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除染なき避難指示解除の政府方針は、原発事故前の基準と矛盾

除染なき避難指示解除の政府方針は、原発事故前の基準と矛盾

 

6月11日に行った原発ゼロの会のヒアリングをもとに、翌12日に提出した「除染なき避難指示解除の政府方針に関する質問主意書への答弁書 が閣議決定されました。政府が新たに検討を始めた避難指示解除の政府方針は、原発事故前の基準と矛盾していることが、明らかになりました。

 

除染なき避難指示解除の政府方針に関する質問主意書

(と答弁概要

 経産省、環境省、復興庁は、飯舘村からの要望があったことを前提に、除染せずに避難指示区域の解除(以後、解除)ができるようにすることで一致し、原子力規制委員会にその安全性について諮った結果を受け、今夏にも原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)で、新たな解除要件を加える旨が、先ごろ報道された。そのため、さまざまな観点から政府の考え方を確認するため、六月十一日に原発ゼロの会はヒアリング(以下、ヒアリング)を開催した。ヒアリングでは、飯舘村の要望は決して「除染せず」ではなかったことが確認された他、現行の避難指示解除の三要件が確認された。


 ・空間線量率で推定された年間積算線量が二十ミリシーベルト以下になることが確実であること
 ・日常生活に必須なインフラ、生活関連サービスが概ね復旧すること、及び子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること
 ・県、市町村、住民との協議


 その決定資料をたどると、二〇一一年十二月二十六日に原子力災害対策本部が決定した「ステップ二の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」である。

この三要件に関し、ヒアリングでは、一番目の「二十ミリシーベルト以下」は高すぎるという意味で有識者から異論があがり、二番目については、帰還困難区域は「子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗」とあるが、子どもが住めるような状態なのかとの疑問が呈された。三番目に関して飯舘村を例にあげて「地元とは何を意味するか」との問いに、内閣府原子力被災者生活支援チームが「首長、村議会、住民である」旨を回答した。
 このような三要件であるから、見直す場合には、慎重な検討が必要である。
 そこで以下質問する。

一 そもそも現在の三要件はどのようなプロセスのもとで決定に至ったのか。関係省庁、原子力規制委員会、原子力災害対策本部の関係性や決定プロセスがわかるように明らかにされたい。

 

一について

御指摘の「ステップ二の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」は、

2011年8月4日に原子力災害対策特措法第25条第5項(当時)に基づく、原子力災害対策本部長たる総理大臣が、緊急時避難準備区域、計画的避難区域及び警戒区域において、その見直しを含めた緊急事態応急対策を実施すべき区域のあり方及びその区域内の居住者等に対し周知させるべき事項について、原子力安全委員会の意見を求め、

これに対し、同日に同委員会が述べた意見である「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故における緊急防護措置の解除に関する考え方について」を踏まえ、

同年12月26日に原子力災害対策本部において決定したものである。(略)


二 解除要件の見直しについての政策決定プロセスは、一に対する答弁と同様のプロセスをたどるのか。そうでないとすればどのようなプロセスを想定しているのか。
 

二、四及び八について

 令和2年2月26日の飯舘村からの「「長泥地区」帰還困難区域特定復興・再生拠点区域外の整備に関する要望書」への対応については、「「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針」および令和2年5月28日の与党からの「帰還困難区域(特定復興再生虚て区域外)の政策の方向性検討に係る申入れ」を踏まえ、現在検討を進めているところであり、

御指摘のように「今夏にも解除の方針や要件を見直すこと」を決定した事実はなく、また、そのような仮定を前提としていると思われる御指摘の「政策決定プロセス」に係るお尋ねについてお答えすることは困難である。

 

三 二〇一三年十一月二十日には原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」が「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」をまとめ、それが解除と特定復興再生拠点区域復興再生計画の認定について定めた二〇一七年五月のいわゆる「福島復興再生特措法」の改正へとつながった。この認識で間違いはないか。違うとすれば、二〇一七年五月の福島復興再生特措法改正に至る政策決定プロセスを明らかにされたい。

 特定復興再生拠点区域復興再生計画に係る制度は、「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」および「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」を踏まえ、当該制度の創設等を内容とする福島復興再生特別措置法一部改正法案を閣議決定し、平成29年5月12日に成立したものである。


四 解除要件の見直しについての政策決定プロセスは、三で答弁するプロセスをたどるのか。そうでないとすればどのようなプロセスを想定しているのか。また、この政策決定プロセスに原子力規制委員会はどのように関係することが、想定されているのか、明らかにされたい。

「二、四及び八について」で回答

五 帰還困難区域の解除については、福島復興再生特措法で「特定復興再生拠点区域復興再生計画の認定」(第十七条の二)という形で規定されているが、「特定復興再生拠点区域」外についての定めはない。この認識に間違いはないか。

特段の定めはない


六 福島復興再生特措法の運用上の住民の放射線防護レベルは、いわゆる「原子炉等規制法」が原子力事業者に求めている周辺監視区域の線量限度である年間一ミリシーベルトとは矛盾があるが、今後、どのようにこの矛盾を解消していくのか。

 「特定復興再生拠点区域における放射線防護対策について」の長期目標と線量限度とは、性格が異なるものである。


七 ヒアリングにおいて、内閣府原子力被災者生活支援チームは、特定復興再生拠点区域内においては、子どもが十分に生活できるレベルを前提に除染をしている旨を回答していたが、そのレベルとは、具体的に空間線量率で毎時何マイクロシーベルトを目安としているのか。

 内閣府原子力被災者生活支援チームは、「特定復興再生拠点区域の避難指示解除と期間・居住に向けて」における避難指示解除の要件の一つ「子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること」の趣旨を説明したものである。当該要件においては、除染作業の具体的な数値目標等は定められていない。なお、当該決定においては、「空間線量率で推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実であること」も避難指示解除の要件の一つとなっている。


