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【質問主意書・答弁】技能実習生・留学生らの妊娠・出産に関する抜本的な対策に関する質問主意書

6月12日提出「技能実習生・留学生らの妊娠・出産に関する抜本的な対策に関する質問主意書」の答弁が、同17日にきました。

衆議院HPからも見られますので、是非ご注目ください。

令和六年六月十二日提出
質問第一三六号
 

技能実習生・留学生らの妊娠・出産に関する抜本的な対策に関する質問主意書

提出者  阿部知子

技能実習生・留学生らの妊娠・出産に関する抜本的な対策に関する質問主意書

 技能実習生や留学生が孤立した状態で出産や中絶をする事件が跡を絶たない。送り出し機関や受け入れ機関が「妊娠してはいけない」と警告したり、実際に妊娠した女性に退職や退学、さらには帰国を迫ったりするため、相談しづらいことが背景にある。
 妊娠や出産をめぐる事件や裁判の当事者の出身国は、中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、スリランカと多岐にわたり、各種報道や関係団体調査によれば、十五件もの事例があり、特定国の出身者に固有の問題ではなく、受け入れ国である日本政府の不作為が問われるべきではないかといえる。
 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の報告書は、妊娠や出産については全く触れられておらず、今般のいわゆる入管法改正で、技能実習制度が育成就労制度に改められても、家族帯同は認められないことから、抜本的な対策が検討されているとは言えない。
 以上を踏まえ、以下、質問する。

一 技能実習生に関しては、法務省・厚生労働省・外国人技能実習機構が、二〇一九年三月十一日に「妊娠等を理由とした技能実習生に対する不利益取り扱いについて(注意喚起)」を実習実施者や監理団体に対して発出後、二〇二一年二月十六日、同年五月十四日、二〇二二年十二月二十三日と、数次にわたって法令順守を呼びかけている。また、二〇二一年五月十四日には多言語で技能実習生向けの資料も公開している。しかし、国会における政府答弁で明らかになったデータ(例えば、二〇二一(令和三)年三月十二日牧山ひろえ参議院議員提出「外国人技能実習制度をめぐる各種のトラブルに関する質問主意書」(第二百四回国会質問第三四号)に対する答弁書(二〇二一年三月二十三日)や二〇二四(令和六)年五月十日に衆議院の法務・厚生労働委員会連合審査会での阿部知子議員への政府答弁。)を見ると、技能実習生が妊娠・出産後に実習を継続できるよう改善が見られたとは言えない。①妊娠・出産を理由に「技能実習困難時届」が出された数のうち、②「技能実習の継続意思を有するもの」、さらに③「技能実習を再開する技能実習計画の認定が確認できたもの」の集計結果を、二〇一七年十一月一日のいわゆる技能実習法施行時を起点に二〇二〇年十二月三十一日までの三十七ケ月間と、二〇二二年三月三十一日までの五十三ケ月間の集計結果を見ると、①妊娠・出産を理由とした技能実習困難時届数は、年間二百七件から三百五十二件へと増えている。しかし、②技能実習の継続の意思を有するもののうち、③再開する技能実習計画の認定が確認できたものは、二十三・四%から十七・二%へと減少している。注意喚起だけでは、技能実習生が産前産後休業や育児休業を取得してから実習を再開することは困難であると考えられる。
 1 政府は、この集計結果を定期的に公開するとともに、実習を再開できない理由を精査すべきではないのか。

