかということが大事なんですよ。全般じゃないんです。起きた、本当に不幸な事態がそういうことがなされていなかったら、やはりそこを改善するのが医療事故をなくす道なんですよ。きちんと自分の役割を考えて御答弁をいただきたいです。

同じように、この無痛分娩というものは、麻酔を使用するため、先ほど申しました、本来の陣痛が感得されづらいということで、プラス陣痛促進剤の追加投与ということが非常に多々起こる。しかしながら、薬の使用の添付文書の中に、こうした事案は慎重投与すべきだということの中に、胎児の機能不全とか、妊娠の高血圧症とか、子供と骨盤の大きさが合わないとか、帝王切開の既往のある方、これは破裂しやすいですから、それから、高年初産の人、多胎妊娠、常位胎盤早期剥離などの人には子宮収縮剤の投与は慎重に行えと。

私は、ここに、慎重に行うということの項目の中に、無痛分娩というのを入れるべきだと思うんですね、添付書の。なぜなら、無痛分娩をするときに、促進剤が使われて、安易な監視のもとに使われると事故につながるというのがこの間の事態なんだと思います。

この件について、武田医薬・生活局長、御答弁お願いします。

 

○武田政府参考人 お答えいたします。

陣痛促進剤の添付文書の慎重投与の欄に、無痛分娩に関する記載を追加すべきという御指摘をいただきました。

私ども、この添付文書の改訂につきましては、陣痛促進剤と無痛分娩において発生した有害事象の関連性を医学、薬学的な観点から評価する必要があると考えておりまして、医療機関などからの情報を幅広く収集した上で、専門家の意見も聞きながら、この慎重投与の項も含めまして、添付文書の改訂の必要性について早急に検討してまいりたいと思います。

 

○阿部委員 幅広く検討するにも、自分たちの情報収集のための特別な方法を持たないんですよ。幅広く情報収集するなら、ちゃんと厚生労働省で研究班をつくるなり、本当に命がかかっているんです。今も、すごく無痛分娩、ふえています。そして、子宮収縮剤が使われます。私は、本当にお母さんたちを守ろうという気が厚労省にあるのかどうか、もし御自分の家族だったら、どうでしょうか。今、みんな使いたがっています、お母さんたち。そういう中で、でも、注意しておかないと危険があるよということで申し上げています。

塩崎厚生労働大臣に伺います。

今の武田局長の答弁を前向きととるかどうかは、私は、そういう独自の情報収集の手段を厚労省が今特に持っておられませんから、今の産婦人科医会と協力するなりなんなり、こういう項目についてはもっと丹念に調べてほしい、特に、大量出血、そして陣痛促進剤の使用などが非常に大きな影響を及ぼすのではないか、そういう視点を持って連携をしていただきたいですが、いかがでしょう。

 

○塩崎国務大臣 こういう特に新しい命が生まれてくるという大事なことで、このようなことが頻発するようなことでは困るわけでありますから、もちろん、専門家としての産婦人科の先生方の調査と私どもは連携しないといけないと思いますけれども、常時、やはりこういう問題についてもしっかり情報が入ってくるように、みずからも努力をするということも大事だというふうに思います。

 

○阿部委員 添付文書の慎重投与のところで、例えば、胎児機能不全のある患者さんの、なぜ慎重投与する理由かというと、子宮収縮により胎児の症状を悪化させるおそれがある、これだけのことで慎重投与になっているんですね。

無痛分娩は、妊婦さんの側の痛みの閾値を、上げてしまうというか下げてしまう、鈍感にするんですね。それ自身がやはり過剰収縮とかに、誘因になりやすい。私は、これくらいの項目が慎重投与だったら、当然、無痛分娩は慎重投与の対象だと思います。

慎重投与というのは、そのとききちんとモニターをするということでありますので、ここがなぜそんなにおくれているのか、事故がたくさん重なって、悲しい死が重なってなお慎重に検討では、とても納得ができない。塩崎大臣には、きちんとここをリーダーシップをとってお願いをしたいと思います。

引き続いて、今話題の愛媛県今治市、でも、きょうは加計学園ではなくて、昨年の十二月に、愛媛県今治市の丹産婦人科というところで、実は、この産婦人科は、死亡を含む重大な出産事故が複数、十一件と言われています、起きていたと。

二〇〇四年からは、先ほどの産婦人科医会が、全国の会員に重大事故の報告義務を課しているんですが、これは報告義務であって、義務と言われながら、産婦人科医会ですから、報告、必ずしもしなくても罰則はない。ただ、ここが余りにも妊産婦さん死亡や出血を繰り返しているので、近隣の産婦人科の先生も、あるいは医師会の会長も含めて、この産婦人科の先生のところに行って、一人でお産をしないようにとか、そういうことはお話しされていたようですが、だらだらずるずる続けられてきました。

大臣、これは、私は都道府県による医療監視が甘かったのではないかと思うんです。平成二十六年に監査が一回入っているようですが、実は、この院長は腰痛がひどくて、キシロカインというお薬を大量に使って足元がふらふらしていた、そういうことが周辺の患者さんにも漏れ伝わっていたようなところなんです。でも、この二十六年の監査が甘く、その後も二例出血死が起きています。

今、私は、自分も医者だから思いますが、医療界はそれなりに、事故とか質の整わない診療を放逐していこうと努力していると思います。一方、行政の方は、医療監視というものがなかなか、監査ですね、きちんとした質の担保がされているんだろうか、すごく不安です。

私は、この事案を具体例として、塩崎大臣にお願いがあります。やはり都道府県による医療監査のあり方、十分な情報収集がされ、そして、医療監査は、実際のクリニックの営業をとめさせることもできるんです。先ほど申しました産科医会の先生あるいは医師会の先生も、これは危ないよと、医師会の会長みずからずっとそこに行っていたんですね。でも防げなかった。やはり医療監査という行政の役割が大きいと思いますが、大臣、いかがですか。

 

○塩崎国務大臣 立入検査がこの診療所に対して、三年に一度定期的に行われてきているわけでありますけれども、いずれもこの問題について素通しをしてきてしまっているということでありますから、今御指摘のように、立入検査を充実すべきだということについては、私もそのように思うわけであって、これは厚生労働省としても、愛媛県に対して、厳しくしなければいけないということを申し上げなきゃいけないというふうに思っています。

そもそも、クロノロジーを見ますと、平成十七年から、死亡例だけでも四例もあり、それから一時重体という方がお二人おられ、なおかつ半身麻痺が残るというケースもある、こういうことでありまして、非常に残念な事案が連発をしている。そういう意味で、まず、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げなければならないと思います。

愛媛県が立入検査をした際に、事故等の重大な問題が発生した場合に速やかな原因究明とか分析を実施されているかどうか、あるいは院内での再発防止策が遵守されているかといった医療安全管理体制の確保について、実態の把握ができていなかったと言わざるを得ないと思います。

平成二十八年の十二月に、この診療所に関する事案が発覚をいたしましたことを受けて、厚労省として、愛媛県に直ちに立入検査を実施するように要請をして、それを受けて、愛媛県が臨時の立入検査をいたしました。それから、全国の都道府県に対して、重篤な搬送困難事例とかあるいは母体死亡事例などが生じた場合には、各都道府県の周産期医療協議会というのがありますが、そこで地域の医療機関関係者で協議をするように、それを徹底するように周知を図ったところでございます。どうも、愛媛県にあっては、この周産期医療協議会が十分開かれてなかったというふうに理解をしております。