八 ヒアリングで提供された復興庁資料によれば、帰還困難区域を抱える自治体は、飯舘村に加えて、双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、葛尾村の計六町村があり、帰還困難区域全体における住民登録数は、飯舘村で二百四十六人、双葉町で五千六百四十四人、大熊町で九千八百六十二人、浪江町で二千九百人、富岡町で三千五百七十二人、葛尾村で百八人おり、計二万人を超えている。
 また、環境省がヒアリングで示した事前質問への文書回答によれば、帰還困難区域の対応については飯舘村以外の五町村に関しても「地元の要望を十分に踏まえつつ、政府全体として検討を進めて」いくとのことである。
 その五町村は目下、除染の実施を強く求めており、福島県の内堀知事も、自治体との十分な協議をしっかり満たすことが大事である旨を公言していることが報道されている。こうしたことを総合的に鑑みた場合、三密回避のために、住民との会合の開催や協議や合意形成も容易ではないなか、今夏にも解除の方針や要件を見直すことは、現実的ではないと考えるがどうか。

 

「二、四及び八について」で回答

 

 

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2020年6月11日原発ゼロの会のヒアリング

3密を回避しながらzoom併用で開催しています。

 

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2020/07/04   abetomokojp
タグ:国会より/ニュース

タウンミーティング開催します!7/26(日)14:00~大庭市民センターにて

【注意事項とお願い】

新型コロナ感染予防対策の観点から施設の収容人数に限りがございます為、

いらっしゃる方は事前に事務所までご連絡の上、ご予約頂きますよう、お願い申し上げます。(入場料は無料です)

あべともこ藤沢事務所 ☎0466-52-2680

大庭市民センター 住所:〒251-0861 藤沢市大庭5406番地の1

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2020/07/03   abetomokojp
タグ:地元での活動/イベント

あべともこニュースNo.575(7/4)医療と地域と暮らしを支えるために厚労委員会で質問

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2020/07/03   abetomokojp
タグ:国会より/ニュース

【動画あり】7月1日、厚労委員会の閉中審査が行われ、阿部とも子は「コロナ関連」で質疑に立ちました。

7月1日、厚労委員会の閉中審査が行われ、阿部とも子は「コロナ関連」で質疑に立ちました。

◎コロナ労災、確実な請求・認定を!

 緊急事態宣言下の「休業」「自粛」の中でも、社会生活を日々支えてくれた医療者やスーパーの従業員、バス・タクシーの運転手など、いわゆるエッセンシャル・ワーカーと言われる人たちに、業務上の感染が広がっています。全国の医療機関で起きた集団感染は99か所にも上り、医療従事者だけでも千人以上もの感染者が発生しています。(6/8毎日新聞)

 国の労災保険制度は業務や通勤途上のけがや病気に対して、治療費の支給と休業時の補償を目的に作られ、事業主にも申請の助力義務を課していますが、現在の申請数は全体で420件、認定はわずか39件のみと少なすぎる実態に、申請を喚起し、積極的に認定すべきと追及。大臣はコロナ感染が労災の対象になることを改めて周知し、認定事例を具体的に公表することで申請を促したいと応じました。

 

◎疲弊した医療体制の立て直しが先

 体調を崩したらまずかかりつけ医にと提唱しながら、「コロナ」では帰国者・接触者外来でPCR検査を絞り込んだ結果、早期発見・隔離が出来なくなり、全国的な医療崩壊に繋がりました。診療所は患者さんが来なくなり、病院も集団感染を恐れて新規の受け入れや手術ができず、大幅な減収に追い込まれました。そうした中、厚労省は新たな感染に備えた病床数の確保を都道府県に要請と。従来、医療費削減の大号令のもと、感染症病床などを極限まで削り、保健所を半減させて地域の医療体制をガタガタにしてきた責任には頬かむりを決め込んでいます。実効再生産数や「8割削減」などの机上の空論に振り回されるのではなく、

医療体制の持続には今何が必要かを足元から考えるべきです。

動画はこちらから

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2020/07/03   abetomokojp
タグ:国会より/ニュース

(独)国立病院機構八雲病院の機能移転に関する質問主意書への答弁が閣議決定されました。

コロナ禍のただ中で、筋ジストロフィーや重症心身障害児(者)の入院施設の機能移転計画が強行されようとしています。免疫力が低く感染リスクが極めて高い患者さんたちであり、この時期の移送が生命にかかわる危険が十分に予想されることから、延期を求めて質問主意書を提出しました。しかし、厚労省と国立病院機構は予定を変えるつもりはなく、9月1日から予定通り実行するという答弁書が来ました。

 

令和二年六月十二日提出

質問第二六五号

 

独立行政法人国立病院機構八雲病院の機能移転に関する質問主意書

答弁書(6月25日)

 

国立八雲病院の、函館病院、北海道医療センター、帯広病院への機能移転が本年九月一日と決定され、それに伴う患者移送計画の実施時期が八月中旬と示されたことについて、五月十三日の厚生労働委員会において、新型コロナウイルス感染症収束時までの延期を提案したところ、国立病院機構楠岡理事長は「御指摘のとおり、八雲病院の機能移転に当たりましては、患者の安全、安心を確保することが極めて重要と認識しており、今後、患者を受け入れる北海道医療センター等においても、新型コロナウイルス感染症に対するものを含めた院内感染対策について万全を期した上で機能移転の準備を進めていきたい~中略~次回予定している説明会の中で、その時点の状況に応じた感染対策についても説明を行っていきたい」と答弁を行った。これを踏まえ、政府の姿勢について以下質問する。

 

一 「コロナ以前」である令和元年十一月に示された「八雲病院の機能移転に係る患者移送基本計画」基本方針(1)では、「患者・ご家族の安全・安心を最優先とする」とされている。しかし、コロナ禍の只中にある現在、この基本方針自体が成り立たない。輸送の対象である患者は、筋ジストロフィーや重症心身障害児(者)という、免疫力が低く感染リスクが極めて高い患者であり、この時期の移送が生命にかかわる危険が十分に予想されることから、「安全・安心を最優先とする」なら延期以外に選択肢はない。国立病院機構がこの時期に強行しようとしていることについて、所管省庁である厚労省の見解を伺いたい。