一の1について
 御指摘の「①妊娠・出産を理由に「技能実習困難時届」が出された数のうち、②「技能実習の継続意思を有するもの」、さらに③「技能実習を再開する技能実習計画の認定が確認できたもの」の集計結果」については、技能実習を中断した技能実習生が、技能実習を継続する意思を有しない理由や、当該意思を有する場合でも結果的に技能実習を再開しない理由は様々なものがあり得るところ、「技能実習困難時届」及び「技能実習計画の認定」の件数を集計した結果のみをもって、例えば御指摘の「法令順守」の状況や「技能実習生が妊娠・出産後に実習を継続できるよう改善が見られた」か否か等を評価することは困難であるため、御指摘の「実習を再開できない理由を精査」することはできず、また、当該集計結果を「定期的に公開する」必要があるとは考えていない。なお、技能実習の再開を希望する技能実習生が何らかの理由で技能実習を再開できない等の問題が生じた場合には、当該技能実習生からの相談を受けた監理団体(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二条第十項に規定する監理団体をいう。以下同じ。)又は外国人技能実習機構(以下「機構」という。)において、技能実習を再開できない理由等を把握した上で適切に対処することとしている。


 2 政府は、二〇二二年四月以降の集計状況を示すとともに、その結果をどう受け止め、これまでの対応をどう評価しているのか、見解を示されたい。

一の2について
 法第十九条第一項又は第三十三条第一項の規定に基づき実習実施者(法第二条第六項に規定する実習実施者をいう。以下同じ。)又は監理団体が機構に対して行った技能実習を行わせることが困難となった場合(我が国に入国しておらず技能実習の開始前であることが明らかな技能実習生に係るものを除く。)の届出のうち、その届出内容から、妊娠又は出産を理由とすることが把握できるもの(技能実習生本人以外の妊娠又は出産であることが明らかなものを除く。以下「本件届出」という。)に係る人数は、法が施行された平成二十九年十一月一日から令和五年三月三十一日までの間において二千六十二人であり、そのうち令和四年四月一日から令和五年三月三十一日までの間において六百二十八人である。また、本件届出の時点で技能実習を継続する意思を有していたと確認できた技能実習生の人数は、平成二十九年十一月一日から令和五年三月三十一日までの間において二百四十四人であり、そのうち令和四年四月一日から令和五年三月三十一日までの間において百十人である。さらに、上述の二百四十四人のうち、令和五年三月三十一日までの間において、本件届出後に新たに技能実習計画の認定(法第八条第一項に規定する技能実習計画の認定をいう。)を受けて技能実習を再開した者は七十一人である。その上で、一の1についてで述べたとおり、これらの件数のみをもって、例えば御指摘の「法令順守」の状況や「技能実習生が妊娠・出産後に実習を継続できるよう改善が見られた」か否か等を評価することは困難であると考えている。出入国在留管理庁、厚生労働省及び機構においては、これまで、技能実習生が妊娠、出産等した場合における法的保護、支援制度、相談先等を記載したリーフレットの作成、やむを得ない理由により技能実習を中断した場合の再開の手続の簡素化、実習実施者及び監理団体に対する妊娠、出産等を理由とした不利益取扱いの禁止の徹底等の注意喚起等を実施してきたほか、機構において技能実習生の母国語による相談対応を実施しているところであり、政府としては、こうした取組を進めることが重要であると考えている。


二 二〇二二年に外国人技能実習機構が行った「技能実習生の妊娠・出産に係る不適正な取扱いに関する実態調査」では、六百五十人中百七十二人(二十六・五%)が「妊娠したら仕事を辞めてもらう(帰国してもらう)」と直接言われたと回答している。政府は、これまでの国会答弁で、妊娠等による不利益取り扱いを行った監理団体や実習実施者、送り出し機関では、いわゆる男女雇用機会均等法違反による認定取り消し等の行政処分になった例は一件もないと報告している。受け入れ機関による妊娠の制限は、二〇〇〇年代から報じられているが、二十年近く実効性のある対策が取られていないのではないか。妊娠の制限や警告をした監理団体や実習実施者、送り出し機関を調査し、行政処分を課すことがなければ、不処罰の連鎖は続いてしまう。
 1 政府は、この調査をどう評価しているのか。

