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新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する質問主意書への答弁が閣議決定されました。

阿部とも子が527日に提出した「新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する質問主意書への政府答弁書が、

6月5日に閣議決定されました。

質問と答弁(赤字)は以下の通りです

新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する質問主意書


 今般、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中で、いわゆるエッセンシャル・ワーカーとされる医療・看護・介護・保育・販売・サービス・運輸・交通・清掃など様々な分野において多くの労働者が働いている。その一方で、様々な職場において集団感染が発生しており、多くの労働者の安全と健康が脅かされている状況にある。
 日本の労働法において、事業者には労働災害等を防止する義務があり、また、快適な職場とするよう努める義務がある(労働安全衛生法第三条)。さらに労働者に対する安全配慮義務(労働契約法第五条)とともに、「労働災害の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない」と規定している(労働安全衛生法第二十五条)。
 一方、国の労災保険制度は、業務または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対し、迅速かつ公正な保護を行うことを目的としており、今般の新型コロナウイルス感染症についても、業務や通勤により感染・発症した労働者の迅速な保護・補償のために広く使われるべきである
 また、今般の新型コロナウイルス感染症に対し、ダイヤモンド・プリンセス号の対応をはじめとして、多くの国家公務員および地方公務員が、感染拡大防止対策や医療業務などに従事してきたが、国家公務員災害補償制度および地方公務員災害補償基金における、新型コロナウイルス感染症に関する公務災害の認定状況はまったく公開されていない。これは感染拡大防止対策や緊急事態宣言下での公務を担っている公務員すべての人権に関わる重大な問題である。
 これらの点を踏まえ、以下質問する。

 労働安全衛生について
 厚生労働省が公表している「新型コロナウイルスに関するQ&A」や、労使団体に発出した「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化について」(五月十四日付)等では、使用者の安全衛生上の法的義務について明確な言及がない。しかし、労働弁護団の電話相談には、看護師から「院内感染しても労災の話は病院から何もない」、「感染症病棟で従事して感染したが補償などの説明が全くない」といった声が寄せられていると聞く。多くの事業所において労働者保護の理念が徹底されていない現状を踏まえれば、こうした情報提供の機会をとらえ、改めて労働安全に関する事業主の責務と労働者の権利を明示し、周知を徹底する必要があると考えるがどうか。

 

【問一への答弁】

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二十二条の規定に基づき、事業者は、同条第一号に規定する病原体等による健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないこととされているところ、当該必要な措置は個々の事業場の実情等によって異なるため、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(令和二年五月十四日付け厚生労働省労働基準局長事務連絡別添)を活用し、事業場の実情等に即した適切な感染拡大防止対策を実施するよう、関係団体に対する累次の要請を通じ、事業者への周知徹底を図っているところである。また、事業場において新型コロナウイルス感染症にかかった者に係る労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく補償(以下「労災補償」という。)等に係る要請を行ったところである。

 

二 労災補償について
 1 新型コロナウイルス感染症による直近の労働災害の申請数と認定数は、五月二十二日に公表された請求件数四十四件(うち医療従事者三十二件)、認定件数四件(うち医療従事者二件)である。厚労省は四月二十八日通知「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」において、医療従事者等について「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」と記しているが、認定が三十二件中二件のみとはあまりにも少ないのではないか。政府の認識を問う。

 

【問二への答弁】

二の1について

御指摘の「三十二件中二件」以外の三十件の事例については、令和二年五月二十二日時点で、いずれも、労働基準監督署において、労災保険給付の支給の決定又は不支給の決定(以下「労災認定」という。)に係る調査を行っているところである。

いずれにしても、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求があった事例については、迅速かつ適正な処理に努めてまいりたい。

 

2 「日経ヘルスケア」五月十八日付記事によれば、医療・介護・障害福祉サービスの従事者等の感染状況について、「五月十六日時点で、COVID19の感染が確認された医療機関や介護事業所、障害福祉施設などの従事者の累計は千三百人を超えている。内訳は判明分で医師百五十人以上、看護師四百九十人以上。介護職員等や職員の内訳が未判明な分も合わせると従事者の感染は計千三百三十人以上に上る」とされている。同社取材班が独自の調査でまとめたものである。政府はこうした調査を行っているか。行っているとしたらどこで行っているのか。また行っていないとしたらなぜか。

 

 

二の2について

厚生労働省において、医療従事者、介護従事者及び障害福祉に従事する者の新型コロナウイルス感染症の感染者数に関する調査は行っていない。

政府としては、新型コロナウイルス感染症については、医療機関や社会福祉施設等における集団感染の事例を収集しているとことである。

 

 

3 新型コロナウイルス対策本部の下に設置された、クラスター対策班の調査で集団感染が明らかになっている医療施設は五月十日現在八十六施設とされた。これらの事業所から労働者死傷病報告が提出されているのは何件か。また、労災申請がなされているのは何件か。

 

二の3について

令和二年五月十日時点で、厚生労働省が把握していた医療機関において発生した新型コロナウイルス感染症の集団感染の事例は、八十五件であり、これらの事例について、同年六月一日時点で、労働基準監督署長が労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条の規定に基づく労働者死傷病報告(以下単に「労働者死傷病報告」という。)を受理した事例は十三件、報告件数の合計は六十八件であり、労災請求があった事例は十一件、請求件数の合計は二十三件である。