  

独立行政法人国立病院機構(以下「機構」という。)においては、機構八雲病院の機能の移転に当たって、患者及びその家族等に対する感染症対策を含めた安全対策及び丁寧な説明を徹底することとしており、今後、関係者と協議しつつ、御指摘の「八雲病院の機能移転に係る患者移送基本計画」の更なる具体化に向けた検討を行うものと承知している。厚生労働省においては、こうした機構の取組を促すなど、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

二 楠岡理事長は「その時点の状況に応じた感染対策についても説明を行っていきたい」と答弁しているが、患者・家族の不安の声に対し、機構は、職員はおろか、患者・家族への説明会すら開催しておらず、ようやく六月九日に職場長各位に発出した「機能移転に係る患者移送リハーサルの実施及びリハーサル説明会の開催について」において、移送までのスケジュールが改めて示されたところであるが、患者の移送体制についての内容は、令和元年十一月二十六日に出された「八雲病院の機能移転に係る患者移送基本計画」の内容のまま、現在まで何ら具体的に示されていない。しかし、繰り返すが当時と現在では状況が全く違っている。移送に関連するハード、ソフトに関するすべての感染対策についての具体的な計画を、一刻も早く示すべきと考えるが、所管省庁である厚労省の見解を問う。

 

機構においては、機構八雲病院の機能の移転に当たって、患者及びその家族等に対する感染症対策を含めた安全対策及び丁寧な説明を徹底することとしており、今後、関係者と協議しつつ、御指摘の「八雲病院の機能移転に係る患者移送基本計画」の更なる具体化に向けた検討を行うものと承知している。厚生労働省においては、こうした機構の取組を促すなど、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

三 機能移転先である北海道医療センター、函館病院も新型コロナウイルス感染患者を受け入れており、免疫力が低く感染リスクが高い患者を集団で移送することにより新たな院内感染を招きかねない。東京都の永寿総合病院で起きた集団感染も、死亡者四十二名のうち、二十二名が、免疫力の低下した血液内科の患者だったという。

患者に対するPCR検査を定期的に行う必要性について、所管省庁である厚労省はどのように認識しているのか。

 

機構においては、一、二及び六についてで述べたとおりの安全対策を徹底するとともに、お尋ねの「患者に対するPCR検査」及び「スタッフに対する事前のPCR検査」の実施について、その対象者も含めて検討しているものと承知している。厚生労働省においては、御指摘の「院内感染」等が生じることがないよう、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

四 一方で、無症候感染者の存在が明らかになっている以上、万が一にも移転後の院内感染が発生した場合の対策を考慮しておく必要があるが、移転先の北海道医療センターに新築整備された筋ジストロフィー病棟および重症心身障害児者病棟には、陰圧室もなく完全隔離ができる病室もない。ゾーニングで区画をつくっても、患者感染が起きた場合には感染拡大を防ぐことが困難である。院内クラスターが発生した北海道がんセンターの事例を教訓に、どのような対策をとるべきかについて、所管省庁である厚労省の見解を示されたい。

 

お尋ねについては、国立感染症研究所等が新型コロナウイルス感染症に関する医療機関内の感染防止策等を取りまとめた「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」(以下「感染管理」という。)において、「呼吸器症状のある患者の診察時にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を遵守する」、「上気道炎やウイルス感染症を疑う症状を呈した入院患者」については「病室外への移動は医学的に必要な場合に限定する」等とされており、厚生労働省においては、感染管理について、事務連絡の発出、ホームページでの公表等の様々な手段により、随時、地方公共団体や医療機関に対して周知を行ってきたところであり、さらに、院内感染事例の増加を踏まえて、これまでの事例から感染拡大のパターンを分析し、分かりやすくポスターにまとめて注意喚起を行っているところである。

これらに基づき、機構八雲病院の機能の移転が適切に実施されるよう、同省においては、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

五 移送手段は福祉車両及び民間救急車(重症者)による陸路移送とのことである。函館病院までは片道約二時間、札幌の北海道医療センターまで片道約四時間(休憩除く)、帯広病院まで片道約五時間(休憩除く)という。移送スタッフは機構内の北海道・東北管内施設から協力を得ると聞くが、長時間にわたり車内でいわゆる三密状態を強いられることから、スタッフに対する事前のPCR検査は不可欠であると考えるが所管省庁としての厚労省の認識を伺いたい。

 

機構においては、一、二及び六についてで述べたとおりの安全対策を徹底するとともに、お尋ねの「患者に対するPCR検査」及び「スタッフに対する事前のPCR検査」の実施について、その対象者も含めて検討しているものと承知している。厚生労働省においては、御指摘の「院内感染」等が生じることがないよう、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

六 移送のリハーサルを、六月二十三日(八雲から函館)、二十四日(八雲から北海道医療センター)に行うとのことだが、患者は当然ながら参加できないため、スタッフのみで行うと考えられ、あくまで仮定や想定の下に実施される予行演習に過ぎない。当日は万が一にも事故があってはならず、常に緊張を強いられる大変な業務である。スタッフが安心して遂行するためには、十二分な人数の配置と事前教育・訓練、不測の事態に備えた受け入れ病院の確保、必要な防護具等について、万端怠りなく準備の上で実施すべきであり、こうした感染予防策が徹底されるまでは、機能移転計画を実行すべきではない。

八月の患者移送計画は、新型コロナウイルス感染症が収束するまで延期するべきと考えるが、所管省庁である厚労省の見解を問う。

 

機構においては、機構八雲病院の機能の移転に当たって、患者及びその家族等に対する感染症対策を含めた安全対策及び丁寧な説明を徹底することとしており、今後、関係者と協議しつつ、御指摘の「八雲病院の機能移転に係る患者移送基本計画」の更なる具体化に向けた検討を行うものと承知している。厚生労働省においては、こうした機構の取組を促すなど、機構に対し適切な対応を求めてまいりたい。

 