二の1について
 御指摘の調査の結果については、重く受け止めている。


 2 上述の注意喚起文書の発出以外に、行政処分を課すこと等を念頭に入れた受け入れ機関の調査を行っているのか、その対応の内容を示されたい。

二の2について
 御指摘の調査結果を踏まえ、出入国在留管理庁、厚生労働省及び機構においては、令和四年十二月二十三日、実習実施者及び監理団体に対し、改めて、技能実習生が妊娠、出産等した場合における法的保護、支援制度、相談先等を記載したリーフレットや技能実習生手帳を用いて、妊娠、出産等に係る各種制度の説明を技能実習生に対し行うよう求めるとともに、技能実習生と送出機関(法第二十三条第二項第六号に規定する外国の送出機関をいう。)との間における妊娠、出産等に係る不適正な内容を含む契約の締結等を把握した場合には、その内容を機構に対し報告をするよう求めた。
 その上で、出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣は、法第十五条第一項に規定する改善命令又は法第十六条第一項に規定する実習認定の取消しを、法務大臣及び厚生労働大臣は、法第三十六条第一項に規定する改善命令又は法第三十七条第一項に規定する監理許可の取消しを実施することも視野に入れつつ、機構による実習実施者又は監理団体に対する法第十四条第一項に規定する実地検査等において、妊娠、出産等を理由とした不適正な取扱いなど、法に違反する行為の有無を確認している。


三 技能実習生だけでなく、留学生も妊娠の制限を受けたり、退学になったり、奨学金の支給を停止されたりする例があることが、田中雅子「日本における移民女性の予定外の妊娠と避妊や中絶サービスへのアクセス-アジア五カ国出身者に対するオンライン調査から-」(国際ジェンダー学会誌 二〇二二)や田中雅子・高向有理・鹿毛理恵「日本で暮らす留学生のための包括的セクシュアリティ教育:調査結果に見るその必要性と教材の開発」(二〇二四 上智大学アジア文化研究所)で明らかになっている。
 一方、文科省は、妊娠による高校生の退学について、二〇一五年(平成二十七年)四月から二〇一七年(平成二十九年)三月までに実施した「公立の高等学校(全日制及び定時制)における妊娠を理由とした退学に係る実態把握調査」を行い、「安易に退学処分や事実上の退学勧告等の対処は行わない」ことを求める旨、「公立の高等学校における妊娠を理由とした退学等に係る実態把握の結果等を踏まえた妊娠した生徒への対応等について(通知)」を出している。文科省は、高校生だけでなく、留学生についても実態調査を行い、妊娠の制限等をしている受け入れ校に対して指導をすべきではないか。出入国在留管理庁が毎年公表している「在留資格取消件数」や二〇二二年(令和四年)八月に公表された「在留外国人に対する基礎調査報告書」、日本学生支援機構(JASSO)が毎年実施している「外国人留学生在籍状況調査」や隔年で実施している「私費外国人留学生生活実態調査」等、現在行っている調査に「妊娠・出産」に関する項目を加えることで、妊娠した留学生の退学や帰国に関する問題把握や、その結果を踏まえた学校等への不利益取り扱い禁止の働きかけは可能だと考えられる。日本人が諸外国に留学した場合、妊娠による休学が問題になることはまずない。この問題を放置することは、相互主義の破綻とみなされ、留学先としての日本の地位の低下が懸念される。
 以上をふまえて、政府は、現状把握のための調査実施の見通しや、留学生施策の中での対応について見解を示されたい。