厚労省としては、今後とも、周産期医療協議会に報告がなされた事案とか、あるいは妊産婦御本人や御家族から情報提供があった場合、こういった場合に、速やかに自治体に対して、事実関係を把握した上で、必要に応じて臨時の立入検査を行って、特に医療安全管理体制に関する事項については徹底的に確認を行うということが大事だと思っています。

私は、この直後に愛媛県の産婦人科の先生方と勉強会をたまたま予定していて、大変皆さんショックを受けておりました。こういうことがないように、これは一人で帝王切開をやったりされていたということでありますが、病診連携も十分できてなかったということで、特に愛媛大学の産婦人科の先生方などは、やはりもっと病診連携を強化していかないと、診療所で一人でおやりになっている先生方のリスクをしょい切れないという話を私も聞いたところでございまして、こういうことが二度とないように、これはひとり愛媛県だけの問題ではないと思いますので、周知徹底を全国にしていかなければならないというふうに思います。

 

○阿部委員 今の大臣の御答弁のように、これを機に、全国的に必要なことと思いますので、行政の監視能力というか立入調査能力を上げて、緊急に、次の不幸が起こらないようにお願いをしたいと思います。

続いて、医療の情報提供、情報開示の問題に移らせていただきます。

実は、医療事故調査報告制度ができまして、それなりに病院からも情報が上がるようにはなっておりますが、果たして、市民、患者さんの側からこの医療事故調査報告制度がどのように理解されて周知されておるのかということでお伺いをしたいと思います。

大阪で、実は、医療相談、医療被害者を支援する民間団体がホットラインをいたしまして、その相談件数六十三件ございました。そのうち十八件が死亡事故であったそうですが。この民間団体が丁寧に電話対応をする中で、十八件中どなたも医療事故調査制度を御存じなかった。ああ、被害が起きて、どうしようかと思っている人も、医療事故調査報告制度を知らない。病院側は多分、知っているものと思いたいですが、そうすると、患者さん側への、こういう制度があるんだよという周知徹底はどのようになされるかというのが一点。

それから、大臣、続けて二つお願いします。

もう一つ、患者さん側が自分に起きたこと、家族に起きたことを知る場合にカルテやレセプトの開示ということを求めますが、この開示に係る費用は、手数料を徴収することができるとなっておりますが、病院側の手数料が一体幾ら徴収されているのか。実費を勘案して合理的であると認められる範囲で額を決めよとなっているのですが、ある大学病院では一万円、ある大学病院では、カルテの開示は医師の立ち会いがなければだめ、ある病院では、遺族が開示請求したところ、相続人全員の同意書を持ってこいなど、なかなかカルテの情報開示にも到達いたしません。実費とは、一体幾らで開示されているのかの実態調査もお願いしたい。

私の論点は、とにかく医療事故というのは、患者さん側も一緒に協力して、病院側も真剣によりよい医療を求めていかなきゃいけないときに、今、患者さん側からのアクセスがなかなかできないということで、二点お伺いをいたします。

 

○塩崎国務大臣 今、医療事故調査制度についてお話がありましたが、これは前にも申し上げたとおり、最近は世界ではペイシェントセーフティーと言うことが多くて、医療という供給側の目線でいう事故ということで扱われるのは私はいかがなものかなというふうに思っています。

その上で、医療事故調査制度は、医療事故の再発防止に向けての自主的な調査を行うことを委ねられた医療界の取り組みと、医療安全を願う国民と医療機関との間の信頼関係がなければ成り立たない、こういう制度です。

医療事故の、医療事故調査・支援センター、ここへの適切な報告とか院内調査が適切に行われるためには、一般の市民の方に制度そのものについて知っていただくということが大事であって、今御指摘のとおりであります。

では、国民がみんな知っているかというと、必ずしもそうではないのかもわからないということで、私どもは、周知を目的として、医療機関とか自治体等に対して、制度開始時に加えて、ことしの一月にリーフレット約六十二万部、ポスターも三十六万部配付をいたしまして、周知を依頼しております。

まずは、医療機関内の見やすいところにポスターの掲示、あるいは窓口へのリーフレットの配置について医療機関に指導を徹底していこうと思っておりますけれども、例えば国民健康保険を扱う市役所の窓口とか、こういうようなところにも広く張るべきではないかと私は思っているので、そのように徹底していきたいと思っております。

カルテの開示の費用とか条件、恣意的な条件づけの御指摘が今ございましたけれども、厚労省において情報提供の指針というのを策定しておりますが、費用は実費を勘案して合理的であると認められる範囲内の額としなければならないということでありますが、実費というのは何で、合理的というのは何だというところが、なかなか悩ましいところがあると思います。

患者等が補足的な説明を求めたときにどうするかですが、「担当の医師等が説明を行うことが望ましい。」というふうになっておりますが、必ずしもそうなっていないことが見受けられる、そういう問題があるのではないかと思っておりまして、高額な費用徴収を禁止するとともに、医師の立ち会いや説明の義務づけなどの過度な条件設定は行ってはいないわけではありますが、厚労省としては、やはり今御指摘のように、この実態をまず把握する、これが大事だと思いますし、指針に反している事例があれば、これはやはり修正していかなきゃいけないので。

いろいろ見ると、都内の誰でも聞けばわかるような大きい大学病院などで見ると、一つは五千四百円プラスコピー代とか、医師の説明三十分以内で五千円プラスコピー代とか、あるいは三千円台プラスコピー代、ですから、医師の説明が入っていたり入っていなかったり、こういうばらつきが、有名なところでもそうなっていますから、これについてしっかりと調べてみたいと思います。

 

○阿部委員 ありがとうございます。

しっかり実態把握して、患者さんにとって必要な情報が得られるよう、なおお願いいたします。

最後に、子育て安心プランについてお伺いをいたします。本当は、きょうはこれで長くやりたかったんだけれども、最後になりました。

子育て安心プラン、六月二日に出されておりますが、相変わらず、四月の締めでも待機児童が二万三千七百名ある。九月まで見れば、さらに待機児童はふえる。今回、待機児童の解消を三年先送りということで臨まざるを得ない状態と思いますが、私は、そこについてもやはり残念でありますし、しかし同時に、何が一番問題であろうかということで、これも、厚生労働大臣にぜひお願いがあります。

この間、政府は、ハード、受け皿づくり、施設づくりにかなりの精力を注いできましたが、実は、受け皿ができればふえるものというか、待機児童がふえ、そしてもう一つ、保育士不足が加速する。保育士さんのマンパワーが同じ中で、器がふえて取り合い合戦になる、あるいは派遣などにお願いせざるを得なくなる。では、どうすれば本当に、子供の大事な成育にかかわる保育士さんが確保できるんだろうかということで、大臣に見ていただきたいものがございます。