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2020/07/03   abetomokojp
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医療者を含む労災の申請件数はけた違いに少なく、何と国家公務員災害補償への報告はゼロ!「迅速な救済」には程遠い実態が明らかに。

 

新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する再質問の答弁書が閣議決定されました。

 

医療者を含む労災の申請件数はけた違いに少なく、何と国家公務員災害補償への報告はゼロ!「迅速な救済」には程遠い実態が明らかに。

 

令和二年六月十九日

 閣衆質二〇一第二四六号

 

新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する質問主意書

答弁書

令和二年五月二十七日提出の新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する質問主意書への答弁書(内閣衆質二〇一第二一〇号)が令和二年六月五日に閣議決定された。しかしその内容は、エッセンシャル・ワーカーとされる労働者が、日々、安全と健康を脅かされながらコロナ禍に対峙している事実に対して、あまりにも鈍感であり、危機感が欠落していると言わざるを得ない。

このことを踏まえ、以下再質問する。

一 労災補償について

1 新型コロナウイルス感染症による直近の労災請求件数は、六月八日に公表された、請求件数百二十六件(うち医療従事者九十四件)、認定件数十五件(うち医療従事者十二件)である。しかし、全国各地で院内感染や集団感染が相次ぎ報告される中、「毎日新聞」六月八日朝刊の記事によれば、独自の取材により、新型コロナウイルスの院内感染が全国の九十九医療機関で発生した疑いがあり、患者や医療従事者が少なくとも二千百五人が感染していたことが明らかになったという。感染者の内訳は患者千二十八人、医療従事者等千十三人、その他(事務職員や出入り業者等)五十五人、不明九人という。

  厚労省は四月二十八日通達「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」において、医療従事者等について「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」と明記している。本来であればこの千十三人は迅速な労災請求・認定に至っているはずではないのか。医療従事者の労災請求件数九十四件、認定件数十二件と、けた違いに少ないが、何に起因していると認識しているのか。政府として見解を明らかにされたい。

 

2 多くの事業所において、安全衛生上の法的義務についての使用者の認識不足により、労働者保護の理念がないがしろにされ、当然の権利である労災請求に至らないのではないかと考えられる。厚労省「新型コロナウイルスに関するQ&A」問八に「事業主の援助」とあるが、法的には「事業主の助力義務」であり、労働者災害補償保険法施行規則第二十三条に、「保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合には、事業主はその手続を行うことができるように助力しなければならない」と明記されている。 

 現に感染して入院加療している労働者が請求手続きが困難である場合には、事業者側に手続を進めるよう促すべきであり、さらに言えば事業所自体が院内感染対応に追われ、小規模の介護事業所等は休業や倒産の危機もあり得るなど、果たすべき役割を行使できないケースも考えられる。所管の労働基準監督署はこうした事業所にきめ細かく対応し、請求・申請のサポートや指導監督を積極的に行うべきと考えるがどうか。

1及び2について

労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付(以下「労災保険給付」という。)は、同法に基づく補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者の同法に基づく請求(以下「労災請求」という。)に基づいて行うものであり、労災請求については、請求に要する期間並びに当該請求の調査及び審査に要する期間として一定の時間を要するものである。なお、御指摘の「千十三人」には、地方公共団体が開設する医療機関の医療従事者等同法に基づく補償の対象でない者も含まれているものと考える。

医療従事者の新型コロナウイルス感染症に係る労災請求については、厚生労働省において、令和二年五月十四日付けで、公益社団法人日本医師会等医療関係団体宛てに医療従事者の労災請求の勧奨や請求手続における協力等に係る要請を行ったところであり、また、都道府県労働局においては、集団感染が発生した医療機関を把握した場合、当該医療機関に対して、同旨の要請を行っているところである。

さらに、医療従事者以外の新型コロナウイルス感染症に係る労災請求についても、同省において、同日付けで、労使団体宛てに労働者災害補償保険法施行規則(昭和三十年労働省令第二十二号)第二十三条の規定の内容を含め、労災請求の勧奨等に係る要請を行っているところであり、引き続き、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求の勧奨に努めてまいりたい。

 

3 答弁書ではクラスター対策班の役割について、「医療機関や社会福祉施設等における集団感染を防止することが重要と認識しており、同省において、全国で発生した集団感染の事例を収集している」と述べている。ならばその調査対象の中には、労働者が感染した際の詳細な実態把握並びに救済状況が当然含まれなければならない。介護・障害福祉などの社会福祉施設および居宅介護サービス事業所などについて、政府が把握している集団感染の事例数を明らかにされたい。また、それらの事例のうち、労働者死傷病報告が提出されている件数と労災請求の件数を明らかにされたい。

 

3について

令和二年六月十五日時点で、厚生労働省が把握していた社会福祉施設等において発生した新型コロナウイルス感染症の集団感染の事例は、六十一件であり、これらの事例について、同日時点で、労働基準監督署長が労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条の規定に基づく労働者死傷病報告(以下単に「労働者死傷病報告」という。)を受理した事例は七件、報告件数の合計は十八件であり、労災請求があった事例は七件、請求件数の合計は十五件である。

4 ⑴ 答弁書において、医療機関における集団感染の事例は八十五件であり、うち、労働者死傷病報告を受理した事例が十三件、報告件数は六十八件という。ここで言う集団感染の「事例数」「受理した事例数」「労災請求の事例数」は、医療機関の数という意味か。用語の意味を明らかにされたい。

(1)について

御指摘の「八十五件」については、令和二年五月十日時点で、厚生労働省が把握していた集団感染の事例のうち、医療機関において発生した事例の件数であり、このうち、同年六月一日時点で、労働者死傷病報告を受理した医療機関の数が十三件であり、労災請求があった医療機関の数が十一件である。

 

⑵ 医療機関の集団感染事例八十五件のうち、労働者死傷病報告を受理した件数は十三件しかない。圧倒的に死傷病報告の提出数が少ない原因は何に起因しているのか。政府として見解を明らかにされたい。

 