4 集団感染が明らかになっているこれらの施設において、労働者死傷病報告が適切に提出されず、施設側から労災申請が不当に抑制されているとしたら大問題である。まず労働者死傷病報告の速やかな提出を求め、労働安全衛生法違反の是正勧告を積極的に行うことにより、労災申請を喚起すべきと思うがどうか。

二の4について

事業場において新型コロナウイルス感染症にかかった者に係る労働者死傷病報告の提出や労災請求については、Q&Aや関係団体に対する累次の要請において、新型コロナウイルス感染症の陽性者について、労働者死傷病報告の提出に留意することや、労働者が業務により新型コロナウイルス感染症にかかったものと認められる場合には、労災保険給付の対象となることについて周知徹底を図っているところである。また、都道府県労働局及び労働基準監督署において、労働者死傷病報告の提出及び労災請求の勧奨に努めているところである。

 

5 感染経路が特定できないが感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下で働いている労働者については、業務起因性を個々に判断するとしている(四月二十八日付基補発〇四二八第一号、項目2(1)ウ)。スーパーのレジ担当者、タクシーやバスの運転手、育児サービス従事者などが想定されるが、潜伏期の業務や生活状況等について、専門家の意見等を求めながら調査を行うことが想定され、相当な時間を要すると思われる。該当するあらゆる労働者について、医療従事者と同様、積極的な反証のない限り業務上疾病と認定すべきと考えるがどうか。

二の5について

「感染経路が特定できないが感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下で働いている労働者」であって、患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務に従事する者(以下「医療従事者等」という。)以外の者を意味するのであれば、これらの者の従事する業務については、医療従事者等と異なり、医学的知見により業務と疾病との因果関係が確立されておらず、医療従事者等と同様の取扱いとしていないものである。このため、これらの者から新型コロナウイルス感染症に係る労災請求があった場合には、業務により感染した蓋然性が高く、業務により新型コロナウイルス感染症にかかったものと認められれば、労災保険給付の対象とすることとしており、今後とも迅速かつ適正な処理に努めてまいりたい。

6 新型コロナウイルス感染症は無症候者や軽症者が八割とされ、電車やバスなどの乗客に混在している可能性が高い。通勤途上の感染については蓋然性を広く認め、「積極的な反証がない限り」、できるだけ幅広く「内在する危険が具現化」したものとみなして労災保険給付の対象とするべきと考えるがどうか。

 

二の6について

通勤により新型コロナウイルス感染症にかかったとして労災請求があった場合には、労働基準監督署において、個別の事例ごとに調査を行い、通勤により新型コロナウイルス感染症にかかったものと認められる場合には、労災保険給付の対象となるものである。

 

 7 これまでの労災認定事例について、被災労働者の業務内容、労災と認定した根拠、労災認定に要した時間などの認定概要を公開し、新型コロナウイルス感染症による労災を具体的に類型化して例示することにより、積極的な労災請求を促すべきではないか。

 

二の7について

政府としては、Q&Aにおいて、事業場において新型コロナウイルス感染症にかかった者に係る労災補償に関する考え方等を示し、これを厚生労働省ホームページで公表するとともに、労使団体及び医療関係団体宛てに労働者の労災請求等に係る要請を行う等、様々な機会を捉えて、適切な労災請求を促しているところである。

 お、労災認定を行った事例に関する情報を公表することについては、今後、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、検討してまいりたい。

 

三 公務災害について
 国家公務員災害補償法第二条第四によれば、「人事院は、この法律の実施に関し、次に掲げる権限及び責務を有する」として、「次条の実施機関が行う補償の実施について調査し、並びに資料の収集作成及び報告の提出を求めること」と規定されている。
 1 公務中あるいは通勤中に新型コロナウイルス感染症に感染した者について、国家公務員災害補償法に基づき、三十四の実施機関(本府省等二十六機関、行政執行法人等八機関)において、補償事務主任者による探知ないしは被災職員・遺族からの申し出により、実施機関へ報告があった件数について政府が承知するところを実施機関別に示されたい。

 

2 公務中あるいは通勤中に新型コロナウイルス感染症に感染した者について、国家公務員災害補償法に基づき、三十四の実施機関において、①「公務上」と認定した件数、②「公務外」と認定した件数、③公務上外の調査中の件数について、政府が承知するところを実施機関別に示されたい。
 3 公務中あるいは通勤中に新型コロナウイルス感染症に感染した者について、国家公務員災害補償法に基づき、三十四の実施機関において、「公務上」と認定されたものについて、①療養補償の実施件数、②休業補償の実施件数、③障害補償の実施件数、④遺族補償の実施件数について、政府が承知するところを実施機関別に示されたい。

三について

お尋ねについては、人事院規則一六〇(職員の災害補償)第二十条の規定に基づき、補償事務主任者が新型コロナウイルス感染症による災害について実施機関に報告した件数は、令和二年五月二十七日時点で、零件である。このため、当該災害について、実施機関において、公務上のものであるか又は通勤によるものであるかどうかの認定が行われた件数、公務上のものであるか又は通勤によるものであるかどうかを調査中である件数並びに国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)に基づく療養補償、休業補償、障害補償及び遺族補償の実施を行った件数は、いずれも零件である。