資料の終わりから二枚目でありますが、保育士さんの退職理由で一番多いのが、妊娠・出産、給料が安い、職場の人間関係、結婚、仕事量が多い、労働時間が長いなど、今、ワーク・ライフ・バランスとかM字カーブの解消といいますが、保育士さんほどワーク・ライフ・バランスのないものはない、結婚してやめざるを得ない人ばかり。

そして、下を見ていただきますと、もし再就職するならどんなことを希望するかですけれども、勤務日数を短くしたい、通勤時間の問題、あるいは勤務時間も長過ぎる、雇用形態、給与等々、ずっと並んでおります。

こうしたことを勘案すると、私は、保育士さんというものの働き方をもっと抜本的に見直していただく。

ちなみに、これは私の部屋で独自につくったデータで、最後のデータを見ていただきたいですが、ブルーのラインがM字カーブであります。黄色いラインは東京都における保育士さんの就労割合です。M字カーブというよりも、他の職種に比較して、圧倒的に来ない。他の職種は、例えば八〇・三%くらい、あるいはもうちょっと高い女性の就職率。これは六二。せっかく保育士さんの資格を取っても、はなから来ない状態が都市部では比較的ずっと顕著。ほかに仕事があるからだと思います。

さらに、中国地方のある保育関係学校のその後の女性たちをフォローしたデータですが、当初、二十から二十四歳は八割くらいの就労率なんですが、二十代の後半から三十代でがんと四八・四に落ちて、その後やや上がりますが、その後ずっと下がりっ放し。

私は、M字カーブどころか、地方では一度勤めるけれどもその後ほとんどやめちゃう、都会では最初から余り選ばないとなっていて、抜本的な保育士さんの労働の見直しが必要と思います。

そして、こういうデータも、これは自分の部屋でつくりましたが、政府にはないと思います。ぜひ、労働実態の把握、そして、例えば短時間でも正社員として働ける制度の活用などをお考えいただきたいですが、いかがでしょうか。

 

○塩崎国務大臣 保育士不足と、今お配りをいただいた資料の中で、保育士の働く環境の余りよくない状況について御説明をいただいたわけでありまして。

保育士の勤続年数を見ますと、平成二十八年の調査でも、平均勤続年数七・七年ということで、全職種の十一・九年に比べるとはるかに短いということであり、また、勤続年数別の保育士の数を見ますと、一年未満が一番多くて、勤続年数がふえるにつれて少なくなってまいりまして、特に、勤続年数三年から四年にかけてどんと保育士の数が減っている。つまり、三年が限界で、四年目はもういない、そういう方が多いということだと思います。

また、離職した保育士あるいは保育士の資格を持っていながら保育士として働いていない方々にお聞きをすると、保育士としての就業を希望しない理由は、一つは、賃金と希望が合わない、賃金が希望どおりではないということですね。それから、責任の重さ、事故への不安。やはり保護者との、なかなか難しい保護者もたくさんおられて、正規になると大変だから非正規でいこうとみずから思う保育士さんがおられるという話を私は地元で聞いております。それから、御自身の健康とか体力、かなり、体力を毎日使う、そういうのが上位に来ていまして。

正規、非正規にかかわらず、本来は高い使命感と希望を持って働いていただかなければいけない、長く続けていただかなきゃいけない、そういうお仕事だというふうに思いますが、それは必ずしも今まではそうではなかったということもあって、待機児童解消加速化プランをつくった際には、同時に、保育士の処遇改善についても取り組みを始めて、安倍政権になってから底を打って上がり始めるということになりました。

しかし、絶対水準を見ますと、私も地元で保育園を経営されている方に見せていただくと、なかなか、政治家の事務所並みだなという感じがいたしまして、私どもの方がまだよかったりするときもあるような数字を見て、正直言って、びっくりいたしました。

そういう意味で、特に、キャリアアップの仕組みがない職場で来ちゃった、だから、三年は我慢するけれども四年目はもうやめる、それから、七・七年ということは、もう限界が七年、八年ぐらいという感じもしないでもないので、私どもは、そういうことも考えて、まずキャリアアップの仕組みをつくってください、その上で、経験年数がおおむね三年以上の方には月額五千円、それから、おおむね七年以上の経験をお持ちの方には、中堅ですね、こういった方々には月額四万円の処遇改善を行うということで、頑張れば必ずキャリアは上がっていく、そういう社会をつくるということで、処遇改善も含めて、今回、子育て安心プランをつくらせていただいているということでございます。

保育補助者から保育士になるための雇い上げ支援も拡充をし、保育士の業務負担軽減のためのICT化の支援など、総合的な対策も必要であり、保育料を保育士さんがみずから歩いて集めていかなきゃいけないということを聞いてびっくりしました、これをカード決済にするとか、そういうIT化もやってみると、保育士さんが本来の仕事、つまり、子供としっかり時間を使う、このことにやれて、ますますやる気が出てくるというお話を経営者の一人から聞いておりまして、そういうことを含め、あらゆることをやって、やはり子供が将来の社会を担うわけで、その子供を育てる保育士さんには夢と希望を持ってしっかり働いていただきたいというふうに思います。

 

○阿部委員 民進党も提言させていただきますので、またよろしくお願いいたします。

終わらせていただきます。

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2017/06/09 ページ用コンテンツ   abetomokojp
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6月7日法務委員会議事録

○鈴木委員長 次に、阿部知子君。

 

○阿部委員 民進党の阿部知子です。

本日は、この貴重な法務委員会の質疑のお時間を頂戴いたしまして、理事初め委員長に感謝をいたします。

私は、日ごろ厚生労働委員会に所属しておりますので、めったにはこの法務委員会の質疑に立たせていただくことがないのですが、冒頭、きょう、与党の御質疑の中にも野党の御指摘の中にも、この法案、百十年ぶりの改正に大きく動きをつくられたさまざまな関係者、被害者の皆さんのお声が反映されるようにという御指摘がありました。これは与党も野党も同じ思いだと思います。

もう一点、では、そのお声がどういう形で国会審議というものに残されるであろうか。私は、参考人の質疑と申しますのは、やはり、議事録に残り、日ごろの取り組みについても国会が共有できる貴重な場であるし、この性暴力を含めた刑法の改正にそうした場がないということに著しい違和感を覚えます。

事の発端が皆さんの運動であったにもかかわらず、引用することは容易だと思います、誰それがこう言ったと。でも、やはり、そうした活動してこられた方の声というものが議事録に残る、御自身の発表として残るということが大事と思いますが、委員長についてはなぜそういう行程がとられていないのか。また、委員長御自身は、国会審議のあり方として、こういう国民の声、取り組んできた声が、この場で、委員会質疑で取り入れられることの意味はどうお考えか。冒頭、伺います。

 

○鈴木委員長 理事、委員ともに同じ思いとは思いますが、国会の日程上、やむを得ずこういう日程になったことを御理解ください。

 

○阿部委員 委員長はちょっと早口で、よくわかりませんでしたが、私は、何度も申しますが、やはり、さまざまな御意見を議事録に残していくということは、歴史的な改正である分、絶対に不可欠なんだと思います。