   (2)について

お尋ねの「死傷病報告の提出数が少ない原因」については、集団感染が発生した事業場において労働者死傷病報告の提出に至っていない理由は個々の事業場の状況によって様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

 

5 答弁書の「二の4について」で、死傷病報告の提出について「勧奨に努めている」とある。死傷病報告の速やかな提出は、労働安全衛生法上の事業者の義務である。政府は、死傷病報告の提出について、勧奨ではなく労安衛法違反の是正勧告を行うべきである。政府として見解を明らかにされたい。

5について

新型コロナウイルス感染症にかかった者に係る労働者死傷病報告については、都道府県労働局及び労働基準監督署において、事業者に対して提出の勧奨に努めているところであるが、労働安全衛生規則第九十七条の違反が認められた場合には、事業者に対して、その是正の指導等を行うこととしている。

 

6 答弁書では、認定事例に関する情報の公表について検討したいとあるが、六月八日には、都内の病院に勤務し新型コロナウイルス感染症に感染した看護師が、三週間の調査で労災認定されたと報道されている。こうした認定に関する具体的な報道は、労災請求を促す上で非常に大きな効果を持つ。政府は、認定事例の公表について、いつまでにその検討を終えるのか。検討の期限を明示されたい。

6について

労災認定を行った事例に関する情報を公表することについては、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、検討しているところであり、現時点で検討の期限をお示しすることは困難である。

 

7 従前の認定事例では、結核病棟の看護師など、その職場の環境条件や業務自体に感染の危険性がある場合には「特に反証のない限り」労働災害・公務災害が認定されてきた。例えば、一九七七年には保育所の保育士が子どもから風疹に感染したとして公務災害の認定を受けている。この時の認定要件は次の三つであった。(「公務災害四〇〇例とその解説」ぎょうせい)

① 担当クラスで風疹の子どもと接触していた。

② 家庭と自宅近隣に風疹患者がいなかった。

③ 医学的意見からも風疹は近接(密接な接触)感染により感染する。

今回該当するあらゆる労働者について、積極的な反証のない限り迅速に業務起因性を認め、労災認定すべきと考えるがどうか。

 

7について

ご指摘の「今回該当するあらゆる労働者」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務に従事する者(以下「医療従事者等」という。)については、新型コロナウイルス感染症にかかった場合、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象としているところである。また、医療従事者等以外の労働者については、医療従事者等と異なり、医学的知見により業務と疾病との因果関係が確立されておらず、医療従事者等と同様の取扱いとしていない。 

 

二 公務災害について

1 答弁書では国家公務員の公務災害について、人事院規則一六〇(職員の災害補償)第二十条の規定に基づき、補償事務責任者が新型コロナウイルス感染症による災害について実施機関に報告した件数はゼロ件との事である。しかし、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での業務に従事していた国家公務員が感染したとの発表が厚労省からなされ、バーレーンに派遣中の海上自衛官が感染したとの発表が防衛省からなされるなど、公務中の国家公務員の感染が複数報告されている。当該省庁はこれら職員の使用者責任に基づき補償義務を負っているところ、報告件数ゼロ件とはどういうことか。説明を求める。

 

1について

お尋ねの厚生労働省の職員については、令和二年六月十五日時点で、同省の補償事務主任者が調査中であり、公務上の災害と認められる場合には、人事院規則一六〇(職員の災害補償)(以下「規則」という。)第二十条の規定に基づき、速やかに実施機関に報告を行うこととなる。また、お尋ねの海上自衛官については、特別職の国家公務員であり、防衛省の職員(一般職に属する職員を除く。以下「防衛省職員」という。)の公務上の災害に対する補償については、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)は適用されず、同条の規定に基づく報告は行われない。

 その上で、防衛省職員の公務上の災害に対する補償については、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十七条第一項において国家公務員災害補償法の規定を準用するものとされており、防衛省職員の災害補償に関する政令(昭和四十一年政令第三百十二号)第一条の規定によりその例によるものとされる規則第二十条の規定による報告は、同月十日時点で、一件である。

 

2 公務災害において補償事務責任者による報告とは、申請や請求によらず「職権探知主義」に基づいて「国が使用者責任において補償を行うものであることから、被災職員からの請求を待つことなく、国が自ら公務災害であるかどうかの認定を行う」とされている。しかし、当事者からの申請や請求を認めないことは、国家公務員災害補償法第二十三条「この法律に定める補償の実施については、これに相当する労働基準法、労働者災害補償保険法、船員法及び船員保険法による業務上の災害に対する補償又は通勤による災害に対する保険給付の実施との間における均衡を失わないように十分考慮しなければならない。」における「均衡」を損なう事実となりうると考えるがどうか。                                             

 

3 人事院は国家公務員災害補償に当たっては、国家公務員災害補償法第三条に照らせば申請や認定の状況を取りまとめ把握する立場にあり、不適切な運用に関しては厳しく是正する責務を負っている。また二〇〇七年の災害補償制度研究会報告書において、「請求主義への転換に向けて制度の見直しを行っていくことが必要」とされていることから、新型コロナウイルス感染症による公務災害については各省庁に積極的に申請・請求を促し、迅速な認定・救済を図ると同時に、人事院において公務災害を取りまとめ、統計資料として公表すべきと考えるがどうか。

 

2及び3について

お尋ねの「「均衡」を損なう事実」の意味するところが必ずしも明らかではないが、補償事務主任者は、規則第二十条の規定に基づき、負傷し、若しくは疾病にかかった職員又は死亡した職員の遺族からその災害が公務上のもの又は通勤によるものである旨の申出があった場合は、速やかに実施機関に報告しなければならないとされ、実施機関は、この報告を受けたときは、規則第二十二条第一項の規定に基づき、その災害が公務上のものであるかどうか又は通勤によるものであるかどうかの認定を速やかに行わなければならないとされているところである。新型コロナウイルス感染症について、人事院においては、これまでも、実施機関に対して、規則第二十条の規定に基づく報告及び同項の規定に基づく公務上の災害であるかどうか又は通勤による災害であるかどうかの認定を速やかに行うよう指導しており、また、国家公務員災害補償法に基づく公務上の災害の認定状況については、毎年度、規則別表第一の各号に掲げる疾病ごとの認定件数を取りまとめ、公表しているところである。