三について
 御指摘の「現状把握のための調査実施」及び「留学生施策の中での対応」については、その必要性も含め、今後検討してまいりたい。


四 二〇二三年六月末現在、日本には、中長期の在留資格がある三百二十二万の外国人が暮らしている。「在留資格別・性別・年齢層別在留外国人統計」に示すように、半数以上の百六十二万人が女性である。うち特定の活動のみ認められる「活動系」の在留資格の女性七十一万人の九割にあたる六十四万人は、国連の統計で生殖可能年齢に区分される十五歳から四十九歳である。さらにその内訳を在留資格別に見ると、「技能実習」の十五万人、「留学」の十四万人、「特定技能一号」の八万人は、ほとんどが生殖可能年齢である。「第五次男女共同参画基本計画」の第七分野「生涯を通じた健康支援」には施策の基本的方向として、いわゆる成育基本法に基づき妊産婦に対し必要な成育医療等を提供することが定められ、具体的な取り組みとして、女性健康支援センターなどにおいて、予定外の妊娠の悩みに対する支援を推進している。また、二〇一五年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)における目標三のターゲット3・7は「二〇三〇年までに、セクシュアル/リプロダクティブ/ヘルス・サービスへのあらゆる人々のアクセスを保障すること」、目標五のターゲット5・3は「セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス・ライツへの普遍的アクセスを確保する」を目標としている。これらの施策は、言うまでもなく、技能実習生や留学生も対象になるが、彼女たちが予定外の妊娠や孤立出産を防ぐために十分な対応はなされているのか。出入国在留管理庁が行っている「在留外国人に対する基礎調査」では、二〇二二(令和四)年度に「妊娠・出産についての困りごと」として、「費用が高い」に続いて、「学校や仕事がつづけられるか」と「相談できるところや人がいない」が「言葉が通じない」より上位の回答となっている。また、二〇二三(令和五)年度の同調査は、所属機関に対しても行われており「相談内容」として十九・三%が「妊娠・出産」を選択している。さらに「相談対応に必要だと感じること」として「妊娠・出産に関する知識」を選択した回答は、所属機関十八・二%、外国人十三・五%にのぼる。これらの調査から、妊娠・出産の相談は少なくないにもかかわらず、相談受け入れ体制が不十分であることがわかる。
 以上を踏まえ、外国人に対する情報提供や受け入れ機関における教育や研修、さらに相談体制の改善策について見解を示されたい。

四について
 外国人及び御指摘の「受け入れ機関」等を含む関係者に対しては、出入国在留管理庁において、「生活・就労ガイドブック」や「外国人生活支援ポータルサイト」により多言語で情報を提供しており、技能実習生に対しては、同庁、厚生労働省及び機構において、技能実習生が妊娠、出産等した場合における法的保護、支援制度、相談先等を記載したリーフレットや技能実習生手帳を通じて多言語で情報を提供している。
 お尋ねの「受け入れ機関における教育や研修」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、実習実施者が技能実習を行わせる事業所ごとに選任することとされている技能実習の実施に関する責任者、監理団体が監理事業を行う事業所ごとに選任することとされている監理責任者等については、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成二十八年法務省・厚生労働省令第三号)第十三条、第五十三条第二項等の規定に基づき、少なくとも三年ごとに、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める講習を修了しなければならないこととされており、当該講習において、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)や労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)を含めた労働関係法令に関する科目を受講することとされている。
 お尋ねの「相談体制の改善策」については、地方公共団体に対して外国人受入環境整備交付金を交付し、外国人や関係者に対し多言語で相談に対応する窓口の設置運営を支援するほか、通訳が必要な地方公共団体が電話による通訳を利用できるように措置するなど、外国人及びその関係者を対象とした相談体制の整備に取り組んでおり、政府としては、こうした取組を進めることが重要であると考えている。

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2024/07/04   abetomokojp
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あべともこニュースNo.702「通常国会閉会、残された政治とカネ、壊される社会保障」(2024,6,21発行)

本日第213国会が閉会しました。

政治とカネ問題で翻弄された今国会。社会保障含め、私たちの生活はどうなるのか。

政治がやるべき・向き合うべき課題は山積みです。

こちらから

2024/06/21   abetomokojp
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あべともこニュースNo.701「国民の声は無視! 政治資金の透明性はゼロ!」(2024,6,12発行)

国会も最終盤!ですが、政治と金の問題はまだまだ課題山積です。。

今号にもご注目ください!