 

 

 

四 地方公務員の公務災害について
 災害補償基金における、新型コロナウイルス感染症による公務災害への対応状況については、都道府県別に公務災害の申請数および認定数を、政府としても把握すべきと考えるがどうか。
 また、認定事例については、被災公務員の個人情報保護を図りつつ、少なくとも、被災公務員の業務内容、公務災害と認定した根拠、公務災害認定に要した時間などの認定概要を明らかにするべきである。この点について、政府としての見解を示されたい。

 

四について

地方公務員災害補償制度については、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二十四条の規定に基づき地方公務員災害補償基金が補償を実施しているところであり、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害及び通勤による災害(以下「公務災害」という。)に係る補償の請求及び認定の件数については、同基金において適切に把握すべきものである。同基金によれば、請求件数は、令和二年五月二十七日時点で、四件であり、いずれも公務災害であるかどうかを調査中である。政府としても、引き続き把握に努めてまいりたい。

また、認定を行った事例に関する情報を公表することについては、同基金において、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、適切に対応されるものと考えている。

 

 

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2020/06/10   abetomokojp
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汚染水に考慮されていない核種があることに関する質問主意書の答弁が閣議決定されました。

528日に阿部とも子が提出した「ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する質問主意書

への政府答弁書が6月9日に、閣議決定されました。

質問と答弁概要(赤字)は以下の通りです。

 

ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する質問主意書

 

経産省は東京電力株式会社福島第一原子力発電所の多核種除去設備等処理水(以後、ALPS処理水)に、「関係者の御意見を伺う場」(以後、御意見を伺う場)を四月から五月に計三回開催し、同省が選んだ関係者が出席して意見を述べた一方、東京電力は出席せず、双方向の質疑は行われていない。

一方、原発ゼロの会が、経産省、原子力規制庁、東京電力にヒアリング(以下、ヒアリング)を行い、双方向で質疑を繰り返した結果、判明した点がある。

そこで、判明点の確認を兼ねて、以下尋ねる。

 

一 二〇一九年六月十七日の原子力規制委員会特定原子力施設監視・評価検討会で東京電力が示した「多核種除去設備等処理水の全ベータ値と主要七核種合計値とのかい離調査結果について」で、東京電力は、全ベータ値と「主要七核種」とする核種の合計値には乖離があり、乖離の主要因は炭素十四(C‐14)とテクネシウム九十九であるという結果を明らかにし、①ALPA処理水の処分にあたり、環境へ放出する場合は処分前に「告示濃度限度比総和」(以後、告示比総和)一未満になるように二次処理を実施する、②今後、告示比総和にC‐14の寄与も考慮する旨を含めた「考察・まとめ」を発表した。

東京電力が「考察・まとめ」で示した①②の考え方が、今後もALPS処理水の取扱いにおいて維持されると原子力規制庁が認識していることがヒアリングで確認されたが、間違いはないか。

【問一への答弁(概要)】

 御指摘の①②の考え方が「今後もALPS処理水の取扱いにおいて維持される」かについては、東京電力が原子炉等規制法第64条の3第2項に基づく「福島第一原子力発電所 特定原子力施設に係る実施計画」におけるALPS処理の取扱いに係る実施計画の変更認可の申請書を提出すれば、原子力規制委員会が審査する。

 

二 東京電力が二〇二〇年三月二十四日に公表した「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案」(以後、素案)で示した告示比総和には六十二核種が考慮されているが、いまだにC‐14は考慮されていないことがヒアリングでは確認された。

 

1 東京電力は全タンクを測定し、告示比総和にC‐14を考慮するとの原子力規制庁の認識も確認されたが、間違いはないか。

 

【問二の1への答弁(概要)】

 御指摘のように「東京電力は全タンクを測定し、告示比総和にC‐14を考慮する」との認識を示したことは、原子力規制庁において把握している。

 

2 告示比総和にはトリチウムも考慮にいれるべきではないか。

【問二の2への答弁(概要)】

 お尋ねについては、トリチウムはALPSによって取り除くことができないこと等を踏まえ、原子力災害対策本部の下に設置されALPS処理水の取扱いに関する小委員会が令和2210日に公表した報告書(以下、「報告書」)において、「トリチウム以外の放射性物質について告示濃度限度比総和一未満を満たすことを今後の対応方針として決定」とされており、ALPS処理水の「二次処理」の対象にトリチウムを含まないこととされている。

 

3 経産省による御意見を伺う場の開催や「書面による御意見の募集」は、東京電力が告示比総和にトリチウムとC‐14の寄与を考慮した後に、改めて、経産省が選ぶ関係者に限らず、公募も含めて、双方向で質疑ができる形で行うべきではないか。

【問二の3への答弁(概要)】

 今後も、ALPS処理水の取扱いについて、広く全国から意見を聴くことができるようにするため、書面での意見募集を行い、また報告書を踏まえ、地元自治体や農振水産業者を始めとした幅広い関係者から意見を聴いてまいりたい。

 