きょう採決やに言われておりますが、引き続き与野党の理事並びに委員長にはぜひお考えを深めていただきたいと思い、私の質問に入らせていただきます。

今回の法改正は、主に四つの大きな柱になっておりまして、一番目が強姦罪の構成要件並びに法定刑の見直し、二番目が監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設、そして三番目が強盗強姦罪の構成要件見直し、そして四番目に強姦罪等の非親告罪化という四点になっているかと思います。

私は、きょうは、特に四番目の非親告罪化ということについてお尋ねをいたします。

さきの質疑の中でも既に林局長からは御答弁があったと思いますが、改めて金田法務大臣に、今回この強姦罪が非親告罪化されたことのメリット、何が大きな前進なのだろうという点をお尋ねいたします。

 

○金田国務大臣 阿部委員の御質問にお答えをいたします。

現行法上、強姦罪、強制わいせつ罪等は親告罪とされております。その趣旨は、一般に、公訴を提起することによって被害者のプライバシー等が害されるおそれがあって、被害者の意思を尊重するためである、このように解されております。

もっとも、性犯罪被害者やその支援団体関係者等からのヒアリング等を踏まえて検討いたしました結果、現在の実情としては、犯罪被害によって肉体的、精神的に多大な被害を負った被害者にとりましては、告訴するか否かの選択が迫られているように感じられたり、告訴をしたことによって被告人から報復を受けるのではないかとの不安を持つ場合があるといったようなことなど、親告罪であることによりかえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくない状況に至っているものと認められたわけであります。

このような実情に鑑みました場合には、これを非親告罪化して、親告罪であることにより生じている被害者の精神的な負担を解消することが相当であると考えられたことから、今回の改正案において強姦罪等を非親告罪化するということにしたものであります。

 

○阿部委員 確かに、人を告訴、告発するというのは、大変に精神的にも負担が大きい。プラス、今大臣がおっしゃったように、しかし、非親告罪化されたときに、プライバシーというものがどうなっていくのか、自分が本当は望まない告訴という形になってはいけないということは、今の大臣の御答弁でも確認をされたと思います。

その上で、お手元の資料を見ていただきますが、ここには、いわゆる強姦あるいは強制わいせつなどで、告訴欠如という形で、その方が告訴をしないという形で不起訴になった件数の推移がございます。当然ながら、一般犯罪よりは、告訴欠如、告訴をしないということの比率は多いと思います、一般犯罪で二から三%ですから。

しかしながら、強姦とか強制わいせつ罪の特殊性で、あるいは相手から示談などがあって、結果的に告訴欠如となったもの、強姦では近々の資料で二四・八%、そもそも不起訴が六二・六ですから。また、強制わいせつ罪でも二九・八%。すなわち、四件に一件あるいは三件に一件は、告訴欠如という理由で告訴がされない。嫌疑不十分というものと並ぶほど、告訴欠如というものが強姦ではふえております。

先ほどの井出委員とのやりとりで、強姦と準強姦は、自由な意思による性交ではないという意味で、根本的に、本質的に同じものであると。私もそう思います。意思を奪われた上での性交あるいはわいせつでありますから、そこが起点、出発点と思います。

と同時に、いわゆる強姦と準強姦、意識がない状態、アルコールや薬物やいろいろな中で意識がない状態でそうした行為が行われた場合には、なおさらにこの事態を告訴するためのハードルが高いと思います。すなわち、告訴欠如に至る比率が高いのではないかと思います。これは、告訴しようにも、そのときの記憶等々が取り戻せないというのもあるやもしれません。

そこで、これは担当並びに金田法務大臣にお伺いをしたいと思いますが、なぜ、集計上、強姦と準強姦は分けられず告訴欠如という中でカウントされているのか。いろいろな資料を拝見しましたが、準強姦だけを分けたものが見当たりません。この点について、私は、分けてきちんと現状を把握すべき。普通の犯罪に比べて強姦は告訴をされていない率が高い、さらに準強姦では高いのではないかと思います。すなわち、自由意思が表明できない状態では告訴欠如になる率が高いのではないかと思いますが、これについて、大臣、お願いします。

 

○井野大臣政務官 先生の御趣旨は、準強姦事件に特有の分析を可能とするため、強姦罪と区別して統計をとるべきということだと思われますけれども、準強姦事件については、強姦事件と比較して立証が困難であるなどとは我々としては一概に考えてはおらず、また、検察当局においても、個別具体の事案に即して、法と証拠に基づいて適切に起訴、不起訴の判断をしているものと我々は承知をしております。

したがいまして、強姦罪と準強姦罪を区別して統計で把握することが必ずしも必要であるとは考えていないということでございますが、もっとも、法務省としても、今後とも、今回の法改正を機に、性犯罪の動向を注視してその実態を把握するよう努めることは重要なものであると認識をしているところでございます。

 

○阿部委員 立証が困難かどうか把握できるためのデータがないということだと思います。立証が困難かどうか把握していないというのは、個別の事案はさまざまであります、しかし、そのとき、意識がない状態下で起こる、告訴、告発には結びつきづらい、それが本当にデータ上そうであるのかそうでないのかも、分けられておらなければわからないわけです。

私は先ほど、法のというか刑の根本、何が問題なのかというと、自由意思によらない性交ということが犯罪の構成要件だと思いますが、それでもさらに薬物が使われ、あるいはアルコールが使われ、準強姦という事態が起きているという現実が多々ある中で、その方たちが果たして本当に妥当な捜査を保障され、告訴まで道がつながっているかというと、そうではないと思いますので、データがないということをもって、立証困難かどうか、差がないと言わず、データにのっとっておっしゃっていただきたい。それは物の理でありますから。

金田大臣、今後、この法律が成立したときに、準強姦罪におけるアルコールや薬物の使用というのは非常に深刻な問題。もちろん脅迫、暴行要件も重大です。でも、そもそも自由意思をなくさせられている中で起こることで、それがプラス薬物、アルコールをもって行われ、なかなか告訴に結びつかないと思いますから、そういう観点で分析をしていただきたいが、いかがですか。

 

○金田国務大臣 今委員御指摘の点につきましては、一般的に申し上げますと、今後とも性犯罪の動向というものをしっかりと注視してその実態を把握するように努力していく過程の中で非常に重要な御指摘の一つだ、このように思っております。

 

○阿部委員 ありがとうございます。

と同時に、今回、非親告罪化したことで、最も意思を表明できない子供の問題、未成年の問題は私は大きな前進をしていると思います。大臣にあっては、子供が被害者の犯罪、また子供たちへの支援ということについてはどんなお考えをお持ちか、お願いいたします。

 

○盛山副大臣 今、阿部委員が御指摘のとおり、子供が性犯罪の被害者となった事案におきましては、被害の認識あるいは表現の能力が乏しいという子供の特性を踏まえた対応が大変重要であると我々は考えております。

検察当局におきましても、このような認識に基づきまして、例えば児童相談所などの関係機関との十分な情報交換、あるいは親権者ほかとのコミュニケーションを行うなどして、その特性に配慮した対応に努めているところでございます。

 