2024/06/12   abetomokojp
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憲法フォーラムNo.28 映画「戦雲いくさふむ」特別上映会

映画「戦雲いくさふむ」の特別上映会を行います!国防について皆さんと一緒に考える機会にしたいと思います。ゲストに画家の山内若菜さんをお招きし、上映後に対談を行います!ぜひたくさんの方のご来場をお待ちしております!

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2024/06/05   abetomokojp
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あべともこ国政報告会

あべともこ国政報告会を行います。講師に大沢真理さん(東京大学名誉教授・社会保障政策が専門)をお招きし、見えない増税とも言える逆進性の高い制度の現状についてお話しいただきます。入場無料です。ぜひたくさんの方のご来場をお待ちしております!

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2024/06/05   abetomokojp
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【質問主意書・答弁】理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表に関する質問主意書

4月23日に提出した「理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表に関する質問主意書」の答弁が、5月7日にきました。

衆議院HPからも見られますので、ご注目ください。

令和六年四月二十三日提出
質問第八五号
 

理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表に関する質問主意書・答弁書

提出者  阿部知子

 

理学療法士や作業療法士の養成施設について、大学同様に高等教育機関であると確認するとともに、「教学マネジメント指針」に基づき、入学希望者のミスマッチを回避するために、学習成果や就職実績等、学生の卒業後の状況について十分な情報公開が必要であること、そのことがひいては教育の質を保証することに繋がるとして問題点を指摘しました。政府からは今後の養成カリキュラムの見直しと併せて情報公表のあり方について検討すると答弁がありました。


 高等教育機関に関して、平成十七年の中央教育審議会(文部科学省)答申以降、教育の質を保証する観点から、各高等教育機関における自主的な教育改善努力が様々に促されてきた。大学に関しては「教学マネジメント指針」(中央教育審議会)が令和二年一月二十二日に公表され、「学修者本位の教育の実現を図るための教育改善に取り組みつつ、社会に対する説明責任を果たしていく大学運営」の在り方が示された。
 教学マネジメントは、「大学が教育目的を達成するために行う管理運営」と定義され、指針は運営に問題があって教育の質が保証できていない大学に対し、確実に実施すべき取組や注意すべき点などを示したものである。具体的には、学生が学修成果を具体的に把握・可視化できるような仕組みを導入し、さらに社会からの信頼と支援を得るため、大学としての成果を自発的・積極的に公表することを求めている。
 こうした情報公表の意義については、①広く有形無形の支援を受けている社会に対し、教育という公共的使命を担う社会的存在としての説明責任、②公表による大学の教育の質の維持・向上に向けた取組の促進、③学修成果や教育成果に基づく多元的な尺度による理解と評価、④広範で具体的な情報を外部に発信することによる入学希望者のミスマッチの回避、などが挙げられており、実際に各大学のホームページ等では積極的に情報の公表が進められている。
 一方、理学療法士・作業療法士養成施設等は、こうした情報公開が進んでおらず、学生や入学希望者が不利益を被っている実態がある。教育の質を保証する観点から、理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表について、以下質問する。

一 高等教育機関は、「初等中等教育の次段階の教育課程である高等教育を提供する教育機関の総称」とされ、日本においては大学及び高等専門学校があり、専門学校(専門課程を置く専修学校)も高等教育機関とされている(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構ホームページ)。
 理学療法士・作業療法士養成施設は、厚生労働省令で定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定すると定められ、その入学資格は大学に入学することができるもの(理学療法士及び作業療法士法第十一条及び第十二条)とされているところである。では、理学療法士・作業療法士養成施設は初等教育機関、中等教育機関、高等教育機関のいずれに該当するか。的確に示されたい。