三 東京電力株式会社福島第一原子力発電所は、いわゆる原子炉等規制法第六十四条の二に基づく「特定原子力施設」に指定された。

 原子力規制委員会は、二〇一二年十一月七日に決定した「特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対して求める措置を講ずべき事項について」(以後、原子力委員会決定)で、東京電力に対して、瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量を、二〇一三年三月までに年一ミリシーベルト未満とすることを求めた。

 

1 東京電力は三年遅れで二〇一六年三月にようやく敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満(計年〇・九六ミリシーベルト)を達成した。三年遅れとなった理由はなんだったか、政府の把握するところを明らかにされたい。

【問三の1への答弁(概要)】

 お尋ねの「敷地境界における実効線量を2013年3月までに年間1ミリシーベルト未満とすることは」2013年3月に達成された。(しかし)その後、同年4月に地下貯水槽に貯蔵されていた汚染水が漏えいし、この拡大を防ぐため、汚染水が敷地境界近くのタンクに移送されたこと等により、年間1ミリシーベルト未満を上回ることになった。このため、更なる線量低減対策等の措置が講じられ、2016年3月に未満となった。

 

2 敷地内には汚染源が複数あるため、東京電力では、実効線量年一ミリシーベルト未満の内訳は、液体廃棄物の排水に起因する実効線量を年〇・二二ミリシーベルト、気体廃棄物の放出に起因する実効線量を年〇・〇三ミリシーベルト、汚染水タンクに起因する直接線・スカイシャインを年〇・二一ミリシーベルト、タンク以外に起因する直接線・スカイシャイン線を年〇・四四ミリシーベルト、構内散水に起因する直接線・スカイシャイン線を年〇・〇六六ミリシーベルトとした。

ヒアリングにおいては、原子力規制庁も、液体廃棄物の排水に起因する実効線量の内訳は年〇・二二ミリシーベルトであると認識していることが確認されたが、間違いはないか。また政府の把握する液体廃棄物以外に起因する実効線量の最新の内訳も明らかにされたい。

【問三の2への答弁(概要)】

 原子力規制庁において、1Fからくみ上げた地下水等の排水に起因する実効線量が年間0.22ミリシーベルトであることを確認している。

 また、実施計画において、地下水等の排水以外に起因する敷地境界における実効線量の内訳は、

・気体廃棄物の放出に起因する0.03ミリシーベルト、

・敷地内各施設からの直接線・スカイシャインに起因する0.59ミリシーベルト、

・構内散水したせき内雨水の処理済水のトリチウムの吸入摂取に起因する約0.033ミリシーベルト、

・構内散水した第5,第6号機滞留水の処理済水の地表に沈着した放射性物質からのガンマ線に起因する実効線量が年間約0.042ミリシーベルト、

であること原子力規制庁において確認している。

 

3 素案には、放出前にトリチウム以外の核種が告示比総和一未満であることを確認する旨が書かれている。しかし、原子力委員会決定に基づけば、告示比総和一未満であるだけではなく、かつ同時に、液体廃棄物の排水に起因する実効線量の内訳は年〇・二二ミリシーベルト以内でなければならない。この考え方を原子力規制庁が維持していることも、ヒアリングでは確認されたが、間違いはないか。

 

4 原子力委員会決定に基づいて定められている敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満のうち、液体廃棄物由来の実効線量を年〇・二二ミリシーベルト以内に抑えるためには、素案にあるように海水中のトリチウムの告示濃度限度が水一リットル中六万ベクレルであるところ、運用基準は地下水バイパスとサブドレンを合わせて水一リットル中千五百ベクレルである。

地下水バイパスとサブドレンに加えてALPS処理水を液体廃棄物として処理する場合も、敷地境界における実効線量年一ミリシーベルト未満を超えないために、トリチウムの運用目標である一リットル中千五百ベクレルに変化はないと考えるがどうか。 

【問三の3、4への答弁(概要)】

 原子力規制委員会は、東京電力に対して、敷地境界における実効線量を、年間1ミリシーベルト未満とすることを求めており、ALPS処理水の処分は、これを満たす範囲で行われることが必要であると認識している。

 またご指摘の「0.22ミリシーベルト以内」については、東京電力が、実施計画において、トリチウムを1リットル当たり1500ベクレルとする等の運用目標を満足するように、敷地内でくみ上げた地下水等を排水する場合に関する実効線量であり、ALPS処理水を処分する場合に関するものではない。

 

 

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2020/06/09   abetomokojp
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あべともこニュース No.573(6/6) 検査、医療、生活を支える二次補正予算審議に向けて。

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2020/06/05   abetomokojp
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子ども・子育てPTが「認可外保育施設の利用料の減額に係る支援」についての要望書を、5月28日 厚労省に提出

阿部とも子が座長を務める、子ども・子育てプロジェクトチームと共同会派「立国社」の厚労部会は28日、厚労省に「新型コロナウイルス感染症対策に伴う要請――認可外保育施設の利用料の減額に係る支援を!」と題する要望書を提出しました。

申し入れには、阿部知子(本PT座長)、岡本充功(共同会派部会長)、大河原雅子(ジェンダー平等推進本部長)、早稲田夕季(本PT事務局長)、岡本あき子(本PT事務局長)の各衆院議員が参加しました。

 冒頭、阿部座長より、厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室長の森田博通氏に要望書を手交しました。要望書は、認可外保育施設の利用料を減額する必要性と、今後あるべき対策の指針についてまとめてあり、具体的には以下の通りです。