○阿部委員 この件につきましては、後ほど民進党の山尾志桜里さんも取り上げられることと思います。

本来は、こうした場で、子供の性暴力の支援に当たっている方から私はぜひ御意見を賜りたいと思います。本当に潜在化して、親子の力関係の中で、性暴力を受けたとしても、それは自分が悪いんだ、あるいは、言ってしまえばお父さん、お母さんが罰せられる、だから自分が全部抱え込まなければと思っているのが子供の実情であります。今回の法改正からさらに本当に子供の人権の回復に向かうよう、この点については後ほど質疑の中で取り上げさせていただきたいと思います。

私は、きょう、ワンストップ支援センターと内閣府で言っておられる、私どもは性暴力被害者支援センターと名づけておりますが、被害者がそうした事態に出会ったときにまずそこに相談をして保護されるような仕組み。それは、今申し上げました子供たちにも、あるいは、なかなか警察に行って告訴というプロセスをとりがたい方々にとっても、いわゆる性暴力、性犯罪として警察が把握するものは、というか、警察に行くということ自身が一桁のパーセンテージだと思いますから、それ以外に、氷山の、海の中にあるような事態についてどういう受けとめをしていくべきかということで、このワンストップ支援センターについてお伺いをいたします。

内閣府にお願いしたいと思います。実は、ワンストップ支援センターは平成二十三年の第二次犯罪被害者支援計画の中に明文化をされておりますが、この経緯とお取り組みについて教えてください。

 

○大塚政府参考人 お答えをいたします。

ワンストップ支援センターでございますが、性犯罪、性暴力被害者の支援のため、いろいろな支援を一元的にそこで提供するということで、今お話のございました計画、さらには第四次の男女共同参画基本計画に基づきまして、今、全都道府県に一カ所を設置すべく、私どもの支援も含めて推進をしているところでございます。

現在、三十八都道府県、箇所数でいいますと三十九カ所で設置されているところでございまして、引き続き、この全都道府県設置に向けまして、私ども、支援を進めてまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 恐縮ですが、これはとても重要なことなので、この設置の目的ということ、何を目的としているのかを明示していただけませんでしょうか。言葉で表現していただきたいと思います。目的とは何でありましょう。お願いします。

 

○大塚政府参考人 お答えをいたします。

設置の目的でございますが、これは、性犯罪、性暴力被害者に対しまして、被害直後からの総合的な支援、この総合的な支援と申しますのは、産婦人科医療、相談・カウンセリング等の心理的支援、さらには捜査関連の支援、法律的支援、こういったものを可能な限り一カ所で提供することによりまして、被害者の心身の負担軽減、健康回復、さらには警察への届け出促進、被害の潜在化防止を図る、これを目的とするものでございます。

 

○阿部委員 ありがとうございます。

私は、今回の法改正が、もちろん、起こした罪への刑罰を強化するという点は評価いたしますが、同時に、犯罪には被害者がいて、その方たちの人権回復というのは車の両輪で、その意味で、こちらの支援の側が薄いというか、現状において追いついていないという点を大変懸念しておりますので、今確認をさせていただきました。

そして、ワンストップ支援センターは、お手元の資料にございますように、いただきました資料ですと、現在三十九カ所という私の手元の表、そして、都道府県にするとたしか三十八であると思いますが、ずっと見ていただきますと、病院あるいは病院連携型というのは九つしかなく、いわゆる連携型と呼ばれるものがほとんどであります。

しかしながら、そもそも内閣府がつくられたワンストップ支援センター開設・運営の手引というものがありまして、これを見ますと、地域事情もあろうかと思いますが、病院拠点型や相談センター拠点型ということの方が望ましい、それは、病院機能とすぐにタイアップできる、あるいは病院そのものが支援センターになるということですが、しかし、でき上がってみると、確かに数はふえておりますが、相談連携型といって、各医療機関にはタコ足のように連携をお願いしながらやっていくというものがふえております。

この現状についてはどう改善していかれるおつもりでしょう。お願いします。

 

○石原副大臣 委員御指摘のとおり、性犯罪、性暴力被害者支援のためのワンストップ支援センターは現在三十八都道府県で三十九カ所設置されており、そのうち病院拠点型については九カ所というふうに承知しております。

内閣府では、個々の都道府県の詳細な状況については十二分に把握しておりませんが、病院拠点型が少ない主な理由としては、拠点となる病院の不足、医療関係者や支援者などの人材不足などが原因であるというふうに考えております。

一方で、病院がワンストップ支援センターの拠点としての役割、機能を担うことは難しい場合でも、委員が言われたように、協力病院や連携病院といった形で、支援のネットワークの中で一定の役割を担っているケースがあるというふうに考えております。

こうした状況は地域によりさまざまと考えられるので、都道府県の実態やニーズに応えられるように、今年度予算で設けた性犯罪・性暴力被害者支援交付金を効果的に活用して把握をしてまいりたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 確かに今年度、支援交付金が出まして、医師の研修並びに看護師さんの研修等には多少の費用がつきますが、後ほど御紹介しますが、病院拠点型というと、医師が当直をしていて二十四時間対応ができる、そして夜の方が暴行事件は多いわけで、本当にいつでも即つながるという意味では、これは内閣を挙げて病院拠点型に持っていく必要があります。確かに、医師が不足している、あるいはもろもろ地域事情もあると思いますが、後ほど私がこういう案はどうだろうということを提案させていただきますので、またそのときに機会あれば御答弁をお願いいたします。

そもそも、先ほど、警察に駆け込んでいかれるというのは大変少ない、ハードルが高いということを申し上げましたが、その警察が、もしそういう被害者の方が助けを求めて来られた場合に、窓口の警察官の対応というのはどのように教育されているであろうか、これについて御答弁をお願いいたします。

 

○高木政府参考人 性犯罪被害者の精神的負担の軽減あるいは被害の潜在化防止といったことを図るためには、特に被害者に対する対応が適切になされることが極めて重要であるというふうに認識しておりまして、そういった観点から、捜査員に対する教育、研修の充実等に努めているところでございます。

具体的には、教育訓練の中では、被害者の心情に配慮した対応、初動捜査の具体的方法、被害者聴取のあり方等を具体的に教えているところでございまして、今後ともこういった指導教養をさらに充実してまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 私が今、警察の初動というか警察が何をしているのかということでお尋ねいたしましたが、先ほど、司法の場でも必ずしも被害者の心情に配慮がない場合もあるということがあったと同じように、警察の場でも警察による二次被害ということが従来から言われております。犯罪の特殊性だと思いますが。

事例の紹介を一例だけさせていただきますが、私は神奈川で、選挙区は藤沢ですが、すぐ近くに横須賀があって米軍基地がございます。そこで二〇〇二年に起きたジェーンさんという女性の強姦事件であります。

この方は警察に行かれましたが、十時間近くも警察にとめ置かれ、アメリカ等々ですとレイプクライシスセンターというのがあって、犯人の証拠をとるために病院機関にすぐ連れていかれて、そして外傷があればケアを受けて、情況証拠を採取して、そして、そこからまたいろいろな取り調べに持っていくというところなのですが、このジェーンさんの件は十時間横須賀の警察署にとめ置かれたということです。

これはもちろん、二〇〇二年の事案ですから、その後、彼女は国賠訴訟を起こしまして、その対応がきちんと本当に自分の人権を守ったのかどうかということを起こされましたので、警察庁としても改善していると思いますが、ただ、さまざまな、犯罪捜査規範や被害者対応要綱、あるいは内部規律などの中に、本当に、被害者に迅速に医療が必要なんだということをちゃんと紹介して、道をつないでいるだろうかという点で、私は今も懸念が残ります。