一について  
 御指摘の「高等教育機関」については、法令上の明確な定義はないが、一般に高等教育機関として理解されているものは、大学、専門職大学、短期大学、専門職短期大学、高等専門学校及び専門学校であるところ、理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)第十一条第一号及び第二号の理学療法士養成施設並びに同法第十二条第一号及び第二号の作業療法士養成施設(以下「理学療法士等養成施設」と総称する。)のほとんどが、専門学校であり高等教育機関に該当すると承知している。


二 「教学マネジメント指針」において、「大学の教育活動に伴う基本的な情報」として、各授業科目における到達目標の達成状況、学位の取得状況、学生の成長実感・満足度、卒業後の状況(進学率や就職率等)、修業年限期間内に卒業する学生の割合、留年率、中途退学率、学修時間が挙げられ、これらについては「社会からその公表が強く求められている学修成果・教育成果に関係するものであることから、早期に情報公表が進められることが強く期待される」と指摘されている。
 理学療法士・作業療法士養成施設においても、これらの情報は教育活動に伴う基本的な情報であり、受験者や学生等の関係者にとっては、当該施設を多元的に理解するに当たって基本的な情報であると同時に、結果として入学希望者のミスマッチを回避するための重要な情報であると考えるが、政府の見解を問う。
三 専門学校の情報提供等の取組に関しては、平成二十五年三月に「専門学校における情報提供等への取組に関するガイドライン」が文科省から公表されている。「提供する情報の項目例」として「在学学生数」、「中途退学」等の状況、学校の財務などが例示されており、専門学校の情報提供の必要性についてはすでに十年以上前から認識され、促進すべきものとされてきたことは明らかである。
 さらに本年一月二十四日には、専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議が、「実践的な職業教育機関としての専修学校の教育の質保証・向上と振興に向けて」と題する報告書を公表した。この中で、専修学校による情報公表の強化として、「資格取得や就職などの状況、卒業や中途退学の状況、経営情報など」を専修学校自身が的確に発信していく必要があり、責務を果たしていない学校に対しては、各種認定の取り消しなども含めた、厳格な対応を行政がとっていくことが必要と指摘されている。
 理学療法士・作業療法士養成施設も、同様に教育の質保証の観点から情報公表の責務を果たす必要があると考えるが、政府の見解を問う。


二及び三について
  御指摘の「同様に教育の質保証の観点から」の意味するところが必ずしも明らかではないが、理学療法士等養成施設においても、御指摘のように「受験者や学生等の関係者」が「当該施設を多元的に理解する」ため及び「入学希望者のミスマッチを回避するため」の情報を公表することは重要であると考えており、具体的にどのような情報が御指摘のような「教育活動に伴う基本的な情報」に当たるかも含め、理学療法士等養成施設における情報の公表の在り方については、御指摘の「報告書」において「専修学校の教育の特徴や、学校生活の様子、就職指導、資格取得や就職などの状況、卒業や中途退学の状況、経営情報などを的確に発信していく必要がある。また、情報公表等の責務を十分に果たしていない学校があることは課題である」とされていることも踏まえ、今後、理学療法士等養成施設の養成カリキュラム等の全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。


以 上

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2024/05/28   abetomokojp
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【質問主意書・答弁】『「神田警察通り」(東京都千代田区道)整備に伴う、街路樹伐採で懸念される環境対策等に関する質問主意書』

5月7日に提出した、「神田警察通り」(東京都千代田区道)整備に伴う、街路樹伐採で懸念される環境対策等に関する質問主意書への答弁が、同13日にきました。

温暖化・ヒートアイランド現象等が叫ばれる中、なぜ伐採ありきの計画が進められようとしているのか。政府関係を問いました。

詳細は、こちらからもみれます。

令和六年五月七日提出
質問第八九号

 