 認可外保育施設は、保育所待機児童対策における保育の受け皿として、また地域の子育て環境において、重要な役割を担っている。
 ところが、新型コロナウイルス感染症対策において、国、自治体及び社会的な要請により登園自粛に協力したとしても、認可外保育施設が利用料の減額を行わない限り、利用者が保育サービスの提供を受けていないにも関わらず、利用料の負担をせざるを得ない場合がある。一方で、利用料の減額を行った認可外保育施設は保育料収入が途絶え、存亡の危機に立たされている。
 そこで、認可外保育施設の利用料の減額に係る国の支援を早急に講ずることによって、現在、不可欠とされる保育基盤と、子どもが継続して保育を受ける権利を保障すべきである。

(1)対象
 新型コロナウイルス感染症により施設が臨時休園等した場合や、感染防止を図るため施設等から登園自粛を要請され、施設を欠席したにも関わらず、利用料を請求されている児童ならびに減額を行った施設

(2)減額への助成
 当該認可外保育施設の利用者負担額を基にした日割金額を助成

(3)対象期間
 令和2年2月27日から6月30日において登園自粛した日数分
 ※「小学校休業等対応支援金」を参照

 提言書手交後の意見交換で申し入れに参加した議員からは、「このままでは保育料を払わなければならない保護者の家計か、保育料を支払ってもらわなければやっていけない認可外保育施設、どちらかが倒れるか、最悪の場合どちらとも倒れてしまう」という指摘がなされ、「ただでさえ少なくなっている子どもたちへの保育の基盤を支えるためには、保護者の家計と施設の双方を支える手立てを講じる必要がある」という要望が述べられました。

(認可外保育施設の利用料)新型コロナウイルス感染症対策に伴う要請.pdf

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2020/06/05   abetomokojp
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カジノ政策に関する再質問主意書への答弁が5月26日に閣議決定

前回提出した「カジノを含む観光政策の見直しに関する質問主意書」で的を射た答弁を得られなかったので、5月14日に再質問主意書を提出し、

答弁が閣議決定されました。

 

コロナ禍に際して観光政策目標の仕切り直しが必要ではないかと質すと、「多くのクルーズ船の寄港の予約が取り消されるなど、厳しい状況」「ご指摘の目標の実現に影響を与える」との認識が示されました。

それならばカジノ誘致はいったん立ち止まるべきです。

問いと答弁概要(赤字)は以下の通りです。

 

【問一】 

前回主意書の問三で、新型コロナウイルスが国際的に蔓延した今、「訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人」とした政府の目標は見直しが必要ではないかを尋ねた。これに対して、政府は、「感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後には、反転攻勢し、官民を挙げたインバウンド復活への取組を進めていく」と答弁した。

 インバウンドの早期復活は、誰もが望むことであるが、今年はすでに五カ月が経過しようとしており、二〇二〇年の目標は達成できないと見込んで、仕切り直す必要があるのではないか。改めて問う。

【答弁概要】

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くのクルーズ船の寄港の予約が取り消されるなど、厳しい状況に置かれていると認識している。

感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後には、反転攻勢し、官民を挙げたインバウンド復活に取り組む。

 

【問二】 

港湾法改正により、政府は訪日クルーズ船を受け入れる「国際旅客船拠点形成港湾」を九カ所指定した。

1 九カ所のうち長崎県の佐世保港は、運用開始年である二〇二〇年は二百九十五回の寄港回数を目標としていた。政府はその達成見込みを政府目標へと反映していくつもりはあるか。

2 熊本県の八代港では、今年二月に予定されていた国際旅客船拠点の完成式は主催者の一つである国土交通省の判断もあって中止され、三、四、五月に予定されていたクルーズ船の寄港は全てキャンセルとなった。これは、「訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人」とした政府目標にどのような影響が見込まれると政府は考えているのか。

【答弁概要】

 クルーズ船の佐世保港、八代港への寄港回数の減少は、少なからず、ご指摘の目標の実現に影響を与える。

 

【問三】 

世界最大と言われるカジノ運営会社である米ラスベガス・サンズは、日本での統合型リゾート施設(IR)の事業ライセンス取得を断念するとの報道がある。米シーザーズ・エンターテインメントも既に事業ライセンス取得に向けた活動を中止している。

1 政府はこれらの事実を承知しているか。

2 新型コロナウイルスの蔓延が事業ライセンス取得を予定していた他のカジノ運営会社にどのような影響を与えているのかを調査すべきではないか。

 

【答弁概要】

 報道等により承知している。

 「他のカジノ運営会社」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難

 

 

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2020/05/29   abetomokojp
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5月22日 党を代表して、社会福祉法等の一部改正案に反対討論を行いました。

阿部とも子が社会福祉法等の一部改正案に、党を代表して反対討論を行いました。

                                        (以下内容です。)

立国社の阿部とも子です。

「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」に反対の討論を行います。

 

反対の理由は審議の前提が整っていないことに尽きます。

 

第一に、新型コロナ禍に見舞われている最中、まして黒川検事総長辞任で総理の任命責任が問われる中、せかされるように審議、採決すべきではありません。

今回の法案は、主な法律だけを挙げても、社会福祉法、介護保険法、老人福祉法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律、社会福祉士及び介護法と相変わらず数多くの法律を束ねています。