 

三 地方公務員の公務災害について

1 地方公務員災害補償基金について、五月二十七日時点で請求数が四件と極めて少ないが、この原因について、政府としての見解を明らかにされたい。

 

2 各自治体に積極的な申請・請求を促し、認定事例の概要を公開すべきである。特に、地方公務員災害補償基金を所管する総務省が、その責任において、請求の促進や認定事例の概要公開について、同基金を指導すべきと考える。この点について政府の見解を示されたい。

 

1及び2について

地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)が行う補償は、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二十五条第二項の規定に基づき、補償を受けるべき職員若しくは遺族又は葬祭を行う者の請求に基づいて行うこととされており、請求件数の多寡について評価を行うことは困難であるが、総務省においては、令和二年三月二十六日付けで、各地方公共団体宛てに通知を発出し、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害及び通勤による災害に係る補償について職員に周知するよう依頼するとともに、基金においては、同年五月一日付けで、基金の主たる事務所から従たる事務所宛てに、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害の認定における取扱いについて通知を発出し、請求に係る相談があった場合には、公務上の災害の認定における具体的な取扱いを懇切丁寧に説明すること等としたところである。

また、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害及び通勤による災害に係る補償の請求及び認定の件数については、現在、基金のホームページで公表しているところであり、認定を行った事例に関する情報を公表することについては、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、基金において適切に対応されるものと考えている。

 

 

 

 

 

 

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2020/07/03   abetomokojp
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汚染水に考慮されていない核種があることに関する再質問の答弁が閣議決定されました。

汚染水に考慮されていない核種があることに関する再質問の答弁が閣議決定されました。

 

6月12日に阿部とも子が提出した「ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する『再』質問主意書」への政府答弁書が6月26日に、閣議決定されました。質問と答弁概要(赤字)は以下の通りです。

 

ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する再質問主意書

 

 多核種除去設備等処理水(以後、ALPS処理水)は環境へ放出せずに放射能の減衰を待つべきである。ところが、国民には、判断材料となる様々な情報が広く共有されていない。そこで、五月二十八日に「ALPS処理水の濃度に考慮されていない核種があることに関する質問主意書」を提出したが、同質問主意書への答弁(以後、政府答弁)は、事前にヒアリングで得ていた回答よりも消極的なものにとどまった。

たとえば、ヒアリングでは、東京電力がALPS処理水を環境へ放出する場合は、処分前に「告示濃度限度比総和」(以後、告示比総和)一未満になるように二次処理を実施することや、全タンクを測定し、告示比総和に炭素十四(C‐14)を考慮するべきであることを、東京電力も原子力規制庁も認識していることが確認できた。ところが、政府答弁では、原子力規制庁は、東京電力の認識を「把握している」など、消極的な表現ぶりにとどまっている。

そこで、ここでは、数ある重要な点のうち問二の2への政府答弁に関してのみ、再質問する。

 

一 問二の2で、告示比総和には、C‐14だけではなく、トリチウムも考慮に入れるべきではないかと尋ねたところ、政府答弁は、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書」(以後、報告書)で、「トリチウム以外の放射性物質について告示濃度限度比総和一未満を満たすことを今後の対応方針として決定」とされており、ALPS処理水の「二次処理」の対象にトリチウムを含まない旨を答えた。

そこで、この「決定」が書かれている箇所を見ると、報告書十五頁に「通常の浄化処理を終えていないタンクに保管されているALPS処理水(告示比総和一以上)に含まれるトリチウム以外の放射性物質については、環境中に放出する場合には、風評など社会的な影響も勘案し、単に希釈して規制基準を満たすのではなく、希釈を行う前に二次処理を行い、トリチウム以外の放射性物質について告示濃度限度比総和一未満を満たすことを今後の対応方針として決定」と書かれている。

 

1 「今後の対応方針として決定」を行ったのは小委員会か、経産省か。報告書には主語が書かれていないため、いつどこでどのように決定されたのかも含めて、明らかにされたい。 

 

【問一1への答弁】

東京電力が平成30年10月1日に原子力災害対策本部の下に設置された小委員会において示したものである。

 

2 経産省は海洋放出を含めて、環境へ放出することを決定していないと繰り返し述べてきている。ここでの「今後の対応方針として決定」は「環境中に放出する場合」の仮定の話であるという理解で間違いはないか。

【問一2への答弁】

御指摘の通りである。

 

3 仮定の話であるとしても、二次処理の対象にトリチウムを含まないことと、告示比総和の計算にトリチウムを含まないことは別であり、トリチウムを考慮した場合に告示比総和がどれぐらいになるのかを、国民に対して基礎情報として政府は明らかにすべきではないか。なぜ、明らかにしないのか。

【問一3への答弁】

御指摘のトリチウム以外の放射性物質に係る「告示比総和」は、仮にALPS処理水を環境中に放出する場合に、希釈を行う前に「二次処理」を行うかどうかを判断する指標として用いられるものであるところ、お尋ねの「二次処理の対象にトリチウム」を含ませない一方で、「告示比総和の計算にトリチウム」を含むこととする扱いについては、トリチウムが多核種除去設備によって取り除くことができないため、トリチウムを含めた放射性物質に係る「告示比総和」が、多核種除去設備によって取り除くことができる放射性物質が残留している程度を表していない指標となること及び「二次処理」を行うこととしているALPS処理水の対象について誤解を招くおそれがあることから、この扱いを行うこととはしていないものと承知している。また、東京電力福島原発構内に貯蔵されているALPA処理水に含まれるトリチウムの総量及び平均濃度については、経産省および東電のホームページにおいて公表している。

 

 

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2020/06/27   abetomokojp
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静岡県清水区 桜ヶ丘病院の津波浸水域への移転計画に関する質問主意書への答弁が閣議決定されました。