というのは、被害を受けた当事者の女性は、もう本当に判断が不能な状態で、今すぐ医療的にやらなければいけないことがあるというふうには考えられない、とにかく何でもいいから助けてほしいとそこに行くわけで、そのときの初動の警察官に、医療の必要性から、その方の人権への配慮というのは極めて重要となりますので。

また、きのう、警察庁の中で何か使っているマニュアルとか本はないのですかと伺いましたが、各都道府県でやっておりますというので、どんな指導が具体的になされているかをいただけませんでしたので、これは心にとめていただきまして、二次被害が起こらないようにお願いをしたいと思います。

さて、私が先ほど来強調しておりますように、性犯罪の特殊性は、即医療が必要になるものが多いということで、一つ御紹介したいのが、大阪にございますSACHICOというワンストップ支援センターであります。

皆様のお手元に資料をつけさせていただきましたが、このSACHICO、性暴力支援センター大阪。セクシュアル・アソールト・クライシス・ヒーリング・インターベンション・センター・オオサカ、これを全部略すと、たまたまSACHICOといういい名前になるということです。

基本理念ということで、ここは病院型の支援センターですが、被害直後からの総合的支援ができる。二十四時間体制のホットラインと、支援員が常駐して心のサポートをすると同時に、二十四時間の産婦人科救急医療体制と継続的な医療を行い、警察、弁護士、カウンセラーなどの機関への連携を行っている。当事者が告訴するしない、あるいはその後どう生きていくかを自分で選べるような体制と、究極的には性暴力のない社会の実現を目指しているということです。

ここに、二〇一〇年から二〇一五年三月までの実績がございます。この五年間で、相談件数は九百八十三。ここを受診された、カルテの枚数であります。大体年間二百件くらい。正直言って、ワンストップ支援センター、他の支援センターで、ここほどたくさんの件数を受け入れて、実際の支援につなげているところはないと思います。

ちなみに、性虐待も二百十三件。これはとても警察に上がる数ではありません。また、DVあるいはレイプ、強制わいせつでは、未成年の比率が大変多い、五百七十七件中三百十六件となっております。今、もっと件数はふえていると思いますが。

このSACHICOの活動は、チャートで、次に絵がございますが、阪南中央病院という院内にあって、女性医師が二十四時間対応をしていて、そしてホットラインを持ってやっているというところでございます。

次に、また開いていただきますと、レイプ、強制わいせつ被害者の診療というのは、時間外が多くて、時間もかかる。被害者への診療は平均百十三分であります。状況を聞きながら、証拠を採取する。時間外の受診が六〇%、深夜帯が一三%。すなわち、拠点病院でないと、とてもこれだけはできない。

もちろん、警察が連携して、善意の先生方がいろいろ協力はしてくれる。レイプのときの証拠採取セットというのがあって、それを医療機関に渡しておくのですけれども、そういうやり方では、なかなか全体の、レイプに対しての対応が持ち上がっていかない。もちろん、お医者さん側は善意で一生懸命やってくれていますが、まだまだだと思います。

すなわち、時間と人員と場所が必要で、当然それを配置するにはお金が要るということです。入り口も別にします。普通の産科、出産の入り口と、夜中に生まれる赤ちゃんも多いですから、でも、こちらで起きた不幸に対応するときの窓口は変えて、裏からわからないようにしてなどの施設の改築も必要です。

その下に書いてありますが、レイプ、強制わいせつの被害者五百七十七人にどんな対応がされたか。緊急避妊薬の処方、性感染症の検査、そして犯人の精液などの採取。あるいは、少しおくれて来た方は、妊娠をしておられる方も五十三人。七十二時間以内に避妊措置をしないと本来はいけないのですけれども、なかなかたどり着かなくて、妊娠してからという方もございます。その他、弁護士紹介、カウンセリング紹介などとなっております。

ここで金田法務大臣にお伺いいたしますが、先ほど被害者の方とか支援団体とお話をされたことがありますかという質問がほかからもございましたが、私は、こういう現場で支援に携わっている、大変件数も多い、そして性被害とは何かということを理解していただくために、金田大臣にあってはぜひ視察もしていただきたいし、きちんとこれを定着化させるために御尽力いただきたいが、いかがでしょう。

 

○金田国務大臣 阿部委員から、ただいま、性暴力救援センター大阪、SACHICOの取り組みについてさまざまな御説明を賜りました。

私は、犯罪の被害に遭われた方々の声に真摯に耳を傾ける、そしてその保護、支援に取り組むということは非常に重要なことであろう、このように認識をいたしております。

このSACHICOのケースは、性犯罪、性暴力被害者に被害直後からの総合的な支援を可能な限り一カ所で提供するということによりまして、被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図るとともに、警察への届け出の促進、被害の潜在化防止を目的とするワンストップ支援センターである、このように認識をいたしております。

ワンストップ支援センターが一番初めに整備されたのは恐らくこの大阪のSACHICOなんだろうと思うんですね。ですから、そういう意味においても、先頭を切って頑張っておられるということに非常に感心をして拝聴しておりました。

そういう中で、私は、性犯罪や性暴力の被害者というのは、多大な精神的な苦痛あるいは身体的な苦痛を受けてさまざまな支援を要するんだということから、その心身の負担を軽減し、心身の健康の回復を図るというワンストップ支援センターの取り組みというのは極めて重要なものであるなという思いを抱いてお聞きしておりました。

犯罪被害者等基本法によります基本計画、その第三次基本計画においてはワンストップ支援センターの設置促進が施策として明示されておりますことからも、さらなる拡充が図られるということを私としては期待していきたい、こういうふうに思っております。

 

○阿部委員 私がぜひお願い申し上げたいのは、やはり医療型の拡充ということには人件費もかかりますし、病院の体制整備も必要であります。石原副大臣にお伺いいたしますが、これは内閣を挙げてそういう支援をしていただけることが大変重要だと思います。ことし、二十九年度からいろいろな交付金が始まっておりますが、まだほんのスタートで、ちっちゃな芽であります。しかしながら、これは本当に、こういう被害者にとっては、病院というのは不思議なことに、そこに駆け込めばちょっと守られるということも同時に感ずる場所でありますので、ぜひさらなる支援というかバックアップをお願いしたいですが、いかがでしょう。

 

○石原副大臣 お答え申し上げます。

当該交付金は、ワンストップ支援センターの全都道府県での早期設置とその安定的な運営を図るために、今年度予算に新たに設けたものであります。今、金額はまだ小さいというお話がございましたけれども、まずはこの今年度新設した交付金を適切に施行していくことが何よりも重要であるというふうに考えております。

その上で、今後のあり方については、各都道府県における取り組み状況などを勘案しながら、引き続き内閣府として検討してまいりたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 ずっとモデル事業以来、必ずしもスピードアップした取り組みではない。ただ、これは緊急性のあるものですし、一方で法改正がされて非親告罪化されているわけですから、やはりもう一つの被害者支援ということは、私は並び走っていただきたいと思います。