そして、審議の中で指摘されたのは、全国各所の介護施設で起きている入所者と介護者の集団感染です。報告があるだけで40の高齢者福祉施設で集団感染が起き、感染者は446人、死亡は39人いることが分かりました。歯止めをかけるには何がなされなければならないかを最優先するべきでした。

また、日本が今、大きく依存しようとしている外国人介護人材の実情から目を背けるべきではありません。EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号、と次々と新たな名目で外国人介護人材の受入れの仕組みを作ってきました。

ところが、いま新型コロナの蔓延により、技能実習を終えても日本から出られず困窮する人から、介護福祉士の養成施設に入学したものの、親御さんが心配して帰国せよと言われ悩む留学生まで、人道的観点からも優先すべきは目の前の外国人材への支援のあり方です。

 

第二に、法案の中身です。とりわけ束ねた法案の一つ、「社会福祉士及び介護法の改正案」についてです。平成19年改正で福祉系高校を出ても、実務経験を重ねても、養成施設を出ても、誰もが「介護福祉士」の国家資格を合格することを義務付けました。

しかし、平成18年に締結したフィリピンとのEPA(経済連携協定)との整合性確保のために、養成施設を出て5年就労すれば介護福祉士になれるという経過措置をつけ、同時に、その経過措置が終わっても、不合格となった場合の「准介護福祉士」資格が創設されました。

しかし、それはあくまで、フィリピンとのEPAとの整合性を確保する暫定措置でした。ところがその後、この暫定的な経過措置が、養成施設卒業者にだけ適用されたまま、諸々の理由をつけて何回も延長されてきました。

国会はその解消をその都度、附帯決議して、行政に求めてきました。

平成28年改正のときも、

「准介護福祉士の国家資格については、フィリピンとの間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、早急にフィリピン側と協議を行う等の対応を行うとともに、当該協議の状況も勘案」するとしました。

ところが、協議内容を聞いても、その日時すら国会には明らかにされません。

 

一つ一つの法案の問題点を法案の束に隠し、直面する新型コロナ感染症から介護人材を守るための処遇改善はなおざりに、外国人介護人材に関する立法事実を外交の壁の中に隠し、そんな無責任な内閣提出法案のあり方を、これ以上、許容することはできません。

 

国会はまず総理の黒川検事超任命責任を明らかにするとともに、コロナ感染症対策に全力をあげるべきです。本日の審議の前提を欠いた採決にも反対し、審議の延期を求めます。

 

以上、反対討論と致します。

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2020/05/26   abetomokojp
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「但し書き」を削除し、介護施設の高齢者は原則入院を~5月20日厚生労働労働委員会~

「但し書き」を削除し、介護施設の高齢者は原則入院を

5月20日厚生労働労働委員会

 

 阿部とも子は新型コロナウイルスの検査体制に関して(1)入院時検査の保険適用

(2)妊娠時検診にPCR検査を実施すること(3)介護施設のクラスター(集団感染)

対応等について取り上げました。

 

 医療や介護現場でのクラスター発生数253件のうち医療機関が86件、介護・福祉施

設、障害者・児童施設などが59件とされていますが、特に介護施設では入院先が見つ

からず待機中に亡くなる例が多数報告されています。厚労省の通知は「高齢者や基礎

疾患がある場合は原則入院」とありますが、「ただし、入院調整までの一時的な期間

について、介護老人保健施設等で入所継続を行うことがある」と続くのです。これが

常態的に運用されていると指摘、但し書きの削除を求めました。大臣は「原則に従っ

て対応してもらえるよう、現場と連携していきたい」と応じましたが、永寿総合病院

で起きた院内感染もまた、免疫力の低下した患者さんたちに野火のように広がった集

団感染で、死亡42人のうち、22人が同じ血液内科の患者でした。阿部とも子は「感染

前の早い段階で転院していれば助かった命も、留め置かれることによって感染が拡大

していく」と迅速な対応を求めました。

 また、お産の現場でも里帰り出産拒否や受け入れ拒否が続いています。分娩こそ濃

密な共同作業であり文字通りの三密現場です。阿部とも子は現行の妊婦健診に組み入

れるなどの方法でPCR検査を検討してはどうかと提案。院内感染を防止し、医療者を

守るためには入院・入所時の公費によるPCR検査を義務化すべきです。医療機関につ

いては「医師が必要と認めた場合」に保険適用とされていますが、運用はあいまいな

まま。阿部とも子は引き続き追及していきます。

資料はこちらからどうぞ

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2020/05/25   abetomokojp
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あべともこニュースNo.572(5/23)妊婦さんにPCRを!介護施設の高齢者は原則入院を!