令和二年六月十日提出

質問第二四七号

独立行政法人地域医療推進機構桜ヶ丘病院の津波浸水域への移転計画に関する質問主意書

 

答弁書

 

昭和三十年代に国が健康保険や厚生年金保険の保険料を財源に全国に設置した社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)により医療を提供してきたが、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の改正(平成二十三年法律第七十三号)により、平成二十六年四月に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が直接運営する病院グループとなり、五事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)、五疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)、リハビリテーション等、地域で必要とされる医療を提供してきた。現在は全国に五十七か所あり、老朽化したところから順次建替え移転を進めている。

その一つである静岡市清水区にある桜ヶ丘病院は、社会保険庁が昭和三十四年に開設した病院で、老朽化により平成六年に病院の新築移転方針が決定していたが、JCHOになって本格化し、平成二十七年五月に清水庁舎跡地が有力な候補地として示された。しかし、清水庁舎は県の第四次地震被害想定で最大二・二メートルの浸水地域であり、道路の寸断等による病院機能の維持が危ぶまれ、地域住民からも反対の声が上げられてきた。

関連して以下質問する。

一 内閣府では、広域防災拠点を配置するにあたって、三条件を定めている(平成二十四年七月十七日「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」第五回会議資料「広域防災拠点の配置について」)。総務省においても消防機能等の維持のために、三要件を定めている。特に「自立性」については、①液状化・津波被害の危険性がない、②災害に耐えられる施設、③あらゆるハザードに対する安全管理・防護能力がある旨が明記されている(平成十五年三月総務省消防庁「広域防災拠点が果たすべき消防防災機能のあり方に関する調査検討会報告書」)。

病院については、熊本地震後に作られた国交省「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」において、防災拠点に病院を位置づけ、立地計画の段階で「大地震及び大地震により引き起こされる災害を想定し、リスクの低い場所を選定(すべき)」としているのみである。

厚生労働省は災害拠点病院でさえも建設に際して立地基準を定めていないが、その必要性についてどのように認識しているのか。

 

二 現在、桜ヶ丘病院は移転先とされた清水庁舎移転凍結により、代替案として清水庁舎周辺の市営駐車場が浮上しているとのことである。しかし、そこも市庁舎同様に津波浸水区域であることに変わりない。

本年四月十七日の厚生労働委員会において、病院等医療機関建設における立地基準を定めるべきことを質したところ、加藤厚労大臣から「災害時において医療の拠点となる、特にそうした病院については、やはり、ハザード上の観点からも、これから建てかえをするとき、あるいは場所を変えるときは十分配慮してもらうということは大事な視点なんだろうというふうに思います。」と答弁があった。

また、吉田医政局長からは「規制あるいは基準という形で立地について明確にルールとして定めたものはございません。~中略~今後、災害を考える際に当たっての一つの私どもの検討の視点として受けとめさせていただき、課題としたいと思います」という答弁があった。

その後、病院建設の立地基準について、厚労省内において何らかの検討はされたのか。していないとしたらその理由は何か。

一及び二について

 お尋ねの『立地基準」の意味するところが必ずしも明らかはでないが、厚生労働省においては、災害発生時においても、医療機関がその機能を維持し、地域において必要な医療を提供することが重要であると考えており、災害拠点病院等の医療機関の建設場所に関して留意すべき事項を含め、今後の災害医療体制に関する検討を進めているところである。なお、医療機関の建設場所を制限することについては、周辺の地域において必要な医療が適切に提供されることの重要性を考慮すれば、慎重な検討を要するものと考えている。

 

三 「静岡県の要望・提案」書が、平成三十年十一月、令和元年七月と、二度にわたり静岡県から厚生労働大臣に提出されている。この中で、桜ヶ丘病院移転問題に関し、「本県の独立行政法人地域医療機能推進機構が開設する病院は、いずれも多数の入院・外来患者を抱える地域における主要な病院であり、平時のみならず、災害時においても、十分な機能が発揮されることが期待され~中略~移転に当たっては、地域住民との合意形成のもと、県民の安全・安心に十分に配慮することが必要だと考えています。」と現状認識を示したうえで、「地域の医療水準を確保するための十分な配慮」を求めているが、厚労省はこの要望事項にどのように対応したのか。

三について

 厚生労働省においては、ご指摘の要望事項も踏まえ、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が平成31年2月28日に指示した「独立行政法人地域医療機能推進機構が達成すべき業務運営に関する目標」に於いて、独立行政法人地域医療機能推進機構については、「地域において必要とされる医療及び介護を提供する機能の確保を図ることを目的として、地域医療機構の資源を最大限有効活用し、業務運営の効率性、自立性及び質の向上も念頭に置き、病院、老健施設等を運営していくものとする」としており、同機構においては、当該指示を踏まえ、同機構桜ヶ丘病院についても適切に対応しているものと承知している。

 

                                                            以上

 

 

 

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2020/06/19   abetomokojp
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あべともこニュースNo.574(6/20)感染再燃に備える検査と医療の充実を!

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2020/06/19   abetomokojp
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「コロナ」を理由に国の重要基幹統計調査を中止?

「国民生活基礎調査の中止決定に関する質問主意書・答弁書」

 

国民の所得状況や生活水準を調べる国民生活基礎調査は国の基幹的な統計調査ですが、

折しもコロナ不況による生活実態調査と生活支援が一番必要なこの時期に、政府

はあろうことかこの調査を一方的に中止してしまいました。

コロナ感染症を理由としていますが、実施方法を工夫して調査を継続すべきです。

(質問と答弁(赤字)は以下の通りです。)

 

令和二年六月十二日


衆議院議員阿部知子君提出国民生活基礎調査の中止決定に関する質問に対する答弁書

内閣衆質二〇一第二一九号

 