「神田警察通り」(東京都千代田区道)整備に伴う、街路樹伐採で懸念される環境対策等に関する質問主意書

提出者  阿部知子

 東京都千代田区の管理する区道、「神田警察通り」においては道路整備工事に関して街路樹(イチョウ)の伐採が着手されているが、本計画では、都心部でのヒートアイランド現象等対策に機能しうる、街路樹の役割が問われている。
 計画は、「一ツ橋-神田警察署前交差点間の二百三十メートル。四車線ある区道一・四キロの車線を減らし、歩行者や自転車用の道路を整備する計画の二期工事で、沿道のイチョウ三十二本のうち三十本を伐採、二本を移植する。跡地には新たに三十九本のヨウコウザクラを植える。工費は三億七千万円。」(東京新聞、二〇二二年四月二十六日)というもの。
 かねてより市民から反対の声が上がっており、六百名以上の署名を添えた伐採工事見直しの陳情書が提出され(二〇二二年七月二十五日)、住民訴訟も東京地方裁判所に係属中である。
 二〇二四年三月十一日には、反対する関係者の当該伐採作業場所への立入りを禁じる仮処分を東京地方裁判所が決定したが、立入禁止場所が恣意的に設定されるおそれがあり、抗議、反対する地元住民を排除するものであるとして、保全異議が申立てられている(同月二十一日)。
 このような状況の下、工事現場で多数の地元住民たちが反対、抗議する中で区は二〇二四年四月九日から十二日にかけて、伐採工事を行ってイチョウ十一本を伐採した。これまでの伐採数を加えると、十八本となる。
 今後とも、工事の安全確保、伐採による環境への影響等が懸念される。以下、質問する。

一 街路樹は、温暖化やヒートアイランド現象対策に加え、排気ガスや騒音を妨げる効果、災害時の避難経路を守るなど、多様な役割を担っている。欧米では、そのために、樹幹被覆率(以後、被覆率)を増やし、一定面積において被覆率を高める政策が進んでいるという。例えば、ニューヨーク市では、被覆率を二〇三五年までに少なくとも三十%に引き上げることを目指し、二〇二三年から今後十年余りで二百万本近い木を植えるという。
 その契機は、気候変動への適応力を高めるまちづくりというが、我が国も昨年十二月にも参加したCOP28(国連気候変動枠組条約第二十八回締約国会議)で、国内の温室効果ガスを、二〇三〇年度までに四十六%削減していくとしている。
 今回の同計画においては、伐採を進めることで、被覆率が下がることは明らかであり、気候変動対策の点でも、逆行的な政策ではないか。政府見解を問う。

一について
 御指摘の「今回の同計画」とは、平成二十二年三月に設置された「神田警察通り沿道まちづくり検討委員会」が平成二十三年六月に策定した「神田警察通り沿道まちづくり整備構想」(以下「整備構想」という。)を指すものと考えられるが、整備構想においては、御指摘の「伐採」と併せて、新たに樹木を植えることとなっていると承知しているところ、御指摘の「被覆率が下がる」かどうかについては、必ずしも明らかではないが、政府としては、道路の緑化は、道路利用者等への快適な空間の提供、景観の向上、地球温暖化対策等の観点から重要であると考えており、道路管理者である千代田区において、景観、管理の難易度、経済性等を総合的に勘案し、地域の特性に応じて街路樹の整備等を推進しているものと承知しており、御指摘の「気候変動対策」の観点についても、同区において、適切に判断されるべきものと考えている。


二 我が国では、大正八年に施行された「街路構造令」により、緑豊かな街路整備が進められたが、「道路構造令」(一九七一年四月施行)により、「道路の安全性・円滑性を確保する観点」が優先され、通行機能に重点が置かれる法体系となった。
 本計画では、それら法令に加え、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以後、「バリアフリー法」)に基づいた上で、「歩道空間の拡幅と快適化」とし、歩道幅を一・五から二メートル以上としているが、伐採により、日陰がなくなり、例えば、車椅子を使用される方、障がいをお持ちの方、高齢の方など、移動に時間がかかってしまう方は、夏期などの炎天下で身体や健康への影響も懸念される。
 1 その意味で、「バリアフリー法」第二条「二 移動等円滑化 高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上することをいう。」という本旨に反しないか。政府見解を問う。