引き続いて、最近大変に目にとまることが多い、学生あるいは医学部の学生並びに医師による集団の強姦事件についてお尋ねをいたします。

金田大臣にも最後のページをお開きいただきたいのですが、ここには、大学生等による主な集団暴行事件というのを新聞等々に出ている限りにおいて拾わせていただきました。

古くは、二〇〇一年、早稲田大学のイベントサークル、スーパーフリーというところの学生たちが起こした事件、それから、京都大学が二〇〇五年の十二月、京都教育大学が二〇〇九年の二月。おのおの特徴的なのは、女性を酒に酔わせて、飲ませて暴行を集団で働くという、ひきょう者のきわみだと思いますが、こういう事件が多く起きております。

特に二〇一六年は、立て続いて四件ですね。起きたところは、おのおの、東邦大学の医学部の卒業生である研修生が、千葉の船橋中央あるいは東京慈恵医大等々に勤めていて、研修をやっていて、これもお酒を飲ませて暴行した。専用のマンションの一室を借りてやっていた。東京大学でも、大学生と大学院生五人が、同じように、女性を酒に酔わせてわいせつ行為に及ぶ。慶応大学でも、神奈川県の葉山の合宿施設で、ミス慶応コンテストを主催して、そのときに被害女性を集団で強姦する。そして千葉大学、これも医師が関係していますが、千葉大学医学部の男子学生らが、飲食店で女性を酒に酔わせてトイレで暴行する。医学生三人と医師一人、東邦大学の方も研修医と現役学生一人ということで、どの事案を読んでも、大変に社会の風紀がもう本当に乱れていて、深刻な実態と私は思います。

ここでお尋ねですが、今回、集団の強姦あるいは準強姦などについては、集団強姦罪というものを廃止することになっております。

平成十六年に、集団で強姦するとは、共謀して強姦するわけですから、普通の強姦よりはやはり問題が大きいだろうということで、集団強姦罪と別途、やはり法律というのは国民へのメッセージですから、こういうものはやってはならない、より厳密に罰するぞということで、平成十六年に改正が行われました。

今回廃止となっておりますが、果たしてこれで国民へのメッセージを誤ることがないのか。これだけ事件が起きているときに廃止をして、例えば、強姦の実際の量刑が上がったから、わざわざ集団強姦罪だけ別にしなくてもいいんですという考え方かと思いますが、法律とは何か。国民へのメッセージだと考えれば、現時点で集団強姦罪をなくす意味は何でありましょう。

 

○盛山副大臣 阿部委員の御指摘のとおり、今こういうような事案が大分ふえているというのは、本当に残念なことだなと思います。私もいろいろ感想を述べたいわけでございますけれども、法務省として述べることではないでしょうから、ちょっとそれは残念ながら別の場でということにさせていただきますが。

お尋ねの集団強姦罪廃止の件でございますけれども、現行法におきましては、集団強姦罪の法定刑の下限が懲役四年でございます。今回の法改正では、強姦罪の法定刑の下限を懲役三年から五年に引き上げるということで、現行の集団強姦罪の法定刑の下限を上回るということになります。

ということでございまして、集団による強姦の悪質性については、引き上げられた法定刑の範囲内で量刑上適切に考慮することによって適切な科刑が可能であるといったことから、集団強姦罪を廃止することが相当と考えますし、また、集団強姦罪を廃止する以上、集団強姦致死傷罪についても廃止するのが相当と考えたところであります。

そして、阿部先生御指摘の、誤ったメッセージを発することになるのではないか、こういうことでございますけれども、集団的形態の強姦、準強姦については、暴力的犯罪としての凶悪性が著しく強度である点で悪質であるという点では私どもも同感でございます。

しかしながら、今回、強姦罪の量刑を引き上げるということとしたものでございますので、仮に、今般の強姦罪、強姦致死傷罪の法定刑の下限の引き上げに合わせてさらに集団強姦等の罪等を引き上げるとすれば、例えば、集団強姦罪の法定刑の下限を、通常の強姦罪の懲役五年を超える例えば懲役六年などとして、そして、集団強姦等に係る致死傷罪の法定刑の下限を、通常の強姦致死傷罪の懲役六年を超える例えば懲役七年といったことが考えられるわけでございます。

しかしながら、現行法上、集団強姦等に係る致死傷罪の法定刑の下限につきましては、酌量減軽をした場合において執行猶予を付することができる限界である懲役六年とされております。この趣旨は、犯行に加担した者の中でも関与の度合いが比較的軽微な者であって前科等のない犯人が、被害者に対して最善の慰謝の措置を尽くすなどしたにもかかわらず、酌量減軽をしても執行猶予を付し得ないことには問題があると考えられたからでありまして、この趣旨は現在も妥当することから、法定刑の下限を懲役六年を超えるものにすることは適当ではないといったようなことでこういった結論になっているということを御理解いただきたいと思います。

 

○阿部委員 今御答弁いただいたのは単に量刑の年数の問題であって、私が申し上げたいのは、法は社会へのメッセージ。その数量化されたものが何年という刑ではありましょう。しかしながら、これだけ集団の強姦事件が起きている中で、集団強姦罪そのものが廃止ということは、やはりその名前を残すことだってできるわけです。何がいいことで何が悪いことなのか、何をやるべきではないのかというメッセージがこれでは明らかにならない、法の持つ意味が後退をすると私は思います。

大臣、普通に常識で考えて、これら、今まで随分、強姦しても、確かに執行猶予がつくものが多いのです。懲役三年でも執行猶予がつくとか、現実には強姦しても罰せられないというメッセージにもなりかねないから、その法定刑を上げていくということはいいと思います。しかし同時に、集団強姦罪そのものがなくなるというものではない。その行為に対する考え方というものは明示されるべきだと思いますが、金田大臣、いかがですか。

 

○金田国務大臣 委員御指摘の点は先ほどから拝聴いたしておりました。

私どもがこのたびの改正に際しまして申し上げたいことは、ただいま副大臣から申し上げたとおりであります。

 

○阿部委員 この刑法改正に当たって、特に子供たちを性暴力から守るためにぜひ改正をと言っておられた方からの言葉なんですけれども、法律は大人から子供へのメッセージというふうに言っております。これを読みかえると、法律は時々の社会がどうあるべきかのメッセージであります。私は、大事なところが抜けているように思います。物事の軽重だけではかっていって、執行猶予になる年限がどこからかなどでやっていくということは、そもそも残すこともできたはずですから、今の御答弁については承服しかねますが、そうされたということは、御説明ですから、承りました。

そして、では、どうして私たちの社会はこうなってしまったのかということで、医学部教育のあり方ということも、特に東邦大学や千葉大学は、医師になる方たちが率先して強姦を起こすなんということは本当に厳しく罰せられるべきだし、また、教育課程でそういうことはきちんと、女性の人権、ジェンダーは教えられるべきですが、一体文部科学省はどう取り組んでおられるのかについてお伺いいたします。

 

○樋口大臣政務官 将来医師を目指す医学生には、とりわけ高い倫理観や人権意識が求められていると認識をしております。

医学教育において、学生が卒業時までに身につけておくべき必須の実践的診療能力の学修目標を提示いたしました医学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて、医の倫理と生命倫理に関する規範に関する項目が盛り込まれているところでございます。