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2020/05/23   abetomokojp
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感染症対策は日常の医療体制の整備あってこそ~立憲民主党公式HPインタビュー記事より

感染症対策は日常の医療体制の整備あってこそ 阿部知子衆院議員

(立憲民主党公式ホームページに掲載のインタビュー記事より)

 

新型コロナウイルスに最前線で戦っている医療現場に日々広がる不安の声。こうした実態をどう受け止め、立憲民主党として取り組んでいくのか。

後手に回っているといわざるを得ない政府の取り組みに対し、いま必要な政策は何なのか。医者であり衆院厚生労働委員の阿部知子議員に話を聞きました。

 

大事なのはお互いが理解し合える共通の基盤

 新型コロナウイルスという新たな感染症に対し、特に緊急事態宣言によりさまざまな自粛・要請を受けるなかでこの状態がいつまで続き、果たしてそれに耐えられるのか。

この見通しのない不安の背景にあるのは、日本でコロナ感染症を考える時に信頼に足るデータがないことです。3月13日に新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)が改正されましたが、それにさかのぼっての、安倍総理が2月26日に急遽発表した、全国の小中高校と特別支援学校への一斉臨時休校要請や、4月7日の緊急事態宣言発令、同月13日の対象地域の全国への拡大等、何がどうなっているのかという全体像が見えず、だからこうするのだという政策判断の根拠が分からない。お互いが理解し合える共通の基盤、合意がないままに政府の思いつき的な強い措置がなされ、国民の漠然たる不安が広がっていると感じます。

検査の拡充と隔離は車の両輪

 感染症は、検査して隔離するのが原則です。新たな感染症で、実態全ては分からないかもしれませんが、少なくとも必要な検査を必要な人が受けられる体制が必要です。政府はこれまで、感染の疑いがあった場合には、保健所の許可を得てから「帰国者・接触者外来」を通じてPCR検査を行う方針で、実施数を抑制。検査の対象をより厳しく絞り込み、クラスター潰しと重症者治療を優先してきました。こうして市中感染を放置してきた結果、無症状感染者があちこちで感染を拡大させ、感染経路不明者が3分の2を占めているのが現状です。

 厚生労働省はようやく4月15日付で、「ドライブスルー」方式を認める事務連絡を都道府県などに出しましたが、私たち野党は3月3日に「PCR検査拡充法案」を提出、2カ月前から「ドライブスルー」方式や「ウォークスルー方式」(※)を実施するよう政府に求めてきました。「保健所に何度も電話したけれど受けられない」「発熱の症状があっても4日目まで待つように言われているけれど大丈夫だろうか。人にうつさないだろうか」。巷にそういう声が満ちていたなか、政府の対応が後手になっているのは明らかです。

※ボックス内から手袋をした手だけを出して検体を採取する。

 

療・検査体制が不十分で現場は不安に

 今回一番の問題として露呈したのは、感染患者等を診療する際に必要なサージカルマスクやN95マスク、顔を覆うフェイスシールド、ガウンなど、医療従事者の個人防護具の不足です。そうすると病院や診療所も患者さんの受け入れを断らず得なくなる。ガウンがないからと雨合羽が配られていますが、これでは十分に戦えません。「備えあれば憂いなし」ではなく、備えなくて恐怖ばかりというのが実情でしょう。

 民主党政権時代に作った新型インフルエンザ等対策特別措置法は、日常医療の定点観測をしながら、必要な場合には緊急事態宣言を発令できるという、二段構えの法律です。発生に備えた事前の準備、日常の医療体制の充実を求め、新型インフルエンザ等の発生前(平時)に、政府や自治体が対策の実施に関する行動計画を定めるとしています。

 今回の新型コロナウイルス感染症では、昨年12月に中国湖北省武漢市を中心に発生した後、日本国内では今年1月15日に武漢市に渡航歴のある男性が初めて感染したのを確認されましたが、中国からの観光客はなお、一部制限のみで入国し続けていました。その後2月になり横浜港に到着しているクルーズ船内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。対応が追い付かないなか、保健所を通じた接触者・帰国者外来が機能しなくなってしまいました。検査体制が不十分であるために、「もしかしてこの人は罹っているかもしれない」という不安が医療現場にも生まれ、病院に来ないでくれ、診たくないとなる。3月下旬からものすごい勢いで救急車のたらい回しが増えましたが、これはちょうど感染経路不明な患者が急増した時期と重なり、その少し前から永寿総合病院(東京都台東区)での集団感染をはじめ、医療・介護・福祉施設でのクラスターが発生しています。

 この3つの現象は、どれも接触者・帰国者外来と、保健所を核とした体制が機能しなくなったことに由来するものです。保健所は1991年からこの30年間で約半数に減らされ、人員も足りず、そのほとんどが非正規職員というなか、未曾有の事態に「相談受けろ」「必要性を判断しろ」「入院ベッドを確保しろ」と言われても、対応できません。

 

求められるのは日常の保健所行政の充実

 

 今回の新型コロナウイルスに限らず、これまでのSARS(重症急性呼吸器症候群)もMARS(中東呼吸器症候群)も、みな21世紀の感染症です。1998年の感染症法改正の目的は、「感染症の発生と拡大の防止、患者・感染者に対する良質な医療の提供と人権の尊重」等としています。ハンセン病の例を踏まえ、隔離措置等を原則としない制度の実行を担保するために、国などの責任として、日常の保健所行政を充実させ、必要な感染症病棟も確保をしながら感染症対策に必要な医療体制を整備していく。しかし実際には、厚生労働省は「空き病床になっている」「稼働率が良くない」という理由で感染症病床をどんどん減らしていきました。象徴的なのが、昨年の公立病院や公的病院の改革で、「再編・統合について特に議論が必要」と公表された440カ所の公立・公的病院のうち53施設は感染症指定病院です。今ですら足りないのに、これ以上縮小したらどうなってしまうのか。公立・公的病院は感染症をはじめ、民間では採算の取れない医療を担ってきており、国家としての危機管理ができていないと言わざるを得ません。