厚生労働省は三月三十日に「二〇二〇(令和二)年国民生活基礎調査の中止について」をホームページで公表した。
 中止の理由として、「国民生活基礎調査は保健所職員が統計調査員の指揮監督や対象世帯からの問い合わせ対応等を実施」しているが、「保健所では、新型コロナウイルス感染症対策が最優先」であり、また、「統計調査員と対象世帯の方との長時間の接触は好ましくない」、かつ、「結果精度の確保等の観点から、郵送調査への変更や時期の延期は困難な状況であること」とされている。
 また、同調査は三年ごとに大規模調査があり、二〇二〇年は簡易調査の年であることも理由とされている。しかし、「国民生活基礎調査」の目的は、「保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定すること」とされている。
 関連して以下質問する。


1 国民生活基礎調査は前述したように「厚生労働行政の基礎資料」と位置付けられている。そもそも基礎的な統計資料の重大性をどのように認識しているのか。

 

1について

国民生活基礎調査(以下「本調査」という。)は、御指摘のとおり、保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働省の所掌事務に関する政策の企画及び立案に必要な基礎資料を得る等の目的で実施しているものであり、政府としては、もとより、こうした基礎資料の重要性を十分認識しているところである。


2 折しも全世代型社会保障検討会議など、社会保障全般の議論のさなか、今国会でも年金制度関連法や介護保険関連法改正案を上程し、介護保険事業計画も本年度中に策定という状況にある。こうした中で、議論の根拠資料を得るための基本調査を「中止」するという判断に至った経過を示されたい。

 

2について

本調査については、都道府県等の保健所の職員が統計調査員の指導監督等を実施する必要があるが、保健所においては新型コロナウイルス感染症対策が最優先であること、統計調査員が対象世帯を訪問した上で対面で本調査に係る説明・確認を実施することとなるが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、統計調査員と対象世帯との長時間の接触は好ましくないこと、郵送調査への変更等は結果精度の確保等の観点から困難な状況であること等を踏まえ、統計法(平成十九年法律第五十三号)第十一条第一項の規定に基づく総務大臣の承認等を経た上で、令和二年においては行わないこととしたところである。

 

3 中止の理由として、「保健所では、新型コロナウイルス感染症対策が最優先」とされている。しかし、社会保障統計年報によれば、全国の保健所設置数は一九九二年の八百五十二か所から二〇一九年には四百七十二か所へと半数以下に減っている。職員数も同様に一九九二年の三万四千四百六十三人から二〇一七年には二万七千九百二人に減らされ、公衆衛生の専門医師の不在、保健師の欠員や兼務の多さなど、その著しい機能低下が諸方面から指摘されている。
 保健所業務のひっ迫を招いた原因の一つは、この数十年、「行政の効率化」の中でその数と機能を大幅に削減してきたことにあるのではないか。政府としてどのように受け止め、改善を図るのか。

 

3について

お尋ねの「保健所業務のひっ迫を招いた原因の一つは、この数十年、「行政の効率化」の中でその数と機能を大幅に削減してきたことにある」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、地域保健対策の推進に関する基本的な指針(平成六年厚生省告示第三百七十四号。以下「基本指針」という。)においては、「保健所は、地域保健に関する広域的、専門的かつ技術的拠点としての機能を強化するほか、地域の医師会の協力の下に医療機関との連携を図ること等により、・・・ライフサイクルを通して一貫した保健、医療、福祉サービスを提供することが重要である」とした上で、「保健所の整備」について、「都道府県の設置する保健所の所管区域は、保健医療に係る施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、二次医療圏・・・又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十八条第二項に規定する区域とおおむね一致した区域とすることを原則として定めることが必要であること」といった「考え方に基づき、地域の特性を踏まえつつ規模の拡大並びに施設及び設備の充実を図ること」等としているところであり、これを受け、都道府県等においては、地域の特性を踏まえつつ保健所の整備を行っているものと承知している。


4 公衆衛生を担う保健所の機能低下という実態を招きながら、緊急事態が発生したことを理由として、平常業務としての国民生活基礎調査を中止することは、行政側の一方的な都合であり、国民の理解を得られないのではないか。

 

4について

令和二年における本調査を行わないこととした理由及びこうした判断に至った経緯並びに都道府県等における保健所の整備については、二について及び三についてで述べたとおりであり、「緊急事態が発生したことを理由として、平常業務としての国民生活基礎調査を中止することは、行政側の一方的な都合」との御指摘は当たらないと考えている。


5 今後想定される第二波、第三波による緊急時に、保健所の機能を十分に果たすためには、日常からの人的・物的体制整備が不可欠である。地域の公衆衛生を支える公的機関として、新生児指導や高齢者の健康増進などの保健活動を担う医師や保健師の確保を急ぎ、保健所機能の強化を図るべきと考えるがどうか。

 

5について

政府としては、地域保健対策に係る人材を確保することは重要であると考えており、基本指針においては、当該人材の確保について、「都道府県、政令市及び特別区は、地域における健康危機管理体制の充実等の観点から、保健所における医師の配置に当たっては、専任の保健所長を置くように努める等の所管区域の状況に応じた適切な措置を講じるように努めること」、「都道府県は、事業の将来的な見通しの下に、精神保健福祉士を含む」地域保健法施行令(昭和二十三年政令第七十七号)「第五条に規定する職員の継続的な確保に努め、地域保健対策の推進に支障を来すことがないように配慮すること」等としているところである。これを受け、都道府県等においては、所管区域の状況に応じた適切な措置を講じているものと承知しているところ、政府としては、引き続き、都道府県等に対する必要な支援を行っていきたいと考えている。


6 消費者物価指数のもとになる、総務省「小売物価統計調査」は調査員による対面調査から一部を電話調査に変更して実施される。また、同省「労働力調査」「家計調査」では、郵送を可とした。
 現在、厚生労働省が科研費補助金事業や委託調査事業等で調査・研究を委託している機関は相当数あると認識している。基礎的な統計資料に空白を作ってはならない。初めから中止ありきではなく、保健所に替わる調査機関を選定することは十分可能と考えるがどうか。


6について

令和二年における本調査を行わないこととした理由については、二についてで述べたとおりであり、「初めから中止ありき」との御指摘は当たらないと考えている。

以 上

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2020/06/16   abetomokojp
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