これらに基づきまして、各医学部において、一般社会倫理から医の倫理まで広く学び、これらを深く学んで理解する、倫理、心理、社会問題に対応できる能力を養うといった、医師として求められる倫理観や人権意識を涵養するための教育が実施されていると認識をしております。

さらに、平成三十年度から運用予定の医学教育モデル・コア・カリキュラム、平成二十八年改定でございますが、これにおいては、医師として求められる基本的な資質、能力として、新たに、医師としての尊厳と責任を自覚し人格を高めることや、法規範の遵守及び法秩序の形成に努めることが明示された日本医師会の医師の職業倫理指針に関する規範を概説できるといった項目を盛り込むなど、医の倫理にかかわる学修目標を充実しているところでございます。

文部科学省といたしまして、このような取り組みを通じて、医師としての職責や倫理に関する教育がさらに充実をするよう、各大学に対して促してまいりたいと思います。

 

○阿部委員 今の御説明を聞いても、やはり、女性の人権やこういう強姦ということについて、ほとんど具体的にそれでは教えられないと私は思います。そういう方がお医者さんになって本当に女性たちが安心してかかれるだろうかと、恐怖すら覚えます。

私の提案は、先ほど石原副大臣がいろいろこれから充実させるとおっしゃった、ワンストップ支援センターを各大学医学部に置くことです。二十四時間できるのですから。そして、そういうことが自分のそばにある、何がこれは問題なのかということを、OJTではありませんが、日々学ぶことであります。事態は非常に深刻です。

これは、次に、厚生労働政務官にお伺いいたしますが、多くの大学病院は同時に特定機能病院で、患者さんに対してハイレベルな医療を提供する、当然高い倫理性も求められる。例えば、特定機能病院にワンストップ支援センターの医療型を設置するとか、何らかの具体的なことがなければ、倫理規範といってこうやって読んでも、正直だめなのです。

本当にこういうことが根絶されるように、私は前、厚生労働委員会でこれを取り上げたことがありますが、ぜひ、文科省と協力して、特定機能病院ないしは大学病院、特定機能病院の八割以上は大学病院ですから、人材はおられるはずです、できるはずです、お取り組みいただきたいが、いかがでしょう。

 

○堀内大臣政務官 阿部委員御指摘のように、性犯罪、性暴力被害の支援を行うに当たって、医療機関の果たす役割は大変重要だと認識しております。

しかしながら、性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、先ほど阿部委員がお配りくださった資料の四にございますように、病院拠点型のみならず相談センター拠点型などの多様な形態がありまして、特定機能病院や医療機関以外の類型も含めどのような主体がその役割を担うべきかについては、地域の実情に応じて検討される必要があるものではないかと思っております。

厚生労働省といたしましても、引き続き、文科省、内閣府と連携しつつ、ワンストップ支援センターの設置に向けて、関係団体や都道府県に対する周知、協力依頼、そういったものを行ってまいりたいと思っております。

 

○阿部委員 国としてやるべきことを地域の実情に逃げたら私はだめだと思います。

私たち五つの野党で、ワンストップ支援センター医療型を設置してほしいという法案を実は提出しております。それは、やはりそこに政治の意思の優先順位を置けということであります。

被害者をきちんと受けとめられる支援センター、もちろん、相談型でも、ないよりはずっといい、連携型もそうであります。でも、絶対必要な産婦人科医療の部分がきちんとそこに常時確保され、そこで性暴力とは何かということを自覚した医師が育ち続けるということが、社会から性暴力を根絶していく大きな道だと思うし、同時に、学生たちが逆に言うと安易にこういう事件を起こさない、そうしたことを保障していくと私は思います。

ちなみに、私がこれだけ力説するのは、今、大変問題になっております、TBSの元記者が詩織さんという女性を準強姦したかもしれないと言われている事件がございます。これが、もしも病院拠点型に来ていただくと何が違うのか。

実は、先ほど申しました性感染症があるとかあるいは避妊措置をとるとか、いろいろありますが、それと同時に、血液を必ず採取して保存しておきます。そうすると、今多い、集団強姦も全部そうですが、酒に酔って、あげくに強姦をするわけです、血中のアルコール濃度、あるいはデートのときに相手の意識をなくすために使う薬物などの濃度も、きちんとそこがチェックできます。

医療は常に、例えばそれがいろいろな中毒ではないか、何が起きたのかということを検証するために冷凍保存を、このワンストップ支援センター、SACHICOに行っていただけばわかりますが、血液をとってやっております。恐らく、警察の窓口に行かれても、それだけの体制がある病院につながらないことも多いと思います。

私がわざわざ準強姦と強姦を分けたのは、そのとき女性に記憶がない、もちろん、同意によらない性交は一緒です、でも、情況証拠を固めていかないと、告訴にも結びつかない、結局不起訴になっちゃう。それでは本当に魂の殺人と言われるレイプの犠牲者は後を絶ちません。

金田法務大臣にもう一度伺います。

私は、そういうことをきちんと見てきていただきたいのです。病院拠点型の支援センターとはどんな体制で、ここは何が保障されているのか。最後に、金田大臣、私は、今これだけ世上騒がれている強姦の問題、女性たちの虐げられた人権の問題、どうやっても政治が意思を持って解決していかなければならないと思いますが、視察を兼ね、そして状況を見ていただいて、本当の充実、本当の支援のために先頭に立って御尽力いただきたいが、御答弁をいただきたいと思います。

 

○金田国務大臣 阿部委員の先ほどからの貴重なお話を伺っておりました。ワンストップ支援センターの設置促進は非常に重要であるということ、それに加えて病院拠点型が非常に意味があるというお話、そういう一つ一つになるほどなという思いを持って先ほどからお聞きしていたことを繰り返し申し上げたいと思います。

このたびのこの法案のことにつきましては、今までも可能な限り、たくさんの皆様の思いやお話や経験をお聞きしてこの改正に至ったわけですけれども、私たちの努力というものはこれで終わりとかいうものではありません。これからも、法案の成立を見た暁には、それをベースにした対応をやはりしっかりと行政としても考えていかざるを得ませんし、そしてまた、その法律に足らざることがあれば、それはまた次の機会を考えていく、そういう努力を続けなければいけないなという思いを改めて感じた次第であります。

 

○阿部委員 ありがとうございます。

最後に、この五年間の被害者とつき合って見えてきたことというSACHICOの取りまとめをお伝えしたいと思います。

一つ、警察に行けない被害者も多い。一つ、妊娠してからの来所が多い。一つ、アルコール使用、ネットでの接触、集団レイプが多い。一つ、障害を持つ人の被害の発見と対応がおくれがちである。一つ、子供の性被害が多い。

これらは全て潜在化しやすいもので、このワンストップ支援センター医療型が大きな役割を果たしたということであります。

大体、年間三千万から五千万の維持、運営、管理費が必要です。石原副大臣にも御尽力いただきますが、政府を挙げて、そして厚労省も文科省も御尽力をいただきたい。

以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

 

○鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

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2017/06/07 ページ用コンテンツ   abetomokojp
タグ:国会より/ニュース
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