 また、この感染症は、あらゆる意味で国際協調が重要です。グローバル社会では、人・もの・金の移動が速いですから、ウイルスの特定や、ワクチン、治療薬の開発など、国際的に情報を共有し戦える体制にしないと乗り越えられません。

 

社会保障を充実させ、平和的生存を守る

 いま大事なのは、救急患者の受け入れや、民間では採算の取れない医療を担い、地域の命の砦になっている基幹病院を守ることです。そこが崩れだすと他の医療ができなくなりますから。現場で感染の危険に立ち向かわなければいけない負荷に加えて、コロナ対応により経営環境が悪化している医療機関への支援も必要です。コロナの感染がこれだけ拡大すると、そのほかの外来患者数は平時の3分の1程度になっているとも言われています。

 本来、日本は国際的な医療支援を積極的に行うことができるチームを持っていたし、実績もあるわけです。でも、いまの日本はそうした状況になく、足元のことで手一杯です。それはこの間、特にこの20年、30年、高齢化社会で増大する医療費、社会保障をいかに削るか、そのためには採算の合わない病床は潰すといんだという政策を推し進めてきたことに起因するものです。公立病院の削減や感染症病床の軽視(1998年に9060床あったが現在は1869床まで減少)、保健所の縮小など、医療費をカットしすぎ、気がついたら足元ボロボロになって太刀打ちできない状況です。院内感染が発生したら、残ったスタッフが休みなく働くことになる。こうした状況を見直さなければいけません。

 医療機関は、命の拠点であるだけでなく、地域経済の拠点です。国の根幹のインフラは医療や介護、福祉といった社会保障制度であり、それを充実させていくことが国民の平和的生存権を守る国になると思います。

(2020年4月21日取材)

立憲民主党公式HP ニュース より

 

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2020/05/19   abetomokojp
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入院病床は各地でひっ迫、東京は9割埋まる ~5月13日厚生労働委員会

入院病床は各地でひっ迫、東京は9割埋まる

                            5月13日厚生労働委員会

 

安倍総理の「5万床」は空き病床の数合わせ!

 5月13日の厚生労働委員会において、阿部とも子は引き続き新型コロナウイルス

感染症の入院病床の確保状況について質しました。

 

 

 新型コロナ感染者用の病床について、51日現在で都道府県が報告した数は、ピー

ク時に確保を見込む31千床に遠く及ばない1万4千床でした。この数について加藤

大臣は、感染症の患者を受け入れるためには設備や防具のハード面はもちろん、医師

や看護師などの人材も必要だが追いついていないと弁解に終始。安倍総理が早々に打

ち上げた「5万床確保」は、単なる「空き病床」の数合わせに過ぎないことを認めざ

るを得ませんでした。

 さらに、「神奈川方式」を引き合いに、重症、中等症など症状別にどこにいくつ病

床があるかを見える化する必要があると指摘。大臣からは、現在開発中の情報管理シ

ステム「HERSYS」により、全国の症状別の患者数や治療状態などを一元的に把握する

取り組みを始めていると答弁がありました。

 

◇総務省の改善勧告を2年半も放置

 総務省が201712月に出した感染症対策に関する勧告を再度取り上げ、2年半に渡って

まともに対策せず、放置しているに等しい実態について質しました。

勧告の主な内容は、病床数が基準を下回る都道府県:75%。医療従事者の配置・二次

感染防止措置が不十分。院内感染防止措置が不十分等々。そうした状況で起きたのが

今回のコロナ禍であり、せめて1年前に対応していればここまでの事態には至らなかった

のではないかと指摘しました。また、昨年公表された公立・公的病院の統廃合案の評

価の指標に感染症が抜け落ちていることについて見直しを求めました。

 

JCHONHO両病院は、基幹病院として全国に範を示すべき。

 地域で患者受け入れの基幹病院として機能する地域医療機能推進機構(JCHO)と、全

国最大のネットワークを生かし、中心的に国の政策医療を担う国立病院機構(NHO)

発生した院内感染について取り上げました。全国で発生しているクラスターについて

はようやくその数251とされましたが、具体的な内容は一切公表されません。JCHO

尾身理事長に、知見を公表し共有すべきと指摘しました。

 大分医療センター、北海道がんセンターと、すでに二つの病院で院内感染が発生し

NHOの楠岡理事長には、それに加えて医療者を守るという視点から職員へのPCR

査の徹底を求めました。また、NHOはその根拠法に、国民の健康に重大な影響のある

疾病に関する医療の向上を図るとされていることから、5年ごとに定める中期目標に

触れ、2023年までの第4次計画を見直し、感染症対策について明確に入れ込む必要が

あるのではないかと質しました。大臣からはNHOとよく相談して対応したいと答弁が

ありました。

 

コロナ発生状況等、5月13日厚生労働委員会 質問時PDF資料はこちら

動画はこちらからご覧下さい。

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2020/05/18   abetomokojp
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