二の1について
 御指摘の「本計画」とは、整備構想を指すものと考えられるが、整備構想においては、御指摘の「伐採」と併せて、新たに樹木を植えることとなっていると承知しているところ、御指摘の「日陰がなくな」るかどうかについては、必ずしも明らかではないが、御指摘の「移動等円滑化」については、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)第二条第二号において、「利便性及び安全性を向上すること」と規定されており、整備構想における御指摘の「移動等円滑化」については、道路管理者である千代田区において、御指摘の「日陰」の有無だけでなく、交通状況や公共施設等の立地状況等の地域の実情を総合的に考慮して、判断されるべきものと考えている。

 

 2 他方、「道路構造令」第十一条の四「第四種第一級及び第二級の道路には、植樹帯を設けるものとし、その他の道路には、必要に応じ、植樹帯を設けるものとする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、この限りでない。」とした上で、「3(略)植樹帯の幅員は、当該道路の構造及び交通の状況、沿道の土地利用の状況並びに良好な道路交通環境の整備又は沿道における良好な生活環境の確保のため講じられる他の措置を総合的に勘案して特に必要があると認められる場合には、(略)その事情に応じ、同項の規定により定められるべき値を超える適切な値とするものと」し、「4 植樹帯の植栽に当たつては、地域の特性等を考慮して、樹種の選定、樹木の配置等を適切に行うものとする。」とされている。伐採ありきではなく、当該道路にあった整備をすべきと考えるが、政府見解は如何か。

二の2について
 御指摘の「伐採ありき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、各都道府県知事等に対して、「道路緑化技術基準」(平成二十七年三月三十一日付け国都街第百十七号・国道環調第五十八号国土交通省都市局長及び道路局長連名通知別紙別添)を周知し、同技術基準において、樹木の「更新にあたっては、従前の道路植栽にこだわらず、道路利用状況、沿道状況等の変化を考慮し、植栽計画や植栽設計を再検討することが望ましい」としているところであり、整備構想においても、同技術基準の趣旨を踏まえて、街路樹の整備が行われているものと承知している。


三 質問一に関連して、樹幹が広がると、日差しを遮る効果が広がり、緑陰効果も大きくなるとされている。
 また、我が国の街路樹事業を調査する際は、「街路樹調査」なる、樹種、本数等が記されたものや、緑量を示す指標である「緑被率」が用いられている。「緑被率」では、芝生や低木、中木が植えられている場所の面積がカバーされるが、街路樹本数が多いことが、豊かな街路樹環境を示している訳ではなく、「樹幹被覆面積」を増やすことが重要という指摘もある。(海老澤清也「特集/『緑の街づくり』を担う街路樹の在り方を考える 街路樹再生の条件~日本の都市緑化のゆがみを問う」、一般財団法人地球・人間環境フォーラム、二〇二二)
 さらに、ランセット調査(Cooling cities through urban green infrastructure:a health impact assessment of European cities, January 31 2023)によれば、「都市の三十%を樹木で覆った場合、平均気温が〇・四度下がり、死者数が四割近く減る可能性がある」という結果も出ている。
 都心部での伐採を伴う再開発等計画において、果たしてそうした人間の生命等について危惧・懸念されていることを考慮し、積極的に「被覆率」に基づく調査を導入すべきと考えるが、政府見解は如何か。

三について
 御指摘の「街路樹調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「都心部での伐採を伴う再開発等計画」における「「被覆率」に基づく調査」の実施の必要性については、当該計画を策定する主体において、個別具体の状況に応じ、適切に判断されるべきものと考えている。

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2024/05/28   abetomokojp
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2024/05/28   abetomokojp
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